本文へスキップ

一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.1250 木造3階建。壁の亀裂、建具の不具合、強風時の揺れなど

 相談概要 [氏名] M.S
[相談内容] 建売住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 大阪府八尾市
[職業] 自営業
[年齢] 37
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦 1999年 9月 4日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 116
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 3050
[設計監理料] 0
[様態] 建売り住宅
[施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 解らない。
[検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 1
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 2
[施工者名] F.H
[販売会社名] F.H
[設計者名] F.H Y氏
[監理者名]
 相談内容 現  象:
どうしていいものかとインターネットで検索していて、『建築よろず相談』のホームページを見つけ、メールをさせていただきました。平成11年の9月に新築で入居した木造3階建ての家についてなのですが、購入当初は雨漏り等があり、遅いながらも何とか対応してもらいました。仕事も忙しくなり、家のことを気にせず今に至るのですが、先日に先々から気になっていた家の不具合について購入業者に相談したのですが、のらりくらりで納得する回答がもらえません。その内容についてですが、

@ サッシ枠の真ん中が下がっていて、戸がそこで止まってしまいます。(調整の範囲を超えている)
  その付近の内壁やベランダに亀裂を発見。3階の寝室に壁や出窓の淵に内壁ボードにも割れ有。
A 風の強い日には、3階の寝室が地震の震度1強ほど揺れます。
B 2階から3階に階段をあがれば、3階の寝室がAと同じぐらい揺れます。
C 3階の寝室での人の動きによって、その部屋の引き戸がバタバタと音を立てて揺れます。

素人判断ですが、現象が正面側に集中していて、どうも家の正面側が下がってきているような印象です。
またこんな事があったのですが、最後の最後で風呂場の位置を変えられました。風呂場は正面側の予定だったのですが、強度的な問題があると言う事で洗面所と入れ替わりになりました。間取り図面も写真と一緒に送付します。

相手の意見:
事象の内容については、2週間になりますが連絡はありません。

相談内容:
購入時に、担当営業マンは<わが社のいい所は、不具合に10年は保障していますとの売り文句>。10年保障の条例が施工される前だったのですが(このたび知りました)、わたしも深くは気にせず、書面ではもらいませんでした。
先日に10年保証書はありますかとの確認の電話がありましたが、その時にしまった!と思いました。その保証書がないと何もしないぞと言う感じが見て取れます。その営業マンもやめてしまっているとのことで、口頭約束では証拠がないと言われました。
ただ家の強度が不足しているとなればどうなのか?
この家は地震などに耐えれるのか?
その場合どのようにしていけばよいのか?
業者には何も要求できないのか?
どのように行動を起こせば、業者を動かす事ができるか?
また、どのような手を施せば、家に一番いい処置ができるのか?

不安のまま暮らしていくのもスッキリしないので、なんとかしたいのですが、わからない事ばかりなので、いろいろ教えていただければ幸いです。

思いつく事を書いていったので、読みにくいかとは存じますがお許しください。


 yorozuの感想 相談できる人がいないので、自分が行動を起こすきっかけになりました。
アドバイザー 
氏原 毅士  解説委員の氏原です

チェックするまでもなく1階X方向(左右)壁量が不足しているようです。
地震に耐えられるか?は地震の規模など詳細を見ないとなんともいえませんが、まず無理でしょう。
ダンボールの箱を開けて力を加えた状態を想像してください。
強度不足は明らかでしょうね。
箱のねじれは彼方の住宅のねじれと同じ状況と言えます。専門家のチェックによって鑑定書を作成し、弁護士を通じて訴訟という手もないわけではありませんが大変な時間と労力そして費用が掛かります。

3000万もの買い物をするのに受け取った図面が1枚・打ち合わせが2回という
事が問題なんだと思います。
 大内 彰 解説委員の大内です。

 平面図を見ると左右方向の耐力壁の量が少なく、しかも1階の正面側では全くありません。
この建物が建てられたころにはまだ耐力壁の平面的なバランスに関する法的な規定がなく、トータルでの最低量だけが決められていました。そのため、こういうバランスの悪い建物が多く建ってしまいました。また、床のつくり方が平面的な堅さを確保できるようなものになっていればまだいいのですが、そういう気の利いたつくり方をしているところは少なかったと思います。

 先ず確認すべきことは確認申請には構造計算書と構造図が必要なので申請書類と一緒になっているはずの計算書、構造図があるかどうか。次に確認することは、その中で設定されている壁と実際にある壁が合っているどうか。さらには計算書で設定されている耐力壁の仕様が実際と合っているか、柱脚金物が入っているかということです。

 10年以内であれば重大な過失として補償請求できる筈です。また、確認申請図と違う建物をつくった場合に施工者として違反行為にもなります。法的な対応と実際に建物の安全性を確保するための対策の両方を合わせて考慮する必要があると思います。信頼できる建築士を選び相談されることをお薦めします。
 コメンテーター 
清水 煬二 コメンテーターの清水です。

10年前なら木造とはいえ3階建てですから、建築確認申請には構造計算書が付いているはずです。これらを観て現場を確認すれば、建築士なら、構造的に問題があるかどうかの判断ができます。図面を見ただけの感想からは、阪神大震災の教訓を生かしていない耐力壁に問題がある建物のような気がします。

解説委員のアドバイスのように図面や書類を揃えて、早めに第三者の建築士に相談することをお勧めしたします。
 事務局から 
  荻原 幸雄 事務局 おぎわらの一言
不法行為があれば時効は20年間です。
詳細に調査すれば、建築基準法違反がありそうな予感があります。
合法でも、よくもこんな状況を当時国交省は許したものです。
構造に無知な建築士はこの最低限の基準のみを拠り所にする無能建築士もおおいので、このような建物が多く作られました。
合法だけど、揺れるという家です。

以前、私もこのような家の調査をしたことがあります。車が通るだけで、揺れる家でした。
建物は合法でしたが、揺れるのです。その理由は、壁をダブル壁にして見かけ上は耐力があるように設計しているのですが、現実は壁をならばべても効果は倍にはなりません。
2割り増し程度でしよう。それを2倍として設計する。そして、合法となっているのですが、このようなレベルの建築士は多くいます。
そのときは鉄骨で1階を補強して、強度を確保しました。

今回の建物は早急に、第三者の建築士に調査を依頼すべきだと思います。
この建物の状況を客観的に把握する必要があります。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  コメンテーターの皆様、お忙しい中さっそくの回答ありがとうございました。
半分ダメかと思っていたのですが、何とか進む方向が分かり、うれしく思います。
ご指導を頂いたように、まず業者に構造計算書等を要求していきたいと思います。

せっかくここまで教えていただいたので、これが無駄にならないように頑張りたいと思います。
本当にご丁寧な内容、どうもありがとうございました。
 その後  その節はお忙しい中、回答ありがとうございました。
その後の経過ですが、業者の方に改修の要望や構造計算書等を要求したり、アクションを起こしたのですが動いてくれる様子はありません。10年の保証書がないと対応できないとの回答ばかり。
役所の方にも確認したのですが申請時の書類は残ってないとのこと。
これでは、調査を依頼しても虚偽の発見はできずに
自身での改修になってしまうのでしょうか?今回、ご指摘を頂いて、調査の必要性は理解しているのですが補修費を自払いとなると金銭的に余力もなく二の足を踏んでおります。
自身が甘かったのを後悔しつつ、考えあぐねております。どうすればよいのでしょうか?

大内 彰 解説員の大内です。

業者がそういう態度をとるのであれば、この建物の耐力不足を証明して業者と戦うか泣き寝入りするしかないように思います。
ネット上で相談できる範囲を超えたものなるので、直接どなたかにお会いして相談すべきだと思います。ご自分で出来る範囲を超えているように見えます。
目次に戻る

バナースペース

一般社団法人 建築よろず相談支援機構

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107