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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.1244 この場合契約無効になるのではないか?

 相談概要 [氏名] KJ
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 千葉県柏市南増尾
[職業] カルチャー講師
[年齢] 36
[女性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦    年  月  日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 457.52
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 60099900
[設計監理料] 0
[様態] アパート
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 4
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 5
[施工者名] (株)A
 相談内容 現  象:
1.相続で受けた土地の税金が支払えない為、少しでも収入源を得られる土地活用を考え、貸家を検討。戸建て住宅も検討していたので検索。この業者と出会う。5月6日に戸建て賃貸の仮契約。詳細着手金として50万円の振込む。この際、仮契約しないとこれ以上は動けないとの事。

2.その後、相手よりアパートよりも収入源の面店舗付アパート建築を提案され、アパート6部屋のほか、店舗部分は1Fはダンススクール、貸しホール目的の店舗。2Fは料理教室用店舗として建築する事を双方合意し9月28日に前仮契約を解約し、店舗付アパートの仮契約をする。最初の50万はこちらの仮契約に充当されることになる。

3.店舗付アパートの設計図面に基づいて10月11日本契約をする。

4.しかし、11月半ばになってから、建築用途地域の見落としがあったことを口頭で伝えられる。第一種低層住宅専用地域だったため、上下階店舗が出来ない事。ダンスホールの面積が小さくなる事を言われ、店舗部分の縮小、2Fは住居にすることを提案される。

5.目的と違うものになってしまうため、解除を申し出る。契約は解除できない、延期はどうか?と相手に言われ、話し合いをするが、基本的な部分の見落としがあったというかなりの不安と、利益性の悪化により目的が達せられないので解除をしたいと伝える。

6.今までかかった経費を払ってくれとメールにて770393円の請求が来る。

7.内容証明にて、払う意志の無い事、50万円も返還してほしい事を伝える。

8.本日回答が来て、「当社としては、用途地域の誤りが判明した際、収益性の悪化を報告し、2F店舗部分も住居に変更する事に合意が成立しました。地盤調査や、確認申請の準備をしていたので、一方的な当社の責によるものとした解除に承服できかね、前回の770393円は撤回の上、180万円を実費として請求します。返還を求めている50万円については設計費用にかかる前渡し金なので設計も完了しており、返金できません。仮に手付金であっても既に履行済みであり同様です。180万円から50万円を差し引いた130万円を請求します。」
との事でしたが、こちらとしては、店舗部分の縮小には合意しておらず、その事が原因で解除を申し出た経緯です。県の住宅紛争相談では、契約時の目的物が建たないと言う事で契約解除ではなく無効になると言う事でした。

相手の意見:

相談内容 :
請負契約した物件が契約内容と異なるため、解除したいと申し出たら、いままでの経費を請求され、私としては、目的が達せられないので、用途地域見落としで設計した相手の会社に怒りを覚え、支払う意思がありません。契約書は通常の契約約款です。12月着工で3月完成と書かれています。契約者は私と千葉市本庁に支店、長生郡に本社のある住宅会社です。
県庁の紛争センターでは弁護士さんと一級建築士の無料相談をうけましたが、この場合契約無効になるのではないか?と言っていましたがどうなのでしょうか?
支払いをする気持ちはない。最初の手付金を返してほしいのでどのような方法を取ったらよいのかを考えている次第です。
 yorozuの感想 とても勉強になります。住宅建築に関して、一般の人は情報を得る場を求めています。このようなHPがあってとても心強く思います。
アドバイザー 
 米村 和夫 解説員の米村です

 一般に契約を解除するためには,契約書を再度目を通す必要があると思います。
「中止権」「解除権」の項目があるでしょうか?
 今、実行されている業務を中止するために、または解除するためには、どういう手順を踏まないといけないかが書いてあると思います。その手順を踏まないと「解除しない=解除できない」と相手側が主張し紛糾していくことがあります。そうなると建築士の出る場ではなくなり弁護士になります。
 過去に私が実際にあった話をしますとやはり、基準法の(軽微な)ミスがありましてプランの修正をする事になったのですが、これに納得のいかない建築主は契約解除を申し入れてきました、契約の約款には「問題があった場合には、問題点を相手方に指摘し是正するように申し入れ、それに対して一定期間解決をしようという努力、姿勢を見せなかったときに解除ができる」となっていることにより解除をすることなく、話し合いをして(誤解も解決し)業務を遂行したという経験があります。
この時に、契約書は法律がしっかり絡んでいるものなのかと実感しました。
まずは契約書を熟読し次のステップの相談に行く事をお勧めします。
 木津田 秀雄 解説員の木津田です。

 端的に言って、建築相談ではなく法律相談を受けるべきかと思います。設計が終わっていると言っても、どの程度までの設計が行われているのか(どのような図面があるのか)などによって費用は大きく変わります。設計が終わっているだけでなく、KJさんが受けとっている必要もあると思います。できれば、建築士と弁護士の両方に一度に相談できればベストです。 相手は、こちらが素人だと思って、いわゆる一般図しかできていないのに、設計は終わっているという場合もあります。どの程度の図面を作成 すれば、基本設計程度なのか、またどの程度の図面や構造計算が終わっていれば実施設計が終わっているのかとの判断は弁護士ではできないと 思います。 本来は、設計監理契約書の約款等に記載されているはずですが、文面 から設計施工の会社のようですので、その場合に設計業務として、どの程度のことを行うのかの明記が無いのではと思われます。 あとは、KJさんと相手の間で、縮小についての合意があったかどうかが問題になると思いますが、これは技術的な判断ではなく、法律的な判断になるので、弁護士の領域になるかと思います。
 コメンテーター 
堀住 勝雄 コメンテーターの堀住です。
 確認申請の時点で用途地域の誤認に気が付いたのでしょうか。お粗末な話です。
基本的に今までに掛かった経費の幾分かは支払わなくてはならないと思います。契約書は双方の為すべき事を定めているものですから、1かゼロかという一方的な言い分は通りません。二人の解説員の言葉どおり、法律家の助けを借りなければ解決できそうにありません。もらった図面、書類、今までの経緯、打合せ記録、思い出せる限りの話のメモを準備しておいて下さい。
 事務局から 
  荻原 幸雄 建築の知識においてはすべての建築士が平等な知識を持つというのは幻想です。
一級建築士の合格するための知識はその後の設計者としての学ぶ実務からの知識を比べると生涯的には10%程度ではないかと思われます。実は90%は実務が大切なことになります。この設計者はこの10%の建築士でしょう。
あまりにも基本的なミスだからです。
設計契約はしていないと思いますので、この点の実費負担は話し合いの中で金額は決めてください。
設計行為は請負と委任の両方の要素が存在しますので、話し合いで決することになります。
工事請負契約については目的を達していないので、負担はないと考えられます。
整理すると設計契約の契約書は交わしていないが、設計行為そのものは依頼していることになるのでその行為に対する費用は負担するべきだと思いますが、この費用を具体的に算出するには相手が作成して渡された図面を建築士に精査してもらい、金額の妥当性を確認することになります。

50万円返して欲しいとしても、設計行為を依頼しないと工事請負契約は成立しませんので、設計はその前段階の行為なのですが、これらが、一見、サービスのように扱われ、施工費に隠そうとする業界の体質がでた案件であると思います。本来は設計を設計料を払って依頼し、確認申請済証まで取得し、その後に工事請負契約を結ぶのが正しいありようですが、どうしても建築業界は体質が古く、第三者の建築士に設計を依頼しない場合は会社に従属的な建築士が対応しているので、このような問題が発生します。

この問題はあなたが設計者を自ら選択しなければ避けようがない問題だといえます。

作成した図面とその掛かった人件費を第三者の建築士に精査してもらい、妥協点を見つけてください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 とても速い対応に驚きました。ありがとうございます。
米村さんありがとうございました。
 「中止権」「解除権」の項目については、契約書は通常の約款で第18条に甲(注文者)の中止または解除権が儲けられています。(三)乙の契約違反によって目的を達する事が出来ない事があきらかになったとき。に当たるか専門家にたずねようと思っています。クラッシックバレエやジャズを目的としたダンススタジオにはある程度の面積を必要としており、契約時よりも小さくなると全く目的を達せられないのです。
 話し合いをして(誤解も解決し)業務を遂行したというお話がありましたが、当方では、住宅会社側が「調査を人任せにしていたため、念の為に確認したらこのような結果だった」というプロらしからぬ言い訳に この先何があってもここの会社には頼めないと感じました。融資の関係で中に入っていた千○銀行さんもこの時期に気がつくという経緯に驚いていました。私よりも先に銀行にこの件の説明に行っていた営業にも腹がたちます。

木津田さんありがとうございました。
 法律と建築にどちらも詳しい先生がいらっしゃるか探しています。
当初の返還してもらいたい金額が小額なため(私にとっては小額ではないです
が・・)弁護士の方もやりにくい仕事だと思います。簡易裁判所の書記官にもどのようなやり方があるのかは聞いてきました。 「相手は、こちらが素人だと思って」←これが一番だと思います。+契約者が困っている女一人だから余計に足元を見られた感じです。青図面はもらっていません。住宅会社=プロ(プロと呼びたくない仕事の様ですが)対素人=私+住宅に関しては素人=弁護士 ではなく、住宅に詳しい弁護士さんを探したいと思います。縮小についての合意はありません。

堀住さんありがとうございました。
 もらった図面(パソコンソフトで私にも簡単に作れそうなもの。)も、書類も、今までの経緯、打合せ記録、電話の内容。全てファイルしてあります。ミスについて人任せにしていたという理由でしたが、測量、地盤調査に関しても疑問が残る点もあり、一つ一つクリアにしてゆきたいと思います。

おぎわらさんへありがとうございます。
 全く怖いです。建主はもっともっと知識をもたなければだめですね。よく多数の業
者が訪問してきますが、私はもう怖くて建築自体ができません。この件が壊れ、納税にも関わってくる話なのでこの先コツコツと働き、いつかは・・とタイミングを計りたいとおもいます。どの様な状況に進むか全てここに報告してゆきたいと思います。 
 その後  
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