相談概要 | [氏名] M. I [相談内容] 建売住宅の瑕疵 [居住住所] 大阪府柏原市田辺 [職業] 会社員 [年齢] [構造] 木造(その他) [引渡し年月日] 西暦 年 月 日 [何階建て] 2 [延べ面積m2] [延べ面積坪] [工事請負金額] [設計監理料] [様態] 建売り住宅 [施工者] − [設計図面は何枚もらいましたか?] [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] [施工者名] [販売会社名] [設計者名] |
相談内容 | 現 象: 中古一戸建てを探しています。 条件が合う物件が見つかりましたが、築15年で二階の一部がくっついている一部連棟です。 連棟の知識がなかったので、自分なりに調べてみましたが、あまり良いことはききません。 心配なのが、隣が建て替えを申し出てきた場合、残された方の建物の強度は落ちないかどうかです。 あと、いずれ売るときに、連棟であることで、売りにくくなったり、安くでないと売れないなどあるのかどうか知りたいです。紹介してくれている不動産の方に聞いてみましたが、大丈夫と思います、という返答です。どちらに相談してよいのか分からず困っています。どうかご教示下さい。よろしくお願いします。 相手の意見: 大丈夫と思います。 連棟を切り離したお客様もいますが、不具合は聞いたことがありません。 相談内容 : 隣が建て替えを申し出てきた場合、残された方の建物の強度は落ちないかどう かです。あと、いずれ売るときに、連棟であることで、売りにくくなったり、 安くでないと売れないなどあるのかどうか知りたいです。 |
yorozuの感想 | 複数の方に丁寧な回答が得られるのが魅力だと思います。 やはり大きな買い物なので、自分が納得いかないと踏み切れないので、専門家の意見は貴重です。 |
アドバイザー | |
武田 直行 | 解説委員の武田と申します。 中古物件の購入には細心の注意が必要です。まず購入を検討している物件の安全性や 合法性についての情報が必要です。 つぎにその情報を分析する能力のあるプロが確認することによって安全性や合法性が 担保されます。もちろんその確認には現地調査も必要になります。まず安全性や合法性は一般にはその物件が建てられるときに確認申請を提出し、中間検査を受け、完了検査済証があることが前提です。築年数から新耐震基準のもとに阪神大震災以降に建てられていますがこれらの情報がないと確認できません。これらの情報と現地とを確認してはじめて、そ の安全性と合法性について判定できます。 ただ単に不動産屋が「大丈夫だと思います」「不具は聞いたことがありません」などは何の根拠もないのです。安全性や合法性が確認できない物件は一般にはそれなりの価値でしか評価されませんので売買のときや増改修のさいには安く買いたたかれたり、工事費用が余分にかかったりすることは覚悟しなければなりません。 この物件がどうしてもお気に入りの場合は、専門家に調査してもらい耐震改修が必要かどうかや問題点をきっちり確認したうえで判断されることをお勧めします。 |
津村 泰夫 | 津村 泰夫 解説委員の津村です。 連棟で2階がくっついているというのは珍しいですね。どの程度くっついているのかわ かりませんが、隣の家が建て替えとなった場合に解体したときに、その2階部分が宙に浮いた格好になるのでしょうか?そうだとしたら問題ですね。一般的に通常の連棟住宅の場合は、隣が建て替えで解体する場合には、境の壁や柱は残すのが通常ですから、面積当たりの壁率や柱率は高くなりますので、弱くなるということはないと考えています。極端に間口が狭いとかは別ですが、また隣の建物が無くなったことにより風圧を受けやすくなっ たりする場合はあります。2階の一部というのは見てみないとわかりませんね。 不動産評価上で連棟型が一戸建てに比べて何ポイントか評価が下がるのは事実ですが、 売れる売れないという評価ではありません。 中古住宅を手に入れる際に注意することはまず、建築確認申請書や完成検査証があるか どうかです。車で言えば車検証のようなものですから大切なものです。必ず原本(副本) が存在するか確かめてください。あと、耐震上問題がないか、断熱材がきちんと入っているか、シロアリなどの腐朽がないか、不等沈下はないかなど多くの項目があります。 武田解説委員も述べられているように、不動産屋の口だけの「大丈夫」は根拠がありません。 |
コメンテーター | |
畔上 廣司 | 二階の一部がくっついた連棟は大変珍しいですね。建物の形状デザインも気になります。 両委員の解説にありますように、中古住宅を手に入れる際は、その土地・建物の確実な「履歴チェック」が肝要です。築15年ともなれば、平成12年の建築基準法改正に伴う耐震性能を具備しているか気になるところです。壁を共有している連棟住宅では、耐震補強をおこなう場合は隣りの承諾や同意を得なければなりません。連棟界壁部の断熱性や遮音性の チェック確認は直ぐには困難です。建物を切り離して単独で建てたり、将来的に売買する場合も負担割合や権利関係の問題発生なども考えられます。いくら条件が合う物件とは言え、不動産屋さんの「 大丈夫と思います」に、根拠がないことは明らかでしょう。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 大きな問題は2階の一部の壁を共有している点にあります。 1階が繋がっていないとなると、切り離した時点で、構造に問題がないか判断する必要があります。(建築士のプロでないとできないと考えます)また、敷地境界がその壁の中心を通っている筈なので、自分が解体する場合や隣が解体する場合に同意が必要になりますが、この壁が構造的壁ならば撤去に同意が困難になる可能性があります。その壁を撤去すると相手の敷地内に壁増設することになり、同意とその隣の部屋が狭くなることの同意をとることになりでしょう。 同意だけでなく、金銭の支払いが必要になることも考えられます。シロアリに一部がやられて構造的に危険だとした場合はこの同意を取るという困難な道があるおとになります。 購入する前には隣の住人にこの同意がもらえるか不動産業者に確認しましょう。 できなければあきらめた方が賢明だと考えます。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | とても丁寧な対応、アドバイスありがとうございました。感謝しております。 その後ですが、結局購入は見送りました。まだ今も買い手はないようです。 本気で購入を考えていましたので、物件の隣とお向かいの方々にも話を聞きました。連棟を購入されるくらいなので、あまり家に関して心配されているようなことはないように感じました。 そこで、元々その辺りを連棟で建築した業者に問い合わせしたところ、やはり切り離して耐え得る構造ではないとはっきり聞きましたので、私の心配していることがクリアにならなかったため購入はしませんでした。 不動産の方にとても購入の返事を迫られていたので、メールで返事をしましたが、返信もありません。本来電話で返事をすべきではありましたが、電話で一度迷っていること等を具体的に相談したところ、2時間もしつこく説得が続いて嫌な思いをしたので、メールで返事することにしました。 不動産の対応にも正直不誠実さを感じています。 結果、よかったと思います。 いろいろと親身な対応ありがとうございました。武田様、津村様、畔上様、おぎわら様にもよろしくお伝えください。 ありがとうございました。 |
その後 |
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