本文へスキップ

一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.1237 建築士の監理業務はどこまでをいうのか?

 相談概要 [氏名] Y.R
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 東京都町田市
[職業] 主婦
[年齢] 35
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦2008 年 12 月 予定
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 93.15
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 1、750
[設計監理料] 231
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] およそ25〜30
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 10
[施工者名] 有り
[販売会社名]
[設計者名] 有り
[監理者名]
 相談内容 現  象:
現在2階建ての木造住宅を建築中で そろそろ完成、引渡しを控えているものです。
注文住宅にこだわり 土地探しの段階からお世話になっていた設計士さんに 設計から監理までお願いしております。

最初から土地代込みで3,500万以内でお願いしたいということは伝え、(土地は1820万で購入)7月に3社に見積もりを依頼し(実際に3社とお会いしました)3社共 施工費2,200万〜2,500万くらいで見積もりを組んできました。
3,500万以内で納める為には 1,000万近く削らなければなりません。
(この時点では 設計士さんは私どもの予算を3社には伝えず、図面や仕様をまとめたものだけを提出したそうです。)

あまりにも予算とかけ離れていたので その中で一番協力が仰げそうなところに希望予算を伝えてもらったところ できる限り協力しましょう と前向きなお返事がもらえたので T木材と最終的な調整を始めました。

そこから 建築士さんと共に当初の見積もり金額2,300万を削っていく作業をしたのですが どうしても仕様を下げたくないところ 削りたくないところもあり 最終的に双方で合意した金額が1,750万です。
T木材は社長と社員の2人だけでやっていて これまでは主に建売を中心に販売してきた材木屋です。
社長は大工ではありませんので 木材は豊富に提供できるのですが 実際の工事は 付き合いのあるそれぞれの業者に発注しているようです。

今思えば私たちにもう少し知識と慎重さがあればこのようなことにはならなかったのですが 金額調整後にいただいた見積もりも精度を欠くもので ○○一式 となっている部分が多く それが現在のトラブルにつながっているように思います。それでも1,750万でやっていただけるとのことでしたので信用してお願いしたのです。

その後 自分たちの意思で増額したとしても追加して欲しいというところがでてきたのでその都度 建築士さんを通して希望を伝え 見積もりを出していただけるようお願いしたのですが 一向に出てこず、現場がストップするからと発注だけは正確な金額がでてこないままに行われ、自分たちが把握している金額以上の追加が発生しているようなのですが 未だはっきりした金額がわからないままです。

確かに追加や仕様の変更があり ご迷惑をおかけしたことは事実ですがそれも 私たちの知らないところで勝手に希望のものとは違うものが頼まれていたりして 結果的に増額になってしまったものもいくつかあります
(たとえば追い炊き機能付きの電気温水器が希望だったのが、見積もりには追い炊き機能無しのもので勝手に見積もられていた など)

再三再四 見積もりを出していただけるようお願いしたのですが誠意ある対応をしてもらえず 週明けにようやくここにきて出てくるようですが 「予算の1割くらいは建築では出るのが常識だ。 それを見越して契約もした」と言ってくる始末です。
何どか話し合いの場ももうけているのですがらちがあきません。

そういうトラブルも避ける為に建築士さんを間に挟んだのにも関わらず建築士さんも伝言役に徹し 最初の方は 金額的な交渉や仕様の交渉なども直接行ってください と言われていました。
ただそれはよけいややこしくなるからとお願いし 間に入っていただくようお願いしましたが今の状態ですと建築士さんの役割がどこまでなのかもわかりませんし 
これから最終の金額が出てきた場合は精査をお願いするのは業務外なのでしょうか?
納得がいかない部分は支払いを拒否することも考えています。
私たちがこれまで設計段階で こうして欲しいという希望を建築士さんに伝えてきただけに残念なのですが 内装部分や外装でも変更をよぎなくされたところも多々あり非常に不満を感じています。(後からの説明でした)

 さらに困ったことに 表示登記の手続きをしているのですが 建物の引渡し証明が必要になります。
それをT木材の社長が発行してくれず 手続きがとどこおっています。
分割融資を受けているので 最終融資が実行されるのには 保存登記と同時のタイミングになります。
表示登記が完了していないと融資が下りません。
年内中に入居したいので 長引くことは避けたいのですが 今は、夫婦共々精神的に参ってしまっています。

相手の意見:
見積もりが出てこないことに関しては 私どもはもちろん、建築士さんも再三再四言ってくれたようですがなんだかんだと理由をつけられ メモ書き程度のものしか出てこない。口頭で 「おそらく150万くらいの追加になるはず」と言われた為、細かい見積もりが無いと信用できないし払えないと伝えている。

金額のことに関しては 最初から施工業者と私たちが直接やりとりしてくれというのが建築士さんのスタイルであったが 円滑にいかないのと言った言わないを避ける為こちらから建築士さんに間に入ってやりとりして欲しい旨を伝えた。(建築士さんと私たちのやりとりはメールで残しています)
それでも 金銭のことについては明確にならず 建築士さんでも解決できない状況。
明確にならないまま 工事は進んでしまった。
 
登記の件では 実際には引渡しは表示登記より先になるが 社長の言い分としては引渡しをしていないのに証明は出せない。 引渡しと同時に最終の融資が実行という契約をしているので 融資が下りる下りないに関わらず 引渡しするなら(証明を出すなら)残金を払ってもらわないと困る とのこと。(契約書のフォーマットには引き渡し時に残金の支払いと書いてありますが 払いたくても銀行の融資が下りなくては払えない状態です)

さらに 「1750万で金額を調整する為に 見積もりに入っていない部分で値引きもたくさんしているのに 契約をしたとたん 追加で何かを付けたり 仕様を変えてくるのは失礼だ。 信用できない」と言われ、「登記を円滑に進める気持ちはあるが 請求した金額を払うかどうか次第」ということを口頭で示唆された。
以前に主人が「納得できない部分は払うつもりはない」と言ったのがひっかかっているようです。

相談内容:
建築士の監理業務はどこまでをいうのか?
(最終の金額の内容精査も協力していただけるのか?)

 自分たちが理解して増額した部分以外で 知らずに金額が上がっていたり 明らかに建築士と施工会社の伝達ミスや手違いでの増額の場合は 支払いを拒否することはできるのか?

 登記の手続きに協力してくれず(最終の金額が出てきてからの私たちの対応によると思いますが)年内の引越しが難しくなった場合は こちらで法的な対策を取ることはできるのか?
 yorozuの感想 頼みの綱の建築士さんに相談してもらちが明かず 施工業者のみならず建築士さんとの信頼関係も崩れてしまいました。その為 どこに相談していいのか非常に困っていたところ こちらにたどりつきました。建築のプロではないので 当たり前のことがわからなかったり 知らなかったりもするのですが 同じようなことで悩まれている方のご相談に真摯にお答えいただいているのを目にし 少しでも前向きに考えられそうです。ありがとうございます。
アドバイザー 
 橋本 頼幸 大阪の解説員の橋本と申します。

設計事務所と施工者を正しく選んだつもりだったのに、その両方が信頼できないとなると大変つらいことだと思います。

さて、トラブルに見舞われたときに最初にすることは「契約はどうなっているか?」を確認することです。

最初の「建築士の監理業務(原文は「管理業務」)はどこまでをいうのか?
最終金額の査定もするのか?」とのご質問ですが、これはYRさんと設計事務所との「設計監理業務委託契約書」に明記されているか否かがポイントになります。

設計事務所によって様々な契約書式があるかとおもいます。
当方の手元にある日本建築家協会の書式では「業務項目リスト 3)監理業務」の中に「(5)工事見積書内容の検討」という項目があります。
確かにこの文言だけでは契約時の見積書だけなのか、工事中の追加・変更工事などの見積書も含めるのかについてはっきりとわかりません。
しかし一般的には「含める」と考えてよいと思います。
このような文言があるかどうかを、お手持ちの設計監理業務委託契約書の内容をご確認ください。

次の「知らない間の増額、設計事務所・施工者のミスによる増額は負担しないといけないのか?」との質問ですが、原則として負担する必要はないと考えます。
ただし、これは「知らない間」やYRさんから見たプロである「設計事務所や施工者のミス」を証明するのは非常に難しいかもしれません。
一方で、設計事務所には施主の意向に応じて施主からの情報を収集し、打合せをして具体化していく、という業務があります。
こちらもお手元の設計監理業務委託契約書を確認してください。
設計業務の中に「建築主からの情報収集」などの文言があるかも知れません。
この点で大きく揉めるようであれば、今回の件に全く無関係の専門家に間に入ってもらった方がいいかもしれません。

最後に「最終支払が終わらないと引渡証明を発行してくれない」とのことですが、こちらは工務店との「工事請負契約書」を確認してみてください。
最終支払はどうなっていますか?
「引渡の時」なのか「引渡後2週間以内」といった表現になっているのかそのあたりによります。
「引渡後2週間」ということであれば「引き渡されなければ支払えない」ということになります。
また、今回のケースは登記後最終融資が確定するとのことですから、特約でその旨の記載があるかも知れません。
特に今回のケースでは、施工者が引渡証明を発行しない限り融資が下りないわけですから、YRさんも施工者も困ると思いますので、ご相談にあるようないわば施工者の行為もあまり得策だとは思いません。
原則話し合いになるかと思いますが、法的な措置をとるということになると弁護士などの専門家にご相談ください。
 コメンテーター 
 藤井 修 コメンテータの藤井です。

 何も事が起きなければ契約書など要りませんが、問題が起きたときは工事請負契約書並びに建築設計監理委託契約書なりを根拠として判断することになります。
橋本解説員の解説にあるようにも一度各契約書の内容をよく読んで確認した上で話し合ってください。

ただ追加工事の内容や金額が適正であるかどうかの査定は専門家である設計監理者が行うのが一般的な進め方です。
 事務局から 
  荻原 幸雄 建築士の監理業務はどこまでをいうのか?
これは契約内容によります。通常は中に入るのが業務範疇ですが、それは契約なので、省かれているということなのでしょう。
業務範囲を確認ください。決めていなければ話し合いになろうと思います。

・・・・支払いを拒否することはできるのか?
内容に勿論よりますが、個別的判断になると思います。
全てを拒絶することもできなように思いますが、そもそも、このようになること事態、残念ですね。

こちらで法的な対策を取ることはできるのか?
工事請負契約中で業務が完了して、支払われて終了する契約ですが、追加工事の支払いが確定しないと、現場建物を引き渡さないつもりでしょう。
現段階では実害がでていないので、法的処置は時期尚早な感じがします。
まだ、話し合いでの解決手段を構築すべきですが、工事監理建築士が機能していないようですね。

ここがネックですが、いないと思い、自力で頑張るしかありません。
第三者の建築士に見積もりと現場の照合を確認してもらう方法もありますが、できるだけ、自力で対応することが望ましいものです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  
 その後  
目次に戻る

バナースペース

一般社団法人 建築よろず相談支援機構

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107