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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.1245 当初要望書で「内側樹脂のもの」と指定したが・・・

 相談概要 [相談内容] 注文住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 富山県魚津市
[職業] 公務員
[年齢] 31
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦2008年
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 145
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 2100
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 解らない。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 2
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 5
[施工者名] Y
[販売会社名] Y
[設計者名] Y
[監理者名]
 相談内容 現  象:
結露がイヤだったので、当初要望書で「内側樹脂のもの」と指定していたのに、アングルだけ樹脂で枠はアルミのものを入れられていた。

相手の意見:
今から取り替えると外壁からすべて張り替える必要がある。プレゼンで、その商品を提示しているのに、指示がなかったとの言い分。ひと冬越してみて、どうしても納得できなかったら、また対応を考える。とのことで、残金30万円は保留にしてくれた。

相談内容 :
入れられたのは、YKKAPの「エイピア」で自分が入れたかったのは「エピソード」だったのですが、当初自分は商品名をしらなかったので、「内側樹脂のもの」と表現して要望していました。着工は、夏でサッシが施工されたときに内側を触っていたのですが、当然になっているという思い込みと、そんなに冷たくなかったので「こんなものだったかな」と樹脂になっていないことには気づけませんでした。
完成も近づき、11月ごろに冷えてきた夜に内側から触ってみると、冷たすぎると思い、そこで初めてサッシに張ってある「エイピア」という商品名をネットで検索してみたら、自分の入れたかったのは「エピソード」というものであったと気づきました。すぐに工務店に指摘したのですが、上記のような対応でしたので、プレゼンを見直してみたら確かに「エイピア」にはなっているのですが、その図には「樹脂」という言葉が出ていて、素人である自分がその時点で気づけるものでは、なかったと思うのです。その責任の所在はどちらにあるとお考えかお伺いしたいと思います。素人である自分が商品名まで把握して指示すべきだったのか。ご教示願います。
 yorozuの感想 さまざまな相談内容が掲載されているので、大変参考になります。私も着工前に、このページを見つけていればと思いました。
アドバイザー 
 木津田 秀雄 相談員の木津田です。
 SKさんは、「アングルだけ樹脂」、「枠はアルミ」と書かれ ていますが、通常、サッシの中で建物に固定されている部分を指して 「枠」と言います。また動く部分については、「障子」などと言います ので、そのように説明させて頂きます。また、YKKapのホーム ページを見たところ、エイピアではなく、エイピアJしか見つか りませんでした。もしかすると「J」がついいていることで、部 分的に違うところがあるのかもしれませんが、エイピアJとして 書かせて頂きます。

 サッシの断熱性能の差ですが、エイピアJとエピソードでは大きく違います。
 どちらも、室内側の枠にはアルミの上に樹脂があり、結露が出にくいようになっています。またサッシ枠全体については、どちらも途中に樹脂が挟み込まれており、室外の熱がそのまま室内側に流れて熱橋とならないような工夫がされています。しかしながら、エイピアJはサッシの障子(動く部分)がアルミであり、エピソードは障子の部分の 内側が樹脂になっています。この部分からの熱損失は大きいですし、結露も枠ではなく、障子部分に発生すると思われます。断熱性能も数ランク違います。

 温暖な地域ですと、この差は分かりにくいかもしれませんが、富山県であれば、見た目でも差が出ると思われます。したがって、このままのサッシでは、当初にSKさんが思い描いていた性能は発揮できないと思われます。

 当然、このような性能の差がある訳ですから、サッシの金額も違います。プレゼンで「エイピア」になっているのであれば、その金額しか見積には入っていないと思われますし、契約もそうなっていると思われます。現在YKKapのホームページに掲載されているような図(枠も 障子も入っている)であれば、見間違えることは無いと思われますが、プレゼンの図は、どのようなものだったのでしょうか。その図が、素人であればエピソードの説明図と見間違るようなであれば、SKさんが、エピソードを依頼したのに、施工者が間違えてエイピアで契約、施工したと言えるのですが、その図がYKKapのホームページにある ようなエイピアの図であれば、明らかに障子の部分の室内側はアルミで すので、SKさんがエピソードと見間違えたと言うのは難しいよう です(単に確認しなかっただけと言われてしますでしょう)。

 SKさんが、サッシの仕様について希望を述べて、それに対してプレゼンを行ったのですから、その時にSKさんは確認するチャン スはあった訳で、特に注文をしているのであれば、特に気をつけて見ておく必要があったのだと思いますから、一方的に施工業者のミスとは言 えないと思います。まさにプレゼンの図の内容次第かと思いますが、サッシについてはエイピアの費用しか払っていないですし、取り替えさせると言うことは難しいかと思います。

 弁護士ではないので、その点を差し引いて読んで頂きたいのですが、 責任の所在について言えば、例えばこのケースが裁判になれば、SKさんが施工者にエピソードのようなサッシを注文したことの立証が必要ですし、さらにプレゼンの図ではそれがエピソードと誤認させるようなものであったことについても立証する必要が生じると思います。その点を考えると、図の内容が一番重要なポイントになり、そこで違いがでると思いますが、SKさんの責任の方が大きかったのではと思われ ます。 また、施工会社は、この件について、契約通りだからとは言わず、状況を見ながらということで、30万円を保留にしてくれているということですので、対応は良いのではないかと思います。

 サッシ自体の性能も大切ですが、温熱環境に対して影響が一番大きいのはガラス部分ですので、比較的面積の大きいサッシについて、 30万円相当でガラスを性能の良いものに取り替えるなどが、一つの解決 策ではないかと思います。
 山口 雅克 解説員の山口です。
 現在施工中の住宅で「エイピアJ」を、昨年暮れに竣工した住宅で「エピソード」を採用しましたので解説をします。確かにこの二つを比較するとサッシの性能(グレード)は違いますし、金額も異なります。ガラスに関しては選べますので、どちらでも性能は同じことになります。 今回は建て主と工務店の間で建築用語「内側樹脂のもの」に関しての認識のズレがあったことが事の発端ですから、その辺りを整理して見ると良い でしょう。

 予算の都合もあって設計者は選択をしたのだとは思いますが、プレゼンに「エイピア」とあったのですから建て主は尋ねてみて確認することはでき たと思います。説明が不足していた工務店にも責はないとは言えません。素人さんが、サッシに関して単に「内側樹脂のもの」とだけと言ったことについて、プレゼ ンに記載してたからそれで良しと言うことはないでしょう。これらから、双方に気 持ちの伝え方が不足していたということになります。

 2種の造り方の差を考慮し、ガラス部分の断熱性とあわせて判断してみるといいでしょう。サッシの金額は「エイピアJ」の分しか負担してないのですから、今から外壁や通気防水シートを剥がしてサッシを取替えるリスクを背負うより、現状でお互いの妥協点を探す方がいいのではないでしょうか。工務店の誠意は残金を保留にしてくれているだけで十分だと思わ れますので、早期に解決策を探して、残金を支払われた
方が良いと思います。
 どのようなアルミサッシを使っても暖房の方法によっては結露は 避けられないものでもあります。(木製サッシだと違いますが、ガラス部分では同じこと。)過暖過湿にならないような生活の仕方にも配慮してみませんか。ちなみにYKKapには「エピソードS」と言う商品もあります。
 善養寺 幸子  解説員の善養寺です。

 確かに性能が劣るサッシが入ってしまったことに、コミュニーションの問題はあったように思います。ただ、わずかばかりの性能向上のために、山口解説員のいうように、今から外壁を壊してサッシを入れ替えるリスクは検討の余地があります。
 性能を向上させるための、別の方法も検討されてはいかがでしょうか?
 現状、「エイビア」のペアガラスですか?これを「エピソード」に変えるより、内側にもう1つ、樹脂製枠のシングルガラス(ペアガラスならもっと良いですが、高価なので)のサッシを取り付けた方が、格段に性能は向上します。現状のサッシを廃棄し、交換すれば今のペアガラス等は廃棄物となってしまう可能性は大でしょう。であれば、せっかく入っているサッシの性能を活かして、より高性能な改善をはかるのに、二重サッシ化という手もあります。
 気密性のあるものを内側に入れれば、現状のサッシ枠の結露はしなくなります。
 (木製の障子はだめです。結露が酷くなります。)
 内部用の樹脂サッシなら、外部用のような耐風圧も防火性能も要りませんから、外 部用より安価だと思います。窓の額縁に簡単に取り付けられます。
 サッシの差額分は支払っていらっしゃらないようなので、二重サッシ化でも費用は負担せねばならないと思いますが、現状サッシの取り替え手間を考えたら、手間代の交渉はできるのではないでしょうか?
 富山よりは温暖な東京で、断熱サッシにペアガラスを入れてますが、やはり性能の不足を感じ、二重サッシにできないかと思うことがあります。
ガラス面の温熱環境も向上しますので、結露の困る場所、リビングや寝室等の大きなサッシ部分だけでもやると効果は大きいと思います。
 コメンテーター 
堀住 勝雄 コメンテーターの堀住です。
 ご相談のようなコミュニケーション不足の問題は、両者が「言ったか、言わなかったか、聞いていない」と言う話になりますから、後からどちらが正しいという結論は出しにくいものです。
 打合せ記録、設計図書や見積書などの交わされた文書に記載されている内容のみが証拠となります。したがってSK様が打合せ中に言った「内側樹脂のもの」という記録文書なり録音なりがあれば100%業者の責任ですが、それらがない場合は一方的に責任を押しつけることはできません。双方の責任でしょう。
 図面や契約内容は、自分の書いた文章を校正することにも似て間違いは気付きにくいものです、第三者の目があれば気付いた事項かもしれませんね。すでに検討されたかもしれませんが、枠はほぼ同じですから、障子だけ入れ替えることができる場所もあるかもしれません、問い合わせてみてください。
 事務局から 
  荻原 幸雄 認識の違いは双方が慎重に確認することが大切ですが、特に、専門家である設計者は「内側樹脂のもの」と聞いただけで、グレードを確認しないで、(思い込みで)発注することには疑問を感じますが、建築業界ではこのようなすれ違いは多く存在します。

特に、不動産業者、設計施工の工務店や、設計は外注でお任せの工務店にはこのような安易な判断する業者は多くおります。サッシや仕上げ、設備は後々、わかりますが、構造などはどのようになっているのかも、お任せしているということのほうが実は怖いですが・・・。そんな業界のご都合主義的なシステムは、中立的な設計事務所を間に入れない限りは難しいところです。

解説委員の意見を参考にして、解決を図ってください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  お疲れ様です。
以前ご相談させていただきましたSです。
お礼を申し上げるのが遅くなり大変申し訳ありません。

本当に迅速なご回答ありがとうございました。

引越しも落ち着いてきましたが、やはり結露がひどく、お風呂の窓を引き違い戸にしているので、風呂場もアルミから冷気が漂ってきており、ふと冬を越すまでもなく、障子の交換か、2重サッシで対応してもらいたいなと思っているところです。

みなさんのご回答を参考にさせていただき、業者と話し合ってみたいと思います。

本当にありがとうございましたm(__)m
 その後  
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