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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.1355 設計図がない状況で、安全、合法的な対応策について

 相談概要 [氏名] T.K
[相談建物予定地] 東京都足立区
[職業]
[年齢]
[構造] 混構造
[引渡し年月日] 西暦 年 月 日
[何階建て]
[延べ面積m2]
[延べ面積坪]
[工事請負金額]
[設計監理料]
[様態] −
[施工者] −
[設計者を選んだのは] −
[施工者名]
[販売会社名]
[設計者名]
 相談内容 現  象:

相手の意見:

相談内容 :
競売で落札した物件(1階重量鉄骨、2階木造。37年の中古一戸建て、元は1階工場、2階住居です。現在、全て住居にリフォームするつもり)ですが、設計図がないので、下水道の配管(ガス配管)を探す方法を教えて下さるようお願いします。

或いは、設計図がない状況で、地面の下の配管(下水道、ガス配管)が破損する恐れかあるかどうかを確認する方法をお教え頂きたいです。

先週、1級建築士の方と設計図ないの件について相談しました。

相手方は、「区役所でも図面を保管することがあるが、元所有者は図面の保管義務がある」と言いました。

しかし、元所有者は、3年前になくなりました。これが何故この物件が競売物件になった理由(債権銀行は、借金を回収するために、競売で販売して、落札金で債務回収しました)です。

前に、この物件を落札して、購入しました。
現在、修繕・リフォームするために、設計図が必要ですが、設計図がない状況で、安全、合法的な対応策について、教えて頂きたいです。

1、地面下配管の状況(破損)
2、耐震のための鉄骨の溶接状況についての確認方法
3、鉄骨配置の設計図がないので、新しい図面を作ることができますか?
 yorozuの感想 少し過去のQ&Aをみました。良心的なHPと思います。
アドバイザー 
 大内 彰 解説員の大内です。

ご質問に沿ってお答えします。

1.地中部の配管が破損しているかどうかはそれぞれ専門業者に問い合わせればその方法を教えてくれると思われます。今後破損するかどうかは誰も確証を持って答えることはできないと思います。地盤状況なども関係するのでもともと複雑なので、資料が無いと根拠にするものがないと思われるからです。

2.耐震補強をお考えのようですが、そのためにはおっしゃるように溶接部の確認は有用ですが、その部分の溶接を程度の低いものとして設計、または補強溶接をして補強設計をすることができます。古い建物なので溶接はしっかりしたものではないと推測できます。

3.仕上げ材を剥がして柱や梁の大きさなどをチェックして図面を作成することはできますが、それなりに費用がかかります。費用についてはばらつき が大きいので実際に見積 もりをとられたらいいと思います。

合法な改修・リフォームについては他の解説員のアドバイスを参考にしてください。
 古賀 保彦 解説員の古賀です。

 ご相談内容に、「設計図がない状況で、安全、合法的な対応策について、教えて頂きたいです。」とありますが、かなり難易度が高いご相談です。

A:まず、建築時の法規制に基づいて、
 ・元々の設計内容が安全、合法であった。
 ・その上で、その設計に基づいて安全、合法に施工された。
という事が大前提となりますが、その証明自体に時間と労力がかかります。
(後述)

B:もしAの証明作業で、安全ではない、合法的ではない、という事が分かった場合、
 ・少なくとも建築当時の法規制を満たすレベルまで回復できるかどうか
という事が問題になってきますが、物理的、経済的に可能かどうかも関係してきます。

C:A・Bがクリアできる前提で、改修計画が現在の法規制に基づいた、
・安全、合法的な修繕・リフォームである

ことが必要ですが、計画内容によっては構造も含めて現行の法規制に合致させなければならない場合は、改修のハードルがさらに高くなります。これも物理的、経済的に可能かどうかが関係します。

ご質問の件ですが、
1、地面下配管の状況(破損)
2、耐震のための鉄骨の溶接状況についての確認方法
3、鉄骨配置の設計図がないので、新しい図面を作ることができますか?

 これらは上記のAでの安全、合法である事を証明するために必要な作業の一部にすぎず、図面だけでは不足で構造計算書も必要になります。また、隠蔽部分を解体するコスト(リフォーム内容によっては復旧コスト)もかかってきます。土間下などの配管等、調査・検証しきれない部分があれば、新たに敷設することをお考えになった方が経済的には得策かもしれません。

 上記Bのように、調査・検証の結果、安全、合法的でなかった場合には、それを解消するための工事が必要になってきますが、その内容は既存状況に大きく左右されますし、どの時点での法規に合わせるかによっても変わってきますので、一般的な答えがありません。また、物理的、経済的に可能かどうかも問題になってきます。

 上記Cについては、工場と住宅では用途が異なりますので、用途に応じた法規制に基づく必要があります。用途変更のみであれば構造を現行法規へ合致させる事までは問われない場合もありますが、改修で構造の変更を伴う場合には現行法規に合致させた建築確認申請が必要とされるのが普通です。もちろん、申請が不要であっても関連法規に基づいた計画内容にしなければ合法にはなりませんので、ご注意ください。法規への適合や検証がどこまで必要かは、あらかじめ所轄の建築審査課等で確認なさった方が良いです。

 当方は設計事務所として改修設計も行っておりますが、既存の図面や構造計算書が残っている場合でも、ご依頼者のご希望に沿えない場合も多々あります。その理由の多くは最終的には経済的な問題で、既存に手を加える程に工事費が高額になり、場合によっては新築以上の工事費になる場合もあります。 
 相談のように既存図面が無い場合はなおさら困難な作業になると思いますが、法的・物理的・経済的にできる事とできない事を順次明らかにしていきながら、方向を模索せざるを得ないのではないでしょうか。 調査や法規に詳しい専門家の意見も聞きながらうまく進めていかれるよう、頑張ってください。
 コメンテーター 
 畔上 廣司 「設計図がない状況で、安全、合法的な対応策について」の難しい相談です。
現行用途地域や建物規模などが分かると良かったのですが・・・。

 先ず、古賀委員から建築関連新旧の法規制に基づいた安全上及び合法性について、A、前提と三つの質問事項、B、調査と検証結果の問題点、C、異種構造・用途に応じた法規制に基づく必要性と可能性についてそれぞれ的確な解説をしていただきました。前もって地域所轄の建築担当課に伺い、用途・構造の異なる建築の新旧法規制に基づく確認が必要と考えられますし、現行の法規制に基づいた修繕・改修計画である場合は経済的負担を考慮する必要性もありそうです。
 次に、大内委員の解説のとおり、資料が存在しない中での地下埋設物の確認等については、安全上の問題発生の恐れもあり、専門業者に問い合わせ相談調査する方法が確実でしょう。また、耐震補強するには、1階鉄骨造の溶接状況や2階木構造共部分の仕上げ材を剥がして柱や梁の大きさ等をチェックのうえ詳細図を作成し、合法的な耐震補強設計を行なうことになります。
 なお、既存図面の存在ですが、地域によっては所轄の建築関係担当課に建築確認申請時の建築計画概要書が保管されている場合もあり、建築士事務所、施工会社の連絡先、配置図などを閲覧できるかも知れませんので問い合わせて見ましょう。
 何れにしても、出来る事と出来ない事の内容を整理し、これらの調査に詳しい専門家に相談しながら計画していくことをお勧めします。
 事務局から 
  荻原 幸雄 「区役所でも図面を保管することがあるが、元所有者は図面の保管義務が
ある」とのことですが、築37年とのことで、役所にはありません。
また、所有者には保管義務はありませんので、これも間違いです。

さて、図面が無いことがこの国の大きな問題なのです。保管義務がないからです。
今現在もありません。今後は欧米のように、履歴保存が重視されてきますが、正に現在、始まろうとしていす。

但し、義務化にはなりません。

図面がないと再現のはかなりの時間と費用がかかります。また、非破壊では限度があり破壊検査も入れたら、現実的な費用ではなくなります。

ただ、ある程度はできるので、安全側に何事も考える必要がありますね。

配管関係で地面に埋まっている位置もある程度わかりますが、それよりも新しく直した方が早いと思います。

中古を購入する場合は建築士のインスペクター制度が始まります。

これも任意なので必要があれば信頼できる建築士に調査を依頼することです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  
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