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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No.1270 型式適合認定の詳細図面は開示されるものなのか?

 相談概要 [氏名] S・S
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 静岡県 磐田市
[職業] 無職
[年齢] 61
[男性] on
[構造] 鉄骨造(ブレース構造)
[引渡し年月日] 西暦  1993  年 5 月 27 日
[公庫使用] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 144
[延べ面積坪] 43.6
[工事請負金額] 2295
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 大手ハウスメーカー
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 11
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 約10回くらい
[施工者名] S社
[設計者名] S社:一級建築士T・N
[監理者名] S社:一級建築士T・N
 相談内容 現  象:
要旨:企業秘密と型式適合認定に伴う大臣認定書と別添図書の情報開示内容は?
(No.307類似相談有)

平成21年7月9日にS社H支店の支店長宛に下記のファクシミリを送付した。

 確認通知書平成○年○月○日確認番号第○○○号申請書類中指定書(写)建築基準法施行規則第1条第1項(改定前)の規定に基づき、建築確認申請書の添付書類から除く設計図書として、同項の表中(は)項に掲げる図書のすべて及び鉄鋼系プレハブ住宅簡易耐火仕様、工業化住宅性能認定番号○○○,省令簡耐承認番号省簡−○○○、省簡−○○○の複写一式及び電磁データ一式の提供を求めます。

 同確認通知書に添付された建設省指定書は写しであり、その鉄鋼系組立構造の構法及び材料の詳細は貴社が大臣指定(建築基準法旧第38条)の適用を受けるに際し、同認定申請書の別添文書即ち「設計要領及び施工説明書」「施工管理規定及び標準工事仕様書」及び「部材品質監理仕様書」の内容を示すものです。
 これらの文書は、平成4年12月25日締結の建築工事請負契約及び工事用最終決定図面に基づく具体的材料且つ当該構法の仕様であり、契約内容を構成する設計図書そのものである。
 契約者(注文者)は、建築物の構造性能に関し契約上知るべき及びその内容の詳細を受けるべき地位にあり、当該契約書に添付され、設計図書を構成する特定文書である。
 なお、これらの大臣指定認定設計図書文書は財団法人日本建築センターに保管・現存している。同財団の住宅局、評定部の担当部署に確認済みです。

 言うまでもなく対象となる型式適合認定は、建築材料、建築物の部分の設計仕様について、あらかじめ建設大臣が構造上の基準等の技術的基準に適合することを認定することにより、個々の建築物ごとの性能の検証のための計算や仕様規定との適合等を省略し、申請者の負担軽減、建築確認又は検査時の審査の簡略化を 図るものであることから、規定への適合の検証に時間を要するもの等、建築確認・検査時の審査が省略されることの効果が高いものを対象とする。
 この考え方により型式適合認定の対象を次の3種類とする。
(1)建築物の部分の設計仕様(プラン)が、構造、防火、設備等の一連の規定に適することについて型式適合認定を行うもの。(対象:S社の型式)
(2) 建築設備、防火設備等で、構造、防火、設備等の一連の規定に適合することの認定を受け、かつ、型式部材等製造者認証を受けることが想定されるもの。(対象:エレベーター、防火設備(防火戸)等)
(3) 準用工作物の部分で、準用される構造、防火、設備等の一連の規定に適合することの認定を受け、かつ、型式部材等製造者認証を受けることが想定されるもの。
(対象:観光のためのエレベーター、遊戯施設等)がある。今回の請求内容は、(1)の内容が該当する。

 数日前から、S社H支店総務課K課長と電話での話しを再三しているが、建築基準法(旧第38条)に基づく呈示すべき図面の名称のリストをご提示ください。
 当該建築確認申請書に記名・押印している一級建築士T・K氏(登録番号○○○号)に確認をとり同氏のご判断による上記大臣指定設計図書の複写一式及び電磁データの提供を請求するものです。
 なお今回の大臣指定認定設計図書一式の請求の件で、契約者(注文主)が財団法人日本建築センター本部(東京都千代田区外神田六丁目1番8号)に出向き閲覧等の時間手間を掛けない様にお願い申し上げます。至急速やかにお取り計らい願います。 
      
その後、下記同上ハウスメーカーの回答見解のため、日本建築センター本部に閲覧希望を伝え、期日指定で閲覧をした。そして行政文書開示請求書を国土交通省広報課情報公開室宛に担当部署住宅生産課を郵送する。

相手の意見:
電話で一言「企業秘密のため開示する必要はない。」

相談内容 :
結論として、国土交通大臣宛行政文書開示請求書を提出する。
下記の文書を担当行政官は行政文書と認める。
 行政文書の名称:工業化住宅認定等別添図書、建設省阪住生経○○号、認定年月日:平成4年○月○日

 以下は、国土交通省住宅生産課担当者に開示請求に関する問い合わせ内容である。
 財団法人日本建築センターが保管している工業化住宅認定等別添図書(昭和55年建設省告示第1790号第8号認定建設省阪住生経○○号S社型式 A4判129頁)を情報公開法に基づく開示請求する。
 情報公開に係る国土交通省審査基準、行政機関の保有する公開に関する法律の審査基準(最終改正平成18年3月22日国広情第290号)第2形式要件の審査1行政文書該当性の審査基準
  (1)開示請求の対象となる「行政文書」とは国土交通省の職員が職務上作成し又は取得した文書、図面及び電磁的記録(在り)であつて国土交通省の職員が、組織的に用いるものとして、国土交通省が保有しているものをいう。
「保有しているもの」とは、所持している文書をいう。
  この「所持」とは、物を事実上支配している状態をいい、当該文書を事実上支配していれば「所持」にあたる。
今回の場合、旧38条の規定により省略された大臣認定説計図書(工業化住宅認定等別添図書S社型式)である。
財団法人日本建築センターは、業務の委託に伴い昭和62年以降の工業化住宅認定等別添図書の資料を保管している。
これらの情報開示法に基づく不開示情報イ法人等情報に該当し、下記の条文の解釈及び反論をご教示ください。

@公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの(行政情報公開5条2号イ)
A行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであつて、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当事の状況等に照らして合理的であると認められるもの(行政情報公開5条2号ロ)
 yorozuの感想 「建築よろず相談」を自宅の新築前に出会いたかった。
素人(退職後宅地建物取引主任者、マンション管理士の資格をとる。)と一級建築士の専門知識量の格差を痛感しています。

「ごまめの歯軋り」から「一寸の虫にも五分の魂」と成りたいと思います。
各建築士等の専門家のアドバイス&コメントは、適切妥当な内容に敬意・感謝をしております。
アドバイザー 
大内 彰  S.S.さん自身が既にかなり深い部分まで調べ上げていらっしゃるようですね。
S.S.さんがお聞きになりたいことは私たちが生業としている設計業務とは違いますのでアドバイスできるような内容ではありません。

S.S.さんの相談に応えられるようなその方面に明るい弁護士をお探しになって相談されることをお勧めします。
 コメンテーター 
古賀 保彦 残念ですが、ご相談内容が情報公開法の条文解釈という事ですので、解説員と同じく私も建築士が解説し得る範疇を超えていると思います。ご自身で、または弁護士さんの協力を得て行政と折衝・開示請求を行う他ないのかもしれません。

 ただ、どのような理由によって開示を求めていらっしゃるのか、相談内容には書かれていませんが、建物の維持管理を行っていく上でその構造体がどのような仕組みによって成り立っているのかが分からないと手のつけようがないという事もあると思います。

 例えば住宅内に重い物を置く場合に床や柱がどの程度の重さに耐えられるのか、或いは、増改築するに当たり既存の耐震性能を知りたい、というケースもあるでしょうけれど、それが分からないとなると新築時のハウスメーカーや施工会社に依頼せざるを得ません。

在来工法や枠組工法などその仕組み情報が共有化されているオープンな構造システムでは、その知識を持っていれば他者でも対処は可能ですが、特殊な工法で供給元が情報を出さない場合は対処の仕方も分かりませんから。この場合、供給元が倒産などしてしまったらお手上げになってしまいますね。

 少し調べてみましたら、情報公開5条2号には、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、不開示情報には当たらない、というような内容も記載されています。

この分野では当方門外漢ですので、これをどのように解釈したら良いのかわかりませんが、住宅を構成する情報はそれに該当するものなのかどうか・・・。

 建築基準法第1条にも、似かよった内容が書かれています。
「この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」
何だか通じ合うものがありそうな気もするのですが・・・。

 さて、これは当方の心配ですが、情報が入手できたとして、その情報をどのように生かす事ができるか、という点です。
構造情報に関しては相応の知識がなければ理解する事は困難だと思われますし、包括的な情報を個別物件に当てはめていく作業も然りです。改修となれば既存のものに手を加えるノウハウも必要となるでしょう。ところがブラックボックス的な仕組みであるが故に、それに対応できる人は限られそうです。となると、結局はメーカーに依頼する他はない、という事になる懸念もでてきます・・・。

 情報開示の目的が分かりませんので、見当違いの事でしたら恐縮ですが、そのような事もお考えになりながらお進めになられてはと思います。難しい問題を抱えた内容と思いますが頑張ってください。
 事務局から 
  荻原 幸雄 内容が法定判断になっているので、それを補強する知識はありませんが、個人的見解として記載させていただけたらと思います。

できればご相談の目的である情報公開後の方向性を見いだせないので、かなりの偏りの一言になることを事前にお断りして、話を切り出したいと思います。

私も型式認定には疑問があります。
全ての大手ハウスメーカーは「企業秘密のため開示できない。」と異口同音です。

建築よろず相談にも「大手ハウスメーカーに依頼するのですが、工事監理は別に第三者に依頼したい。お願いできますか?」という質問を多くいただきます。
当方は「勿論、設計者と工事監理者は建築基準法からしても人格が違うので、可能です。ただ、問題があります。設計図の詳細図面を提出しないと思いますよ。ご確認ください。」
その後はメーカーは提出を拒み、建築主の工事監理は第三者に委ねたいという権利は制限されることになります。

この民主主義の国において、建築基準法に記載されている、建築主の保護を目的とした「建築士法 第2条7項 この法律で「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。」と記されています。
この工事監理者を建築主が定めることが、建築基準法第5条の4第4項に「建築主は、第1項に規定する工事をする場合においては、それぞれ建築士法第3条第1項、第3条の2第1項若しくは第3条の3第1項に規定する建築士又は同法第3条の2第3項の規定に基づく条例に規定する建築士である工事監理者を定めなければならない。」と記載されており、建築主が工事監理者を定める自由が保障されているものと解され、事実上、大手ハウスメーカーは設計図書を公開せず、工事監理の業務を事実上、社員の工事監理者を選定しなければならず、事実上、工事監理者選定の自由を奪われているのではないかと考えざるを得ない。
これらを鑑みると、公開しない不利益を建築主が被ると考えることもできる。

また、「企業秘密のため開示できない。」ということは特許を取得すればよく、それで、保護される。
取得できないものを情報開示できない理由は当たらないと考えます。

また、ストック社会の中で建物を200年維持するためには、増改築、用途変更は当然ありうることであり、それに、建築主が備えることは当然の準備と考える。

また、その設計図書を備え保持することが、建築主の権利であり、将来の財産権を担保するものとも考えられる。

開示されることは当然と考えますし、政権が変わった現在では開示されることに期待したいと思います。頑張ってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  
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