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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.1258 防水工事で喉がイガイガしたり、喘息のような状態になったり

 相談概要 [氏名] H.K
[相談建物所在地] 東京都足立区
[職業] 自営業
[年齢] 43
[女性] on
[構造] わからない
[引渡し年月日] 西暦1995年12月14日
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 25
[工事請負金額] 0
[設計監理料] 0
[様態] 賃貸マンション
[施工者] リフォーム会社
[施工者名] 株式会社 E
 相談内容 現  象:
私は、鉄骨造3階建て(ラーメン構造か、ブレース構造か、わかりません)の集合住宅の、3階に住んでおりますが、 先日、屋上の防水工事がされました。

工事前には、工事中の臭いが、外から入らないように、窓や通気口のすみずみまで、テープで、目張りをしていたのですが、工事が始まってから、部屋には合板のような臭いがするようになり、動悸がしたり、喉がイガイガしたり、喘息のような状態になったり、胸元が痛くなったりしています。

工事は、改質アスファルト防水・トーチ工法でなされ、工事前の屋上は、一部、防水層がふくれている所や、ヒビが入っている所があったらしいと、大家さんから聞きました。

既存の防水層はどこも、はつらず、かぶせ工法で工事をし、プライマーからトップコートまで、水性のものを使ったと言っていました。

相手の意見:
大家さんは、
「きちんとした業者を選んだので、問題があるはずがない」と言っています。

 株式会社Eからは、
「オーナー様の意向により、お答えすることが出来ません」と メールが届きました。

相談内容 :
(1)長期間どこかへ避難するとか、すぐに引っ越すというわけにはいかないのですが、さしあたり、今は、どのように対処したらいいでしょうか?
換気をする他に、たとえば「壁や天井をビニールで覆う」などで、少しは、室内の有害物質の濃度が高くなるのを、防げるものでしょうか?
何か、有効な対処法があれば、教えてください。

(2)ここに住み続けて大丈夫なのか、見極めたいのですが、どうしたらいいでしょうか?
近いうちに、薬剤の濃度が、工事前くらいまで低くなるのか、それとも、ずっとこのままの状態が続く、もしくは、濃度がもっと高くなる可能性が大きいのか、知りたいのですが・・・。

(3)某高校の屋上防水工事の事故は、屋上のコンクリート床のヒビを処理しないまま防水塗装をしたことによって、屋上の亀裂から、天井内へ薬剤が降りてきたことが原因とされていますが、既存の防水層をはつらず、かぶせ工法で工事をした場合に、屋上の亀裂から、天井内へ薬剤が降りて来る事は、考えられるでしょうか?

工事の前に、「現在、屋上に亀裂などがあっても修理はしません。その上に防水塗装をしてしまえば、大丈夫です」と言われましたが、本当でしょうか?

(4)安全な集合住宅に転居したいのですが、シックハウス対策に熱心に取り組んでいる賃貸物件は、どのように探していったらいいでしょうか?
助言をいただけますと、幸いです。

よろしくお願いいたします。
(写真をお送りできる相談内容ではないので、お送りしませんが、よろしいでしょうか?)
 yorozuの感想 建築の知識のある方に相談できるというのは、とても貴重だと思います。
アドバイザー 
武田 直行  竣工時期からお住まいの建物はシックハウス新法施行(2003年7月1日)以前の建物にあたりますので室内の建材等は現在の基準に達していないものも使用されている可能性が高いです。

竣工してから10年以上経過しても室内の建材や家具などから有害物質の放散はなくならないので換気により室外に放出する必要があります。

また防水改修工事はかぶせ工法を選択しているのでコンクリート等のひび割れから防水のプライマーが下階の天井裏に浸みだすことは少ない工法といえます。

防水工事中に開口部などをテープ等で目張りしたら合板のにおいが強くなったということは防水のプライマーなどの浸みだしはないのではと推測されます。防水工事では合板の使用はないので室内の収納などに使用された合板等からの発散臭が目張りしたため室外に出ることなく室内に充満したとも推定されます。

1)については個人差があるので断言できませんが臭いは時間とともに少なくなっていくのが自然ではないでしょうか。室内の放散有害物質の室外への放出も放置すると体によくないので体調が許すかぎり頻繁に行う必要があると思います。

2)お気になる場合は室内の有害物質の測定を行われてはいかがでしょうか。防水工事が原因のものかどうかはある程度見極めがつくのではと思います。

3)この件については断定はできませんが冒頭に示したように可能性は極めて少ないのではと思います。

4)シックハウス新法のチェックを受けた新しい建物なら使用建材もそれなりに対策されたものが使われているのでより安心だと思います。防水工事の改修もすぐに行われる可能性も少ないでしょう。お部屋選びも建築の専門家に相談して、適切な助言を受けることもよいと思います。
 コメンテーター 
畔上 廣司 賃貸マンション屋上コンクリートのひび割れの程度や防水工事の施工状況等、写真や現場データが分からずはっきり判断できません。しかし、某高校のような特定ケースを考慮した場合、念のためプライマー等の亀裂からの下階天井裏浸み込みを確認する必要があるかも知れません。

また一方、武田委員の解説どおり、養生目張りテープによって室内が密封状態になった可能性も十分考えられます。

シックに個人差はありますが、室内建材からの発散臭の充満はシック発症の原因になり得ます。シックハウス有害物質の濃度測定を行なう場合、各地域の自治体や消費者センター、建築士会などで数千円で貸し出しています。ご近所の関係機関問い合わせては如何でしょうか。

シック発生源を究明し、その結果を踏まえたうえ対策を考えましょう。
 事務局から 
  荻原 幸雄 防水工法自体は通常の工法ですが、施工中にはアスファルトの臭いが出ます。

風向きや屋上に突き出ている排気塔、吸気塔などがある場合は、臭い対策としては私だったら、この工法ではなく、シート防水としますが、その状況が相談内容からは掌握できないので、工法の適不適は判断できません。

養生した後の体の異変が、密閉した室内物質に起因するものなのか?
密閉により、外部のアスファルトの処理物質のどこからかの流入があったのか?
それにより判断、原因、対策が違ってきます。これも調査しないと残念ながら、わかりません。

通常はこの工法は臭いがしますが、施工時以降はなくなりますし、密閉していれば入らないと思いますが、建物の形状、風向き、養生の方法等によって違いますので、今回の相談はできれば、近くの建築士に状況を見てもらうって正しい方向性を示してもらうのが一番なのですが・・・・。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  
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