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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.1297 エアコンの穴が筋交いを貫通していたが・・・。

 相談概要 [氏名]S.M
[相談内容] リフォームの瑕疵
[相談建物所在地] 神奈川県川崎市
[職業] 会社員
[年齢] 32
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦2010年  4月18 日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 108
[工事請負金額] 5190
[設計監理料] 0
[様態] 建売り住宅
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 1
[販売会社名] S不動産
[設計者名] MU建築設計事務所
 相談内容 現  象:
築9年の木造三階建て中古住宅を購入しました。

本日2階にエアコン取り付け時に、前居住者(建物の建築主であり、建築時は工務店で依頼したようでした)のあけたエアコン穴カバーをとりはずしたところ、筋交いに穴があいていることがわかり、急きょこちらでご相談したいと思いました。

重要説明事項においては、「売り主は、買主に対し、土地の隠れたる瑕疵および次の建物の隠れたる瑕疵についてのみ責任を負います。雨漏り、シロアリの害、建物構造上主要な部位の木部の腐食、給排水管の故障となっていて、期間は3か月です。現在、引き渡しより2か月が経過しております。今回の穴は、腐食ではないですが、建物自体の欠陥であり、構造上主要な木部に欠陥があるという意味では同様だと思います。

現在、仲介業者に、穴をあけたのが前居住者であるため、前居住者に実際に穴をあけたのが誰なのか(建築業者か、量販店の工事者なのかなど)確認中です。

木造三階建てで、部屋数は6室、全てにエアコン穴があいており、うち筋交いに穴があけられている部屋が3部屋(1階に2部屋、2階に1部屋)あります。1階はダブルの筋交いに1つ、シングルの筋交いに1つ、2階はダブルの筋交いに1つ穴が開いていることが予想されます。

いずれも部屋のコーナーに該当し、ベランダや窓のために耐力不足の壁に必須な筋交いであると考えられます。

相手の意見:
現在事実関係確認中とのことです。

相談内容 :
今回は、このような事象が生じたときに、
1)瑕疵担保が有効であるのか、売り主に費用負担していただけるのか、ということをお伺いしたかったことと、

2)今回の住宅に住み続けるのに、補修で対応できるのかどうか、補修費用の見積もり金額はどの程度か(大まかでもかまいません、心の準備をしたいので、、、)

という2点をお伺いしたく投稿いたします。

中古購入後、あと15年は住むつもりでリフォームを実施し、かなりの金額をかけて(600弱)床暖房の導入、全室のクロス貼り替え、外壁と屋根の塗り直し、設備交換など行いました。非常に悔しく思っています。アドバイスをいただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。


 yorozuの感想 こまって検索したときにたどり着きました。

詳細な相談内容が記載されておりましたので、参考になり、自分自身も相談させていただきたいと考え投稿に至りました。

どうぞよろしくお願いいたします。
アドバイザー 
 清水 煬二 相手が認める、認めないは別にして売主が負担すべき内容だと私は思います。先方に仲介業者経由で状況を知らせ、負担するようにまず、早く伝えておいた方が良いでしょう。補修費用に関しては、リフォームをされたとのことですからその業者に見積もりを出してもらってください。

補修は可能ですし、ここで概算を述べるより具体的な見積もり金額と工事方法を売主に正式に提示して、その費用を負担してもらうか、工事を行ってもらうかのいずれかです。筋交いの取替えだけでなく、断熱材の交換もありますしどこまで壊して復旧するかは、現場を見て判断してもらってください。

見積もり費用はそれほど時間が掛からずに出してくれるはずです。
 木津田 秀雄 写真も拝見しましたが、筋かいが切断されている様子がよく分かります。あってはならないことだと思いますが、法的な判断については「次の」と建物の瑕疵が限定されていることから、簡単に補修等の費用請求ができるかどうか難しいと思われます。この点については、弁護士などに確認したほうが良いと思います。

補修方法としては、筋かいの取り換えもしくは、同等の補強(構造用合板の設置)等になるかと思いますが、600万円のリフォーム工事の前であれば比較的簡単にできたことだと思いますが、リフォームが完成してからの様子ですので、また工事が必要と言うことになりそうです。リフォーム工事の途中で気がつくべきだったとは思いますが、そこまで言うのは酷でしょうね。

法的な手段として訴えるというより、まず売り主(仲介業者)との間での交渉になるかと思います。その際には、限定されている瑕疵には該当しないが、あまりにもお粗末な工事(筋かいの穴開け)で損害が大きい(耐力の低下が大きい)ということを主張されて、補修金額の負担を(一部でも)訴えてはどうでしょうか。

あと、筋かいの欠損ですので、きちんと直せば問題ありません。補修の際には、筋かいと柱、梁、土台との取付方法などについても確認してください。取付方法が悪ければ、それはそれで問題になりますので。
 山口 雅克 重要説明事項にあるのは設計図(あるいは確認済証)に示されたもの以外のことを示していると考えていいのではないでしょうか。

「次の建物の隠れたる瑕疵」とは「雨漏り、シロアリの害、建物構造上主要な部位の木部の腐食、給排水管の故障」となっていますがそれ以外は設計図に示された通りだと解釈しなければ、買う方は安心して中古住宅を買うことは出来ません。

誰が穴をあけたのかは後回しで、まずは売り主負担で補強してもらうことが先決です。

筋交いの量も、元々どのくらいの余力があるのかを計算してみるのもいいでしょう。
(補強前に第三者の専門家に依頼することになります。)

外壁の撤去が生じますので、断熱材を含めた補修材の推測発注を済ませ、材の準備ができ次第に現地確認を行い施工するのがいいでしょう。 
 武田 直行 中古住宅の瑕疵については民法で「瑕疵を知ったときから1年以内」に損害賠償請求するか契約の目的が達成られない場合は契約の解除ができるとされています。しかし民法の規定は強行法規(必ず適用できる)ではないので「売主は瑕疵担保責任を負わない」とすることもできます。

中古でも、特に古い物件になると一般に「瑕疵担保責任を負わない」とすることも多いようです。売主が宅地建物取引業者の場合は中古物件であっても、最低2年間は瑕疵担保責任を負うことになています。

今回のケースでは売主は一般の方ですので「筋かいに穴が開いていることを隠していた」ならば免責にはなりませんが、このことを争うのは困難が予想されます。

強行規定でないとしても、民法には規定されていますので、仲介業者を通じて、その点を丁寧に説明され、建築士など専門家に耐震改修の案と費用を算出してもらい、費用の負担割合を双方で調整することをおすすめします。

できれば専門家に耐震診断書を作成してもらえばより安心できるでしょう。 
 笠原 歩  筋交い(筋違)に穴があいていたのは残念です。心中お察しします。

買う前に開けられた穴についての責任は、当然売主が追うべきであると考えます。しかし、その請求のためのエネルギーや費用対効果を考えると、疑問に思います。

近年の木造は、筋違だけに頼らず外壁の構造用合板や認定パネルなどで、耐力壁を構成する設計が多くなっています。どの程度、設計図書と比較して家全体の性能(耐力)に差があるのかを、確認することが先ではないでしょうか。

それによって、補強や補修の方法は換わってくると思います。
方法が決まってから費用の算定になりますので、費用については分かりません。
 コメンテーター 
氏原 毅士 各解説員が記している通り、法律的な問題はさておいて早急に危険箇所特定と改修の段取りが必要となります。

外壁を解体し筋交いを復旧させても、エアコンの設置場所が変われば内部壁の改修も必要で、相当大掛かりな工事となります。

前所有者にこの負担(義務・もしくは責任かも知れませんが)をしてもらうには場合によれば調停や裁判と言う事にもなりかねません。

早く建築士に相談をし、弁護士の助言を受けるのが得策かと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 先ずは、文章をもって「隠れた瑕疵の可能性が大きく、構造的問題であることを通知します。」と売主と仲介不動屋さんに3カ月以内に通知してください。以降は通知が有効になりますので、瑕疵担保期間は停止します。

これはもともと、この国の法律が新築には厳しく、検査後の法的拘束力が野放しであることの一つの現象ではありますが、構造的認識の乏しい電気店が、安易に構造的欠陥を生産していることに大きな問題があります。

筋交いが切断されているのを知らないで、住んでいる家も多くある可能性が高いのです。

新築の建物は責任施工として、施工社にエアコンの取り付けを依頼して、一式請負の中で責任を持たせれば、施工者は無条件で対応します。

責任論になると売主責任はあると思いますが、売主も当然、ここまで気がつかなかったのでしょう。元凶は切断した、電気販売業者にあるのではないかと考えられます。エアコン取り付け業者は筋交いがあることは先ず、知らない人はいないと思います。(知っていても筋交いの重要性を認識しているかは別です)

善管注意義務からして責任が販売会社にはあると思いますし、機器を売ればよいのシステムはやめてもらいたいものです。

売主から当時の販売会社に責任の所在を確認することが必要でしょうが、時効が成立していると、売主が責任を二次的にとることになるだろうと思われますが、弁護士にご相談ください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  
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