相談概要 | [氏名] S・Y [相談内容] 注文住宅の瑕疵 [相談建物所在地] 福岡県糟屋郡 [職業] 会社員 [年齢] 58 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 2009年12月 日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 1 [延べ面積m2] 98 [工事請負金額] 1900 [設計監理料] 0 [様態] 注文建築 [施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [18確認申請の為の委任しましたか?] した。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] 有る。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 8 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 15 [施工者名] I建設株式会社 [設計者名] I建設株式会社 N [監理者名] I建設株式会社 Y |
相談内容 | 現 象: 文章能力が不足していますが、よろしくお願いします。 引渡しの時期になって問題が発生しました。掃き出し窓両サイドの柱2本だけが長さ不足で桁との間に3oと4oの隙間ができています。当初、業者側は桁の収縮で隙間ができたと言っていました。こちらで柱の長さを測定すると、設計上は2598oあるべきものが2595oしかありませんでした。 私はプレカット加工ミスと施工時に気づかなかった施工ミスとして請負契約書に基づき、仕様書不適合の場合の改造義務を主張しています。 この状態で中間検査、完了検査が完了しています。 特に指摘は無かったようです。測定したかどうかは不明です。 相手の意見: 業者の言い分は、真壁・現し構造・土壁工法で構造材に水分が吸収され乾燥により収縮し、木造住宅の精度の観点からも通常起こり得るもで耐久性、使用上支障となることは無いと言っています。加工ミス、施工ミスを認めません。視覚的な問題として気になるなら、パテを埋めると言っています。 相談内容: 1.柱はJAS規格の工場でプレカットされたもので檜です。 特定の隣り合った2本だけが収縮するものでしょうか? 2.この状態では、桁に掛かる荷重は柱にかからず、ホゾ側面と桁穴との密着だけで支えている状態で、安全構造上問題とならないのでしょうか? 3・業者の言い分では、ホゾ自体も収縮してホゾが宙に浮いている状態では? 4.このまま仕様書不適合の場合の、業者改造義務は主張できるでしょうか? |
yorozuの感想 | 足掛け3年計画の最終段階で、このような状態になり困惑しています。 こちらのサイトも参考にしていましたが、自分が相談する立場なるとは思っていませんでした。 藁をもすがる思いでメールしています。 このような公平性が高いサイトがあれば大変助かります。 |
アドバイザー | |
山口 雅克 | 部分的な写真のみですから木材の収縮に関しては解説がし難いところです。 多少の隙間は仕方がないとしてもここだけなのでしょうか。 プレカットに使う木材は乾燥した材を使いますので加工時点での寸法の違いは少ないのが普通ですが、柱が縮むことは考え難いので、加工時の誤差と桁が反ったり痩せたりしたのがあわせて出てきたのかもしれません。 柱の長さをどのようにして測定されたのか分かりませんが、長さが設計図(プレカット図面のことでしょうか、設計図面のことでしょうか。ここではあまり重要ではないが。)と違うのであれば他の柱長さの寸法もあたってみてください。全体的な誤差の程度が推測できるでしょう。 では、相談の番号にそって解説差し上げます。 1:特定の隣り合った柱だけ縮むことは考え難いですね。これと同じような柱が他にもあるでしょうから、全体に比べてみてください。家のどの位置にあるかによっても木材の乾燥具合は違ってきます。(この柱は桧なんですか?写真では分かり難いですが) 2:見た目は不安ですが構造上の安全性では問題なしと思っていいでしょう。 3:ほぞも痩せない訳ではありませんが、桁と柱はどのようにして留め付けているのでしょうね。平屋の場合のこのような箇所の柱は外部側だけ金物で留めますが、それを視ることが出来ますか。 4:設計図や仕様書に不適合というより、多少の誤差の範囲といえなくもありません。(業者の腕の差とでも言いましょうか、)業者改造義務として何をどの程度求めていらっしゃるのか分かりませんが、リスクの少ない手当をするのが賢明かと思われます。 これを作り替えるとなると大変な作業になり、建て主さんと請負者の心労や経済的な負担は相当なモノになると思われます。まだ、出来上がったばかりですし、このような仕様(真壁、土塗り壁、構造材表し)ですから、来年の今頃までには色んなところに小さな隙間などが見えてくるようになります。暫くの間、様子を見てみるのがよいと思います。 来年の秋ごろに一年点検を行なってもらい、手直しをしてもらうといいでしょう。勿論、無償でしてくれるはずですから。 緊急を要することは別にして、気がついたところがあれば1/100の平面図にメモを書き込んでおくといいですよ。メモをもとに一気に済ませるといいですよ。 |
長谷川 明弘 | 写真を見た感じでは、集成材ではなく、ムク材を使用しているように思えますが、ムク材の場合、いくら乾燥材と言っても、集成材と比べても収縮は変わらないと思いますが、梁(桁)材が痩せる可能性は高いと思いますので、プレカットでのミスとは言い切れないと考えられます。 私も山口解説員がおっしゃってますが、誤差の可能性が高いのではと思います。 相談内容ですが、1番は、2本だけ収縮するとは思えません、あるとすれば全体的にあるのではないでしょうか?ただ先ほども書きましたが収縮よりも痩せの可能性が高いと思われます。 2番は構造上は私も問題無いと思います。 3番は、見ることが出来ないので何とも言えません。すみません。 重要な4番ですが、大きな欠陥と言う訳でなく、施工誤差でできた、不安要素と言う気がします。ですので、全面的にやり直しと言うよりは、建て主さんと施工業者さんが一番合理的に折り合いのつく方法を話し合った方が賢明だと思います。 後、建物全体をムク材で施工しているのであれば、山口解説員も言っておりますが、時間が経つと他の箇所も隙間が出て来る可能性がありますので、1年点検、2年点検はしっかりやってもらうようにしてください。 |
大内 彰 | 以下の解説はあくまでも推測ですのでご承知下さい。 2本の柱だけ長さを間違える可能性は低い。その2本だけが違う材料になっている場合は長さを間違えた可能性が高くなります。柱が長さ方向に縮むという可能性は小さいです。その開口のある面の下の階では柱が抜けた状態になっていないでしょうか? その2本の柱が梁で受けるかたちになっているとその梁が撓み、その柱と緊結されていない柱頭に載る梁は受ける荷重が小さいためにあまり撓まないために変形の差が出て隙間が出来ることがあります。 構造計算をどのように仮定しているかによって安全性が変わりますが、通常の設計(柱を受けている梁で1層分の壁と床の重量を負担させる(柱頭の梁に荷重を分散させない)で設計する)をしていれば心配することはないとは思います。 ただ、やはり隙間が開いた状態というのはいいことではないのでその隙間をエポキシ樹脂等で埋めるなどの処置をすべきだと思います。 |
コメンテーター | |
今井 優子 | 各解説員の解説の通り、構造上の問題はあまり心配しなくても良いのではないかと思います。 現在の法律では、真壁・現し工法とはいえ、見えないところで金物を使わなければならなくなっていますので、金物が機能していれば問題はないと言えます。 このような造りの家は時間をかけて少しづつ隙間やひびが現れ、それを手直ししながら住んでいくものです。それが味わいになっていくのが良さでもあるのですが。 しかし、現代の大工には、隙間処理=パテ埋めという発想しか無いのですね。 埋木、接木など、センスと心粋を発揮する技術を持った大工がいなくなってしまったのは本当に残念です。 もっとも、現代の建築主は、そんな大工を育てる“旦那衆”でもないですが・・・。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | ここは2階ですか?1階ですか? 1階の場合は上部に1層分の荷重がかかるので、通常は隙間が空くことは少ないと思います。 2階の場合で屋根荷重だけで、尚且つ、この梁が大きい場合で、むくりが上部に向く場合は空くこともあります。また下の梁が小さくてたわんで隙間が空く場合もあるでしょうが、この場合は設計が甘いといえます。 また、ほぞが長すぎて(加工ミス)でこれ以上入らないという可能性もあります。この場合、ほぞの受ける面積と荷重に確認をする必要があります。 樹脂を注入するのは美しくないので、その後は付け柱としての仕上げとする方法もあります。 隙間があくことはよいとは勿論いえませんが、木材は乾燥材であっても含水率0%はありません。15%以下がよいですが、それでも、その後は乾燥し、5%程度で落ち着きます。 乾燥するということは水分が抜けるということで、縮まることを意味します。この縮みが各種、複合的なことになると顕著に空きとして出る場合がありますので、一概に空きだけで判断は難しいところですが、設計した建築士か、図面があれば第三者の建築士でも判断はできます。 壁の仕上げに割れなどがなければ、一先ずは心配はいらないとは思います。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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