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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.1313 施工実例集が実際の施工か?

 相談概要 [氏名] IK
[居住住所] 栃木県
[相談建物所在地] 栃木県
[職業] 無
[年齢] 35
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦  2012  年月予定  日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 120
[延べ面積坪] 36
[工事請負金額] 2800
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 4
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 10回ほど
[施工者名] M
[販売会社名] SK
[設計者名] M
[監理者名] SK
 相談内容 現  象:
◆依頼先の「施工例」は、実際のものではないのでは?◆
上記依頼先会社のホームページにある「作品集」(私たちはこの会社の施工例だと解釈しています)の写真を見てこの会社のデザイン力に魅かれ、建築を依頼しました。ところが、このホームページに掲載されている「作品例」は他社のホームページにも掲載されているものでした。

また、私が偶然見つけたこの2社間だけでなく、「リゾートする家」「バーベキューテラスとウォーターガーデン」というワードで検索するだけでも、栃木、埼玉、富山、静岡…などと他の会社間でも同じ写真が使われており、上記の事から鑑みるに、依頼先の会社の実際の作品ではないのでは、という疑いが濃厚です。(もちろん、上記のワードで検索しても、同じ写真など全く出て来ない会社もあります。また、依頼先の会社のホームページ内の施工例には、実際に施工したもの・当方で確認済み・も掲載されており、全てが他社の写真と重複するわけではありません。)

相手の意見:
現時点で業者に質しておりません。その理由は

・これらの施工例は、実際にはどの業者が施工したものなのかが不明(依頼先が実際に施工したという可能性もゼロではない)

・こういった、写真の使い回し・共有と思われる事は建築・建設業界ではよく行われていることであって特に問題視する必要がないことなのか、あるいは法律的な事も含めて問題があるのかが当方では判断がつかないため。

相談内容 :
お伺いしたいのは、以下2点です
1.実際の自社施工例ではない写真を利用してあたかも自社ではこのようなデザイン力があるというように宣伝しているのは問題にならないのでしょうか?私が調べただけでも、複数の会社が同じ写真を自社「施工例」としてホームページに掲載しています。

これらの会社が、すべて同じ施工をした(写真まで同じアングルで撮影した)とは現実的に考えにくいので、少なくともいくつかの会社は虚偽の宣伝をしていることにはならないでしょうか?
 
今回、こちらに相談させていただいたのは、こういう宣伝方法が問題ではないのかということ、こういった事例もあるということを広く知っていただきたいと考えているからです。
 
実際には、すべての会社が沢山の施工例を提示できるわけではないと思います。
「この施工例の写真の通りに作ってください」とお願いすればその通りに出来るのかもしれません。ならば、「自社施工例」としてではなく、デザインの提案例として掲げるべきなのではないでしょうか?

専門家の方から、法律的な事も含めてご教示いただければと思います。

2.私たちは依頼先の会社に対して、今後どのようなアプローチをすればいいのでしょうか。正直、「作品集」の例に比べて、私たちが建てている家はデザイン力がどうだろう…という点もありました。しかし、そこに不満があるかと言えば、そこまでではないのです。現時点では、何か技術的なことにおいてトラブルがあるわけでもありません。

ただ、「作品集」が、この会社のものではないと知っていたらこの会社に依頼していたかどうかは…判りません。少なくとも、虚偽の宣伝をするような会社は信頼するに値しない気がするのです。

私たちは、そこまで大げさな問題と捉えずここに目をつぶるべきか否か、また、信頼感を損なうホームページだと伝えるほうが良いのかどうか、その判断材料をお示しいただければと考え、今回の相談とさせていただきました。

皆様におかれましてはご多忙中の折とは存じますが、何卒よいアドバイスをいただけますよう、伏してお願い申し上げます。
 yorozuの感想 「建築」「相談」こんなワードで検索をかける人間は既にその地点で大なり小なり何らかのトラブルに見舞われているものです…(T_T)

そんな時に、
>ネットワークの翼を大きく広げ、建築主・消費者の建築を守り、
>業界の健全性を図り、建築家・構造家・設備家の誇りとしたい

こんな頼もしいお言葉があるでしょうか。
文字通り、右も左も判らないところへ、一筋の光明が射した思いでトップページを拝見しました。

また、解説委員の方々の素顔のページは、大変興味深く拝見させていただきました。

本当にいいこと、勉強になることが沢山、たくさん書いてありました!
でも有体に言わせていただければ…トップページは硬いです。

小さい文字が沢山あって…、すべてを拝見するには多大な努力を要しました。
その先にすばらしい、学ぶべき知識がたくさんあるのは解っているのですが、私には入り口の扉が重い、という印象で…(ごめんなさい)でも、頑張って拝見する価値のあるHPだと思います!!
このような相談先を設けていただいたことに深く感謝しております。
アドバイザー 
 星 裕之 それが誇大広告にあたるのか否かは、弁護士さんの解説に任せますが、前勤務先での担当物件を自分の事務所の実績とする。他社の設計であるが施工を担当したので自分の会社の実績とする。フランチャイズ加盟他社の施工例を自社のもののように表記する。ということは残念ながらよく見られることです。

ネット社会になりそれらの嘘は見抜きやすくなっていると思います。「君子危うきに近づかず」が一番かとは思います。宣伝に惑わされず誠実に業務を遂行している事務所や会社を選んでほしいのですが、既に依頼されてしまっているとのこと。

基本設計やオープンハウス、担当者を見て、信頼関係が保てそう、不信より魅力を見いだす、ご自身が小さな不信や行き違いを吸収して進めて行けそうなら継続を。そうでないなら解約を考えた方が良いかと思います。
 清水 煬二 私は建築士ですが、弁護士さんでも、見解が分かれると思いますが、消費者保護法や公正取引委員会などの趣旨を考えるとあきらかに問題であり、罰せられるべき内容だと思います。消費者を誤解させて勧誘させるような掲載だからです。しかし、だからといって、現実に罰則を受けるかどうかは別問題であれ、不明ですし、簡単にはいかない問題でしょう。

現在、IKさんは、契約をして作業を進め、問題は生じていない、契約解除するつもりはない、というのであれば、完成後も長くお付き合いする会社です。「こんな紛らわし掲載は、止めて下さい。または、但し書きを入れて下さい」とアドバイスしてあげても良いのでは、ないでしょうか?

建設業界で、良くあることか?普通のことか?と聞かれたら、そんなことはないし、どの業界でも非常識な内容と方法だと私は思います。

また、私が、もっと気になるのは、デザインに魅力を感じたとしてもまた、建物の性能や快適性を求めたにしても設計図書が4枚で、それを実現するのはかなり難しいということです。それは建売またはそれ以下の設計図書ですし、それだけの枚数で、どうやって、職人がデザインや性能を確保するのかそちらの方が、私は心配です。
 山口 健一
弁護士
「当社の作品例」と書かれている以上、「施工例」と考えるのが通常だと考えられます。とすれば一種の虚偽表示になります。

事実と異なる表示したからすべてが法律上問題になるとまではいえませんが、その虚偽表示が、注文者が発注をする重要なきっかけになっているとすれば、もしそんな表示がなかったとすれば、発注はしていなかったという事であれば、「錯誤による契約の無効」が主張できると考えられます。悪質な場合は、詐欺で刑事事件になる可能性もあるでしょう。また、不正競争防止法違反で、公正取引委員会に告発することもあり得ます。

ただ投稿者の方が、建築に特に不満をお持ちでないのであれば、ご本人が実名でやるのがいいかどうか、後の関係を考えると、躊躇します。出されている業者をよろずで調査した上、告発するという方法もあるかもしれません。

ただ、これらの業者が、どこかで関連があって、うちは施行の一部をやった、うちは台所の工事をした、などといういいわけをすることも考えられます。

そうなら、そこの部分を担当したと書くべきなのですが。 
 コメンテーター 
橋本 頼幸 ご相談いただいた同じ施工写真を同業他社で使い回している、という実態は星さんの言われるように、時々見かけます。このこと自体は、山口弁護士が言われるように「虚偽表示」であり、「錯誤」の主張も考えられます。

ただ、このことがIKさんが契約した施工者と信頼関係を結んで、工事ができ、自分たちがイメージした建物が完成する、ということとはまた別の話になります。

今は、施工業者に注意やアドバイスをする前に、IKさんが契約した内容が実現可能な状態になっているのかを考えて下さい。清水さんの言われるように、図面4枚しかもらっておられない、というのは明らかに少ないです。デザインをこだわればこだわるほど図面点数は増えます。私たちは図面でしか現場に指示ができませんし、現場は図面をもってしか作ることはできません。

IKさんがイメージしている建物のように実現するのかどうかを、設計者・施工担当者とよく話し合って下さい。根拠無く信用するのではなく、きちんとぶつけてみることです。それは工事前であろうが、工事中であろうが関係ありません。

IKさんが信頼出来る業者に家造りをお願いして下さい。施工者へのホームページに関する注意やアドバイスは、工事が終わってからでも遅くありません。
 事務局から 
  荻原 幸雄 著作権の視点からも、このような行為は許されるものではありません。依頼者はできたもので判断するのは大きな要素になる筈です。

強く抗議すべき問題です。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  こんにちは。
栃木県のIと申します。

このたびは『建築よろず相談』にて以下の相談の件でお世話になりました。

皆さまお忙しい中をこのように迅速にご意見を賜ることができ、感激しております。
専門家の方からこのようにアドバイスをいただけたことは今後の方向を決める上でも大きな勇気となりました。

また、皆様から、異なる視点での様々なご意見を拝読することが出来、おかげさまで私の方も大変勉強になりました。

今後、いただいたご意見を参考にしながら、よりよい方向へ進めるように今しばらく考えさせていただきたいと思います。

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解説員/星 様

このたびはお忙しい中をご丁寧な返信をいただきまして、誠にありがとうございました。

>残念ながらよく見られることです。

その後色々調べてみますと、今回の件だけではないということが少し判って参りました。しかし、星様おっしゃる様に、現在はネット社会、そして情報化社会です。こういった虚偽は私のような素人にでも露見しやすくなっていることは事実だと思います。

その事を認知していない会社というのはそれだけでも社会情勢に明るくない…と言うことが出来ると思っております。

反面、私たちがこの会社に依頼をした最初のきっかけは、この会社が実際に施工をした建物でした。それが魅力的であったからこそこのようなつまらない宣伝をしてほしくないと現在は考えております。

これを伝えるかどうかは今後もう少し考えてから、ということになるかと思いますがこのたびのアドバイスにより、今後はどうなるかわかりませんが、決着までの道のりを進んでいく勇気をいただきました。本当にありがとうございました。

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建築士/清水 さま

このたびはお忙しい中をご丁寧な返信をいただきまして、誠にありがとうございました。

事実と、現実問題としての対処と、二通りの考え方を示していただき、おかげさまでとても冷静になることができました。

>完成後も長くお付き合いする会社です。
>
>「こんな紛らわし掲載は、止めて下さい。
> または、但し書きを入れて下さい」
>とアドバイスしてあげても良いのでは、ないでしょうか?

私は、清水様からアドバイスをいただくまで、問題=即トラブル=訴訟ですとか、工事中止ですとか…そういった恐ろしげな図式が頭の中をぐるぐる回っていたのですが、ご提案のようなソフトランディングもあったのか、と正直目から色んなものが落ちた思いがいたしました。

それから、

>設計図書が4枚で、それを実現するのはかなり難しい

これは書き込んだ私の完全な勘違いなのですが、設計図書というものは家全体の見取り図…といいますか、そういうものかと思っておりました。申し訳ありません。

この、家全体のものが今までに4回訂正した書類をいただきまして、そこに至るまでに各部屋ですとか大きな造作などだけでも既に50枚以上の図書をいただいておりました。

この件に関しては、私たちのやりたいことに対して施工会社からは実現できること、出来ないことの指摘やよりよいと思えるアドバイスをいただき、現在のところ納得かつ満足しております。

私の勘違いでご心配をおかけし、本当に申し訳ありませんでした。
親身のアドバイスが本当に嬉しかったです。誠にありがとうございました。

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弁護士/山口健一 さま

このたびはお忙しい中をご丁寧な返信をいただきまして、誠にありがとうございました。法律的な視点からの具体的なアドバイスをいただくことができ、とても参考になりました。

今回の問題に対しまして、私自身がとかくヒステリックに対応しそうだったのですが、いただいたご意見を拝見していくうちに、「法律でも解釈が分かれるところ」というよくニュースなどで使われる言葉がふっと頭に浮かび、問題を少し冷静に考えてみようと思うことが出来ました。

また、ご意見にありました、

>後の関係を考えると、躊躇します。

これもまた事実で、単なる法律論だけでない現実問題に対するアドバイスをいただき有難く思っております。いくつかのご提案をいただけましたので、今後熟慮した上でよりよい方向へ進んでいけるように頑張りたいと思います。
今回のアドバイス、本当にありがとうございました。

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コメンテーター/橋本 さま

このたびはお忙しい中をご丁寧な返信をいただきまして、誠にありがとうございました。

>契約した施工者と信頼関係を結んで、工事ができ、
>自分たちがイメージした建物が完成する、ということとはまた別の話になります。

これは、本当にそうなんですね!問題が起こったから即工事中止だ契約解除だ!ではなくて…。

冷静に考えれば当たり前のことなのですが、当初は誰にも相談できず、どういう方向へ自分たちの舵を取ったら良いのか全く見えてこずで、ともすれば裏切られたような気持ちにすらなっておりました。橋本さまからのご意見を拝読しているうち、現実問題として私たちは今施工している工事に対して不満があったわけではないし、この会社とトラブルを起こしたいわけでもないという、当たり前のことに気づくことが出来ました。

また、

>図面4枚しかもらっておられない、というのは明らかに少ないです。

この件に関しましては私の完全な勘違いでありまして、清水さまへの返信にも述べたのですが、家全体の見取り図(?)が4回分、4回目の見取り図に至るまでに現時点で50枚以上になりますが、各部屋や大きな造作などの図面をいただいておりました。私の無知と勘違いにより更なるご心配をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

具体的なアドバイスをいただけた事で今後、より良い方向へ私たち自身で進めるよう、今後とも熟慮させていただきたいと思います。このたびは本当にありがとうございました。

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事務局 おぎわら さま

このたびはお忙しい中をご丁寧な返信をいただきまして、誠にありがとうございました。

私たちの遭遇した出来事は、残念ながら今回関わった会社だけでなく、建築業界全体に散見されることのようです。当初、私は「ものすごく」びっくりしたのですが(その会社としての矜持や誇りはどこへ…?)、ご意見を拝読し、そのような仕組みがあったのか、とたいへん勉強になりました。

知識はいくら持っていても決して邪魔になるものではなく、場合によってはそれを武器にする事もできます。(出来れば攻撃武器ではなく、防御用程度であってほしいものですが…)

『建築よろず相談』様のサイトで今までになかった知識をたくさん得ることが出来ました。

また、おぎわらさまの
>結果として紛らわしい掲載をHPやパンフレットにする会社は能力に問題があると
>浅知恵はその会社を大きくしないし、社員の教育として、まともな社会人が形成されません。

こちらのご意見は、まったくその通りだと大きく頷いた次第です。

建築、建設業界だけでなく、いかなる集団においても、また、私たち自身も『建築よろず相談』様のサイトでトップページに掲げられているように、誇りを持ってその仕事に当たっていただきたい、いきたいものです。

このたびのご意見をいただきましたこと、誠にありがとうございました。また、ほかの皆様への仲介の労を取っていただきましたことを深く感謝いたします。

今後、事態が進展いたしましたら改めましてご連絡をさせていただきます。出来れば問題なく工事が進み、喜びの報告を差し上げることができれば良いのですが。

ともあれ、今回の問題に際しまして、皆様方からこのようにご指導をいただけましたこと、本当に本当に嬉しかったです。実際に問題解決にあたりましての参考とさせていただきます。

合わせまして最後になりましたが、このような相談の場を設けていただきましたことを建築よろず相談ネットワークの会員の皆様へ深く感謝いたしましてお礼の言葉とさせていただきます。
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