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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.1275 地盤や土地の形状等に疑問

 相談概要 [氏名] SJ
[相談建物予定地] 千葉県鎌ケ谷市
[職業] 新聞記者
[年齢] 33
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦2010年5月頃日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 98
[延べ面積坪] 28
[工事請負金額] 1600
[設計監理料] 0
[様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅)
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。
[18確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 0
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 2
[販売会社名] P
 相談内容 現  象:

相手の意見:

相談内容 :
1年近く、新築一戸建て(建売、建築条件付き、注文住宅問わず)を千葉県北西部で探してきました。なかなか、いい物件に出会えず諦めかけていたのですが、このたび不動産業者(仲介)より紹介された物件に関心をもったもので、話を進めています。

ところが、地盤や土地の形状等に疑問を持ち始めたため購入を断念すべきか迷っています。建築関係には明るくないもので、どうか建設的なアドバイスをいただきたいと思っております。よろしくお願いします。

<物件概要・土地>
142u、第一種中高層地域、宅地造成される前の地目は山林(前所有者は1区画分程度を自身の住宅として使用しその他は雑木林となっていた模様)、今年3月に移転し16棟開発現場となっている。
南面道路(接道8.9m、北面は12.96m)だが、左隣区画が旗ざお土地がかぶっており、そのぶん接道面が狭くなっている。
造成時には、6mほど掘り起こしL字擁壁を入れ盛土、崖下には水路を作ったとのこと。この擁壁は行政許可が下りている。
上記の対策をしたので、軟弱地盤ではないとの説明だが、支持杭による地盤改良工事(60万円)を提示されている。
さんずいや海の生物の付く地名が近隣にあり、擁壁下には貝殻山公園という27011uの公園があり、池を有している。

<物件概要・建物>
98u程度の2階建て、在来工法の家を検討。まだ間取りの図面のみ。

<不安な点>
・北面側真後ろ隣家の壁(1.4m程度)はブロックで作られており、2、3本のクラックが入っている。ブロック上のフェンスはたわんでいる。(購入予定土地には隣家ブロック3段を残す高さまでのコンクリート壁が作られている。補強するためとのこと。)
・北面側左後ろ隣家の壁(1.4m程度)は、上3段がブロック、下はコンクリートのため購入予定土地の補強はされておらず。また、家自体も傾いている。不動産業者の説明によると、傾いていることを知りながら1000万円で購入された大工さんが居住されているとのこと。
そのお宅も6m程度の崖の上に建っている形なのだが、擁壁を作っておらず、崖自体がうっそうとした雑木林になっている。
建て替えを考えているにしても、擁壁無しでは建築許可が下りない、しかし擁壁を作るとなると相当の費用がかかる、違法ながら自分で補強していくつもりなのではないかと不動産会社営業は話す。

<お聞きしたいこと>
・北面側隣家では不同沈下もしくは、崖崩れが起きている可能性があるのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか?
・ここで家を建てた場合、将来的にどのようなデメリットが考えられますでしょうか?
・建築上の配慮で上記デメリットを最小限に抑えられるものでしょうか?
また、どのような対策が考えられますか?
・不動産会社もしくは売主が、この問題の住居にお住まいの方へ安全な状態にしていただけるよう申し入れできないものなのでしょうか?

 以上、どうぞよろしくお願いいたします。
 yorozuの感想 様々な質問に真摯に、そして大変分かりやすくお答えになっている様子に、信頼感を持ち安心してご相談できました。
住宅の購入は、多くの人にとって、一生に一度の大きな買い物です。できるかぎり、後悔や失敗は避けたいものです。
今後も多くの不安や懸念を抱える消費者の道しるべとなっていただけることを切に望みます。
アドバイザー 
 武田 直行 誰でもできる土地の良否の見分け方はその土地の歴史を調べ上げることだといわれます。
その土地の歴史を知るには、地誌を読んだり古老の話しを聞いたりすればいいのですが手っ取り早い方法として古くからの地名に注意することです。

お調べになった附近の地名から想像すると宅地としては注意を要するもののようです。

まず真北の隣地のブロック擁壁を補強したコンクリート擁壁ですが水抜きはきちんととられていますか。既存のブロック擁壁は水抜きがとられていたと思いますがその水抜きを補強したコンクリート擁壁にも延長して処理されているのか確認が必要です。そうでないと大雨などで隣地地下水の水圧が増した場合は崩壊の危険があります。

つぎに造成のさい6m掘り起こしてL型擁壁を入れ盛り土されたとあります。
このような場合注意しなくてはならないのはL型擁壁の盛り土には通常山砂を用いますが盛り土に粘土分が多く含まれたり悪質な場合、廃材やガラ、木の根などがまじって埋められる場合があります。このような場合は盛り土が十分締め固めができないため、雨水が流れ込んで圧密沈下を起こすことになります。さらに家がこの盛り土部分と地山(元からの硬くしまった地盤)にまたがる場合は要注意です。家の不同沈下を生む恐れがあります。

敷地が軟弱地盤でないと説明を受けてるのに支持杭の提示があるとのことですがこの点についても理由や工法など確認する必要があります。

造成地では地盤が固まるのに数年はかかるといわれていますがこの点についても確認する必要があります。

家の基礎についてもべた基礎になっているか、布基礎か確認が必要です。べた基礎の方がより安全だといわれていますが最初に述べたように不同沈下を生む可能性があります。

住宅の購入は一生に一度の大きな買い物ですので後悔失敗のないよう業者との打ち合わせにも建築士など専門家に入ってもらうことをおすすめします。
 大内 彰 武田解説員のアドバイスにもあるように注意が必要だと思われます。

不動産業者の軟弱地盤ではない、という説明は何を根拠としているのか疑問です。
擁壁の基礎下の地盤はよいのかもしれませんが埋め戻した土が軟弱なので支持杭(柱状改良のことでしょうか?)が必要だということでしょう。

北側隣家では不同沈下が起きている可能性は高いです。
心配されているように、北側の擁壁の崩壊も心配されます。
その擁壁の安全性は隣地の方の責任ですから補強等の対策をお願いすることは可能ですが受け入れてくれるかどうか、法的な対応も難しいのではないかと思われます。

対処としては北側の擁壁が崩壊した場合でもこちら側の建物が受ける被害が少なくなるように、少なくとも崩壊した土砂が被る範囲はRC造にしてそれなりの設計をすることだと思われます。
影響のある範囲以外を木造とすることは可能です。

大工さんだけでは対応しきれない内容を含んでいるので構造に明るい建築士に相談されることをお勧めします。
 古賀 保彦   ・隣家の傾きの原因が不同沈下や崖崩れによるものかどうかは文書だけで判断するのは難しい事です。地盤がこちら側へ膨らんでくるのを抑えるために新しく補強コンクリート壁を設置されたのだと思いますが、その上部に残ったブロック塀の状態や隣家の位置関係によってこちら側に生じる被害の想定も変わってくると思います。

・崖崩れに対しては、崖側に十分なスペースを空けてご自宅を建てる事ができれば良いのですが、それができない場合は、自衛策として建物の構造を堅固にしたり擁壁に変わるものを設けるなどの方法も考えられます。

崖付近で建築する場合の規則は行政が定めていますが、千葉県では、建築基準法施行条例第4条(がけ付近の建築物の敷地等)で2mを超える崖付近の建築規制や建築する場合の構造などについて規定しています。今回の崖高さは2mに満たないようですが、ご参考にはなると思います。

・今回新たに造成が行われていますが、既存のブロック塀が築造されたいきさつが不明ですし、境界塀(擁壁を含む)の維持管理についてはどちらが所有しているかに関係なく両者の費用負担とする考え方もありますので、一方的な話しにならないようにご注意なさった方が良いと思います。

 いずれにせよ隣家が傾いているのはそれなりの原因がある訳でしょうし、文書だけでは見落としている事もあるかもしれません。

また、新たに築造されたコンクリート擁壁の設計図書が入手できれば付近の地盤性状の他に何か分かる事もあるかもしれません。

専門の方に現地を見ていただく事をお勧めします。
 コメンテーター 
星 裕之 http://www.jiban.co.jp/geodas/ のサイトにて周辺地域で改良が行われたか確認が可能です。
ご相談場所の近辺は「沢」という文字がついているものの比較的良好な地盤のようです。
ただし今回のように傾斜地・造成地である場合は別でしょう。

また、10年保証が義務つけられてから地盤改良を行う事がとても多くなったと感じます。
今回もいちおうは安全であるが、念には念を入れたいという面があるのではないかと思います。

北側の件については大内解説員の助言のように自己防衛に努めることが良いと思います。隣家に申し入れても費用が発生することですから難しい面があります。

また、斜度が緩ければヨウ壁をもうける必要はありません。このあたりは土質に強い構造設計者の領域ですし、保証の関係がありますから簡単に判断はできないかと思います。

家は長く住むところ。ご近所付き合いもありますし、不安があるのならその敷地は避けた方が良いではないかと私は思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 擁壁が周りに存在する土地は相当入念に、事前に建築士に立ち会ってもらって購入を判断すべきです。

このような土地は下記の注意が必要です。
1)埋土などで、軟弱である可能性があり、不同沈下の可能性が高い。
2)擁壁形状により、杭や地盤改良ができない範囲が存在する。
3)擁壁の構造図面と許可申請の写しは必ず入手する。
4)擁壁に水抜きが存在すること。
5)亀裂などが少ないこと。
6)擁壁近くには原則建築できない場合があること。
7)地震時に擁壁が転倒若しくは移動する可能性があり、書類などで確認判断が必要になる。
8)擁壁であることで、建築費が高くなる場合がある。
9)老後の階段など上り下りを判断する。(バリアフリーでないので)
10)擁壁の下の排水が考慮されているか確認する。

以上の10カ条を建築士に確認してもらってから購入の判断としてください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  早々にご返信をいただき、ありがとうございます。
また、皆様方それぞれの丁寧なアドバイスに感謝いたしております。

昨日も、両親とともに現地へ行き、不動産業者より説明を受けたのですが不安を払拭できず、また両親も不安が残る土地だとの言葉を残しておりました。

L字擁壁が薄く思える、補強された北面擁壁は隣家の壁と密着するように造られ水抜きもない、など。
そして、不動産業者から購入の意思を連休中に決定して欲しいとの話があり時間的にも余裕がない状況です。(数組、検討されているお客様がいるとのこと)

皆様のアドバイスをもとに、再度仲介業者に説明を求め、熟考したいと思います。
 その後  
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