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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.1346 水抜き穴から流れ続ける水は問題ないか?

 相談概要 [氏名] NN
[相談内容] 建売住宅の瑕疵
[居住住所] 横浜市
[職業] 会社員
[年齢] 45
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦  2000  年 8 月  日
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 120
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 5000
[設計監理料] 0
[様態] 建売り住宅
[施工者] −
[設計図面は何枚もらいましたか?]
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?]
[施工者名]
[販売会社名]
[設計者名]
 相談内容 現  象:
家は階段状の新しい造成地の一番下にあります。道路に面した部分は駐車場となっており、その上に地盤があり家が建っています。
この駐車場の横(家の地盤の下)にある水抜き穴から、新築当初から水が常に流れ出ています。水抜き穴の下にある排水溝(地下)がつまり、排水溝口から水があふれるため、施工業者(作業は下請け)に対応を依頼したところ、排水溝が詰まっているため、地上に排水のための溝を掘ってもらいました。1ヶ月ほどすると、水抜き穴の下にある排水溝および新しくほった溝の入り口の金属製のフタが周りのセメントと固まりフタをとれなくなってしましまいました。

溝を掘った業者は、排水溝のつまりについては、地盤改良剤が流れ出て固まったのではないかと言っていましたが、建徳から10年以上経っているのに、未だに地盤改良材が流れ続けるものでしょうか。(地盤の中に水の流れはあると聞いていますが)また、澪を掘る際に、水抜き穴の中をきれいにしてもらったのですが、普段出ている水の量より多い水がしばらく流れ続けていました。水抜き穴もつまって水が地盤の中にたまることも心配です。





相手の意見:
施工業者は新築当初の水抜き穴からの水は原因がよくわからないといっていました。
階段状の造成地の一番下に位置するので、水がここに集まってくるのではとも言っていました。
下請けの業者は、上記のとおり、地盤改良剤が流れ出ているのではと言っています。

相談内容:
水抜き穴から流れ続ける水は問題ないか。
排水溝のつまり、排水溝口のフタが周りの地面(セメント)と固まったのは地盤改良剤が原因なのかどうか。
水抜き穴が詰まって(地盤改良剤が原因か)地盤に水が溜まり不同沈下等、不具合を起こすことはないかどうか。
以上から施工業者に補償や対処を求めることは可能か(水の流出については新築当初から、相談はしている。)
よろしくご教示願います。
 yorozuの感想 他に無料で相談できるところもなく、大変助かります。過去の相談事例も見ましたが、非常に事例も多く参考になります。
ぜひ今後も無料相談、相談事例の紹介を続けていただきたいと思います。
アドバイザー 
 関口 啓介 関口です。

N.N様
原因がわからず不安ではありますね。
メール文中と写真の情報だけでは原因が特定できませんので、ここではあくまでも推
測となりますのでご了承ください。

1.排水溝フタまわりが固まったのは
考えられるのは、・カルシウムの溶出、・水和反応がされていなかったセメント剤の
流出、・地盤改良体が地下水脈などで削られ流れ出た
これらの可能性が考えられます。改良したばかりではセメントが溶出することは考え
られますが、10年経過した時点では通常では考えにくい現象といえます。

2.その場合の問題は
・カルシウムの溶出 経年劣化が考えられます。カルシウム含有量やphの検査で確認
できます。
・水和反応されていなかったセメントの流出 きちんと攪拌されていなかったことが
考えられます。ただそれが今になって流れ出るというのは、地盤になんらかの変化
(ひび割れ等)があったものと考えられます。地盤形状の変化でまずは確認できま
す。
・地下水脈による削り出し これの場合は削られた改良体がフタを固めるちからがあ
るかどうか可能性が低いです。水和反応していなかったセメント剤を削り出せば可能
性が疑えるかと思います。ただそちらもセメント剤の経年劣化を考えると低いかもし
れません。
これらを考えると、カルシウムの溶出が疑われます。

3.固めたものの成分を検査しましょう
排水溝のフタを固めたものの物性検査を行うことでその原因を特定できるのではない
かと思います。
特定できれば考えられる危険性も絞りこむことができます。
カルシウムの溶出の場合は、カルシウム含有量やph検査を行い、改良体の圧縮強度
試験などが必要かもしれません。

4.水抜き孔がつまる
地下水が溜まり土圧が高まります。場合によっては崩落倒壊の危険もあります。

以上から、固めたものの成分を検査して、それに見合った対処が必要と思われます。
あまりない事例だけに対応が適切に行われない場合は、信頼できる建築士や専門家に
入って頂くとよいかもしれません。
 コメンテーター 
大内 彰 Q:今回の相談の現象が問題のあるのか?

A:水抜き穴から古結性のある液体が出続けることは三つの問題があると思います。一つは排水溝の詰まり。既に詰まって新たに設けた排水溝のフタにも古結し始めているということですから、いずれ表面がふさがってしまうか下流で詰まってしまう可能性が高いので問題ありです。二つ目は水抜き穴自体が詰まってしまい、擁壁で囲まれた部分の水位が上昇しつづけ、いつか一気に崩壊してしまう可能性があることです。
そして、もう一つは柱状改良の施工不良が原因で固化剤と土が良く攪拌されていないことが原因だとすると、その上に載っている建物が傾いたりする危険性があるということです。

Q:原因は地盤改良に使った固化剤なのか?

A:柱状地盤改良で土と固化剤が良く攪拌されないと固化剤が化学反応せずに残り流れ出ることも考えられます。擁壁の裏込めに使う砂利に再生砕石(砂利とコンクリートを細かく砕いたガラ)を用いていたためにコンクリートから溶け出した成分が水と反応して固結した可能性もあります。または埋め戻しにコンクリートガラを使い、そのコンクリートから溶け出した可能性も考えられます。
原因の特定は成分を分析することで絞られますが、特定できないかもしれません。が、問題の切り分けは重要です。
再生砕石やコンクリートガラから溶け出した成分の影響であればが水が出続けている間は擁壁の危険性は高くならないので排水をどう処理するか。誰が負担するのかを解決すればよいと思います。もしも地盤改良の施工不良による固化剤流出が原因であれば建物も擁壁も危険な状態に移行しつつあることになります。前者と後者では対策が全くことなるので問題の切り分けが重要になります。地盤改良とコンクリートに詳しい専門家に相談することをお勧めします。

そして最後に、
Q:施工業者に補償や対処を求めることが出来るか?

A:これは施工業者にそのどちらも求めることができるでしょう。

擁壁の水抜き穴から水が出なくなったら危険信号ですので注意して見ていてください。
 事務局から 
  荻原 幸雄 擁壁の上の家の写真がないのでどの程度擁壁から離れているか?
不明な点はありますが、解説委員の二人の考えで語りつくされています。

造成地で下の土地とのこともあり、常に地下水が溜まりやすい状況ではあります。
それが地盤改良時に天候が施工時に雨が降ったりすると地下水と溶けだし、回りにセメントミルクが広がり、
結果それが土に浸透したとも考えられます。
この場合は簡単に水に溶け流れ出すでしょう。当時の施工時の推測ですので、
一つの可能性を書かせていただきました。地面内部はもう見ることは困難なので、
推測しかないのも解決を難しくしていますね。

今の状況ではこれを放置すると穴が埋まり、雨水が出なくなる可能性があります。
そうなるとダムと同じ圧力が加わりますので、対処が必要なのです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  
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