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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.1301 かぶり厚部分が不足すると強度に問題が生じる?

 相談概要 [氏名] H.T.
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 東京都渋谷区
[職業] 無職
[年齢] 40
[女性] on
[構造] 木造(その他)
[引渡し年月日] 西暦   2010 年 10 月  日予定
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 100
[工事請負金額] 3200
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 15
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 16
[施工者名] TA
[設計者名] TA
 相談内容 現  象:
玄関ドアを設置するために、基礎コンクリートが一部分削られていました。玄関ドアの左右両脇、外側部分です。

結果的に内部の鉄筋に対するかぶり厚が不足することになっていると思います。

相手の意見:
前日に玄関ドアが設置されたばかりで、本日夕方現場に行った際に基礎コンクリートが一部削られていることを発見したので、実はまだ業者にこの件につき問い合わせていません。

明日は担当者が休みなのですが、現場では作業が進んでいきますし、どのように対応するべきか早めに方針を立てた方がいいと思い、急ぎこちらに相談させていただきました。

業者に問い合わせる前の段階では回答していただけないとのことでしたが、急ぐような内容であればもしや、と思い、あえて相談させていただきました。

業者に問い合わせたのち、また改めてそのご報告と相談をさせていただきたいと思っております。

相談内容 :
コンクリートを打つ前、配筋を見ていた時にはかぶり厚を確保するのに神経を使っていたのに、結局そのかぶり厚部分を削ってしまったら、かぶり厚が不足するのではないかと心配です。かぶり厚部分が不足すると中の鉄筋部分がさびやすくなり、強度に問題が生じる、と本で読みました。基礎はとても大事な部分だと思っておりますのでとても心配です。

写真程度のはつりは問題ないのでしょうか?
(メジャーをあてて写真撮影するのを失念しましたが、元の立ち上がり幅は17センチです。鉄筋は16Dと13Dを使っています。)

もしこの部分に問題があるとすれば、今後どのような修正をすればよろしいのでしょうか?
 yorozuの感想 どのように対処していいものか非常に困っておりましたので、このサイトを見つけて大変心強く思います。過去の相談内容も拝見し、その回答の詳細で丁寧な様子に感銘を受けました。
よろしくお願いいたします。
アドバイザー 
大内 彰  鉄筋の被り厚確保の主な目的は通常三つ考えられます。

コンクリートの中性化の進行によって生じる発錆を抑制すること、火災時における鉄筋の温度上昇による耐力低下を抑制すること、部材軸方向の力に抵抗することです。

中性化の進行による発錆に対しては中性化抑制剤により対応することが可能です。但し、材料の効果は永久ではありませんからメンテナンスが必要です。コンクリートは自然に中性化(アルカリから中性になること)するのでこちらの発錆抑制効果も永久ではありません。

火災時については基礎梁であれば火炎の影響は小さいので無視できるのではないかと思います。

部材軸方向の力(曲げ応力による圧縮力および引張力)についてはその部材がどのような役割を期待されて設計されているかによって全くことなるので図面または計算書を確認しないと判断することはできません。

この相談の場合、上記にあげた内容の他に玄関扉の両側に構造上重要な柱があるか無いかが問題になりそうです。構造上重要な柱がある場合、柱が負担する力をコンクリートで負担しなければならないのに欠き込まれていると柱の耐力を十分に発揮することができない可能性もでてきます。

上記のような内容について説明を監理者に求め確かめられることをお勧めします。
 コメンテーター 
津村 泰夫 写真等がございませんので具体的にどのような状態かわかりませんが、大石解説員が述べたように、設計図面とどのように変わったのか、設計・監理者に確かめてください。

残りのかぶりがどの程度かわかりませんが、コンクリートの部分に仕上げ塗装などをおこない、雨水の浸入等の心配がなければさほど心配されることはないでしょう。

サッシ等を固定するために鉄筋を出し溶接をおこないますが、しっかりとモルタルを詰めておれば問題ないと思われます。
 事務局から 
  荻原 幸雄 木造の基礎だとすると、ハツル原因は設計図面の詳細図が無かったこと。

無い場合でも、工事監理の段階で施工図の確認をすれば、このような基礎になることもありません。ハツルということは設計と工事監理というチェックシステムが機能していないことを示します。

工事監理者に現場にどのような確認、指示をしたのかを聞いてみてください。

写真がないので、断言できませんが、対処は可能な相談だと思われます。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 この度は当方の相談に対し適切なアドバイスをいただき、有難うございます。

施工会社に聞いてみたところ、玄関ドアの両脇には構造上重要な柱はなく、むしろ構造上なくても大丈夫なところに立ち上がりを設けているとのことで、構造計算を行った基礎伏図もそのようになっていました。

なぜコンクリートをはつる、という手段になったのか、については聞くのを忘れてしまったのですが、最初からはつる予定だったらしく、中の配筋もそれを見越してかぶり厚も十分にとっているとのことでした。

基礎コンクリートの外周も最終的にはモルタルできれいにするとのことでしたので(契約時からそのような仕様でした)、今回は納得できるような気がします。

このような件については専門家の意見を聞くことができると大変心強く、勉強にもなりました。
有難うございました。 
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