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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.1306 建築面積40平米程度で5〜7階は建てられる?

 相談概要 [氏名] Y.K
[居住住所] 茨城県つくば市
[相談建物予定地] 都心(未定)
[職業] 団体職員
[年齢] 31
[男性] on
[構造] わからない
 相談内容 現  象:

相手の意見:

相談内容 :
まだ発注の前段階なので上記はすべて未定です。
ご意見伺いたいのは以下の点です。可能であればアドバイス頂戴できれば幸いです。

(状況)
◎通勤や教育環境等を考え、都心に住みたいと考えております。

◎公務員のようなものなので収入は比較的安定しているものの、都心に物件を買えば生活がかなり困窮することがみています。

◎そこで一定の範囲でリストを許容し、住宅兼賃貸マンションあるいは店舗を建築し、ローン負担を減らせないか考えております。

(ご相談事項)
◎都心は土地が高いので購入できる広さは限られます。どの程度の広さがあれば、5〜7階といった中層建物は建てられるのでしょうか?建築面積40平米程度でも可能でしょうか?(建蔽率、容積率等都市計画上の規制はクリアしている前提)

◎仮に建てばあと、賃貸は長期間リスクを抱えることになるので、土地も含めた分譲に出来ればと考えております。ある意味不動産事業者に近い形になりますが、一般人でこういったことは出来るのでしょうか?

◎正直、立地がよければ破産しない程度、30年くらいで本体の負債は返済できるかなと想定しています。とはいえ素人考えなので、配慮すべきリスト等あればご教示お願いします。

以上、まだ勉強をはじめたばかりで甘いところが多いかと思います。
アドバイス頂戴できれば幸甚です。
 yorozuの感想 非常にわかりやすかったです。
特段ストレスを感じませんでした。
アドバイザー 
堀住 勝雄  ※中層建築と言っても用途によって階段の数、エレベーター、非難バルコニーなどの要求が違いますから一概には言えませんが、40平米以下でも技術的には問題ありません。

建蔽率、容積率とともに道路の幅員に影響を受けますので、15m位の道路に面している必要があります。

※建物を区分して分譲することは可能ですが、共有部分の管理、その費用徴収、トラブルの対処など、マンションの管理組合が行っているような業務は誰かが行わなければなりません。最初から全てを共同で建設する「コーポラティブハウス」の事例が参考になるのではないでしょうか。

※配慮すべきリストの存在は知りませんが、アパート経営 などのキーワードで検索すれば情報は得られます。書籍も出ています。

総面積の内の賃貸(分譲)できる部分の割合をレンタブル比と言いますが、小さな建物はこの値が小さくなり、上記の管理費の割合は高くなります。つまり、採算が悪くなる傾向になり、高額な賃料が見込める場所でないと成り立たないことになります。小さな建物のレンタブル比を追求し、経費を節約して運営された「儲かる物件」の代表が2001年9月に火災を起こした歌舞伎町ビルです。

私の知る事例では、リスクの第一は未収金があった場合です、その返済は待った無しでオーナーが負担しなければなりません。計画次第ですが10パーセントの未収でもサラリーマンではたちまち行き詰ります。

40平米x7階という計画が成り立たない訳ではありませんが、甘くはありません。そのような条件に当てはまる土地はほとんど手に入らないでしょう。あれば不動産業者が先に事業計画しています。もし土地の手当てがついたならば事業計画を銀行に持ち込んで下さい。快適な都心住まいが実現できるかもしれません。
 畔上 廣司 以前、都内の中心市街地で45uの5階建ての計画に関わったことがありますが、建築技術的に考えた場合は可能で問題ありません。ただし、ご相談は、建築相談というよりは、経営者の事業相談の分野かと考えます。リスクコンサルタントやFP(ファイナンシャルプランナー)に求める相談かも知れません。

経営者として新たに事業を起こす場合、リスクは当然伴いますし、現在の社会状況と今後の流れを把握し、事業性の判断が的確にできるどうか、建築設計以前の諸要件をトータル的にコーディネートできるかが大きなポイントでしょう。

自宅を只にしたり、賃料で資金計画を楽にしたい、そんなにうまい話はありません。自己責任の意識を持って取り組んでもらいたいものです。

土地やテナントに関しては不動産業者やテナントコンサルタント、建物の用途やデザイン、規模、その種類のバリエーションを考慮する建築家、資金に関しては金融機関、税務に関しては税理士や公認会計士、法務関係については司法書士や行政書士等々、それぞれの専門性が総合的に企画されてはじめて、一つの建物が完成し、事業として生かされます。

特に採算や立地、時代に合わない、やってはいけない事業計画を念頭に、安全で安心な家づくりを目指されることを願います。
 橋本 頼幸  具体的な土地候補や事業計画、自己資金などを聞かないと可否の判断は難しいところですが、相談内容からすると非常に難しいと考えます。

賃貸なのか分譲なのか相談内容からは判断がつきませんでしたが、賃貸にしても分譲にしても土地から購入し、採算ベースに乗せようとすると相当な自己資金がないと借入をおこしたときにショートする可能性が高いと思います。

建築技術的には、40m2で中層建物(5〜7階)は可能だと思います。ただ、それで何が建てられるか、賃貸にしても分譲にしても商品価値のある建物が建てられるか、といわれると非常に難しいと言わざるを得ません。

自分がその範囲内で納得して間取りや使い勝手を決められるのであれば、少々特殊な形状でもかまいませんが、それを人に貸したり売ったりしようとすると、ある程度市場にうけいれられることが求められます。専有面積が2DKで45〜50m2程度、3DKや3LDKになると60m2程度、ワンルームでも20m2程度は必要になります。階段やエレベーターなどの共用部分を考えると建築面積40m2で商品価値のある住宅を造るのは難しくなります。

一方で店舗・事務所系はどうなるか、というと家賃は立地や利便性、景気に大きく影響されることになり、ワンフロア40m2程度ではかなり小規模な事務所中心になると考えます。客単価が下がり、採算ベースに乗るのか微妙になります。

もっともY.K.さんが考えておられるようなスキームを一般の人が簡単にできるのであれば、みんなそうしているでしょう。マンション分譲などはいくつも手がけている大手のデベロッパーでもリスクが大きく採算をとるのが難しい事業です。賃貸経営も土地を持っている人が資産活用で考えてようやく採算がとれるかどうかのレベルです。これから土地を購入して、となると、なかなか大変だと思います。

普通は自分の土地と建物だけでも四苦八苦している状況です。リスクヘッジのためにさらなるリスクを背負うことになるのは本末転倒です。

成功事例、失敗事例、いろいろとみられてから決められてはどうかと思います。
 コメンテーター 
津村 泰夫 どうしても40平米で建てるということであれば相談員のみなさんの解説通りで可能だと思います。ただ塔状住宅は外壁率が高く、どうしてもコストが高くなります。経済性を考えると建築面積は100平米以上が望ましく、現実的には10戸以上程度のコーポラティブマンションがおすすめです。

住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の融資基準でも10戸以上となっており、(過去の例では7戸でも可)都心で費用を抑えての住まい造りが一定可能です。

専門のコーディネーターに相談されるのがよいでしょう。
 事務局から 
  荻原 幸雄 正直、不動産業務でするのであれば、厳しい環境でもいろいろな対応が可能ですが、サラリーマンで対応するには土地が自前であれば可能ですが、土地+建物では大変厳しい。無理といってもよいでしょう。そもそも、それだけの資金を貸す銀行があるか?確認なさったほうが先です。自己資産が他にあるか?親が担保する資産がある。また相当の収入がある。ということでなければ難しいところです。

最大の建築をすることが収益があがるとも限りません。
借りられる金額を確認してできる範囲でコストパフォーマンスの高い計画を専門家と検討してみてください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  皆様からのアドバイス大変有り難く、参考になりました。

頂いたご意見から、やはり、地道にやるしかないとしみじみと判断しました。悩んでいましたが、非常にすっきりしました。皆様お忙しいなか本当にどうもありがとうございました。

今後は自分たちの住居専用で物件を探したいと思います。どうもありがとうございました。
 その後  
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