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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.1281 基礎部分にクラックがあるのを発見

 相談概要 [氏名] S.T
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 茨城県つくば市
[職業] 団体職員
[年齢] 45
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦2008年2月23日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 118.41
[延べ面積坪] 35.75
[工事請負金額] 2762
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 14
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 4
[施工者名] T 筑波支店
[販売会社名] T 筑波支店
[設計者名] T 筑波支店 K.N
[監理者名] T I.K
 相談内容 現  象:
平成20年2月に新築し、同年の3月に入居致しました。

入居後1ヶ月程経った頃に、基礎部分にクラックがあるのを発見しました。
(クラックがある部分の犬走りにもコンクリートの亀裂があります。なお、基礎と犬走りは別々に施工しているので、つながっておりません。)

クラックは基礎部分の上から下まで入っており、すぐに建築業者へ連絡しました。その際、担当者の話は、よくあるヘヤークラックで心配ないとの事でしたが、新築間もなくであり、上から下まであるクラックであるのと、見た目で0.3mm以上あるクラックと思われたため、調査(クラックの大きさと原因の特定)と補修について検討をお願いしました。

しかし、その後、半年以上経っても何の連絡も無いため、再度連絡したところ、基礎の施工責任者が現状確認に訪れ、「この程度のクラックはヘヤークラックであり、問題ない。斜めに入るクラックは問題があるが、我が家のクラックはほぼ垂直なので問題無い」と言われました。しかし、その根拠を尋ねると、根拠は無く「経験上」とのことでしたので、それでは納得できない旨を告げ、再度きちんとした対応をお願いしました。

平成21年の4月頃に別な用件で訪れた別の担当者に、現場を見せ、再度対応を依頼し、その際に、コンクリート非破壊試験も行ってもらうように依頼しました。その後平成21年の6月に、クラックの大きさの測定と、コンクリート非破壊試験を行ってもらいましたが、その際に、もっと細かいクラックが他に5本入っている事を発見しました。(南面3本、北、東、西面各1本の計6本になります。)

クラックの大きさは、
@ 上部0.7mm 下部0.2mm(南面)
A 上部0.25mm 下部0.1mm(北面)
B 上部0.25mm 下部0.2mm(東面)
C 上部0.35mm 下部0.2mm(南面)
D 上部0.3mm 下部0.1mm(南面)
E 上部0.25mm 下部0.05mm(西面)
との結果でした。

また、コンクリート非破壊試験については、建物の周り5カ所(南面2カ所、北、東、西面各1カ所)を測定してもらいましたが、設計基準強度 21N/mm2 に対して 22.2〜24.6 の強度があり、コンクリート自体の強度は合格との結果でした。

その後、施工業者と相談し、クラックが大きくなることがないか確認するため、平成21年12月に再度クラックの大きさを再度計測し、その上で対処法を考えることとしました。
12月にクラックの計測を行いましたが、クラックの大きさについては前回より若干広がっているようです。まだ、詳しい報告書を貰っていないため、正確な数値は書けませんが、@の一番大きなクラックの上部が0.8mmくらいだったように記憶しております。その際施工業者に補修方法を聞いたところ、クラック部分の一部をV字型に削り、エポキシ樹脂を充填し補修するとこのことでした。また、美感上の観点から基礎のコンクリートの上から、化粧モルタルを塗るとの事でした。

今現在は12月に行ったクラックの計測結果の報告書を待っている段階で、1月の16日にその結果を聞くことになっています。
なお、参考として、現在の土地は家を建築するに当たり、地盤調査(スウェーデン式)を行い、柱状改良を行った上で建築しました。

相手の意見:
上記にも書きましたが、当初、施工業者は「通常あり得るクラックであり問題ない」との見解で、連絡しても再度こちら側から連絡しない限り音沙汰もなく、誠意を感じられない状態でしたが、担当者が代わり、クラック計測などの結果から、0.3mm以上のクラックがあることなどから、施工業者側の認識も変わり、今はだいぶ良くなったと感じてます。

しかし、説明等については、今ひとつ客観性に欠け、経験などに基づく話ばかりなので、こちらの要望として書面により、現在の状態、その原因の分析、安全性の根拠、対処法についての報告書を要求しています。

しかし、かなり施工業者にも要望や交渉を行い、やっと今の状態になっているため、施工業者に対しては信用出来ない気持ちがあります。

相談内容:
相談したい点としては、

@我が家のクラックが施工業者が当初に言っていたように「通常あり得るクラック」なのか、または通常あり 得ない危険なクラックなのか。
Aネットなどで調べると、0.3mm以上のクラックは危険と書かれているサイトを見かけますが、なぜ0.3mm以上は危険なのかが書かれているサイトを見つけられないため、その根拠が知りたいこと。
B今後このクラックについて、施工業者が言っている方法で補修を行った方が良いのか、または別な方法が良いのか。
C基礎部分のクラックと、犬走りの亀裂に関係があるのか。
D私も建築に関しては素人なので、気づいていない点や注意する点などを教えて頂けると助かります。

以上お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくご教授ください。

@のクラック(南側)

@のクラックの犬走り亀裂

Aのクラック(北側)

Bのクラック(東側)

Cのクラック(南側)

Dのクラック(南側)

Eのクラック(西側)
 yorozuの感想 今までネットで色々と調べたりしましたが、よくわからず、具体的な対処法をどのようにしたら良いのか迷っているところに、今回こちらのサイトに巡り会って、やっと相談できるところが見つかったと喜んでいます。

どうぞよろしくお願い致します。
アドバイザー 
 堀住 勝雄 図面や地盤調査結果、工事状況が分かりませんから適切ではない回答の可能性はありますので一般的なクラックについてお話しさせていただきます。

コンクリートは化学反応によって固まるとき収縮する性質を持っています。ですから何ら力の掛っていないコンクリートでも厚みの差や乾燥、凝固速度の差異によってひび割れが生ずることがあります。これは強度の高いコンクリートほどその傾向があります。(収縮クラックと言います)その場合は通常0.3mm未満であることが多いということだと思います。

ST様の場合、それを越えており、進行もあるようですので基礎の施工に問題があることが疑われます。さしあたりエポキシ充填で補修を行い、新たなクラックが発生するか、基礎上または床のレベル測定をして不同沈下の進行を継続的に見守ることが必要と思います。
床下に入れるようでしたら内部からの調査記録を残しておきましょう。

もし進行するようであれば何らかの対策を考えなければいけませんが進行が無いようでしたら心配はいらないと思います。
 古賀 保彦 1:我が家のクラックが施工業者が当初に言っていたように「通常あり得るクラック」なのか、または通常あり得ない危険なクラックなのか

コンクリートの性質上全くひび割れを生じさせないというのも難しい事ですから、その意味で、ひび割れは「通常あり得る」事ですが、現在のひび割れ本数・幅は新 築間もない物件にしては「危険である可能性がある」ひび割れではないかと思います。

2:ネットなどで調べると、0.3mm以上のクラックは危険と書かれているサイトを見かけますが、なぜ0.3mm以上は危険なのか

コンクリートのひび割れが危険である理由は、ひび割れから進入する水や酸素によって鉄筋が腐食し、鉄筋の腐食によって構造的な強度が低下するからです。 では、どの程度のひび割れ幅になると危険か、という事については多くの研究がありますので、判断基準をどの研究結果に依るのかという事もありますが、一例として日本コンクリート工学協会の許容ひび割れ幅によれば0.3mmを超えると補修が必要とされています。

また、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)によると、構造耐力上主要な部分に瑕疵が存在する可能性について、基礎のひび割れが0.3mm以上?0.5mm未満では「一定程度存する」、0.5mm以上では「高い」とされています。

3:今後このクラックについて、施工業者が言っている方法で補修を行った方が良いのか、または別な方法が良いのか

ひび割れの補修については、0.2mm?1.0mm未満のひび割れは、エポキシ樹脂注入工法、1.0mm以上のひび割れはUカットシーリング材充填工法またはUカット可とう性エポキシ樹脂充填工法等が主流のようです。

現在のひび割れが進行性のものなら、補修しても再発したり、他の部分に新たなひび割れが生じる可能性がありますので、原因を究明する事が先決かと思います。

また、仮に補修をしたとしても、化粧モルタルを塗るとひび割れの進行が確認しづらくなりますので、原因が特定できていない状況では仕上げをしないで今後の観察をされた方が良いでしょう。

4:基礎部分のクラックと、犬走りの亀裂に関係があるのか。

基礎と犬走りは別々の施工という事ですが、同じ位置にひび割れが生じています。差し筋されていて構造的につながった状態である事も考えられますので、施工会社に確認してみて下さい。

5:私も建築に関しては素人なので、気づいていない点や注意する点などを教えて頂けると助かります

ひび割れの原因としては、不同沈下・乾燥収縮・強度不足・過荷重・振動・施工不良などが考えられます。柱状改良がなされていれば、 地盤には問題はなさそうに思えますが、柱状改良のピッチとその間の基礎仕様も気になります。

また、部分的なひび割れの写真だけですから、その他に建物に生じているかもしれない不具合を確認する事もできません。基礎施工前の地業(地盤の締め固め状況等)や基礎の配筋仕様・施工状況が分かるような設計図書や工事写真、地盤調査報告書・柱状改良工事施工報告書・コンクリートの配合計画書・強度試験書などの資料はありますか? それらの資料がお手元になければ、施工会社から入手する事に努めてください(施工会社が作成・保管していればですが・・・)。

原因を推定するのに施工会社の対応が芳しくない場合は、第三者の建築士に詳しく調べてもらう事をお勧めします。
 コメンテーター 
山口 雅克 写真から推察すると地盤沈下があるようにも思えますが、家の周囲のどの位置にクラックがあるのかと敷地周囲の状況を把握できるとおよその見当もつけやすくなります。

第三者の、構造に強い建築士に資料や現地を見てもらうと具体策もわかります。

堀住委員が薦めているようにエポキシ充填で補修を行い様子を見てみるのがいいでしょう。

施工者には、補修後様子を見て、進行しているようであればそれなりの対応をしてもらうことを文書にして双方で持っておくと少し安心かもしれませんね。
 事務局から 
  荻原 幸雄 住宅の品質確保の促進等に関する法律
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/hinkaku.htm

平成12年建設省告示第1653号)
住宅品質確保促進法第70条に基づく「住宅紛争処理の参考となるべき技術基準」
http://www.how.or.jp/seinou/hoshou/sankou.html

瑕疵が存する可能性が一定程度存するのは亀裂幅が0.3mm以上とあります。しかし、これはあくまで参考となるべきという前提で作成されております。

基礎の亀裂として上部が開いているところから、羊羹を割る時に指の真ん中を起点に両端を押し下げて割りますね。すると上部からひび割れが発生します。このように上部に亀裂が多いところから、不同沈下の可能性を考える必要があります。

今後の注意点

進行性を確認することが大切です。方法として
1)亀裂の伸びを観測する。半年に1回程度で計測する。幅と長さ。
2)1階2階の床レベルを測定する。(最低でも部屋の隅の計測)これも半年に1回。
3)外壁のクラック発生、内壁のクラック発生の確認。
4)窓などの隙間の幅を確認。

これらを計測してください。
今後の証拠とするには第三者の建築士に計測を依頼することです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  お世話になります。
丁寧な回答を頂きありがとうございます。
頂いた回答を参考にしながら相手方と話し合いを進めてみたいと思います。

今度ともよろしくお願い致します。
 その後  
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