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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.1304 ベタ基礎のクラックについて

 相談概要 [氏名] N.O
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 福岡県北九州市
[相談建物所在地] 福岡県北九州市
[職業] 会社員
[年齢] 38
[男性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦2010年12月24日
[公庫は使わない] on
[何階建て] 2
[延べ面積坪] 33
[工事請負金額] 1950
[設計監理料] 41
[様態] 注文建築
[施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 6
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 8
[施工者名] HM
[販売会社名] HM
[設計者名] K.K.
[監理者名] K.K
 相談内容 現  象:
ベタ基礎のクラックについてご相談いたします。

8/19ベース打ち、8/25立ち上げ打ち、8/30型枠(木枠)外しを行いました。この間、シートや散水などの養生は全くしていません。

8/25の立ち上げ打ち以後、目視でクラックを発見するようになり、8/30型枠外しの際、監督立会いでクラックの場所・大きさの確認(目視のみ)をしました。この日以降、施主の希望で散水養生を開始しました。

9/2HMの設計士(兼監理者)・監督・施主立会いで、基礎内外をチェックしたところ、ベース部分に73箇所のクラック、立ち上がり部分に1箇所のクラックを確認しました。ベース部分のクラックは、目視で0.1〜1ミリ幅です。深さはこの日は測りませんでした。

9/6に生コン会社の検査と補修をすると言われています。

相手の意見:
8/25の型枠工事の際、シートで養生するのかと質問しましたが、その必要はないと言われました。

8/30監督と施主との立会いで現場を確認し、施主側から今からでも散水養生をしてほしいと申し出て、散水養生を開始しました。

9/1設計士から電話があり、「なぜ散水養生を要求したのか、何か調べてそのように言われているのなら、その資料元を見せて下さい」と言われました。

9/2設計士・監督・施主立会いで、目視のみでクラックの本数、発生している場所を確認しました。設計士は「1ミリ以上の幅のものはないので、問題ないクラックでしょうが、検査して補修をしますから」と、その場で9/6に検査を行う手配をしました。

補足:8/25の型枠設置工事の日以降、設計士は現場に来ていません。8/26〜8/31までメール等で早急に現場に来て見てほしいと伝えましたが、諸事情があり9/2までは見に来てもらえませんでした。

相談内容 :
そこで施主の心配は、次の点です。

 1.検査と補修を同時に行ってよいか。
まず検査をして、各クラックの詳細と原因、補修案を文書で提出させ、その後施主が承諾してから補修した方がいいのでは?

 2.検査して、その場で原因まで分かるのか?
施主は多数のクラックの原因は、この酷暑の中養生を全くせず放置したHM側の怠慢が大きいと思っています。施主側から8/25にシートで養生しないのかという質問をした際も、必要ないと対応してもらえませんでした。散水養生も施主から監督に依頼したのですが、設計士からなぜそのような要求をしたのか何か資料を読んだのならその資料元を見せるように言われました。

 3.予定通り、検査と補修を同日に行った後、HM側に文書で今回発生したクラックについてこれからの対応(瑕疵保証対象外になるため)を約束させたいと思いますが、どのような内容で文書を作成したらよいか、アドバイスをお願いします。
 yorozuの感想 一つの質問に対し、数人の方が見解を示されるので、いろんな意見を総合して、質問者は判断することができると思います。
アドバイザー 
 山口 雅克 契約では設計図の他にどのような工事仕様書を使うことになっていたのでしょうか。相談があるくらいですから、なかったのでしょうね。

 契約の中に工事仕様書がなかったとしても「住宅金融支援機構監修」の工事仕様書や「国土交通省大臣官房官庁営繕部監修」の標準仕様書、「建築学会の工事仕様書」に準じて施工を行うことが一般的です。又、具体的な方法を規定しては有りませんが、建築基準法施行令の第75条に乾燥によって凝結及び硬化が妨げられないようにしなければならないとあります。

 今夏のように日中の気温が高い場合は特にですが、急激な乾燥を避けるためにシート養生や散水養生を行うことが良心的です。養生方法の善し悪しは別にしても結果としてかなりのクラックが発生している訳ですから、しっかりと検証してもらいましょう。

 立ち上がりのクラックが少ないのは型枠が5日間も存置されていたからでしょう。(気温が15℃以上の場合は3日以上の存置)監督さんは痛い所を指摘されたと思っているのか、若しくは構造に無知だったのか、どうなのでしょうね。

 前置きが長くなりましたがご心配の点に関してアドバイスいたします。
1:検査と補修は別の日にしましょう。
貴方の承諾をもらってからの方が施工者にとっても都合がいいと思います。

2:およその原因は推測できます。
検査と言ってるのは現場での簡易な強度試験と思われますが、数値的には問題がない結果となるのではないでしょうか。ただ、0.2mmを超えるクラッックは鉄筋が錆びやすくなりますので十分な補修を してもらうようにしましょう。

監督だけでなく監理者である設計者がそのようなことを口にするのか、信頼をなくすだけなのですが今後のこともありますので、やんわりと資料を見せることにしましょうか。
「住宅金融支援機構監修」工事仕様書の 2×4がありますのでそれがいいと思います。若しくは貴方が養生の情報を仕入れたものを。

3:瑕疵保証の対象外であるのかどうか再度確認してみてください。今回のことが基礎の設計の不備であるのか施工の不備であるのかを明確にしておくためにも瑕疵保証の検査を行うところに尋ねておくことをお勧めします。

 検査と補修を同日に行うつもりであるということは、施工者は原因と補修方法で結論を出している訳ですから、その時に文書ができていてもおかしくはありません。文書のない用は貴方が納得できるかどうかになりますので、施工者に作成させて事前に見せてもらうのがいいでしょう。
氏原 毅士  監理者はコンクリートに対する知識が無いようです、寒中以上に暑中は気を使うものです。
酷暑の中打設後放置すると乾燥と温度上昇で必ずクラックが生じます。
補強法は無いと思います。おそらく鉄筋の位置が判るような格子状に割れているのでは?。
 清水 煬二  通常の夏でももちろんのこと、今年の猛暑ではコンクリートに水を撒いて養生をしてあげることは必要なことです。

Nさんが、設計士と呼んでいる人は監理者も兼ねているようですから、建築士ですね。その建築士は、お話からすると、そのことを知らないばかりか関心も無さそうです。

「資料元を見せてください。」と素人のお客さんに監理者の建築士が言うこと自体、大変恥ずかしいことです。

コンクリートは、水和反応で硬化していきます。蒸発したり、凍結したりして水分が不足すると充分に硬化しません。暑い夏には、コンクリートの打設は、夕方終わるように時間を逆算したり、水が蒸発しにくいようにシート養生をしたり、翌日以降は散水して養生するのはそのためです。

コンクリート工事に関して、施工方法の注意事項や監理者としてのチェックポインなどが書かれている本ならなら、どんな資料を探しても、当然のこととして書いてあります。日本建築学会の鉄筋コンクリート工事の建築工事標準仕様書にも当然書かれています。

さて、

1. 検査と補修を同時に行うかどうかですが、できれば検査結果とそれをもとにした補修方法、保証について書面でもらって、第三者の建築士に相談してから補修の方がベターだと思います。

表面強度を測定して、設計上必要な強度が出ているかどうかの判断を業者は行うのではないと思います。

もちろん、工期の問題がありますし、事情や考えがあると思いますから、問題が無いと判断した工事業者を信頼して同時に行うことも間違いでは有りません。

2. 原因については、逆に工事業者がどういう根拠でどのように判断したかが問題になってきますので、そのためにも、同時に補修をしない方が良いと思います。判断が間違っている可能性があるからです。

3. 構造に関しては、10年の瑕疵保証が義務付けられています。今回のクラック(ひび)が、構造強度には影響ないと業者が判断してしまえば、今後のクラックについても、同じような判断となってしまうでしょう。今後のクラックについて、構造に関係のない収縮クラックなのか、構造クラックなのかの判断をクラックの幅に基準を設けて判断する方法もありますが、実質どうなのかということが大切です。

状況と報告書を信頼できる第三者の建築士に見てもらい、どのように対応していくのがベターかを相談して、書面についてもアドバイスしてもらった方が良いでしょう。
 コメンテーター 
津村 泰夫 ベース部分のクラックの状態がどのようなものか良くわかりませんが、乾燥収縮による広範囲なものなのか、氏原解説員が述べたように鉄筋の沈み込みによるクラックもあるでしょう。いずれも施工の未熟なための不良です。しかし補修をすれば問題はありません。住宅の建築は人の手で作って行きますから時には失敗や出来損ないも生まれます。ただそれも適切に補修をすれば問題ないと思います。基礎の段階でこのような状態ですと、あとどれだけトラブルが出てくるかわかりません。住まい造りはトラブル処理との戦いとも言えますので、あまり神経質にならないよう心がけられた方がよいかも知れません。またそれにはあなたの味方になってくれる専門家と一緒に家づくりをすすめることが必要でしょう。
 事務局から 
  荻原 幸雄 クラックの原因はいろいろ考えられますが、先ずはコンクリート受け入れ検査をしているのか確認下さい。コンクリートの打設前に第三者機関での下記検査をし、それに合格して打設できるものです。

1)コンクリート温度
2)スランプ
3)スランプフロー
4)塩化物検査
5)空気量
6)外気温度
7)アジテーター納入時間など

その他現場では配筋のカブリなどクラックに影響を与えます。

専門用語なので、詳細はここでは書ききれませんが、信頼できる建築士に第三者監理を依頼するのも方法です。設計者が監理者が信頼できないような感じなので第三者の建築士に見てもらうことが適切でしょう。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 先日はベタ基礎のクラックについてのご意見、誠にありがとうございました。

ご相談したのが補修の直前だったため、せっかくご回答を頂きましたが、既に補修は終了いたしました。

経過からご報告いたしますと、悪天候のため予定より3日遅れで補修が行われました。モルタル(無収縮かどうかはよく分かりませんが)で全てのクラックを埋め、その後3日ほど散水養生をし、補修材のサンプルで強度を検査しました。その後、建て方に入っています。

偶然にも解説員の山口様や清水様が書いてくださっていたような資料と私たちがインターネットで検索した暑中養生についての記事などをいくつか建築士に渡しておりました。当人は養生不足については、いまだに認めたくないようですが、補修した事実と資料なども残りましたので、施主としてはこれで基礎工事を完了し、次の工程に進むことにしました。

氏原様が予想されたような「格子状」のクラックは幸いありませんでした。建築士(兼監理者)は、寒中は養生するけど暑中はしないという意見でした。しかし、補修を担当した会社の方が「数日水を撒いて養生した方がいいでしょう」と言ってくださったので、内心何か思っているかもしれません。

津村様の「補修をすれば問題ありません」の一文に救われる思いです。分かっていても、施主としては本当にこれで大丈夫なのかなという思いをなかなか払拭できないものですので。

荻原様、写真はメールで9/3に送っておりました。届いていなかった様で残念ですが、皆様には丁寧なご回答を頂き、感謝しております。  
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