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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.1242 隣地より但し書きの規定の同意を求められたが・・・

 相談概要 [氏名] ST
[相談建物予定地] 石川県野々市
[職業] 大学教員
[年齢] 43
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦2009年7月末日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 40
[工事請負金額] 2400
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
 相談内容 現  象:

相手の意見:

相談内容 :
[家づくりの相談内容]
45坪の分譲地を購入し住宅建築をはじめて間取りができた段階です。土地の売買を仲介した不動産屋さんから、西側の隣地を購入されたお客さんからの相談で、という連絡を受けました。内容は、野々市町の場合、次のような規定で境界線から1mの距離を離さないといけない決まりです。但し書きがあって、隣地所有者の同意があればこの限りでない、ということで隣地所有者である私に同意書に署名して欲しいとのことです。

道路境界線及び隣地境界線からの建築物等(車庫、出窓等を含む。)の壁面又はこれに代わる柱等の面までの距離の最低限度は、次の規定に適合するものとする。ただし、建築基準法施行令第135条の5に規定する要件に適合する建築物等を増改築する場合(隣地境界線からの距離については、隣地所有者の同意があるもの)はこの限りでない。
 (1)道路境界線からの距離は1.5mとする。
 (2)隣地境界線からの距離は1.0mとする。
 ただし、5/10を超える勾配の屋根が面する場合は、2.0m以上とする。

図面を拝見すると、メーターグリッドで8mの間口の建物をおよそ10mの間口の土地に目一杯建てる計画です。当然ですが、壁の部分とベランダの柱の部分が1mから隣地に向かって10−20cmはみ出します。

引っ越し後は、ご近所さん、としてのお付き合いがはじまるので、お話を聞かせて頂くことは構わないのですが、お名前もお顔も拝見しない状態で、同意書を求められることについて、困惑し、判断に迷います。最終的には、私と家内が50%づつの所有者ですので、決めなければならないことですが、第3者で経験値のある方からのアドバイスがあれば非常に助かります。

一般的な話として、
1. フランス人なら、返事は初めからノン。
2. アメリカ人なら、対価に応じてサインするかどうか(こちらにサインしなければ
ならない理由は無いので)。
3. 日本人は、現在の私ののように、いろいろなことを考えてしまいます。
 yorozuの感想 プランニングの段階で近隣との関係が発生するとは思いもよりませんでした。
アドバイザー 
 木津田 秀雄 解説員の木津田です。
 Sさんも隣地の方と同じ分譲地を購入して、この指導を守って 計画を進めておられるのでしょう。同様に、隣地の購入者の方も壁面後 退についての規定を分かって土地を購入されていると思います。ですの で、今回の許可について、業者が勝手に動いている可能性もあります。 隣地所有者の方と直接お話しをすることが必須だと思います。
 ご説明の内容では、1mの壁面後退をすることについての緩和規 定に該当しない(増改築する場合と限定されていますので)と思われます。業者の都合で、隣地の許可を得るということを言っているのであれ ば、論外ですし、メーターモジュールだからと言って半分にできない訳 もありませんので、基本的には受諾する必要はないかと思います。
 長谷川 明弘 説員の長谷川です。
 まず、現在の状態は、お隣の方から直接お話があった訳ではなく、業者を通してのお話ならば、直接お隣さんと話し合う必要が有るのではないでしょうか?
Sさんの方は、現在はじめて間取りができた段階だと言うことですが、その地域の指導を守って 計画を進めておられるのであれば、隣だけ指導の緩和規定を受けようとするのは心情的にもどうかと思います。私個人的には「お互い様」と言う言葉があるようにこちらが指導を守るのであれば、お隣にも守って欲しいと思います。
木津田解説員も言ってるように、業者が自分の所の工法上、都合良く計画する為に勝手に動いている可能性も多いに有りますので、その辺りをはっきりさせ、お互いが納得いく形に話を持って行くべきではないでしょうか?しつこいようですが、とにかく、お隣さんと直接話し合いをされることをお勧めします。
 清水 煬二 解説員の清水です。
良好な住環境を守るために同意する必要は無いという点は、他の解説員と同じですが、それゆえに、隣家所有者の人と、今の段階でこちらから直接話をすべきでは無いと私は考えます。同意するつもりなら構いませんが、断るのであればわざわざ呼び出して面と向かってノーという方が、これからのことを考えるともっと角が立つでしょう。8メートルの間口を10センチか20センチカットすることは間取りを変えなくても充分可能と思われますから、単なる業者か隣地所有者のわがままと私は思えます。先方も、本当に理由があってお願いしたいのであれば、直接依頼に来るべきですし、そうするでしょう。業者に言いにくいことを任せているのか、勝手に業者が動いているのかわかりませんが、どちらにしても今の段階であなたが了解する必要は無いと思います。 
 コメンテーター 
堀住 勝雄 コメンテーターの堀住です。
 築基準法をはじめ、関連法規は良好な環境を維持するためにあります。3人の解説員の言葉どおり、簡単に同意すべきではないと思います。土地売買の重要事項説明書をお持ちになって、役所の都市計画課を一度お尋ね下さい。お隣との交渉は、よく話を聞いて酌量の余地があれば(ごく軽微であれば)条件付きで同意されることもよろしいかと思います。これについても依頼している建築士に相談をしてみて下さい。
 事務局から 
  荻原 幸雄 環境保全による壁面後退のルールは原則守るべきものだと思います。
建築士としては当然、そのように判断します。

不動産業者からの伝言ならば、断るならば「ルールは全員が守るべきだと思うので、その考えでお願いします。」とでもご返事すればよいでしょう。これで、断られても気分を害する人はそれほどいないと思います。
直接のが日本人は傷つくものなので、今の段階で明確にご返事しましょう。

ルールは最小限のこととすべきですし、このシンプルなルールが壊れると、許容範囲の詳細なルールがまたできます。自由を得るために実は不自由になる。

お隣はそれに気がついてもらう意味で、「NO」のご返事をしましょう。それがお隣のためであり、社会のためだと思います。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  標記の相談を差し上げたSです。大変丁寧にご回答いただき大変感謝しております。メールにて略儀ながらお礼申し上げるとともにその後の経過をお伝えいたします。

まず、私どもは幸いにして自己資金で土地を購入できましたので売買と登記を済ませ、現在、建物の実施設計が順調に進んでおります。

相談差し上げた件は、結果として、ほぼアドバイスを頂いた形で既に解決しました。

土地の売買を仲介した業者さんAから私どもへ隣家の方の住所氏名が記載されていない同意書が送られてきました。隣地の購入者は別の仲介業者さんBが売買をしているとのことで、業者Bから業者A(実際に所有権を持っている元売りだそうです)を通じて私ど
もへ申出でを伝えているとのことでした。
(1)不動産業者さんがされる仕事、特に、私どもの売買を仲介した業者さんがされる必要のないこと。
(2)先方の住所氏名を頂ければ、私どもの連絡先をお知らせすることに同意します。直接、当事者同士で話し合うことであるので、そのようにお伝え願いたい。と(良識に従い)と伝えました。

すると、業者Bの営業の方から電話が入り、土地の契約がまだ済んでいないこと、隣地購入予定者は現在のプランにこだわっているわけではない、との説明があり、結局、隣家の連絡先はお知らせいただけませんでした。業者Bの営業所で詳しい説明をしたい、とのことだけでしたので、その場で、丁重にお断りする旨、申し上げました。理由として、この問題は、あくまで当事者間の問題であって、隣地の方が私どもに直接申し出られる事柄であるので、と申し添えました。

結果として、アドバイスにあるように、隣家に直接対面することなくお断りして解決いたしました。ありがとうございます。

察するに、隣家の予算の中で設計変更のきかない住宅建設会社のプランを検討していた模様で、アドバイスにあるように(可能性の話ですが)、隣家からの直接の申出ではない模様です。もし、その住宅建設会社が自社のプランを問題点を十分に説明せずに勧めていたのであるとすれば、実際に居住する人たちの隣家の関係を複雑にする結果を招く恐れがあり、良いことではないと感じます。

ともあれ、アドバイスありがとうございました。似たような問題に直面した方々の参考になれば幸いです。
 その後  本日、土地を購入した不動産業者Aさんの担当者さんから経緯の説明を受けました。業者A、隣地の売買を仲介した業者B、建物のプランニングをした業者T、隣地購入を購入される方、でご相談されたところ、隣地を購入される当事者の知らないところで業者によって進められた話であったことが判明した、とのことでした。

隣家の方はルールを曲げてまで建てるつもりはないとのこと、業者Aさんからは詳細を確認せずに取り次いだことについてのお詫びがあり、話そのものをなかったことにする、ということで円満に解決しました。隣家との無用なしこりを残さずに解決でき、的確なアドバイスを頂きましたことを感謝いたします。大変心強く思いました。業者Aの担当者さんからも、アドバイザーさんの指摘通り、当事者の知らないところで進んでいた話で経験値を積みました、とのことでした。

ありがとうございました。

以下は、個人的な感想;
(派手なチラシとCMで安さを売りにしている業者Tさん。 どんなことであれ「手抜き」は感心しませんね。)
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