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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.1342 サッシ周りのコーキングは標準施工では?

 相談概要 [氏名] C.Y
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 東京都小金井市
[職業] なし
[年齢] 42
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦 2013年11月 日
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 52
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 1780
[設計監理料] 240
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計図面は何枚もらいましたか?] 数十
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 20
[施工者名] M工務店
[販売会社名]
[設計者名] A工房 A.A
 相談内容 現  象:
今まで、サッシの厚み不足、水道管工事の契約違反、土台水切り位置の施工
間違い、透水防湿シートの施工間違い、工事中の漏水(透湿防水シート施工完了
時)、キッチンの発注ミス(7回)ほか、様々なトラブルがありました。

今回ご相談したいのは、サッシ周りのコーキングの施工についてです。
木造在来工法、外壁仕様は透湿防水シー、胴縁、木摺り、アスファルトフェルト1
7kg、ラス網、モルタル(既調合軽量モルタル、豊運のベースモルタルB)、弾性リ
シン吹付です。サッシは、アルミサッシです。

契約図面などで指示していない仕様に関しては、瑕疵担保保険のまもりすまいの施工
基準に準じる約束でした。
まもりすまい基準では、「」とあり、
実際使用しているモルタルの製造所の施工要項
によると、「サッシ周りは必ずシーリングを施工してください」とあるので、コーキ
ングを行うものと思っていました。しかし、
実際見積に入れていず、行うのであれば
追加で9万となるとのこと。工事監理者(設計者と同じ)、施工者共に、今までの経
験上、窓周りのコーキングは行ったことがなく、雨漏りもしていないのでしなくて大
丈夫と言われました。

モルタルの1次塗りもほぼ終了したこのタイミイングで、見積漏れにより追加対象と
なることに納得ができません。しかし、既に1次塗りが終わり2日目で、時間に余裕
がなく大変困っています。

窓台が濡れている。

まぐさが濡れている。

濡れている基礎底版

相手の意見:
監理者、施工者は、保険会社やメーカーの仕様や施工基準は厳しすぎると主張します。

そして、とにかく見積に入っていないのだから払ってもらわなくてはという主張で
す。
私たちが支払わず、施工者に負担させるのは理不尽だとも言われました。

相談内容:
準じるという施工基準とメーカー施工要項に上記のとおりの記述がある以上、するかしないか選ぶことではなく、本来、標準施工として行う必要のあるものなのではないでしょうか。

「サッシ周りのシーリング施工費」という見積もりの項目は通常存在するものなのでしょうか?
透湿防水シーの仕様になっていれば、当然セットで防水テープが必要になるのと同じで、サッシ、モルタル施工という仕様になっていれば、セットでシーリングが必要になるのでは。

これまでの工程で、雨漏りに関する施工が多々間違いがありました。実際雨漏りも起こった経緯があるため尚のこと、雨漏り防止のために行いたいのですが、このようなケースで、見積もりに入っていなかった窓周りシーリング費用を私たちが払わなければいけないのかどうかお教えください。
 yorozuの感想
アドバイザー 
 古賀 保彦 解説員の古賀です。

まもりすまい保険の設計施工基準には、「乾式の外壁仕上げ」場合には開口部周囲のシーリング施工の規定がありますが、「湿式の外壁仕上げ」の場合にはこの規定がありません。
乾式であるサイディング外壁の場合は、施工上、サッシ廻りに隙間を設けないと張るのが難しいのですが、湿式であるモルタル壁の場合は、サッシと密着するようにモルタル施工し、吹付け材等の仕上げ材を丁寧に施工すればサッシ廻りに隙間ができないことから、このような扱いになっているようです。

では、モルタルの場合には絶対隙間ができないかと問われると、地震や強風で建物は変形しますし、日射や温度差によってサッシやモルタルは収縮しますので、その程度によっては経年で隙間ができる可能性はあります。モルタルメーカーの施工要領はその事を懸念しての事なのかもしれません。
最初からシーリングを行っていればその懸念は払拭できる、というような考え方もあるでしょうが、シーリングもいずれ劣化して打ち直しが必要になる事を考えると、維持管理の観点からモルタルに隙間が出来たときにそこをシーリングで対処すれば良いという考え方もあるでしょう。どちらの考え方をするかは、設計者や施工者によると思います。シーリングの保証期間は5年という考え方が一般的ですので、シーリングに頼る場合はそのイニシャル費用だけではなく、維持管理費用についても合わせて考慮しておく必要があります。

工事中の漏水は、施工段階によっては風雨にさらされて起こってしまう事がありますので、その後の対処がしっかりしていれば過剰に心配する必要はないと思いますが、施工会社によっては防水に対しての配慮が足りなくて、それで生じる漏水もあり、この場合は竣工後にも漏水が生じる懸念が出てきます。
そのような不安な気持ちをお持ちでしたら、モルタルの下塗りが終わった段階では、外からの確認は難しいかもしれませんが、一度、第三者の建築士に見てもらった方が良いでしょう。
 橋本 頼幸 大阪の橋本です。
CYさんにとってはこれまでのミスが積み重なり信用しにくくなっているものと感じました。ただ、ご相談内容は設計監理者と施工者を別に依頼をしているようですので、今一度設計監理者に納得がいくまで説明をお聞きになることをお薦めします。

私の見解としては、ご相談の内容であれば、サッシまわりのモルタルとの取り合い部分のシーリングは必ずしも必要ないと考えます。サッシまわりと透湿防水紙は防水テープなどで施工基準に基づいて施工されていれば、問題ありません。
木造住宅は、瑕疵担保保険の基準で通気層工法が用いられており、万が一外壁の内側に浸水があったとしても透湿防水紙の手前(通気層部分)で水が切れることが前提となっています。

サイディングの場合は、窓まわりを切り欠きますのでその隙間を埋めるためのシーリングは必要になります。一方モルタルは窓サッシの際まで塗り込むことができますので窓サッシとモルタルの間に隙間は生じません。そのようなことからも、シーリングを採用することはあまりないと思われます。

従って、「サッシまわりのシーリング施工費」は外壁がサイディング仕上げの場
合は必須になるでしょうが、モルタル仕上げの場合は入っていなくてもおかしく
ありません。また、入っていなければ追加請求されることも間違いだとは思いま
せん。

冒頭に書きましたとおり、設計監理者・施工者に納得するまで説明を受けることをお薦めします。第三者の意見を参考にされることも大切ですが、設計監理を行い、現場を作っているのは施工者です。現場がどうなっているのかをわずかな写真と文章だけの説明では責任を持った回答ができません。設計監理者や施工者をどこまで信用するか、信頼を回復するための歩み寄りができるかはCYさんの考え方次第だと思います。

本来は楽しい家づくりです。前向きに関係者と手を取り合って進めていくことを望みます。
 山口 雅克  解説員の山口(建築士)です

 一般的には、外壁が湿式工法である場合はサッシ廻りのシーリングを行なう場合とそうでない場合があるようです。図面に書込み指示がありますか。ない場合は瑕疵担保保険の保証が可能なのか確認して見ると安心できませんか。

 契約上の話しであれば、図面の特記仕様書や矩計図などにサッシ廻りのシーリングが指示されているのか、瑕疵担保保険による旨の指示があるのかと言うことになるでしょう。ただ、ここで契約上の話しをすることよりもお互いが納得できる方法を探ることをお勧めします。

 保険会社やメーカーの仕様や施工基準は厳しすぎると監理者と施工者が言っているとのことですが、保証をするにはこれは守ってくださいと言うのが保険会社やメーカーの立場ですから、その辺りをどう考えるか監理者と話し合いをしてみてください。

 相談者から施工者に直接話しをするよりも、あなたの代理人である監理者に仕様と瑕疵担保のことを聞いてみましょう。設計監理者に対する不信感がおありのようですが、施工者が紹介した監理者なのでしょうか。

 施工者の見積り落としとして追加を払うか払わないかでもめるよりも、どこかの仕様を変更したり、予定していたものを取りやめるとかありませんか。設計監理者と家全体のコストバランスを見直して、追加を払わずにシーリングを施工する手だてを考えるのも一つの方法だと思います
 コメンテーター 
栗原 健一 上記解説員からの回答にもありましたが、工事監理者を信頼しないと、この先の工事でもいろいろと心配なことが増えるのではないかと予想します。

建築基準法では建築主が工事監理者を選任することになっています。
一般的に多くの建築主の方はこのことはご存じなく、ご自分の意識なく決まっていることが多いのも実情ですが、ご自分でしっかりと選び、その任命責任を自覚していただくことが重要です。

今回は、どのような過程で工事監理者が選任されたのか不明ですが、もし、信頼がおけないというなら、今からでも信頼のおける建築士を自ら探し、選任しなおすことも一つの方法として検討されてはいかがでしょうか?
 事務局から 
  荻原 幸雄 まもりすまい保険 設計施工基準には2012年版には
「軒の出が少ない場合には※印部分にシーリングを施してください。」
と確かに記載があります。
「「軒の出が少ない場合」という表現自体があいまいですね。
どれくらいの出ならばいらないのか?数値をしめしていません。
また、軒が1m出ていても風雨の強い時には濡れますし、2階よりは濡れなくても1階は濡れてしまうかもしれません。
また、シーリングの大きさも記載されていないません。

記載が注意事項で小さく書いてあるのも気になります。
保険会社の万が一の逃げの手法のように見えますね。

先ずはまもりすまい保険を使うとどこかに記載され契約しているのが確実ならば支払う必要がないと思います。請けているということになります。


但し、この軒の出が少ないか否かがポイントです。
軒がなければ、少ないのではなくないのですから、シーリングする必要があると思います。
少しでもある場合は話し合いになると思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  
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