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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.1339 サイディング表層部の亀裂の原因?

 相談概要 [相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 東京都
[職業]
[年齢]
[男性] on
[女性] on
[構造] 木造(その他)
[引渡し年月日] 西暦1999年8月
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 約30
[工事請負金額] 約2300
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 大手ハウスメーカー
[設計図面は何枚もらいましたか?] 約12
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 約15
[施工者名] M株式会社(当時)
[販売会社名]
[設計者名]
 相談内容 現  象:
[現象] 北側水回りのサッシ周辺のサイディングに1センチ前後の亀裂・剥離が発
生。
サイディングは「K株式会社のライムストーン彫石-12」。




相手の意見:
[業者の見解] ・リホーム部門会社の見解――
『将来、爆裂(=凍て割れ)を引き起こす可能性のある現象で、リホーム部門会社として、着手はもちろん見積もりも致しかねる状況である。以前に、当社は似たような事象を数件経験しており、保護塗装のリホーム工事を不用意に請け負ったために、後日の爆裂の全責任を負わされた苦い経験がある。この件に関しては、メーカーが全額補償した例もあるので、メーカーに直接相談してほしい。』

・メーカー会社の見解――
『この件に関しては、管理・保証責任を引き継いでいる販売ディーラー会社に相談してほしい。』

・販売ディーラー会社の見解――
『この事象は、シーリングの経年劣化に伴うサイディング表層部の亀裂・剥離で、住宅躯体への悪影響は、今のところ心配ない。(その根拠は、クラック周辺の含水率3〜5%という数値と、目視による体験則)』
『しかし、放っておくと、損傷が進行拡大する可能性もあるので、シーリングの打ち替えを推奨する。ただし打ち替えは有料で、打ち替え後の保証は致しかねる。』『上記シーリング打ち替えに加えて、「保護塗装」でサイディングの美観と防護能をアップする工事を行うのであれば、防水のみに関して5年間の保証をしたい。』



相談内容
[相談内容] 1999年の購入時に、『この商品のサイディングは、10〜15年おきにシーリングの打ち替えさえ行えば、塗装メンテをしなくても、25〜35年は大丈夫なスグレモノです。普通は10年おきに100万円くらいの塗り替え費用がかかりますが、このサイディングなら約300万円の節約になるわけで、たいへんお得ですよ』と奨められて、契約に踏み切りました。(同じ趣旨のことが購入時に手渡された『お住まいのお手入れマニュアル』に活字化されて載っています。)

そのスグレモノに約13年で亀裂・剥落が起こったので、『どの家の例も、何故同じように、北側水回りの風呂場やキッチンのサッシ周辺だけに、亀裂・剥落が集中するのか。その原因を合理的に解明して修理してほしい。サイディングの切断面に適切な処理が為されていないために、結露した水分がサイディングの小口から浸潤して、凍て割れを起こしているのではないか?』
と問い合わせたのですが、会社側の回答は――、
『お手入れマニュアルに何と書かれているか知らないが、保証書には躯体で10年、サイディングは2年までと明記されている。10年前後でシーリングが劣化してサイディングに不具合が出るのは一般的なことだ。
当社は35年間まったく損傷しないサイディングなど最初から想定していない。現時点で躯体に悪影響はないのだから、費用はかかるが、塗り直しを含めた総合的なメンテナンスを検討したほうが良い』
――でした。

『含水率検査』も、おもちゃみたいな検査器をサイディング不具合部分の表面に接触させて計測するだけで、他の外壁部分との有意差も計測せず、サイディング出庫時の平均含水率も未だにあやふやなままです。

リホーム部門会社の過敏な反応と言い、メーカーの邪険な対応と言い、販売ディーラー会社のなりふり構わぬ言い逃れ方と言い(・・・普通、シーリングを打ち直したら、リホーム保障ということで、最低1年までは防水能を請け合ってもらえると思います・・・)、とにかくなんだか「怪しい」のです。

他の家で起こったという『爆裂』現象が、将来、我が家にも起こったら・・・と考えるとぞっとします。

ご専門の立場から、『もし上記のような事態が我が家に起こったらどう対処するか――業者に何を要求すべきか――リホーム部門会社と販売ディーラー会社との見解の相違をどう受け止めるか』について、法律的な見通しも含めお知恵を拝借したく、ご回答をよろしくお願い致します。
 yorozuの感想 今回のトラブルで、初めて検索しました。1300件に及ぶ相談例を拝見し、こういうサイトがあることに、あらためて勇気づけられました。似たようなトラブルを抱えている友人がいたら、紹介したいと思いました。
これからもますます有意義なご活動をお続けになられますよう、お願い致します。
アドバイザー 
山口 雅克  解説員の建築士山口です。

 契約した時の営業トークや販売店のお手入れマニュアルに過剰な表現があったようですね。それを信用して契約したけど裏切られたという気持ちが伝わってきます。

 リホーム部門会社、販売ディーラー会社、メーカーのそれぞれの見解はそれぞれの立場としては特におかしいものではありません。
シーリングが切れ始めた頃にメンテナンスをしておいたらここまではならなかったかもしれない。13年も経てばこの程度は特に珍しいことではないと言う気持ちが見えています。

 契約時の説明と違うので腹立たしいのはわかりますが、契約書にある瑕疵保証に関する記載も有効ですので今のうちにシーリングの打替えと表面の塗装をされたらいかがでしょうか。

 表面の塗装はもう暫くしなくてもよいグレードのものだったのかもしれませんが、シーリングの打替えに足場を組みますので、今のうちに塗装の対応をしておいたほうがより長持ちするからです。

 仮に販売ディーラーと争うことになっても表面の塗装はそのままでもシーリングが切れたからこうなったと主張するかもしれません。メーカーは製品に関しては責任を感じて対応しますが、施工やメンテナンスに関しては判断をしませんのでこのような言い方になります。

 リフォーム会社の「メーカーが全額補償した例もあるので・・」は特殊な場合なのであまり期待しないほうがいいでしょう。この特殊な例とは、私が知ってる範囲では、数年で色が他の面と著しく違ってきた、小さなひび割れが全面に発生したなど、製造ロットによる不具合があった場合のようです。

 現地を見てみないとわかりませんが、開口まわりの取付は引っ掛け金具でなく釘止めしますので、その辺りの揺れによる割れの可能性がも手伝ってるかもしれません。
 コメンテーター 
米村 和夫 コメンテーターの米村です.

サイディングボードは、面材としてはある程度の耐久性がありますが,実際は窓等の開口部を切り欠きします.その切り口(小口)部分は弱く,形状によって亀裂が入りやすかったり釘の場所から揺れにより亀裂が入る事もあります.窓回りのシーリングは消耗品ですから時間の問題で劣化します.既にご存知と思います.

最初の会話にボタンの掛け違いがあったように思います.30年間もノーメンテナンスで大丈夫な外装はなくあり得ない会話だと思いますその証拠が残っているなら交渉する価値はあると思いますがいかがでしょうか.証拠がないと法的に争う事も難しいように思えます.
現実的には,山口解説員の言われる様に,最低でもシーリングの打かえを,出来るなら外壁塗装も同時にされることをお薦めします.
メーカーが負担する可能性は低く自己負担になると思います.リフォーム会社も当たり外れがあります.地域の信頼のある工務店に依頼,または代理人として建築家をたてる事をお薦めします.
 事務局から 
  荻原 幸雄 大手ハウスメーカーは誇大的な広告は多く見かけられますが、よく見ると、小さな文字や別の場所に、しっかり、注意が書きがあって、その辺は企業ですから、防御はしっかりしています。
多くのクレームからどこを突っつかれてもよいようにできている仕組みなので、入り込んだらなかなか抜け出せません。

どうしても営業マンという人間が設計者の間に存在し、あたかも、設計をしているごとく発言するものもいますが、建築士がなければ違法になる可能性もあるきわどい営業マンもいます。

車の販売と同様に家の販売をするのが大手ハウスメーカーですが、一見、車は一生に2〜3台は買い替えますが、家はほとんど一生に一回です。また、車は工場で大量生産してシステマチックに生産しますが、家はどんにシステマチックにしようとも、現場で単品生産なのでどうしても現場の職人、監督、下請け等に左右されます。

購入当時の資料を正確に冷静に精査しないと大手ハウスメーカーにはかないませんので、慎重な正確な対応が必要です。

少なくとも、爆裂しているように見える現象は何故起きたのか?が分からないと
対処する方法がないので、原因を明確にしてもらいましょう。

リフォーム会社も責任問題になるので、手が出せないのは正直なところで、
それも考えずに進めるリフォーム会社は逆に危険です。

第三者に調査してもらうのが、明確だと思われます。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 たいへん分かりやすいご回答を賜り、ありがとうございました。
今後のチェックポイントが、はっきり見えてきたような気がします。
厚く御礼を申しあげます。

その後、メーカーの代表取締役社長あてに陳情書を書き――、
・これまでの経過
 (:全般的な対応の遅さや曖昧さ。商品説明の食い違い。M点検員の指導に従って“定期点検”を入れて来たこと。
   当方に、音声・書面等の“証拠記録”が残っていることなど)、
・各ディーラーの発言や見解に齟齬があって、オーナーとして判断の拠り所を見失いつつあること。
・当方が“民法上の解釈”ではなく、“製造倫理・販売倫理・施工倫理・保全倫理”などの“企業精神・理念”を問うていること。
・最悪の場合、他会社に調査・メンテ・リフォームを依頼することになること(:何人か知人がいるので)。
――などを率直にお伝えして、ご意向をうかがったところ、
“シーリングの打ち替え”のみをオーナー負担とし、
屋根を含む外壁の塗装費用(:足場費用と、場合によってはサイディング張り替え費用を含む)をMさんが負担して下さる方向で、歩み寄りが進みつつあります。

とは言え、亀裂の原因を見極めて、今後“再発”しないように修理することが最終目的ですので、
専門家のチェックが必要かと考えているところです。

工程予定表によれば、当該サイディングのオーナー立ち会いチェックは“11月21日午前中”となっておりますが、建築よろず相談支援機構さまのお仲間で、当日に府中市内の現場検証にお立ち会い可能なご専門の方はいらっしゃるでしょうか。
大体の必要経費も含めて、ご教示頂ければ、ありがたく存じます。
 
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