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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.1267 壁面の塗装ムラほか

 相談概要 [氏名] R・M
[相談内容] 店舗・事務所等の欠陥建築
[相談建物所在地] 京都府長岡京市
[職業] 医師
[年齢] 61
[男性] on
[構造] 鉄骨造(ラーメン構造)
[引渡し年月日] 西暦 2008   年  8月  日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 237.5
[工事請負金額] 5700
[設計監理料] 400
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 3
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 15
[施工者名] I工務店
[設計者名] K工房
[監理者名] 同上
 相談内容 現  象:
この建築事務所と事務所紹介の工務店の組み合わせで
 1、自宅2006年完成 2、医院建築2008年完成。と2回も建築しています。
自宅の時も多少の完成後のトラブルが有りましたが、比較的良く対応してくれまず満足していました。

それで続いて医院の建築も依頼した訳です。
後の医院建築の際に壁面(すべての面)の塗装ムラおよび下地処理の不具合(写真1 目地がまるで障子の桟のように目立つ)に気づき。(自宅の時はよく観ていなかったため気づかず)、「鉄骨ALCでありながらALCの目地を埋めフラットにして鉄筋コンクリート造り様に仕上げ高級感を出す。」との設計者の売込みで建築したが当初より塗装ムラがあり一度塗りなおすが改善なくそのうちにALCの目地が壁面に浮き出し半年後には水泡?も出現し、非常に醜い壁面である。

設計者は建築後やり直すと言っていたが打ち合わせ中に泣き出し逃げ帰ってしまい当初約束していた対応の話に体調不良を口実に全く応じず電話しても居留守を使い連絡できず。
おまけに建築会社(設計事務所紹介の)は知らぬ間に店じまい(倒産ではない)困り果て、繰り返し建築事務所に連絡を取ろうとしたら突然弁護士から配達証明で「直接電話FAX等で設計者に連絡するな」との圧力をかけて来た。

施主をクレーマーに仕立てようとしているようだ。弁護士相手では怖くて物が言えず困っている。

他にも床が脆弱で医療器械を置くと凹んだり浮き上がったり。
トラブルがあってもどうしたらよいのかわからない状態。おまけに今回の医院建築で判ったこの不具合はその前年に同じ業者で同じ工法で建てた自宅についても壁面が全く同じ状態となっていることに今頃気づいたのである。(写真2)

相手の意見:
設計者は壁面の工法について「目地を隠しフラットにするなどと言っていない。」と言い、塗り斑は原因がわからない、精一杯やった。目地が醜く浮き出すのはほんの一瞬の事といいます。

こちらは最初に一般的な目地の処理のALCでと考えていたが設計者がこれが私のやり方の特徴と主張これでやらして欲しいと言ったからこの壁面処理となったわけで、素人の施主が壁面の目地を隠し鉄筋作りに見えるようにしてくれなどと言う筈もない。

高級感どころか通行人まで指摘するほどの目立ち方である。これを「見えない、主観的だ一瞬の現象だ。」と言い張り逃げまくり。

あげくには施主をクレーマーにし立て上げ弁護士を使い圧力をかけ黙らせるような設計者の人格を疑う。

相談内容 :
今後の対処の仕方について教えていただきたく思います。

公的な相談窓口や訴訟の方法について。

写真1

写真2
 yorozuの感想 訴訟等の場合の専門家としての不具合の証明をして欲しい。
アドバイザー 
 堀住 勝雄 直接の連絡が出来ないならばその弁護士が窓口となって話を聞く、ということなのか、それとも一切の苦情も質問も受け付けないという態度なのでしょうか。
いずれにせよ困っているお客様の声を聞く耳持たずという態度は理解できません。

ALC版と目地埋め、仕上げ塗料がどのような工法、材料で設計施工されたのか分かりませんが、一般に鉄骨造で振動や揺れが起こらないことは考えられないことですから、ALCの版間は微少なズレを許容することを前提に設計されている筈です。

目地と表面の材料がそのズレに対応出来る性能を持っているものが採用されていたか、少なくともその考察が為されていたかが争点ではないでしょうか。

採用されているALCメーカーに質問すれば目地を消す工法の可否、推奨工法が聞けると思います。
目地の問題を別にして色ムラについては写真から判断する限り、許容範囲ではないかと思います。

雨漏りや機能不全の問題については瑕疵が明らかになりますが、見映えの善し悪しは争点になりにくい問題です。世間に白っぽい建物が多いのは暗色は白い汚れが目立つから、ということではないでしょうか。一部に白華(はっか)現象のような部分が見られますが塗膜裏に雨水が浸入しているかもしれません。

クレーマー扱いされない為には、戦うためには武器が必要です。
床の問題も含め第三者機関に調査を依頼されることをお勧めします。
 橋本 頼幸 まず弁護士から配達証明で連絡が来たからといってあまり気にすることはないと考えます。
書面の内容にもよるかと思いますが、弁護士が窓口となるのか、単に文書を弁護士名で出しただけかをまずご確認ください。

もし弁護士が窓口となるのであれば、それをうまく利用することもできます。
つまり、弁護士にきちんとRMさんの考えや不満を伝えて、弁護士にきちんと理解してもらうことができれば、まともな弁護士であれば双方(つまりRMさんと設計者)にとって望ましい方法の解決に導いてくれることもあります。
ただ、依頼者である設計者の意見しか聞かない、と言う態度であればあまり期待できないかもしれません。弁護士が書面を送ってきたからといって、圧力をかけられたとか、いいにくくなったと考える必要はないでしょう。

さて、問題の建物についてですが、堀住解説員のコメントにもありますが、鉄骨造のALCで目地を埋めるのは一般的には採用されません。
塗装ムラについては残念ながら写真でははっきり分かりませんでした。
それも見栄えの上では問題かと思いますが、水が回ったり、医療機器を置くと床がたわむ、という状態の方が問題の可能性があります。
きちんと防水ができているのか、構造上の問題はないのか、そういったことを確認しておいた方がいいと思います。

自宅については3年前、医院については去年の話ですので、早いうちにきちんと原因を調べて、設計者・施行者に不具合部分の補修を求める必要があります。

そのためにもまず、中立公平な立場で原因と問題を切り分けてくれる専門家の協力が必要だと思います。
 星 裕之  壁の仕様についてのみ補足させていただきます。

鉄骨造ALCの目地を消す工法として「A」という製品が挙げられます。
また、木造の乾式工法をベースに目地を消す方法としてはP社のRやD社のD、M社のDが挙げられます。AとRやDはRMさんの物件と同様、縦貼のもの、Dは横貼になります。

横貼の場合でも相当丁寧にやっても光の加減で目地が浮き上がって見えることがあります。
また、縦貼りの場合はどれだけ丁寧に施工しても斜めの光に対しては、相談写真のように見えてしまいます。

メーカーの仕様では、以前の湿式構法のようにピリピリと多数の目地が入ることがないことを保証しているのです。だから目地が浮いて見えることは仕方のないことです。
また、1−2階間やALC5枚程度おきに目地が入っていると思います。
それらは、後々の割れ防止のためにメーカーで定めたものです。

そのような特性を考慮したうえで、もういちどご覧になっていただけないでしょうか?
尚、Rについては製造中止となっています。
おそらく同種のクレームがあったのかもしれませんね。

建築はなかなか難しいものです。
 コメンテーター 
古賀 保彦 2棟の建物にご一緒に取り組まれた関係がこじれてしまって残念な事と思います。

設計者が当初やり直す約束をしていたものの、それが今の状況になってしまった詳しい経緯がわかりませんが、先方が弁護士を立てる迄に至ったやりとりの中で、何か相手方の気持ちを変えてしまったような要因があったのかもしれません。
建主さんとしては頭にくる話しだとは思いますが、経緯を振り返り落ち着いて方策をお立てになられたらと思います。

解説にありますように、まず第三者の建築専門家に入っていただいて、不具合確認・原因調査・対処方法などの検討を行い、またそれから相手方と交渉していく方法も含めてご相談されてみてはいかがでしょうか。
 事務局から 
  荻原 幸雄 写真をCDでお送りいただき、数多く、現象が拝見できたので、相談内容が、よく、理解できました。写真では確かに外壁のムラや、目地の陰影、など不具合が見て取れます。

医院は建築それ自体が看板であるので、自宅では気がつかないことでも、気がつかれる方も多いと思われます。

デザイン的に建物自体が看板になるデザインを表現できていると思いますが、デザインが鉄筋コンクリート造(以下RCという)に固執したデザイン担っているところをみると、当初はRCで検討したが、予算的に鉄骨造のALCに断念した。しかし、コンセプトは変えたくない。だから、RCもどきの仕上げを施したということだと考えます。

デザイン能力は高い設計者だと思われますが、構造が変わったら、その構造の特性に合わせたデザインコンセプトに変更するのが、本当のプロの設計者と考えます。その点は残念ですが、経験不足のように感じます。

鉄骨造では振動がRCよりは大きいために、ALC版は幅600mm程度で、目地で左右のALCがずれて揺れを吸収する仕組みです。ですので、目地がいるのですが、目地シールは変形するので、中規模地震は左右が上下にずれて仕上げがあれば亀裂が生じますし、そこから、汚れがでてきます。

余談ですが、タイルを貼っている場合もありますが、これも剥落の危険が高いもので、採用すべきではありません。

デザインは上出来ですが、工事監理能力に甘さあったと思いますが、工事監理能力は経験が必要ですので、もう少し、能力を高めて依頼を受けてもらいたいものです。

さて、この現象は根本的には解決ができません。本来は劣化が早くなる方法だからです。この上にサイディングなどの仕上げを付加することにより、デザイン性能を高めることもできます。

少し費用はかかりますが、訴訟費用負担を考えれば、妥協的な方法も選択肢として考えてもよりと思います。

床に関しては医療器械を置くと変形するのは仕上げか、構造体かによって違います。
この部分に関しては第三者の建築士に調査確認してもらった方がよいでしょう。

構造体だったら、早期の対応が必要だからです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  ご回答、ご丁寧なアドバイスありがとうございました。
早速相手方の弁護士に電話を入れましたがこの件に関しては「建築事務所側には一切落ち度がない。」の一点張りで全くこちらの話を聞く耳持たずでした。

建築会社は3月で廃業していますが一応内容証明で社長あてに補修の要求をしました。

弁護士さんに相談しましたら一級建築士による設計事務所側の管理不十分の証明があれば訴訟は可能とのことでした。
 その後  
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