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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.1312 建築確認申請の軽微な変更届けが虚偽の申請か?

 相談概要 [氏名] HY
[相談内容] 売建住宅(建築条件付建売住宅)の瑕疵
[居住住所] 東京都世田谷区
[相談建物所在地] 東京都世田谷区
[職業] 会社員
[年齢] 42
[男性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦2011年2月11日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 93
[工事請負金額] 1800
[設計監理料] 0
[様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅)
[施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 10
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 数十
 相談内容 現  象:
初めまして。東京都世田谷区在住のHと申します。
いわゆる「売り建て」と言われる半注文住宅的な一戸建てを購入しまして現在居住しております。間取りを自由に出来るという所に魅力を感じ、設計士ともウマが合ったので何回も相談を重ねつつ完成に至りました。ですが建築途中で購入を断念するかどうか大いに迷う出来事がありました。

エコポイントによる住宅需要急増でグラスウール系断熱材が不足した時期に重なってしまいまして、このままでは建築が進まないという事態になった時、工務店が内断熱から外張り断熱に変更すると提案して来ました。私も多少の勉強はしていたので、内断熱で設計している建物を後から外断熱に出来るのか質問しました。ちなみにその段階では屋根が設置されていました。

設計士と現場監督の説明を受け、旭化成のネオマフォームの外張り断熱に変更すると聞きました。但し完全な外断熱ではなく、以下のような物でした。
・床は床下にスタイロフォーム60mm(従来通りの仕様)
・壁と二階床は35mmのネオマフォーム(壁は外張り断熱)
・屋根は35mmネオマフォームを二重張りで70mmの内側充填。(屋根が設置されていたので)
これで省エネ等級4を取得出来るとの事だったので、多少の疑念は残りつつも了承しました。

その後今夏を迎え二階が想像以上に暑いので改めて建築確認申請を見てみると、内張熱から外張り断熱へ「軽微な変更届け」という事で申請がなされていたのですが、断熱材の屋根の部分が「外張り」「ネオマフォーム40mm」となっていました。

確かに旭化成のネオマフォーム性能表を見ると外断熱でトレードオフして40mmと書いてありますがそれは外張り断熱の場合だと思っています。何故実際と申請が違うのか疑問に思い、ビルダーに問い合わせをし協議しています。

家の中で1カ所、ダウンライトを外して屋根の断熱材を見れる場所があったので確認したところ35mmが1枚しか入っていませんでした。

設計士にも実際に見てもらってどういう事か説明を求めましたが、そこはクローゼットの上なので他は全部入っていると言いました。ですが証拠になる写真や資料が一切ありません。

片流れのデザインで二階はロフトと吹き抜けで構成されており、点検口がありません。実際には屋根に35mm1枚しか入っていないのではと危惧しております。

私が建築中に見たのは1枚入れている場面でした。(添付写真参照)
その時大工さんにこれで厚みは足りるのかと質問したところ、その場で監督に電話して二枚重ね70mmにすると説明を受けた経緯があります。この時設計士にも確認を取り二枚重70mmで意思統一しております。

相手の意見:
まず実際と申請が違う件ですが、土木事務所を協議をしている中で、申請表記の断熱仕様と同等の性能が出ていれば内断熱、外断熱の表記はどちらでも良いとあったようです。では何故有りのままの申請ではダメなのか聞いたところハッキリと答えてはくれません。

旭化成の資料で調べると内断熱で必要なのは95mm厚でトレードオフで50mmとなってます。施工したという二枚重ねで70mmだとオーバースペックなので問題無いはずなのですが、あえて外張り断熱で申請してあるところに疑問を感じます。

現在2重張りで入れてある写真を探しているそうなのですが、写真では自分の家か分からないかも知れないので点検口を開けて実際に確認するつもりです。

相談内容:
実際の屋根断熱は「内張断熱」であるのに対し、建築確認申請の軽微な変更届けが「外張り」になっているのは虚偽の申請という事にはならないのでしょうか?本当に設計士がいう様に性能が出ていれば表記はどちらでも構わないというレベルの話なんでしょうか。

二階にロフト部分があり、その場合ロフトの床面にも断熱材を入れている様ですが、ロフトの床面と屋根で断熱材2枚入れているという言い訳は成立するのでしょうか?

クローゼットの上の屋根部分は1枚である事を確認したのですが、クローゼットの天井にも1枚入っています。私の素人考えでは屋根は屋根ですべて二重に貼っていないとネオマフォーム70mm厚の性能が出ないと思うのですがいかがでしょうか?

外壁は外張り、屋根は内充填という断熱方法は実際良くある施工方法なんでしょうか?場渡り的なイレギュラーな外張り断熱な気がしており、今後弊害が出るのではと心配です。ちなみに基礎は断熱しておらず、床下断熱となっています。

それではご返答お待ちしています。どうぞ宜しくお願い致します。
 yorozuの感想 ホームページについては細かく専門的な文字が多いので、文字の大きさのメリハリがあれば見やすいと思います。
アドバイザー 
木津田 秀雄  断熱材の厚さについては、点検口を設けて確認してみてください。写真だけでは判断できません。小屋裏にはTVの配線などもあり、通常は点検口があります。一部2重貼りになっていない所があれば、全部2重にした場合と比較すると、断熱性能は落ちます。

エコポイントでは、仕様規定(断熱材の厚さ)ではなく、Q値計算で断熱性能を求める方法もあります。断熱材が一部薄くても、建物全体を実際に施工している断熱材の厚み、性能やサッシの性能を計算すれば、必要な断熱基準が守られているかどうかは分かります。

建築基準法には断熱の規定はありませんから、極端に言えば、断熱材を記載しないでも確認済証は交付されます。充填断熱から外断熱への変更は、軽微な変更となると思います。

屋根の場合には「外張り断熱」と通常は表現しません。写真の施工状態は「屋根断熱」と言って、天井面に断熱材を置く方法である「天井断熱」と分けています。ですので、現在の施工状態をもって「内断熱」とお考えの根拠が分かりません。

最後に小屋裏物入れの天井と床の2枚で2重張りになるかとのご質問ですが、それでは2重張りの断熱性能にはなりません。あくまで外壁面と室内(屋根断熱の場合は、小屋裏物入れも)の境界部分に断熱材が必要です。
 武田 直行 断熱の工法の変更が決まった時点で屋根が施工されているなら写真の方法で屋根断熱としてネオマフォームを張る方法は妥当です。写真で見る限り一重のネオマフォームと垂木の成のあきから二重張りは可能です。

埋め込みの照明器具などがある場合は納まりや照明器具からの放熱を考慮して部分的に一重にする場合もあります。まずは点検口を開けて二重張りを確認することが大切です。

屋根と二階のロフト床に一枚づつネオマフォームを張っても断熱上二重張りと同等になりません。断熱材の間に一定の厚さの空気層があると対流が発生するなど断熱性能が落ちるからです。今回の場合は、ロフト等大きな空間があるのでなおさらです。

2×4の建物で外壁は外断熱されているので充填断熱よりは熱橋は少なくなっています。またプラスチック系の断熱材を用いているので内部結露にたいしても有利です。
 コメンテーター 
橋本 頼幸 HYさんの疑問は大きく分けて3つあるかと思います。

1)断熱方式の変更は確認申請の軽微変更でいいのか?
2)現状の断熱(屋根充填、外壁外張り)で問題がないのか?
3)現在の断熱方法で性能は確保できるのか?

1)については、木津田解説員も説明されているとおり建築基準法で断熱が規定されていませんので、確認申請手続きで断熱をチェックすることはありません。設計者・施工者の裁量の範囲になります。

2)については、特に問題ありません。屋根を外張り断熱にする方法もありますが、充填にする方法が多いと思います。

3)が一番の問題だと思います。エコポイントや確認申請の手続き、外張りか充填かなどは、手段・手続きの問題で、実際にどの程度の性能が得られているのか、ということが最も大切なことだと思います。

この点については、設計者および施工者に現状の断熱材などの施工状況を報告してもらい、Q値計算などの断熱性能を評価してもらい、その結果がHYさんが求めていた性能かどうかを見比べる必要があります。その際、設計者・施工者の報告通りの施工ができているのか、断熱性能評価は正しいのか、などについてご自身で判断できない場合は、第三者の意見を求めてみるのも手だと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 建築には建築基準法という最低限の規定があります。

これには近隣なり環境に配慮した集団規定と、その住戸内の構造・防火・シックハウス・換気・採光などの単体規定があります。ご質問の点は一戸の問題なので、単体規定での範疇になりますが、性能規定の中には断熱の性能のランクはありません。

これらは任意の性能としてエコポイントなり、金利の減免など、地球環境を考慮した対応への国の補助に関して、税金を投入する為の確認という意味合いが強く、制度的に曖昧な確認となっているので、業者の中ではそのことを知っていて、曖昧な説明やラフな施工による不備は多くあります。

さて、内張(充填)工法と外張工法とでは防火地域等の制限によって性能が異なる場合もありますので、確認機関に聞いてください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  
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