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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.1263 隣の敷地地盤改良の必要はないが、必要だと・・・

 相談概要 [氏名] H.T
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 千葉県柏市
[職業] サラリーマン
[年齢] 53
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦2009    年 10 月  日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 128
[工事請負金額] 1800
[設計監理料] 40
[様態] 注文建築
[施工者] 中堅ハウスメーカー
 相談内容 現  象:
敷地内の5ヶ所についての地盤調査結果が示され、地盤改良に100万円という見積もりが出されました。

地盤調査結果の概要は、以下の通りです。5点とも概ね共通しております。

        No1   NO2   NO3   NO4   NO5
0.25m  2.3N  2.3N  2.5N  2.3N  2.5N
0.50m  2.7N  2.7N  3.6N  2.5N  3.0N
0.75m  2.7N  2.5N  3.4N  2.9N  3.0N
1.00m  3.2N  3.2N  3.4N  3.0N  3.0N
1.25m  3.8N  4.0N  3.2N  2.9N  2.3N
  以下   3.6N  4.0N  3.8N  3.6N  3.8N
4.75m  2.3N  3.0N  2.3N  2.3N  2.3N
5.00m  2.3N  2.3N  2.3N  2.3N  2.3N
5.25m  2.3N  2.3N  2.3N  2.3N  2.3N
5.50m  2.3N  3.0N  2.9N  2.3N  2.7N
5.75m  3.4N  3.2N  3.8N  3.4N  3.6N
6.00m  5.2N  4.6N  7.8N  5.8N 11.9N
  以下   6.0N  6.0N 10.0N  7.6N 10.3N
7.25m 29.6N 13.5N 19.4N 25.9N 11.6N

相手の意見:
住宅メーカーは、しっかりした地盤だと思っていたので、予想外の結果で驚いている、という感想。
私が「地盤改良する必要がない。私はしない」と言うと、次回に、私、住宅メーカー、地盤調査会社の3者で協議することになりました。
住宅メーカーは、地盤改良しないと家を建てれないと言っています。
理由は、10年保証が付かなくなるからというものです。

相談内容 :
私の隣の敷地は別の調査会社が地盤調査を行い、結果は、地盤改良の必要はないというものです。
地盤は隣同士でも異なることがあるということは承知してまおりすが、そうはいっても、隣同士で0円と100万円では納得がいきません。

元々が沼地とか田んぼだったところを埋め立てたのであれば、100万円かけて改良しなければならないというのは納得できます。
しかし、そうではなく、元々山林(里山)で粘土質です。
データを見ても3.0Nを切っているところは間隔にして1m未満で、その他は3.0N以上をクリアしております。
また、5点とも概ね均一の数値で、ベタ基礎とする予定ですので、素人判断かもしれませんが不同沈下は起こらないのではないかと思います。

100万円かけて改良する必要があるのでしょうか?
また、改良しなければ本当に家は建てれないのでしょうか?
あと、3、4日で結論を出さなくてはなりません。お忙しい中、誠に申し訳ありませんが、何卒、よろしくお願い申し上げます。
 yorozuの感想 土地探しの時点から、ずっと見ております。
知りたいことがすぐに検索できるよう、ジャンル分けできないでしょうか
アドバイザー 
 大内 彰 メールに記されている情報からはどの地点でも同様に軟弱な地盤、と判断します。
こういう場合は沈下量を計算して問題ないことを確認してからでなければ基準法違反になるでしょう
(基準法では換算N値では規定していません)。
その検討をするための費用と時間を考慮する必要があります。

また、隣地の地盤調査データと比較することも必要でしょう。
そして、地盤調査会社が意図的に結果が悪くなうように試験をすることも不可能ではないので、隣地で調査した会社に独自に調査依頼してみるということも方法として考えられます。
その費用は勿論自分持ちになります。

あまりにも調査結果が違う場合には先に行なわれた調査が不合理だと証明できれば新たに行なった調査費用を負担してもらうことも可能でしょう。
 山口 雅克 SS式で行なった地盤調査は推定N値の数値だけで判断する訳ではありませんので調査報告書と現地を専門家に見てもらうのがいいでしょう。有償にはなりますが。

数字だけだとベタ基礎で大丈夫のような気もしないではないですが、第三者の専門家に見てもらってベタ基礎で大丈夫だとの判断がでた場合に、HTさんは家づくりを依頼している今のハウスメーカーとはどのような関係を続けていくおつもりですか。

 契約を解除する、第三者の専門家がベタ基礎で大丈夫だと言っているとしてハウスメーカーの設計者に掛け合う。
 これから先、何かある毎に第三者に相談してその結果を持ってHMの営業と話し合いを重ねていかれるのでしょうか。

設計監理や施工は信頼と信用が大切ですが、設計の内容に疑問が生じたのでしたら、契約を破棄するくらいの思いがないと旨くいかないのではないでしょうか。

 基礎の選定に関しても、上手に話を持っていかないと信頼関係が崩れかねませんので注意が必要だと思います。
 コメンテーター 
笠原 歩 どうしても地盤改良が不必要な工事とお考えなら、同じ意見を持つ設計者を探すほかありません。
両解説員の回答にもあるように、換算N値だけで地盤を判断することは出来ませんので、調査報告書の検討さらには再調査の必要があるかもしれません。

粘土質とのことなので、施工者側としては圧密沈下の対策として提案されたものと思います。
第三者の建築士に、敷地や図面、報告書を見て貰ったほうが結論は早いと思います。
但し、希望通り「地盤改良は不要」と結論が出るとは限りません。

設計、施工の契約がどのようにされているのか文面からは不明ですが、その見直しも視野に入れて考える必要があると思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 構造は力学です。
設計者があまたいて、それぞれの感覚的判断はプロとはいえません。
全ては工学的判断で検討されるべきです。

示されたデーターからは6mまでは杭か地盤改良が必要と判断しますが、ではこのデーターがどれほどの信頼度のものか?は別ものです。
調査会社がどれくらい信頼できるのか?等を加味しなければなりません。

また、報告書だけで判断するのも危険ですので、近隣のデーターがあるということなので、比較検討することも大切です。

隣地が軟弱だから、内も軟弱。隣地がしっかりしている地盤だから、内も大丈夫とい根拠はありません。なぜならば、ご存知のとおり、地表でも海側は割りと同質の地表ですが、川や山などの起伏の多い地域では古い地層のよこが昔は池で隣地でも現在は平坦でわからなくても地耐力はぜんぜん違う場合も多々あります。

同じ敷地内でも「お化け敷地」といわれて地盤の耐力が場所によりぜんぜん違うこともありますので、総合的判断が大切です。
相談者お礼状 
 相談者お礼状   お忙しい中、解説委員、コメンテーター、事務局の皆様、貴重なアドバイス、誠にありがとうございます。
 

その後・・・ その後の経過をご報告いたします。
先日、私、住宅メーカー、調査会社の3者で話し合いました。
隣地のデータも見せました。そこで、私が主張いたしましたのは、
@隣地とほとんど同じようなデータにもかかわらず、結論が正反対である。
A隣地の調査会社は全国展開している第三者機関で、地盤保証までするとのこと。
Bいろんな判定があると思うので第三者機関に調査を依頼し判定してもらうことも検討する。
C私の分譲地の横は、日本でも超優良ブランドの不動産会社が開発中で、確認したところ、地盤改良を行っていない。
以上のことから、納得がいかないので、何故私のところだけ100万円もかけて改良しなければならないのか論理的に説明してほしいということを言いました。

調査会社は、しどろもどろで、全く私の質問に回答できませんでしたが、再度データを分析してみるということでした。

ちなみに、調査会社は自分で調査・分析し、改良が必要という報告書を作成し、自分で改良工事を請け負うということです。本当に改良が必要ならそれでもかまいませんが、どうも腑に落ちません。

先ほど、調査会社が隣地の判定も考慮し、地盤改良の方法を変更したので、金額が3割減になりましたと住宅メーカーから報告がありました。
私は、改めて第三者機関に調査を依頼し、その結果、改良が必要なら、改良工事専門会社に依頼することも選択肢として考えていることを伝えました。
住宅メーカは前例がないが、社内で検討するということでした。

以上でございますが、先生方のアドバイスは、孤立無援?状態の私にとって本当に心強い支えでございます。本当にありがとうございます。
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