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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.1311 地震で基礎にクラック発生

 相談概要 [氏名] OY
[相談内容] 建売住宅の瑕疵
[居住住所] 青森県八戸市
[相談建物所在地] 青森県八戸市
[職業] 無職
[年齢] 85
[男性] on
[構造] 鉄骨造(ラーメン構造)
[引渡し年月日] 西暦2003 年 5 月  日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 208.68
[工事請負金額] 30,539,000
[様態] アパート
[施工者] 準大手建設会社
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 解らない。
[検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 1
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 0
[施工者名] D
[販売会社名] D
[設計者名] D
[監理者名] D
 相談内容 現  象:
初めまして、よろしくお願い致します。

物件は、盛土造成地で築8年の重量鉄骨造2階建てのアパートです。3月の地震で基礎にクラック発生しました。

施工者技術課長と一緒に現場で確認し説明を受けたところこのクラックは「根巻きコンクリートと基礎コンクリートとの境のクラックです」と説明されました。確かに、根巻き・・・部分と思われる所が全部、クラックしてました。

計測はしてませんが、長さは、縦は垂直に根巻き高さで30cm位有り、それに繋がって上下に 斜めにそれぞれ10mm〜15mm位 Z 状に全体で50cmあり、幅は、0.2〜0.3mmのものと1mm以上に見えました。

また、1階の店舗事務所用(2階は住宅)のはめ殺しの厚いガラスの角が一部割れてました。

先月竣工報告書を確認したら、地盤調査の結果では、地盤改良が必要と指摘されています。地盤改良は、表層セメント改良工法となっています。

3年前は、雨水排水口のところが10pぐらい沈下して工事しています。

相手の意見:
このままにしておけないので、すぐ工事しなければならないと云う事です。

工事は、液が流し込めない位の幅なので、U字またはV字に溝を作りそこを埋めるとのことです。

相談内容:
工事費は私どもの負担と成りそうなので私としては、色々確認してから対処法を決めて工事してもらいたいと考えてます。

お聞きしたい事は、たかが2階建て重量鉄骨造の基礎がこんなにもろい物か?設計が悪いのでは?ということです。

施工者技術課長の説明だと、「場所と地盤による」でしたが、同じ団地内の1000M位しか離れていない同じメーカーの同じタイプの同じ位の広さの、築年数も4ヶ月(当方の方が新しい)しか違わない所は異常なしなのでかなり疑問です。

素人的考えとして、盛土が8M位ありますのでそこを見てなかったか、それを考慮した設計になってなかったのではと思ってます。施工も12月〜3月でした。

誰に聞けば良いか解らず、また、第三者の意見をお聞きしたくメールさせていただきました。
よろしくお願い致します。


 yorozuの感想 私たちは専門的な事は解らないので、このように、相談に乗っていただける所が有る事は大変ありがたい事です。
直接添付出来ればもっと便利かと思いますが・・・
アドバイザー 
 大内 彰 施工業者がいう「このままにしておけないので、すぐ工事しなければならない 」ことの理由は何か確認して下さい。

漏水や耐久性のことであれば大きな問題ではないでしょう。地震に対して早く対処した方がよいということであればその対処方法は正しい方法ではありません。

このクラックが実際にどのような部分に入っているのか、柱の足元がどのような接合方法になっているのかを図面等で確認できないでしょうか?それが分かればこのクラックが構造的に問題になるものかどうか力学的に判断できます。

このクラックとは関係ないですが、埋土が8mもあって表層改良で対処するというのは不同沈下のリスクがあります。埋土が敷地内で均等な材料で均等に転圧されていれば表層改良でも大きな問題にはならないと思いますが、そういう理想的な施工をしていない場合はリスクがあります。

雨水排水溝が 10cmも下がるというのはその下部の地盤がゆるいということだと推測されます。構造の分かる建築士に実際に建物を見てもらいながら相談されることをお勧めします。
 津村 泰夫 まず現状の精確な調査をすること。

基礎天端(水切り金物)が、建物周囲すべて水平になっているか確認してください。このクラックを境に片方が傾いている可能性がありますので、もし傾いておれば沈下修正工事が必要です。盛り土の上に載っているということですが、建物の重さが軽ければ浮く状態で保てるのかもしれません。ただ重い場合には地山まで柱状改良などが必要でしょう。

大内解説員が述べられたとおりです。

設計の不備については構造計算書などを見てみないと判断できませんが、想定していた地盤強度が無かったのか、またそれは宅地造成に問題があったのか、実際はあまり良くない土地の評価を誤って基礎の設計をおこなったのかなどを疑って調べてみることでしょう。

あと、5m以上の盛り土などでは大規模盛土造成地として地方公共団体の補助を受けて耐震化工事を実施できる制度などがありますので、調べてみてください。

いずれも専門家に依頼されるのがよいでしょう。
清水 煬二   D社の対応は、単にヒビを埋めるだけの内容なので構造的には問題ないとの判断しているのでしょうか?それが事実であれば、簡単に終わりますし費用もあまり掛かりませんから業者が負担しないといっているのであれば、時間や労力、費用を掛けて長引かせるより、ご自身で補修費用を負担した方が、私はベターだと思います。

ですが、もし構造的に問題が生じているのであれば、対応方法も責任の所在も変わってきます。「D社が構造的には問題ない」と主張していて、それが疑わしいと思われるのなら他の解説委員が述べているように構造に詳しい第三者の建築士に資料を含めて調査してもらうことが必要です。

「すぐ工事しなければならない」というのが構造的な問題を抱えているのが理由であれば、D社が責任を負うべきものだと思います。設計施工のD社が判断して地盤改良工事を指示をしている場合は、当然このD社に責任が問えると私は思いますし建売の売主であれば、それだけでも責任は問えるはずです。地盤の工事業者も損保保険に入っているのではないでしょうか?

地震によって、構造的に問題が生じても免責だとD社は主張するかもしれません。しかしながら、OYさんもお話しているように近隣の似たような場所では被害を受けていないので、判断や工事に問題があったのでは?という疑問が残ります。

構造的な問題が生じているとD社が認める場合には、なぜD社に責任が無いのかを説明をしてもらうことも必要です。

今回の現象の主な原因のひとつには、OYさんが推定しているようにもともとの地盤の弱さにあると私も思いますが、構造的には問題はないという内容であることを願っています。
 木津田 秀雄 施工者の言う「根巻きコンクリートと基礎コンクリートとの境のクラックです」が正しければ、ひび割れが生じている所は、基礎の立上がりと根巻き部分の間であり、根巻き部分に基礎の立上がりの配筋が通っていなければこのようなひび割れが生じる可能性は高いと思われます。その場合には、根巻き自体に損傷はないと考えられることから、当面の補修は施工者の言うひび割れの補修だけでも良いように思います。

そのような補修を行う場合には、少なくとも柱の位置と根巻きの位置を明確にさせてください(補修前にチョークで基礎の立上がり部分に根巻き部分を描いておいてもらうなどして、写真を撮っておく)。床下に潜れば、根巻きと基礎の立上がりの境界は容易に判断できますし、図面からも確認できるかと思います。

地盤については、建物の振動が増幅された可能性はありますが、不同沈下が生じていなければ、一定の強度はあったと判断できますので、床レベル(できれば鉄骨のレベル)を確認してもらってください。
 コメンテーター 
橋本 頼幸 大内解説員が言われているとおり、「すぐに直さなければいけない」という見解と業者の指示する直し方は矛盾しております。

OYさんの疑問は至ってもっともな疑問で、その疑問に思われていることがきちんと納得出来る説明をもらうように努めるべきで、補修工事を見切り発車で進めるべきではないと考えます。

プロの仕事は一般の人にわかってもらえる(疑問を持たない)ような説明をすることですし、不十分であれば、3人の解説員が言われるように他の専門家に見解を求めることも必要だと思います。

小さな疑問は大きな問題になる前に解消することをおすすめします。
 事務局から 
  荻原 幸雄 鉄骨柱の根巻きが単なる基礎保護目的なのか?構造的な半固定か固定が目的なのか?によっても対処方法が違います。構造的な半固定か固定が目的だとしたら、この亀裂は多少違和感を覚えます。図面から収まり・構造計算の適否・図面と現実が同じ施工になっているか?コンクリート打設時の環境の確認・強度の確認などが必要です。

専門的な範疇なので、構造に詳しい建築士に現地で確認が必要だと思います。
納得してから対応するのは当然のことですね。がんばってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  この度は、相談を御請いただきまして大変有難うございました。
対応が早くて大変驚いております。 そして大変たすかります。
 その後  
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