相談概要 | [氏名] Y.K [相談内容] 建売住宅の瑕疵 [居住住所] 兵庫県尼崎市 [職業] 会社員 [年齢] 43 [男性] on [構造] わからない [引渡し年月日] 西暦2009年9月 [何階建て] 5 [延べ面積m2] [延べ面積坪] [工事請負金額] 0 [設計監理料] 0 [様態] 賃貸マンション [施工者] − [設計図面は何枚もらいましたか?] [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] [施工者名] [販売会社名] [設計者名] |
相談内容 | 現 象: 私は昭和48年7月築の賃貸マンションの3階に住んでいます。修繕などの情 報は不明です。台風の大雨のときに,私の階下の部屋の天井から漏水がありました。 私の部屋のバルコニーの排水口が木々や泥などで詰まっていました。バルコニーはエアコンの室外機を置く程度の空間で,共用部の排水管がバルコニーを通貫している構造であり,排水口は排水管のすぐ横にあります。バルコニーには水受け部があり,屋外側はバルコニーの床から約7.5cmの高さが,屋内側は排水管に向かって若干傾斜があるため,測定箇所により差異がありますが,バルコニーの床からサッシの下部まで約10cm〜11cmです。 私は,排水口が詰まったとしても,雨水はバルコニーの外にあふれるだけで,階下の室内に侵入するのはおかしいと考えました。 私は排水管の貫通部にいくつか亀裂があることを見つけ,写真を撮りました。マンションの管理組合に亀裂の写真を見せて,亀裂部分からの雨水の浸入が原因ではないか?と話しました。マンションの管理組合がマンション改修工事会社に漏水調査を依頼しました。 バルコニー立ちあがり上部に隙間 竪排水管と排水口 相手の意見: マンション改修工事会社の営業課長が,私のバルコニーを見に来ま した。彼はバルコニーの写真をいくつか撮影しました。 彼の話によると,部屋からバルコニーに出るためのサッシの外枠の下部とバルコニーの床からの立ち上がりの壁にすき間があるとのことでした。 彼は,排水管の貫通部付近の亀裂は漏水には関係ない,雨水が亀裂から浸入しても階下の天井裏には到達しないと言いました。 私は写真を見ましたが,不鮮明であり,サッシの外枠の下部とバルコニーの立ち上がり壁のすき間を確認できませんでした。 私はすき間は経年劣化によるものですか?と彼に尋ねました。彼は経年劣化ではなく,もともとそういう構造だと答えました。今後の防水処置として,彼は樹脂のよう なものですき間をふさぐとも言っていました。 現在は,調査から1週間が経過しました。いまだマンション改修工事会社の調査結果の書類を待っている状態です。 相談内容: 私は自分自身でサッシの外枠下部とバルコニーの床からの立ち上 がりの壁を徹底的に撮影しました。すると,立ち上がりの壁の上部にいくつか欠損が確認され,奥のコンクリートが見えてい箇所を見つけました。 相談したいことは,下記の2点です。 サッシの外枠下部とバルコニーの床からの立ち上がりの壁の間にすき間は存在するものなのか? 排水管周りの亀裂は,漏水に無関係なのか? 本マンションでは,バルコニーや外壁は共用部とされています。管理組合の規定および賃貸借契約書にサッシの外枠下部とバルコニーの床からの立ち上がりの壁の間にすき間が存在することへの注意書きなどはありません。 |
yorozuの感想 | 種々の事象について,写真付きの事例が掲載されており,わかりやすいです。今後も引き続きがんばってもらいたいです。 |
アドバイザー | |
堀住 勝雄 | 解説員の堀住です YK様のお立場が分かりませんが「管理組合の規定」ということは分譲マンションの 一部を賃貸、入居されているのでしょうか。それとも全戸が賃貸なのでしょうか。 今回の漏水事故の対策も一個人の対応すべきことではなく、オーナー(大家)さんが 対策をすべき事項ですので入居者が原因を追究しても意味はありません。 お言葉のように水が溢れるような場合は室内側ではなく、先に外部に溢れるような構 造にすべきと思いますが、これも入居者には何の意味も持ちません。 ・サッシ下と立上り壁の隙間について。 通常はここにはシーリングと言う防水処理 をします。隙間のままということはありません。 ・ 排水管周りの亀裂は漏水に無関係なのか。 一般論になりますが、バルコニーよ り室内側のコンクリートが高い位置にありますので直接の原因にはなり難いと思われ ます。もしそうならば水下に位置しますから少雨でも漏水するでしょう。 |
コメンテーター | |
栗原 健一 | ご相談ご希望の2点について 1)サッシの外枠下部とバルコニーの床からの立ち上がりの壁もしくは床版との間に すき間は、本来は存在してはならないでしょうが、施工のやりにくさから実際には 時々あるようです。隙間があればもちろんここから漏水することはあり得るでしょう。 2)排水管(雨水用)周りの亀裂について、写真で見ますと配管に塗装されその塗膜に 亀裂があるようですが、配管そのものの「亀裂」の有無が判断できません。 また、仮に亀裂があったとしてもこの漏水が室内へ侵入することは考えにくいと思います。 管理組合から派遣されたマンション改修工事会社が、すきまをシーリングするとの ことですし、その改修工事会社の調査結果が出るようですので、いずれにせよその結果 をみてからの処置でしょう。 いずれにせよ、共用部のことですから管理組合が適切に行うべきことと思います。 賃貸ということで、専用部分の所有をしてないお立場ですから、所有者を通じ管理組合 に適切な指示を希望するところまでがご相談者のできる範囲のことではないかと考えます。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | いろいろ追求する姿勢は感心しました。 さて、当時の工事としても雑な工事ですね。 40年前の仕事としても、情けないレベルです。 写真から推測すると鉄筋コンクリート造のようですね。 サッシ下部の隙間から確認できます。 現在はサッシの下部に隙間は作りませんが、当時でも無かったとは思います。 設計の意図なのか?施工の瑕疵なのか?不明ですね。 隙間がある場合バルコニー外部手すりのコンクリート立ち上りの上端レベルが サッシ下部隙間レベルよりも低いことが絶対条件です。 排水溝回りのところは亀裂というよりはコンクリートと配管の接着部位ですが、こんな 工事も雑で普通はしません。が、直接室内に入る原因になりにくいと考えますが断言もできません。 この状況で雨が室内に侵入した可能性は 排水溝に泥・枯葉・ビニール袋(台風で飛来してくるとかで)詰まれば、集中豪雨の時にはバスコニーに雨が溜まり、溢れることもあるでしょう。そんな時には室内に流入する可能性が高いです。 どちらにしても、こんな建築を施工する建設会社・工事監理の建築士のレベルも低いということでもあります。勿論、建築主(デベロッパー)のレベルもです。 マンションは多くの人命が使う建築物なので、こころある建築を造ってもらいたい ものですね。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | このたびは,ご回答ありがとうございます。 当該のマンションは,全部屋所有者が異なり,一部,賃貸の部屋があります。私は賃借人です。 すき間に防水処理がなされていない状態であるということを理解しました。 排水管の周囲の亀裂は,漏水原因になりにくいとのことも理解しました。 栗原さまのコメントから,施工がやりにくいときは,すき間のまま放置することもあるということは,グレーゾーンがあると理解しましたすき間を放置する場合は,すき間がある事実を部屋の買主と管理組合に知らせる必要があり,管理組合の規定と賃貸借契約書にその旨を記述する必要があると思います。 その後の状況について,お話します。 漏水調査会社の営業課長(漏水調査者)が,サッシ外枠下部のすき間はすべての部屋で存在するとの私の撮影した写真を使って,管理組合に説明したとのことです。 すき間の調査をしたのは,私の部屋だけですが,すべての部屋と言い切ったのは,すべての部屋でバルコニーの構造が同じであることと,工事会社の営業課長の立場からそう言ったと推測されます。 管理組合が,私の階下の漏水被害の修繕費用について,見積もりの作成を専門家に依頼しているとのことです。 12月1日に賃貸人も含めた入居者全員出席での総会を開き,私の階下への漏水被害およびサッシ外枠下部のすき間について状況説明することが決まりました。 12月2日か3日に漏水調査会社が,私の部屋のサッシ外枠下部のすき間を埋める工事をすることが決まりました。その費用は管理組合が支払います。 なお,7年ほど前にマンションの外壁の大改修工事を実施した会社は,今回の漏水調査会社であることがわかりました。 今後は,すべての部屋のサッシ外枠下部のすき間の防水処理工事の費用負担と私の階下への漏水被害の損害賠償責任について話が進むと考えられます。 今回は専門家のお立場から客観的なご意見をいただきありがとうございました。 |
その後 |
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