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一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.1274 メーカー側の見解の妥当性を知りたい。

 相談概要 [氏名] TM
[相談内容] 建売住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 山口県宇部市
[職業] 教員
[年齢] 39
[男性] on
[構造] 木造(その他)
[引渡し年月日] 西暦2009年12月1日予定
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 126
[工事請負金額] 3400
[設計監理料] 0
[様態] 建売り住宅
[施工者] 大手ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 0
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 0
[施工者名] M
[販売会社名] M
[設計者名] M
 相談内容 現  象:
[概要]
大手メーカーが集合団地に建てたモデルハウスを建売として販売。
2008年11月:基礎工事
2009年 1月:完成
2009年9月にメーカーから紹介をうけ、気に入った物件だったので契約準備中にクラックを発見。
・木質パネル工法2階建て
・地盤:丘陵地、沖積層(粘性土地盤)
・スウェーデン式サウンディング法(立会者なしとありますが、普通ですか?)による地盤調査の結果
 ・8箇所測定
 ・換算N値すべて3.0以上
 ・東南角が一番軟弱(2.6mのところで換算N値80.5。そこまで1.75m付近で最小値3.0)
 ・その他の測定箇所では2.1mまでのところで換算N値が50を越える。
 ・沈下に関する検討:東南角は「中」。その他は「小」。
・→東南角を突き固め十分にし、標準基礎(F = 50kN/m^2用基礎)

[クラックについて]
1. 2009年10月下旬に発見。
・基礎部分西側中央付近(北側から3.5/8のあたり)にクラック。玄関などがない側なので、四方の中では一番基礎が長い部分(8m)。
・基礎部分上端から縦に30cm以上、幅0.3mm以上(テレフォンカードが差し込めた)、 差し込んだ深さは5mm以上

2. メーカに連絡
→ 建築担当者と営業が現地確認の結果「表面塗装のクラックのため引渡しまでに補修する」との回答。

3. 目視でも5mm以上の深さのため表面塗装より深いのではないか?とメーカに問い合わせ。
→ 「5mm程度の深さであれば問題ない。
深さ20mm以上であれば構造強度に問題があると考える」との回答。

4. 建築担当者、営業と一緒に現場確認。クラックスケールにて幅を確認後、床下にもぐったところ基礎内側にクラック確認。
 ・基礎外側のクラック幅0.4mm〜0.45mm
 ・基礎内側のクラック幅0.3mm
 ・鉄筋が入っているところを貫通していると思われる。
 ・その他、建物内側の基礎人通口に貫通クラックのほか0.1mm前後のクラックが数本確認。

5. メーカ側の建築担当者による説明
 ・コンクリートの仕様を説明
 ・水分量が標準よりも少ないことを伝票より確認。(単位水量基準が185kg/1m^3のところを172kg)
 ・コンクリートの質が高いことを納品書より確認。(強度30(?手元に資料が無いので単位が分からない)のものを発注、実際に納品されている)
 ・サンプル3個の強度試験結果(数日後および4週間後)を確認。(最低値、平均値共にOK)
 ・クラックが縦型であること、基礎工事後2年を経過していないこと、コンクリートの質が高いことより、乾燥収縮によるものであると判断。樹脂充填による補修後、定期的に経過観察。
  「経験上問題ないレベルのクラックと思います」とのこと。

6. 第三者機関(ホームインスペクタ)による検査を依頼
 → 社内基準により管理をしており、上記の補修を予定しているため、十分な対応をしている。従って、第三者機関による検査には応じられない、とのこと。

相手の意見:
[見解] 乾燥収縮

[理由]
「ひび割れが縦型であること」「ひび割れが0.5mm未満であること」「コンクリートの配合、圧縮試験、受け入れ検査などの施工記録から、コンクリートの材質に問題がないと判断したこと」
「コンクリート材料の特性より、幅が8mの基礎のため、十分置きうるべきクラックであること」
「発生時期が2年いないであること」「第三者機関による基礎配筋検査に問題が無いこと」

[対処]
・クラック幅が0.3mm以上の箇所はエポキシ樹脂注入→定期点検で経過観察
・クラック幅が0.3mm未満の箇所は弾性材料を表面充填

[補足]
第三者機関による建物の検査は受け入れない。上記の対処方法に納得できれば契約してほしい、できなければ契約をしないでほしい。

相談内容 :
メーカ側の上記見解の妥当性を知りたい。
第三者機関による判断が仰げないため、上記の対処方法が妥当であれば契約、妥当でなければ申し込み解除となる(契約前のため違約金等は発生しない)。

物件のその他の条件(質や価格など)には満足しているので、対処方法の妥当性の判断が必要であるが、素人には判断ができないため、アドバイスを受けたい。


 yorozuの感想 過去の相談事例がたくさん載っており、参考になりました。
有益なページと思います。
配色については、目が少しちらちらしました。
アドバイザー 
 大内 彰 クラックの原因が不同沈下なのかどうかの判断方法について述べます。

地盤調査の結果から、上部地層が沖積層で換算N値が最低3以上、その層厚が2.1m〜2.6m。そしてほぼ中央でのクラックの幅が0.5mm。

以上のことから以下のようなことが考えられます。
イ.換算N値が3以上であれば悪い地盤ではない。
ロ.沈下の恐れのある地盤の厚さに大きな差がない→N値のグラフに大きな差異がなければ不同沈下の可能性は低い。
ハ.建物の長さが8m、基礎の高さを0.4mと仮定すると、南西角での変位xは
 0.5/0.4=x/(8.0/2)、x=5.0mmとなり、この程度の変位が確認できるか?
 5mmも変形していれば建物の外壁がモルタルなどであればクラックが生じている可能性が高い(サイディングなどではクラックは殆ど生じない)。もしくは既に補修してある(外壁を補修していれば基礎についても補修しているはず)。
ニ.不同沈下していれば南東角でも沈下していると思われる。

上記、ハ、ニについて確認することで不同沈下なのか、別の問題(乾燥収縮の可能性が高い)が原因かが判断できます。

50kN/m2の基礎ということなので布基礎だと考えられます。
建物外周を20cmも掘ると布基礎が出てくると思われますのでそのコンクリートの天端でレベルを確認すれば良いと思います。
 山口 雅克 以前戸建て用の分譲団地で相談を受けて、モデルハウスを調査に行ったことがあります。
よく似たケースかと思われますので解説をいたします。

コンクリートの品質に関してはある程度のデータがありますので今以上のことを疑ってみても大きな意味はないと思われます。
ですから基礎の設計に関して疑問点を探ってみます。

丘陵地の開発分譲ですから、敷地内に切り土と盛り土の部分が存在する可能性が高いと判断してもいいかもしれません。
SS調査を8カ所も行なっていますが、通常5カ所なのに8カ所行なっている訳ですから、なぜそのようなことをしたのか推察するのも大切です。
換算N値が3程度なのにいきなり80とか50の値があるのも疑問があります。SS調査では換算N値は15〜20が限度で、それ以上は固くて調査が出来ないからです。
また、いきなり固い地盤に中っている訳ですから、そこに岩盤や擁壁の基礎があったのではないかとも思います。

沈下に関する検討でも「中」と「小」が示されていますので、十分に付き固めたにしても不同沈下が発生したと思うのが妥当ではないでしょうか。

貫通クラックが発生しているのとクラックの幅からそのような気がいたします。

第三者の検査の検査がどのようなものを指すのかわかりませんが、TMさんの購入のためのアドバイザーとして専門家に見てもらうのもいいでしょう。

始めに書いた分譲団地(全国大手の不動産・ハウスメーカー:9年前なので今の構造規制ができたころ)の物件では同じようなクラックがあり、販売者からは納得がいくまで見てくださいとのことでしたので、床下まで入って視てみました。
鋼管杭を使用していたにも関わらず、杭の水平撓みや擁壁、敷地表土の状況から推察できることがありましたので、依頼者さんは堅実な判断をされました。
 コメンテーター 
星 裕之 基礎や地盤については専門家でないと正確な判断がしにくいものです。
調査の立会いについては、元請の立会いが無い事も多いものです。また、文中にある換算N値が80や50を超えるというのは記載ミスではないですか?
80kN,50kNなら理解できます。
そのように又聞きでは難しい問題なのです。

データが正確だとして、支持層が比較的浅くその支持層も50cm程度の差でしたら、私も不同沈下によるものではないと思います。

そうはいっても各解説員のコメントを参考にしながら専門家にデータや現地を確認していただく事を強くお勧めします。
 事務局から 
  荻原 幸雄 専門家としては、ご相談内容だけでは判断がつきかねます。
北側と南側では深さが違うところから山側が北ですね。日当たりは良さそうですね。でも、盛土が平均的でなく深さに差があることから、沈下には注意が必要な土地です。

クラックについては貫通しているところから、収縮亀裂ではないように感じます。
構造クラックだとしても、不同沈下を確認しなければなりません。

購入前の相談なので、ご自分で選んだ建築士に購入前の調査を依頼する方法もあります。
1)クラック
2)基礎天端のレベル確認
3)1F床のレベル確認
4)2F床のレベル確認
以上をすれば凡その判断ができます。

大きな買い物ですから、同行調査を建築士に依頼しましょう。
どこでも、受け入れますので、心配はいりません。

写真は特定されないので、問題もありません。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  
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