相談概要 | [氏名] K.S [相談内容] 注文住宅の瑕疵 [居住住所] 半田市 [職業] 会社員 [年齢] 33 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 2014年5月 日 [何階建て] 1 [延べ面積m2] [延べ面積坪] 50 [工事請負金額] 5500 [設計監理料] 300 [様態] 注文建築 [施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業 [設計図面は何枚もらいましたか?] 65 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 15 [施工者名] (有)DWホーム [販売会社名] [設計者名] 一級建築士 |
相談内容 | 現 象: 1、立ち上がり基礎部のコンクリートに亀裂が入っている。亀裂は立ち上が り基礎の屋外側(屋内側は未確認です)で、ベタ基礎の打ち継ぎ面から上へ約5cmの 幅で水平方向に割れています。とりわけ南面の基礎が一番ひどく、基礎約16Mの長 さのうち14M程に割れがみられます。そのほかの面にも合計8M程の割れが見られます。 基礎の幅は120mmで鉄筋はシングルです。打ち継ぎ面には止水板(水膨張ゴム)を施 工。使用した止水板の仕様は不明です。割れた部分を図ると止水板のコンクリートか ぶり厚は3〜4cm程でした。立ち上がり基礎のコンクリは24N/mm2を使用し12月に打設しています。設計強度は21N/mm2となっています。いつ割れが起きたのかは不明で、私が発見したのは4月3日です。足場が撤去されたので気づきました。 2、止水板(水膨張ゴム)の蛇行、浮き上がりが見られる。 立ち上がり基礎部の割れから止水板が見えるのですが、場所によっては止水板が浮き上がり、立ち上がりの基礎を施工した時のコンクリートが止水板と打ち継ぎ面の間に入ってしまっています。おそらく、止水板の固定方法に何かしらの問題があり浮き上がってしまったのではないかと考えています。これでは止水板の意味がないように思うのですがいかかでしょうか。 基礎に亀裂がある。 相手の意見: 施工業者、建築士ともに止水板に原因があるのではないかと言っています。 施工業者が設計し販売する家では止水板の使用はしていないようで、今回で2回目の施工になるそうです。 ですので、施工業者は止水板を入れる仕様にした建築士の設計ミスだと主張しています。ちなみに1回目の施工はその建築士自身のご自宅を新築した時に施工したそうです。そちらの物件では何らトラブルは起きていないそうです。 建築士は止水板を入れる仕様にはしたが、施工方法など(止水板の選定や止水板のコンクリートかぶり厚等)は施工業者の裁量に任せ詳細な指示は出していないそうです。また、施工業者からの相談もなかったそうです。 私の見解ですが、止水板の固定が不十分なため、浮き上がりや蛇行が起こりそれが何らかの悪さをしたのではないかと考えています。また、コンクリート強度の発現と止水板(水膨張ゴム)の膨張の関係も気になっています。コンクリートに十分な強度が出ていれば止水板の膨張でコンクリートがあれ程まで割れることはないように思うのですが、いかが思いますでしょうか。 相談内容: まず、考えられる原因と、適切な調査方法を教えていただきたいです。 次に、最善な補修方法のアドバイスをいただきたいです。 また、いつからコンクリ−トが割れていたのかが不明なのですが、雨が浸入した形跡がありました。ですので、雨水の侵入や大気の曝露によるコンクリート」や鉄筋への影響度合いも気になりますので、ご意見を頂けたらと思います。 ぜひともよろしくお願い申し上げます。 |
yorozuの感想 | トラブルを抱え藁にもすがりたいような気持でネット検索していたらこちらのサイトにたどり着きました。 アドバイスを頂けた方は本当に心強く思われたのではないかと思います。 このような活動をされている方々心より感謝いたします。 |
アドバイザー | |
藤井 修 | 名古屋の藤井です。 基礎の立ち上がりコンクリートの厚みが12cmでシングル配筋、ひび割れが16mの長さの内14mあるという事ですね。 打継ぎに水膨張ゴムの止水を施工したということは止水板位置での被り厚が取れていないと思われ、そこに亀裂が生じたと推測されます。 写真を拝見すると、まさしく止水板の位置ですね。 コンクリート強度自体は多分確保されていると思いますが、この状態ですと地震時に強度が保てません。 立ち上がりコンクリートを撤去して打ち直すか、コンクリートと一体になるように外側にコンクリートを増打ちして下さい。 また亀裂の深さが浅い場合はカッターで溝を切りシーリングにて止水すれば良いでしょう。 |
関口 啓介 | 関口と申します。 まず、文字だけでは現象を正確に把握することができないため推測になります。そのため具体的な補修方法は示すことは困難といえます。 恐らくK・Sさんがご指摘のように止水板がなんらか影響を及ぼしていることでしょう。 しかし、どのような止水板が、どのように施工されたのかがわかりません。 1.まずは非破壊検査で被り厚がとれているのか、強度が発現しているのかを確認することをお勧めします。 2.そこで上記が確保されていなければ一部を破壊して止水板の施工状況を確認することをお勧めします。 3.止水板の取り付け施工に問題があるのか、そもそも設計条件に無理があるのか確認します。 4.現象の原因を特定したうえで、設計者と施工者と対策をお話合い頂くとよいでしょう。 5.そこで藤井解説員が示しているような具体的な補修方法が検討されます。 最近では立上り基礎120o幅は少なくなっているように感じます。 シングル配筋でも縦筋と横筋があり、さらに止水板が取り付けられているとなると、どちらかに偏った場合には被り厚の確保はかなり難しくなります。さらに止水板が傾いたり浮きあがったりした場合には被り厚の確保はほぼ困難といえるでしょう。ただしこれらはあくまでも憶測でしかありませんので、原因を突き止めてから補修を行ってください。 そうしなければ責任の範囲も明確になりませんので。 設計者・施工者が真摯にこの問題に向きあい、よりよい解決につながることを願っております。 関口と申します。 写真拝見しました。 シュミットハンマーは平滑部でしか検査できませんので、今回問題となっている部位の強度が担保できるものではありません。 超音波試験でクラックの深さ、圧縮強度を測定されることをお勧めします。 第三者のコンクリート診断士に依頼されるとよいでしょう。 写真でみる限りでは、基礎は打ち継部で断裂しているようにみえます。クラックというより断裂損傷しているようにみえるので、この状況でなにをもって大丈夫だといえるのか、上記検査結果をもとに一体性及び安全性についての検討とその報告を、設計・監理者、施工者に求められるとよいでしょう。 対策についてはその後ということになります。 |
大内 彰 | 解説員の大内です。 どのような割れなのか不明なので、解説も的を得ないかもしれません。 一般的な木造住宅の幅の薄いコンクリートの立ち上がりでしかもシングル配筋の場合は膨張系の止水板を使うのは好ましくないと考えます。コンクリートの割れの原因は やはり止水板の影響による可能性が高いと思いますが、実際にコンクリートをはつって原因を確認すべきです。そのうえでコンクリートを増し打ちしたりするなど何らかの方法で補強すべきです。立ち上がり部分とベース部分のコンクリートの打継面が剥離していたり異物が混入するなど一体化していないと本来の耐力を発揮できません。 ましてや今回の場合は割れの範囲も大きいので立ち上がり部分とベース部分の一体化は期待できない状態になっているので本来の耐力が発揮できない状況になっていると推測されます。かなり大がかりな補強が必要になると思われます。施工者、設計者にコンクリートの一体性および安全性について検討して貰い、対策など提示して頂いたら如何でしょうか。もし、構造的な補強が不要であるということであれば、それを証明するものを提出してもらい確認すべきだと思います。 写真を見ました。明らかに止水材の膨張によるコンクリートの剥離ですね。 鉄筋がさびて 膨張し、コンクリートの表面を剥離させる爆裂と同様の現象です。コンクリートが剥離しているところは止水材がコンクリート表面に近いようなので膨張による影響は表面に集中していると思われます。逆にクラックだけのところは止水材が奥に位置していているために剥離しなかったと推測できます。 対策としては外周部にコンクリートを増し打ち(もちろん配筋する)して補強すればよいと思います。重量増については許容範囲に収まると思いますが、再計算してもらってください。モルタルでの補修など表面だけの補修ではダメです。ただ、この方法は美観を損なうことにもなると思いますので他の工法(SRF工法など)も検討されたらいいと思います。補強方法を施工者や原設計者がいい方法を提案できるかどうか不明なので、ご自分で信頼できる設計者に依頼して進めたらいいと思います。もちろん、そのための費用は施工者または設計者(責任の所在が不明確なので両者を記載しました)に負担してもらうべきです。 |
コメンテーター | |
畔上 廣司 | 建設敷地は少し掘削すると水が湧き出るような地下水位の高い低地帯でしょうか。 ひび割れは布基礎立ち上がりの屋外側にベタ基礎の打ち継ぎ面から上へ約5cmの幅で水平方向に割れ、南面の基礎長さ約16Mのうち14M、他の面にも割れが目立つということですが、横に長いひび割れの確かな状態が分かる写真がないため判断が難しいところですね。 コンクリート強度は温度補正され問題ないようですが、コンクリート面の肌色の変化が気になりますし、コンクリート打設時に多くのレイタンス不純物などが浮いた状態で工事を行なっていた場合、コンクリート打ち継ぎの脆弱な部分へのひび割れも考えられます。また、ベタ基礎立上りコンクリート幅12cmに止水板を入れる場合、縦筋や横筋の配筋が干渉してどうしても鉄筋の被り厚さの品質確保が難しい工事施工になります。ベタ基礎立ち上がりの割れから止水板が見え、蛇行や浮き上がり固定方法にまで疑問が及ぶ相当酷いコンクリート状態のように感じます。 補修方法等の具体策をはっきり示すためにはコンクリートひび割れ、止水板の状況等の判断可能な写真などが必要です。藤井、関口委員の解説のとおり、ひび割れの幅や長さ深さの程度、構造上問題と考えられる貫通等の現象に応じた修補・補強方法は数多くありますので、設計者・施工者に確り不安を伝え対処対応して頂きましょう。 現状は、砂と水分が多く軟弱な地盤に60本あまりの杭を打っていることに加えて、明らかに止水材の膨張によるコンクリートの亀裂、断裂、爆裂、剥離、剥落などと表現せざるを得ない厳しい状態です。ここまで酷いベタ基礎工事は稀というほかありません。強度測定の信用性が希薄であり、コンクリート診断士に依頼する必要性もあります。対策は、再計算したうえで鉄筋を配筋し、コンクリート増し打ちする対策が考えられます。その他、耐震補強工事で多用されている包帯で被覆補強するSRF工法などの方法を選定することが可能でしょう。施工者・設計者に補強工事の費用等について担保して頂いたうえ、ご自分で信頼できる設計者に依頼して進めては如何でしょうか。ご家族にとって安全安心の住まいであることが大切です。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 通常、木造の基礎に止水版はいれません。 その理由は 1)かぶり確保が困難なこと。 2)地下水などの水圧がないこと。 からです。 問題は 1)設計者は何故、止水版をいれる設計をしたのか?根拠は何か? 2)施工者は設計ミスというが、そのことを設計者に伝えたのか?設計者が聞かない場合は建築主に事前に確認しなかったのか? 外部面をはつり取り、欠陥部位もどうようとしてかぶりを確保するか、再度、全てを作り直すか、の判断が必要です。 通常、木造のシングル配筋基礎で止水版を入れることは考え難い工法です。 その理由は 1)止水版の厚みがコンクリートの被り確保が困難にする。(これをするならばダブル配筋に すれば確保可能です。) 2)打ち継ぎ部に地下など水圧がかかる部位がないので必要性がない。(地下室などの場合は必ず必要になります。) 疑問は 1)設計者は何故、止水版を入れたのか?理解できません。打ち継ぎから水の侵入があることを経験したことがあるのかもしれませんが、通常、コンクリートを入念に打設すれば、コンクリート同士が一体化するものです。一体化しない理由はバイブレーションを入念にしない。型枠の底に埃、ゴミなどの清掃が不十分、打設前に水の散布をしなかった。などが考えられます。 2)何故、基礎工事後に対処しなかったのか?(ここまで対策を講じなかったのか?) 3)施工者は設計ミスと言うが、何故、施工前に設計者に指摘しなかったのか?したのに施工者の指摘を排除したのか?その場合は建築主に最終確認すべきではなかったか? 4)設計者(工事監理者)はこれを何故、放置したのか?監理をしたのか?していないのではないか?コンクリート打設前の生コンクリート試験に立ち会ったのか?内容は確認したのか?疑念があります。 施工会社の施工管理と設計者の工事監理の2段階が破られたことが今回の事態を生みだした原因ですね。責任は両者にあると思われます。 対策 1)建物をジャッキアップする。(この工法は可能ですが、施工者能力がないと困難だと思われます。)立ち上り基礎を解体し、再度、コンクリート打設する。 2)大内解説委員の説明の通り、外部にコンクリートを打設する。この場合は止水版までははつり取り表面を目荒らしし、鉄筋をケミカルアンカー若しくは既存の鉄筋に10d溶接して一体化させる。この場合は杭の検討が必要になる。この場合は建物外壁よりも外部に膨れるのでデザイインとしての問題はありますね。 3)大内解説委員の説明の通り、SRF工法などがありますが、上記よりも表面が膨らまないことが特徴でしょうか。この工法の前に止水版あたりの問題のコンクリートは撤去し、新しいコンクリートで打設することになりますが、少し、出っ張っッて打ちます。最後にその出っ張りを撤去します。そして、この上で施工します。仕上げも必要になります。 4)止水版あたりの立ち上り基礎の問題のコンクリートの撤去し、その下の底版のコンクリートもはつり取り、入念に目荒らしし、次に新しいコンクリートで打設することになりますが、少し、出っ張っッて打ちます。最後にその出っ張りを撤去します。そして、仕上げのモルタルなどを施します。 上記4)が簡単ですが、実はこれをする場合は施工管理と工事監理がきちんとされていることが前提です。品質のレベルが高いことが前提だからです。鉄筋の検査、コンクリートの検査がきちんとされていることならば、可能ですが、ここまでの基礎を放置する両者でしたら、 これが処理されるか疑念です。 第三者の建築士を介入させ対応の確認をしてもらったほうがよい状況だと思われます。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | たくさんの先生方にご回答を頂き誠にありがとうございます。 先生方のアドバイスをもとに再度状況の確認 を行い、すこしでも現状を打開できるように頑張りたいと思います。 写真は前回の時に送付させていただいたので すが、届いていないようでして、申し訳ございませんでした。 本メールにも添付させていただきますので、もしお時間が許すようでしたご確認ください。よろしくお願い致します。 その後の状況ですがほぼ進展がなく、まだ何も決まっていない状態であります。 少しばかりですがわかったこともありまし た。 まず、止水材の詳細が判明致しました。 アデカというメーカーの「アデカウルトラシールMC-2010M」という製品 で、コンクリートの被り厚が100mm以上も必要な製品でした。 その時の施工方法は、打ち継ぎ面を水洗いし、ボンドで止水材を接着したそうです。 あと前回の時に、立ち上がり基礎のコンクリートは24N/mm2と書きました が27N/mm2の間違いでした。 また、工務店の手配でシュミットテストハンマーを5か所実施しました。 結果としましては、設計強度を上回る数値が出ていたのですが、テストを実施した会社とコンクリートの納入会社が同じで、 率直に言わせてもらいますと素直に信じることができません。 その計算式は材料学会のものを採用していました。 私が東京都式で計算し直してみますと5か所のうち4カ所は設計強度を下回る数値がでました。 しかしながら、このテストの結果をもってコンクリートの強度に問題はないと工務店は断言しています。 なお、ベース部に近い立ち上がり部付近はハンマーで軽く叩いただけで簡単にベース部から剥離してしまい、打継面の一体化がまったく出来ていないように思われます。 また、床下にも潜り確認してきましたが、内側に割れは出ていませんでした。 鉄筋のおかげで助かったのかもしれません。 工事はすでに8〜9割が終わっていまして、あとは設備機器の取り付けや外構工 事を残すだけとなっております。 基礎を一からやり直すといったことはとても困難な状況にあります。 打ち増す方法もあると思いますが、砂と水分が多い軟弱な地盤であったため、補強で60本あまりの杭を打っております。 それですので、打ち増した場合にはその重量増による影響も心配されるところであります。 私たち家族皆が新居の完成を今か今かと待ちわびていただけに、ショックがとても大きく不安な毎日を過ごしております。 困難な状況にはありますが、愛娘達の元気さだけは相変わらず健在であり、それが唯一の救いでもあります。 アドバイスを頂き誠にありがとうございました。 |
その後 |
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