相談概要 | [氏名] K.K [相談内容] 注文住宅の瑕疵 [相談建物所在地] 広島県広島市 [職業] 公務員 [年齢] 39 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦2005年11月23日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 146.74 [延べ面積坪] [工事請負金額] 2400 [設計監理料] 210 [様態] 注文建築 [施工者] 大工(工務店) [設計者を選んだのは] 自分で選んだ。 [監理者を選んだのは] 自分で選んだ。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。 [18確認申請の為の委任しましたか?] した。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] 有る。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 60 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 約30 [施工者名] 某工務店 [販売会社名] [設計者名] 某一級建築士事務所 [監理者名] 設計者と同じ |
相談内容 | 現 象: 書籍やこちらのHPはじめ様々なHPで情報を集めました。 ハウスメーカーの問題点など考えたうえで、建築士事務所に設計を依頼し、見積りをもとに施工業者を決め、自宅をたてました。 広島市郊外で南東に下るゆるい斜面で海も見渡せ、日当たりもよい場所です。 海までは3キロほどです。 周囲は、南と東が木がまばらな果樹園、西は道路、北は3m以上離れて隣宅がある状況です。 設計事務所と何度も話し合い、間取りなどは多くの要望を入れてもらいましたが、外観は設計事務所の提案に納得した形でした。 屋上のある、箱を重ねたような軒のない白い家です。 2005年11月に引渡されて半年後、2006年5月に南東側以外の3面(南西、北東、北西)の壁がまだら模様に汚れていることに気づきました。 どんどんひどくなるので、設計事務所に相談し、環境メンテナンス(住宅、商店、公園等のクリーニング)の会社を紹介されました。 9月に壁の汚れを採取して培養してもらい、その汚れは土中からの真菌(カビ)であることが判明しました。 周囲の果樹園や田畑から飛んできて増殖したものであろうとのことでした。 そこで設計事務所の薦めもあり、今ひとつ納得しないながらも約20万円かけてMOS工法という方法で3面の壁のカビを除去してもらいました。 作業は11月で、これには2年間の保証がついていました。 ところが、2007年の8月にまた外壁にカビが見られるようになりました。 今度は南東面にも出てきました。 保証期間内ということで3面は無料、南東面はさらに6万円できれいにし、さらにカビ対策として無償で光触媒を塗布してもらいました。 しかし、2008年5月にはまたカビが目立つようになり、6月に再度保証でクリーニングしてもらいました。 クリーニング業者の方は保証の切れる11月にも、もう一度クリーニングしてくれることを約束してくれました。 現在、またカビが発生しており、クリーニングしていただいた後、どのようにするか設計事務所、工務店で検討しています。 外壁は外壁通気工法で、UBボード12 3’×10’板同等品 横張り、塗装仕上げです。 ボードは表面に凹凸のない物で、塗料は艶消しの白です。 相手の意見: 設計事務所、工務店ともカビの原因は塗料にある可能性を考えているようでしたが、先日塗料会社の専門の方が関西から来て、それはないという返事だったそうです。今のところ土地柄として果樹園等があり、土中のカビが付きやすい状況だからということで、しょうがないという意見のようです。 しかし、周囲の住宅でこのようなカビの発生しているものは見当たりません。 工務店は施工方法の問題はないとの主張、設計事務所は今後の対応を検討し、調整役を務めています。 設計事務所は今年5月にカビが発生したときには、連絡しても検討しますという返事だけでそれ以上の対応はなく、残念に感じました。 今後の対応として設計事務所から提案されたのは、試しに目立たないところに別の2種の塗料を塗ってカビが出るかどうかを半年から1年ぐらい様子を見る。 そして良いほうの塗料で全塗装するというものでした。 試しに塗るのは無料で、全塗装には費用が丸々必要になるというものです。 相談内容 : カビの原因は判りませんが、要因はいくつか考えられます。 ・果樹園などがあること、 ・軒のないこと、 ・塗装が艶消しで付着しやすそうなこと、 ・塗料があまりよいものではないようだということなどです。 他にもあるかもしれません。 しかし現象を整理すると、とにかく引き渡されて半年で外壁にカビが目立っています。 とうことは建ててすぐにカビが増殖し始めたと思われます。 きれいにしても半年経てばカビが出てきます。 そこで、 @今後どのような対策が考えられるのでしょうか。 Aこのような状況で、その対策にかかる費用についてすべて施主が負担することにつ いてはどうでしょうか。 2年間でもう既に30万円近く負担しています。 さらに全塗装で何十万円も負担するのは、私としては納得できない気持ちです。 新築時からこうなのですから、これは欠陥住宅とか瑕疵などの問題にはならないのでしょうか。 周囲の環境のせいだといわれても、周辺の家はそのようになっていません。 仮に環境が原因としても、それを考慮して設計、施工することが必要ではないかと思います。 設計事務所や工務店と話し合う場合に、こちらが納得していないという主張が、専門家から客観的に観て正当なのかどうか知りたい気持ちです。 よろしくお願いいたします。 ■相談についての写真■ 写真は11月19日のものです。 カビが目立ち始める初期の段階です。 放っておけばもっとひどくなるのですが、クリーニングの保証期間の都合で この状態の時点で相談させていただきました。 カビ正面より 写真は正面から撮りましたが、 コントラストがあまりつかず、見えにくいかもしれません。 よくみると斑模様が見えます。 北東壁カビ 写真は見えやすいように角度をつけて撮った写真です。 屋上より北東壁を下に向けて撮影しました。 カビ汚れ拡大 汚れを拡大したのが 「カビ汚れ拡大」です。 微妙な凹凸に入り込むように増殖しています。 培養の結果、土中の真菌(カビ)だそうです。 |
yorozuの感想 | 住宅建築について大変参考にさせていただきました。 こちらでの相談事例の多くが設計と施工、管理の分離ができていないことによると感じ、 自分で勉強したうえで設計事務所に依頼して家を建てました。 これからもぜひ続けてください。 しかし、このように相談することとなってしまい複雑な心境です。 |
アドバイザー | |
橋本 頼幸 | 解説員の橋本です。 外壁にカビが発生してお困りだとのことですが、カビの原因となる真菌は空中にどこにでも飛んでいますので、カビとなるにはいくつかの条件があります。 適当な温度と湿度があること、栄養分があること、酸素があることです。 この中で、特に重要となるのは栄養分があることですが、栄養分とは有機物で、有機物はわかりやすくいうと「生物から発生するもの」と考えてください。 つまり、単なる塗装に有機物が含まれているとカビが発生しますし、有機物が含まれていないと発生する可能性は低くなります。 浴室やキッチンでは、タイルやタイル目地だけでは有機物ではないのでカビは発生しませんが、そこに石けんや油等が付着することでそれが栄養分となってカビが発生するということになります。 ご相談を読むといろいろと対策をされておられますが、塗装の中に有機物が含まれているかどうか、もしくは塗装に有機物が付着しているかどうか、を先ず調査されては如何でしょうか。 K.Kさんがそれらを調査するのは大変ですから、もちろんそれは設計者や施工者に確認されればよいとおもいます。 その上でどのように対応するかが決まると思います。 現状では塗装の仕様等がわかりませんので、これ以上のことは言えません。 費用を施主が負担する必要があるかどうか、とのことですが、設計事務所の塗装の設定が間違っているのであれば設計事務所が、施工者が設計と異なった塗装を使っているのであれば施工者が手直し費用を負担することが一般的だと思います。 ただし、それらも話し合いで決まることだと思います。現状を見ていませんので、一意見としてご参考ください。 |
コメンテーター | |
藤井 修 | コメンテータの藤井です。 いろいろとカビ発生の原因を探られても原因の特定には至っていないようですが、工事関係者の対応はきちんとされているように見受けられます。 他に原因として考えられるのは、外壁塗装下地のサイデイング自体は問題ないとしても保管方法に問題があり付着した汚れなどがカビ発生の原因である可能性もあります。 試行錯誤で原因を確かめ、カビを除去するしかありません。 橋本解説員の解説にあるように今後の費用負担についてはカビ発生の因果関係がはっきりしない事には結論がでないでしょう、 やはり話し合いで折り合いをつけるしか方法は無いように思います。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 北側ではカビが発生する建物は多く存在しますが、半年でカビが発生するのは通常ではありません。 何らかの原因があるはずです。 塗料のメーカーや仕様が記載されていないので、塗料そのもののコメントはできないですが、通常は内部仕様である塗料を外部に塗布するとこのようになることが考えられます。 というのも、水を弾く能力がないからです。 保水してしまい、結局、カビの補給の要因になります。 通常は先ずは、これを間違うことがないと思いますが、塗料メーカーも見に来て問題がないといっていることから推定すると外部用の塗料が使われていることになります。 また、外部から菌が付着したということは塗膜内部ではなく、外部に付着することになりますが、写真ではわかりにくいですが、塗膜の内部には繁殖していないということでしょうか? 内部にまで、繁殖しているとすると、外部用の塗料が使われていたか疑問が残ります。 先ずは、使われていたと言う塗料名を確認し、同じボードで塗装してもらってください。 それを2枚つくり、南側の壁面と北側の壁面に配置し、半年ほと確認する必要があります。 メーカー仕様の方法で、外部用を使用し、施工した場合でも、カビが発生した場合はメーカー塗料に問題がある可能性が高くなります。 塗装メーカーの仕様とおりに施工した場合にカビが発生した場合はメーカーの仕様に 問題があった可能性あがでてきますし、 それが問題ない場合は施工者の塗装業者がその仕様とおしに施工したか否かを確認す ることであり、その仕様よおりにしない場合は施工者の瑕疵になります。 設計事務所のそもそも、指定した仕様が間違って(内部用など)いたという場合は設計事務所の瑕疵になりますが、先ずはこれはほとんど考えられません。 総合的に判断するとゼネコンの下のサブコンの塗装業者の調合ミス等仕様書通りの施工がされていない場合の原因が可能性としては高いと思われますが、塗装メーカーに塗料そのものは問題がないということを文章でもらってください。 そうすると、次のステップは施工方法に問題がなかったか?というところに絞られます。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | お忙しい中、ご回答ありがとうございました。 アドバイスいただきましたように、今後については設計、施工の方々と話合いを持ち、何とか折り合いをつけたいと思います。 こちらのHPのように専門家に無償で相談できるのは大変ありがたく感じております。 皆様方のますますのご活躍をお祈りいたします。 |
その後 |
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