相談概要 | [氏名] YK [居住住所] 東京都杉並区 [相談建物所在地] 東京都杉並区 [職業] 主婦 [年齢] 50 [女性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦2011年 月 日 [公庫は使わない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 102 [延べ面積坪] 31 [工事請負金額] 3200 [設計監理料] 63 [様態] 注文建築 [施工者] 中堅ハウスメーカー [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。 [18確認申請の為の委任しましたか?] した。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 35 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 12 [施工者名] H工務店 [設計者名] H工務店 [監理者名] H工務店 |
相談内容 | 現 象: 従来工法に2x4を足した工法です。 サイディング(下:ニチハ16mm横貼り。上:ニチハ16mm縦張り)(外壁通気工法)です。 ≪現象@≫ 胴縁(ACQ材)を打った後、ゲリラ豪雨があり、その後も3日雨続きでした(再度大雨もあり)。 ・雨水がシートの裏側にまわっている。 ・雨水がシートの裾から浸水している。 ・雨水の入口がない(ように見える)のに裏面に浸水している。 ・胴縁の周りなど茶色く変色している。 ≪現象A≫ 胴縁(ACQ材)に黒カビが出ている。 (胴縁を打つ前から。メーカーによると製品の性質上黒カビは仕方がないとのこと) ≪現象B≫ 胴縁の釘が小さいのと大きいのと二種類打ってある。 相手の意見: ≪現象@≫ ・従来の現場と比べて特別に悪いということはない。大丈夫だ。 ・浸水は、胴縁とシートが化学反応して防水効果が失われた結果のものではなく、シートとシートの隙間から入り込んだものと考えられる。 ・事故があったのはAAC材とBAAC材であり、ACQ材は濡れてもシートと化学反応は起こさない。 ≪現象A≫ ・胴縁(ACQ材)に黒カビが出るのは製品の性質上やむを得ない。 ・通気工法なので、乾いて黒カビは減少していくので問題ない。 これまでの対応から営業も現場監督も信頼できる方々だと思っています。 相談内容: お忙しいところ申し訳ありません。よろしくお願いいたします。 @透湿防水協会、ニチハ等の各メーカー、日本金属サイディング工業会のHPに『重要なお知らせ』として『防腐胴縁が工事中に雨に濡れると透湿防水シートの防水性を低下させ雨水が防水シートの裏面側にまわる恐れがあるので濡らさないように注意してください。』とあります。我が家の場合(写真)、ゲリラ豪雨でかなり濡れて雨水がシートの裏側に入ってしまいました。 @この原因は防水効果が低下したことによるものでしょうか。それとも、普通によくある浸水で、乾けば問題ないのでしょうか。 Aもし防水効果が低下してしまっているとしたら、どんな悪影響が考えられますか。例えば、サイディング裏側に発生した結露水などが、胴縁〜透湿防水シートを通じて壁側に入ってしまい、断熱材(防湿フィルム付き高性能グラスウール厚105)にカビを発生させる等。 B透湿防水シートは、ごく一般の現場で雨が降れば、写真のようにシートの裾から裏面に水を吸い上げたり、シートの裏面に浸水したりする性質のものですか。 C胴縁の黒カビは問題ありませんか。 D胴縁の釘は最初は銀の細い釘だけでしたが、数日後に見ると太い黒い釘も打ってありました。釘の打ち方は問題ないですか。 Dこのままサイディング工事を進めるうえで、注意する点はありますか。 宜しくお願いいたします。 |
yorozuの感想 | 住宅を建てるときに、周りに知識のある頼れる人が居ないと、精神的におかしくなってしまいそうなことがありますが、このような『駆け込み寺』があることは、本当にありがたいことです。 どうぞよろしくお願いいたします。 |
アドバイザー | |
津村 泰夫 | 個々の製品には詳しくありませんので、設計者に正しい対応を求めてください。 @防水紙は湿気は透すが水は透さないという製品だと思います。メーカーに問い合わせ、濡れるとダメという返答であれば張り替えればすむことです。 C黒カビですが、直接見ておりませんので正確な判断は出来ませんが、胴縁でしょうか、間柱の様にも見えますが、写真の程度では乾けば問題はないでしょう。 化粧材であれば削っても落ちなければ取り替える必要がありますが、化粧材で養生している場合にも良くあります。カビの菌が木材内部に入り込むと木材が高野豆腐のようになり、強度が無くなります。 D釘の打ち方はツーバイフォーでは特に決められていますので設計者に判断してもらってください。釘の種類大きさピッチなど規定があります。たとえば耐力壁とするにはCN50釘を用いて、外周部において100mm間隔、中間部において200mm間隔で打ち付けなければなりません。 |
堀住 勝雄 | 防水紙はメーカー名や商品名が印刷されていると思いますのでメーカーにこの写真を送って見解を聞いてみたらいかがでしょう。 私は防腐胴縁を使用した経験がありませんでしたので貴重な情報です。一部の製品に限ったものなのか全製品がそのような物性を示すのか興味が尽きません。 微生物の黴は胞子が空気中に無数に漂っていますが、数日で木材の色が黒くなるほど繁殖することは少ないように思います。高温多湿の季節ですからこれが黴でないと言い切ることはできませんが、写真の「黒かび」は私の見る限り黴ではなくタンニンではないかと思います。 木材はお茶やコーヒーのようにタンニンを含んでいます。原木から製材するときは金属(鉄)のノコギリを使いますが、そのとき僅かな鉄分が木材に付着し、水がかかるとタンニンと反応して黒く発色します。鉄釘の部分が黒くなる、ノコギリに無理がかかる節の部分が多く発色する、などの現象はタンニンの影響です。タンニンならばワインや果物に含まれるポリフェノールと同種ですから見た目の悪さ以外、問題はありません。 どちらかを確実に見極めるためには微生物を研究している機関で培養試験をすることになるでしょう。 |
コメンテーター | |
橋本 頼幸 | 津村解説員、堀住解説員の言われるように設計者・施工業者や防水紙メーカーに確認することが先決だと思います。 また、YKさんは設計施工で工務店に依頼されていて、業者の言うことが正しいかどうかわからない場合は、工務店に関係のない設計事務所に見解をもらうのも一つの手だと思います。今からでも十分補修もできるかと思いますので、工務店と良好な関係を築いてください。 そのためにもメーカーや第三者に意見を聞くことは悪いことではありません。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 防湿防水シートについては、透湿防水シート協会で http://www.ntba.jp/modules/weblog/ 「雨水に晒され溶け出した防蟻・防腐剤が透湿防水シートの防水性を低下させるリスク」があると報じています。 少し驚きでしたが、基礎上部の木材は防蟻・防腐剤が使われているケースが多いですが、これは防湿防水シートの下なので雨水による溶け出しはない。しかし、防蟻・防腐剤の施してある通期胴縁は雨水に直接触れる可能性があり、その溶剤が防湿防水シートの防水膜を溶かすことがあり、溶けると防水性能は下がり、裏に雨が回り込むということになります。 雨に濡れた→回り込んだ雨水となったら、通期胴縁を外し、シートを貼り直し、再度、乾燥させた通期胴縁を施工することになります。本件については先ず、通期胴縁を外し、雨水漏水の部位を確認し、それが報道の様に溶剤が溶け出したものか、施工不良でシートを傷つけたものかを確認し、原因の判断が重要です。 部分の取替か全体の取替か?はその状況により判断することになると思います。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | このたびは大変お世話になりありがとうございました。 本当にありがたく、感謝の気持ちでいっぱいです。 今回ご相談させていただいた内容は、工務店ともよく話して、そのまま工事を続けることになりました。多少の不安は残りますが、やり直すデメリット(躯体に釘の穴があく。工期が遅れる。現場が大丈夫だと言いきっているのに、施主がやり直すと言えば信頼関係が無くなる。施主側にもやり直すほどの欠陥だという確信もない。)と比較してみて、そのまま続けることを選びました。 諸先生方へのお礼を申し上げさせていただきます。 諸先生方 この度は、お忙しいところ、ご親切にアドバイスいただき本当にありがとうございます。諸先生方それぞれのご見解をいただき、安心いたしました。またどうすればいいか方向性も見えてきました。 家を建てるということは、人生の一大事であるにもかかわらずほとんどの施主が素人で初めての経験です。素人ながらも様々な、そして中途半端な情報から『欠陥住宅ではないか』という不安が付きまといます。それがいいのか悪いのか自分では判断できないということが、どれほど苦しいことか。 専門家の方にご意見いただけることでどれほど救われるか、本当にありがたいです。このようなご好意、ご善意の活動が続きますよう心から願わずにはいられません。ありがとうございました。 |
その後 |
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