相談概要 | [氏名] I.A. [相談内容] 建売住宅の瑕疵 [居住住所] 東京都調布市 [相談建物所在地] 東京都調布市 [職業] 主婦 [年齢] 33 [女性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 2010年11月30日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積坪] 35 [工事請負金額] 5680 [設計監理料] 0 [様態] 建売り住宅 [施工者] 建設会社 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 1 [施工者名] S [販売会社名] N |
相談内容 | 現 象: 建築条件付の分譲地の一画を、条件をはずして購入し、現在プランニング中です。 我が家以外はすべて建売住宅(途中から自由設計といって売り出しました)となり、すでに入居者はすべて決まっていますが、売主が設計・施工しています。 現在、我が家以外の区画は地盤改良などせず、そのまま型枠を作り、基礎コンクリートを打ち終わった状態です。 先日久しぶりに土地を見に行ったところ、お隣の基礎面が敷地境界から38cmしか離れていないことに気づき、あわてて売主(建売業者)に連絡を取りました。 壁ができると思われるところの基礎面は38cm、玄関のたたき(ドアの外)と思われるところは28cmしかあいていません。ここから外壁がつくことを考えると、境界から仕上がりの壁面への距離は35cm程度と思われます。 業者からは事前に何の断りもありませんでした。 第一種低層地域です。 他の区画も確認しましたが、既存の住宅に対しては55cm〜80cmぐらいあけているようですが、建売同士は50cmを切っているところも他に一箇所ありました。 件の区画も、私どもに接する東側は38cmですが、既存の西側の住宅に対しては1m近くあけています。 我が家も当然、50cm以上空ける予定です。いくら狭い土地とはいえ、建蔽率の低い地域で、このような事態が起こり、当惑しています。 相手の意見: 営業は当初、重要事項説明書に一筆あると思っていたようですが、そういった事項がないことをお互いに確認しました。 図面を確認したところ、柱の芯から計測して45cmとなっているとのこと。 どうしてこのようになったかというと、(未来の)お隣さんが、プライバシーの確保される西側をあけたい、と言った。設計士が、建売同士だから少々くっついても大丈夫だろう、と思った(うちはかなり早い段階で買いましたので、設計士さんの認識不足、社内での情報伝達不足)。 会社としては、我が家にどうにかこの状況を認めていただきたい。 相談内容 : 未来のお隣さんとはできれば今後仲良くやっていきたいのですが、業者とどのように話し合っていけばよいでしょうか。 我が家としては、今後禍根を残さないためにも、基礎のやり直しをして、せめて10cmぐらいずらしたらいいのではないかと思うのですが、全体の工期の遅れなどでゴタゴタして、残りの区画の方々とギクシャクするぐらいなら、我慢したほうがいいのかとも考えます。 これから交渉する上でどうすべきか、態度を決めかねている状態です。 そこで、 ・面積13坪ほどの小さなベタ基礎です。簡単に壁面後退させる方法はないでしょうか。 ・やり直しにはどの程度の期間、費用がかかるものですか。 ・お隣さんを責めずに業者を責めたいのですが、どういう態度で臨むのがよいでしょうか。 ・落としどころは通常どういったところになりますか。 どうぞよろしくお願い致します。 |
yorozuの感想 | 情報量が多く、とても参考になるので以前から拝見していましたが、まさか自分が相談することになるとは思いもしませんでした。 |
アドバイザー | |
武田 直行 | 境界において建物が接近して建てられた場合には、後々の建物の改築や修膳、相互の日照や通風、通行の確保や延焼の防止などに支障がきたさないため、民法234条で、建物を建てる場合、境界線から50cm以上の距離を保たなければならないと定められています。この距離も建物の外壁及びこれに付く出窓その他の張り出し部分と境界線の最短距離とされています。 これに違反して建築しようとする場合には、隣地所有舎は、その建築を中止させ、または変更させることができる。ただし、建築に着手して1年を経過し、またはその建物が完成した後は、損害賠償の請求のみすることができる(民法234条2項)となっています。 都心の準防火地域などではこの離隔距離が確保されていないのがほとんどですが、今回のように郊外の住宅地の場合、民法の規定が適用されうると判断できます。 さて、曳家のように上屋の移動は実例がありますが基礎のみの移動は費用、接地面の維持、重機の取り回しができないなど問題が多く実施されていません。 既存の基礎を残して10cm程度の撤去・新設することは不可能でないにしても、アンカーボルト等の位置変更、壁位置の調整、既存と新設の取り合い部などの強度の保持が困難でさらにプランの練り直しや確認申請の出しなおしが必要になるかもしれませんので既存基礎をいったん撤去し、新たに再築するのが現実的な解決方法だと思います。 保険会社、検査機関の配筋検査も再度受け直す必要もありますが、西側の隣地と問題がなければ1〜2ヶ月程度の工期の遅れで済むと思います。 交渉は引渡しが完了していないので業者が相手になります。費用も当然、業者もちが前提です。 別の解決方法としては、このままの状態で建てさせて完成後IAさんの土地を離隔距離が確保できる範囲を業者に買わせる(当然測量、登記費用についても負担してもらう)手もあります。もちろんIAさんの了承があってのことですが。 お隣さんとはこれから長いお付き合いになりますが、西隣とは1m以上あけておられることからみて、このいきさつを丁寧に説明されれば、きっと理解していただけるものと思います。 |
清水 煬二 | 準防火地域ならともかく、おっしゃっている地域と廻りの状況からすると、事前に何も打診が無かったのであれば、そこまで迫ってくると驚くでしょう。50センチ離すべきだと思いますし、Iさんの主張は当然です。 基礎工事までの現状であれば、基礎を壊してやり直すことは比較的容易です。 別の面は1メートル空けているとのことですから、今から移動することは、問題なく充分可能なはずです。主張するのであれば、あくまで業者に話をすれば良いことです。話し合いが付かず、お隣が出てきたとしても、Iさんの主張すべき話は堂々とされて、それでも懇願されたらそのときどうするかをお決めになったらいかがでしょうか? 最後は、我慢するかどうかはご自身がお決めになることですが、態度を保留にしてグズグズしている方が、問題はこじれます。 |
コメンテーター | |
津村 泰夫 | 二人の解説員の解説を参考になさってください。 第一種低層地域では一般に外壁の離隔距離を1mとか決めている市が多いのですが、例外として全長が3mを超えない範囲で1m以下の部分を認めている場合があります。お隣の玄関部分はこれに該当するのかも知れません。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 敷地分割で業者が同一の場合、彼らが建築主なので、近隣からの要請はないものとしてこのような方法を取ることが多いのも事実です。しかし、今回は条件付きですので、建築主なので売主はやはり説明する義務があったと思います。不誠実な行為だと思います。 話し合うしかありませんが、もし納得できなければ白紙に戻すことも考えて対処してください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | この度は、相談させていただきありがとうございました。 専門的なお立場から複数のご意見をいただけるというのは本当にありがたいです。 現在は皆様のご意見を参考に、隣地業者との話し合いを進めています。また経過報告をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 |
その後 |
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