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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.1285 リフォーム設計を依頼するには元の設計者か?知合いか?

 相談概要 [氏名] KM
[相談建物所在地] 千葉県柏市
[職業] 会社員
[年齢] 38
[男性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦 2010年1月予定
[公庫は使わない] on
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 141.72
[様態] 注文建築
[施工者] 建設会社
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 24
[販売会社名] S不動産
[設計者名] T建築設計事務所
 相談内容 現  象:

相手の意見:

相談内容:
はじめまして。
HPに掲載されている他の質問に比べて あまり深刻な内容ではありませんし、この場に適切な事項かどうかも分からないのですが、他に聞くべき場所が分からずメールをさせていただきます。

私は賃貸マンションに居住中なのですが、子供の成長に伴い手狭になったこともあり、戸建住宅の所有を考えるようになりました。現在の居住地の近くである程度の庭を取れる売地は予算が合わず、新築建売には希望の広さや建物の条件を満たす物が皆無で、建築条件付土地は絶対に避けたいと考えております。その中で次善の案として中古戸建を購入して当面は修繕をして住むことを考えるようになりました。

近所は 昭和50年代に住宅公団が区画整理を行った場所で当時に建てられた家は60から80坪の敷地を持っております。

いずれ今ある建物を壊して建て替えをするにしても、購入金額はほぼ土地代相当で家代は僅かしか含まれていないと考えられる水準でそれほど経済的な負担は大きくならないだろうとの目論見です。
 
不動産業者を回っていく中で築26年と年数は経過しているものの素人目には比較的状態が良さそうで暫くは使用可能と思われる中古物件に出会いました。
 土地は208.15平米。
 建物は築26年登記上は木造3階建て141平米となっておりますが小屋裏のロフトが約11平米「3階」とされているためで、実質は130.82平米の木造2X4です。

売主であるオーナーさまがご友人の設計事務所に依頼されて建てられた家だそうで、確認申請書や検査済証も揃っています。設計の図面は約20枚が青焼きで残っており配置図・各階平面図・断面図数枚・立面図・基礎伏図・天井伏図・仕様書・壁量計算書・電気設備図・ガス配管図・給排水配管図・外構図などを売主さまより頂くことが出来たのですが、かなばかり図・床伏図・小屋伏図などは売主さまの手元には残っていないようです。

3階建てとなっていますが 構造計算書の類もお持ちではないようですし、地盤に関する資料もありません。仲介業者からは「これだけの資料が出てくることは珍しい」といわれておりますので、比較的恵まれた条件なのでしょう。

ロフトは床面積も天井高も基準内に見えるのですが3階建てにされてしまった理由は分かりません。売主さまは「ロフトを作るなら3階建てになる」とだけ聞いていたようです。

皆様の著書を含めて色々と教えていただいたおかげで、私も家内も瑕疵物件には用心深くなっており購入の交渉を進める前に住宅診断を専門とする業者の検査を受けることを希望しました。

売主さまも仲介業者も私たちの希望を受け入れてくださり、当方が選んだ建物検査専門業者の建物調査を当方の負担で実施し、経年劣化と思われる傷みや補修を要する箇所は数多く指摘されましたが、 構造上重大と考えられる問題はないだろうとのレポートを受け取っております。その後売主様との価格交渉もまとまり無事に契約を済ませることができました。

さて、引渡しを受けた後に経年劣化として指摘されている部分の補修や災害対策の強化を主眼にリフォームを行いたいと考えています。

予算は500万から600万、修繕後10年程度その建物に住めれば良いとの希望です。
10年後には子供たちが大学に進学する年齢に達するため学区に縛られず転居することが出来るようになるためです。

リフォームをするからにはリフォーム専業業者や工務店に直接依頼をするのではなく私たちの希望に中立のアドバイスを期待できる建築士さんに入っていただきたいと考えています。

特に今回は設備の交換だけでなく家の構造を長くより安全に使えるようにするのが目的ですから設備交換の安さや外観の目新しさばかりを強調する業者にはお願いしたくありません。本来であれば この家を設計し、監理を行った設計事務所にお願いをするのがベストだと思うのですが、HPを見る限り 大規模なマンションやビル建築が主力のようで木造住宅(それもリフォーム)の依頼するのは適切でないような気がしております。

また、東京の大きな事務所に依頼するとなると連絡や相談で余計な手間が掛かることも心配ですし、現場を良く見ていただけるのかが気がかりです。(余計な心配なのでしょうが…)

地元には 実家の新築をお願いしたこともある、私も信頼する建築士さんが営まれる個人事務所があります。それとはなく 中古物件のリフォームについて相談をしましたところ 「多分、問題なく出来るだろう」との内諾もいただいております。

ただ、私としては やはり残っている設計図面に不足があるのが気がかりです。設計書面が完璧でない中修繕を進めるにはどちらの選択肢が望ましいのでしょうか?

色々な仕事をされている「よろず」の建築士の方のご意見をお聞かせ頂きたくお願い申し上げます。

1、売主様よりご紹介を頂いて 新築時の設計・監理を行った事務所に依頼をする。
2、面識があり 家族の事情も知っている地元の設計事務所に依頼をする。

他人が設計した建物の修繕を依頼される。あるいは 自分が作った建物が 他人の手で修繕される。 建築士の方はどう感じられるのでしょうか。

個人的には人柄も分かっている近くの事務所にお願いするのが気楽なのですけど…
 yorozuの感想 事前に必要な知識を学ぶことができ、不動産探しに大変役に立ちました。

当方の土地柄、近隣に住宅を手掛ける建築事務所が数多くあり、大変恵まれた環境を実感しました。それでも 我が家の周りは建売住宅ばかりです。
アドバイザー 
畔上 廣司  先ず、築26年ということは1984年(昭和59年)の建築ということでしょうか。

中古建物の概要は不動産業者さんの独自な内容のようでもあり、壁量計算書のみでも当時は自治体ごとの審査によって申請受理されていたようです。3階建ての確実な内容は法務局から登記簿謄本を取って確認しましょう。

次に、災害対策の強化をしたいということは、周辺環境や耐震性能上のリフォームを希望しているものと察しますが、矩計・床伏・小屋伏の各図面が不足していること、地盤調査の有無を含め、設計図の構造仕様が実際の建物と照合できない不安を抱えたままのリフォーム着手に思い悩む気持ちが伝わります。

 1、2、どちらのケースも、特別な増改築や劇的なリフォームの要望などがなければ問題ないと思います。

しかし、既に建物検査の専門家によって建物診断が行なわれていることから、既存建物の検査リポートの内容を再チェック評価するなど、現状を確実に把握することが重要です。

K.Mさんの望む子供さんの成長に合わせたライフスタイルや将来像について親身に相談に乗ってくれ、さらに安全、安心を考慮した構造性能の向上などの要望について、的確に計画・提案し、総合的に判断する能力が問われていると感じます。
 橋本 頼幸 既に建物は購入されて、これからリフォームをする、という段階のようですね。

先ず、ご質問に対する回答ですが、1(新築設計者に依頼する)でも2(知り合いの設計事務所に依頼する)でもどちらでも良いと考えます。また、他人が設計した建物の修繕設計や監理をする、ことも、自分が設計した建物を他の設計者が修繕する、こともいずれも私は気にしません。

実際に私はリフォームも良くしますので、他者が設計した建物に手を入れていることになります。逆に私が設計した建物を他者がリフォームした、ということはまだ聞いたことがありませんが(自分で手がけることは時々ありますが)、きちんとした人が見てくれれば、それほど面倒でもないでしょうし、それほど無茶なリフォームにはならないと考えます。

その建物の設計者がだれであるかというよりも、KMさんとご家族のみなさんが、自分たちのイメージする生活を設計者と膝をつき合わせて話し合うことのできる、それを実現してくれる設計者に設計や工事中の監理を依頼することの方が大切だと思います。
 コメンテーター 
山口 雅克 新築時の設計・監理を行った事務所にその当時の担当者か具体的な仕事の内容を理解している人が在籍していればいいのですが、そうでなければ、単にその当時の資料が残っているだけと言う事になります。それでも、20枚程残っているのですから、新たな建て主の気持ちを理解してくれる方を選ぶ方向になるでしょうね。

それがどちらなのかは・・・K,Mさんが判断する事になります。

二人の解説にあるように、K,Mさんの思いを実現できるのは誰なのか、あってお話してみることでしょうね。

建物はあくまでも建て主のものなのですから、設計したものが建て主の意向で変化することは当たり前だと思っています。できうる事なら、その変化にも御付き合いしたいとは思いますが。
 事務局から 
  荻原 幸雄 どちらでもよいと思いますが、その前に整理することは大きい事務所でも担当する人間は2名程度です。ただ、担当した人間はやめたかもしれませんし、技術力も法律も日進月歩なので、特に元の設計者が必要ということもありません。

また、地元の知り合いということで安心ならばそれも選択肢です。違う事務所が入る場合はセカンドオピニオンとして機能することも考えられますが、そう考えるのも選択肢です。また、知合いというのが安心という時代ではないようにも感じます。HPのある時代です。幅広く、理念、信念、技術力、監理能力、設計能力の高い建築士にコンタクトをとって、選定することも方法です。

幅広く、ご検討ください。頑張ってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 この度は 私の質問に このような回答をありがとうございました。
非常に参考になりました。

結局、購入した住宅のリフォームは、地元の建築士さんにお願いすることになり、2月末から実際の工事に着手いたしました。

途中 新築時に設計・監理を行った事務所にもお電話を入れたのですが、コメンテーターの山口さまや荻原さまが書かれていますように、当時の仕事に携わった方は現在在籍しておられず、 設計図書の類も残っていないとのお返事でした。

今の建築士さんとお話ししていく中で 事前の住宅診断では指摘されなかった部分の不具合や、今のうちに追加で手を加えた方が良い場所も教えていただき、購入前に漠然と考えていた以上に勉強になりました。

やはり家に関しては身近に信頼できる「かかりつけ医」的な方を持つことの重要性を認識いたしました。

リフォーム工事が終わって 引っ越しができるのは もうすこし先ですが、やっと「我が家」の形が見えてきたように思います。

『建築よろず相談』の皆さまには、今回の相談だけでなく 著書で教えていただいたことも多く 実際に良い形で家の購入とリフォームを進めることができました。

このような場を ボランティアで維持されるご苦労は 大変なことと思いますが、これからもがんばってください。 
 その後  
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