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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.1317 施主側の主張は常識的な範疇なのか?

 相談概要 [氏名] A.M
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 千葉県船橋市
[相談建物所在地] 千葉県船橋市
[職業] 会社員
[年齢] 38
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦2011年 9月 2日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 117
[工事請負金額] 2700
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 40
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 30
[施工者名] (株) I 建設
[設計者名] 施主
[監理者名] 施主
 相談内容 現  象:
設計については、一級建築士である施主本人が担当。
また、工事監理についても施主本人が担当。
但し、確認検査業務全般(申請・作業・検査立会等)については、契約時に建設会社へ委託。

1.引渡日:8/31
 9/19現在、検査済証が受領出来ておりません。
建設会社へ問い合わせしたところ、取りに行っていないとの回答でしたが、 9/16施主から確認検査機関へ問い合わせを行った結果、完了検査申請書が出されていないため検査済証が発行出来ないとの回答。完了検査は8/25に受験し指摘事項なしとの検査機関の回答でした。

2.引渡直前に以下2点について是正を依頼中。
 ・エアコン2台が契約図では200V対応の機器を設置する図面となっており、現状ついているのは100Vの機器及び配線であるため、是正を依頼。
 ・本件は住宅の建てかえであるため、解体工事時に雨水最終桝があることを現地で建設会社と確認している。施工後の状態は雨水最終桝がふさがれてしまっており、点検が出来ない状態となっている。

建設会社の言い分は、役所からふさいでよいとの見解とのことであるが、議事録提出もなければ、是正を行うよう指示しているが、約一ヶ月経っても議事録も出されず、是正も行われていない。

また、施主より役所へ確認し、役所の見解は雨水最終桝は宅内は個人管理となるため、ふさがないよう工事業者へ指導しているとのこと。

相手の意見:
建設業者からは、担当者→担当者の上司→代表取締役とたらい回しにされ、挙げ句施主側からの打合せの申し出に代表取締役から「行きたくありません」との回答。

9/16に検査済証が発行されていないことが発覚してからは、一級建築士の方が代表取締役の代理として打合せに施主宅へくることになり、是正事項2点について話をされにくるようです。但し、一級建築士の方は建設会社から雇われて7回ほどあった施主検査に立ち会われておりますが、計画の内容は全く分かりません。

検査済証については、9/16の施主から確認検査機関への問い合わせ後、建設会社へ連絡が入ったようで、動きがありましたので、9/20の週には検査済証が受領出来そうな動きとなっています。

相談内容:
是正事項として施主側が主張している内容(二点)が常識的な範疇なのかどうか?第三者からみて、この主張は施主側の一方的な話で公式には認められないようなものなのかどうか?

こちらも今後のアフターに関わることなので、出来るだけ穏便に済ませたいと考えています。

私自身も一級建築士事務所に所属する専業建築設計事務所の人間です。通常の監理では上記2点については施主側の立場に立ち、建設会社との調整を行っております。

ご意見を承り、どのようにするのがベストか検討したいと思いまして、こちらのサイトの相談内容にお送りさせていただきました。
 yorozuの感想 このようなHPがあることを全く知りませんでした。

私も、所属する事務所も専業建築設計事務所の人間として、工事に介入する必要があることを主張しています。

このようなHPがあり、一般の方の相談の場が広がることを期待しています。
アドバイザー 
 木津田 秀雄 検査済証の方は、申請の問題のようですので、解決できそうに思います(申請をしていないのに現場の検査をしているのも不思議ですが)。

雨水桝については、相談の文面だけではどのような状態になっているのか良く分かりませんが、汚水桝のように雨水の最終桝を公共桝とすることはありませんので、排水が適切に流れるようになっていれば問題ないかと思います。埋めてしまう前に、泥ダメ部分を無くして、桝をストレートに雨水が流れるようにされていれば、その部分が曲がりなどになっていない限り、技術的には問題は少ないかと思います。逆に、泥ダメを残したまま、コンクリート土間の下に桝を埋めてしまっていて、点検もできないようになっているとか、曲がり部分なのに埋めてしまったというのであれば、適切に桝として補修する必要があるかと思います。最終であるかどうかは余り関係ないでしょう。

仮に、これが一般の施主であっても、対応は同じだと思います。施主が建築士だから対応が変わる事ではないでしょう。

エアコンについては、単に200Vのものとしていたのでしょうか?それとも機種の選定までしていたのでしょうか?機種の選定まではしておらず、200Vと記載していただけであれば、実質的に機能的な問題がなければ、許容する(取り換えない)ことも考えるのではないかと思います。機能的に明らかに不足しているのであれば、取り換えが必要でしょうが、見積書ではどうなっているのでしょうか。
 山口 雅克 建設会社は代理人を務めただけで、後は施主が設計監理をしたと解釈していいのでしょうね。完了検査は予約して検査を行ったが、申請も検査手数料の支払もされてなかったのではありませんか。代理人と監理者の業務分担を明確にすれば検査済証の発行に関しては簡単に解決するでしょう。

エアコンに関しては、仕様の確認方法と何故間違えてしまったのかを協議して、施主の譲歩をどの程度するかで決まりますし、枡に関しては、役所との打合せに双方で出向いて確認を行いそのように是正すれば済む話しではないでしょうか。

どれが常識的かというよりは、落としどころをどこに持って行くかを協議する方が賢明な気がします。施主が監理者なのですから、その監理方法と監督さんの品質管理での確認作業はどうしてたのでしょうか。

穏便に済ませたいとの気持ちを大切にしてのお話し合いにはメールでのアドバイスでは限界があるような気がします。
 コメンテーター 
武田 直行 建築士として自らが施主になって設計・監理をする機会はあっても生涯数回程度、通常は1回あるかないかだと思います。通常の設計・監理と異なり、やりやすいこともある反面逆にやりにくいところもあると思います。

業者や工事金額の決定、工事代金の支払い、確認申請の代理や監理者としての工事の関わり方や工事が始まってからの設計変更も含めて業者との信頼関係の構築に微妙な影を落とします。

今回の施主側の是正の主張はまず監理者に向けられたものとし、監理者としてご自身どう業者と調整するかにかかっています。設計図のとおりに施工させることが監理者の重要な仕事なのですから。
ただ施工は終了している現状を監理者としてどう判断し、施主=ご自身を納得させるべくベストな方法を決めるしかないでしょう。

今回の施主の是正の主張が常識的な範疇なのか否かの答えをもとめるよりは、各相談員が述べているようにもっと現実的な対応をとる方が賢明ではないでしょうか。
 事務局から 
  荻原 幸雄 建築主が設計者本人か、設計者の親族等の場合の近親者の設計・工事監理は大変、慎重に対応しないと大きな信頼関係が揺らぎ、人間関係も泥沼になります。その点、特に注意が必要です。

今回の場合は仕組みを整理する必要があります。
「設計については、一級建築士である施主本人が担当。また、工事監理についても施主本人が担当。」というところから

建築主=設計・工事監理者
確認申請代理人=建設会社の建築士

という内容ですね。

ここで確認しておくことは貴方は「所属する事務所も専業建築設計事務所の人間」ということですから建築士事務所の開設者ではないので、属する建築士としての担当者という立場ですね。基本的なところから確認しますが、建築主であるあなたが属する建築士である、お勤めの建築士事務所と設計監理契約を締結しているのでしょうか?それを前提にした説明が次の内容です。

開設者であれば所員の家でも契約を結び、設計監理料をいただき責任を果たすことになります。そして、あなたが担当で設計と工事監理をさせることになりますね。通常の建築士事務所の業務は建築主から委託を受けて業務を行うので、建築主からの要望等は設計者や工事監理者が受け止めます。それを施工者に伝達し、それを監理することになりますね。

今回の要件は監理者担当者としてのあなたが施工者に是正を指示したのですから、建設会社はこれに従わなければなりません。(設計事務所が介入しているのですから、工事請負契約書は四会連合会のものを使っていることを前提として)工事請負契約書には貴方が建築主でありますが、その事務所名として工事監理者名に押印されているのですから、契約上も工事監理者の属する建築士としての担当者ですから、工事監理者担当の貴方の指示に施工者が従わない場合は、貴方は事務所の管理建築士に施工者が従わない旨、説明し、管理建築士として対処するように求めましょう。

担当である貴方よりは契約者としての管理建築士(正確には開設者)から直接、指示を出してもらい「従わない場合は契約違反である」ことを説明し、応じることを指示してください。

施工会社は契約なので従わない理由は全くありません。私の経験でも従わない施工会社は皆無といってよく、工事監理者としての法的根拠のある強制力は重要な立場であることになります。

最後に一点だけ、ご注意申し上げますと、文面から「建築主の立場」「設計・工事監理の立場」が明確になっていないように感じます。引渡しまでは施工者に指示するのは工事監理者としての立場である筈です。それを建築主の立場で施工者に指示しているとすると、内容が曖昧になり、工事監理者の立場も曖昧になり、混乱をきたします。建築主としては大らかに、工事監理者としては毅然とするのがよろしいでしょう。

事務所の管理建築士の指示に従って、穏便に解決してください。解決できる内容です。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  
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