相談概要 | [氏名] M.K [相談内容] 建売住宅の瑕疵 [相談建物所在地] 千葉県市川市 [職業] 会社員 [年齢] 43 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦2007年7月25日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 3 [延べ面積m2] 115 [延べ面積坪] [工事請負金額] 5200 [設計監理料] 0 [様態] 建売り住宅 [施工者] 大工(工務店) [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [18確認申請の為の委任しましたか?] してない。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] 有る。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 10 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 4 [施工者名] (有)S建設 [販売会社名] (株)P [設計者名] (有)F [監理者名] |
相談内容 | 現 象: 地元不動産業者が建売物件として土地を仕入れた後、その不動産業者と売買契約をして、多少の設計変更・仕様変更を行って頂き、完成・決済後引渡しを受けた物件です。 (地場工務店施工、木造軸組み3階建て、内張り断熱、屋上付)いくつも疑問な点は有りますが、主なお伺いしたい事項は以下の通りです。 1.断熱について 1、2階(特に1階)が冬季余りに震えるように寒いので、見える所から家の内部の状況を点検してみました。 1階の床下は、一部ですがスタイロフォームが貼られていない箇所や、スタイロフォームの切断が雑で数ミリの隙間が空いている所が有りました。 各階の天井(1階〜2階、2階〜3階の天井と床の間)のダウンライト穴やユニットバス点検口から覗くと、壁のグラスウールが、一部充填されていない所や、かなり垂れ下がって(袋?からはみ出していました)いる箇所が散見され、殆どまともに収まっていません。 またユニットバス直上の天井も丸見えで断熱材が無い様です。 この調子では、確認をしていない1階床下(点検口が無い部屋)や壁の中、屋根上断熱も怪しい限りです。 また、2、3階は夏にかなり暑く、断熱施工が不良な為かと不安な思いを巡らしています。(2階のクーラーも効きがかなり悪いです) 所詮建売ですが高い買い物なので、気が付いた所は手直しをしてもらおうと考えています。 2.換気について パッキンによる全周囲換気方式を採用していますが、屋上が有る為か、屋根裏等に換気口が見当たりません。どうなっているのでしょうか。 相手の意見: 1.断熱について デジカメ写真を見せて相談したところ、近日再調査に来ることになっていますが、あまり悪びれた感じが有りません。 また、グラスウールはタッカー留めをするものといいながら、少し後では、袋に入っていないのは普通でチクチクしない為だけ、と言っています。 2.換気について 施工業者に聞いたところ、空気は上に上がって、下に降りて抜けるなどと言っています。 相談内容 1.断熱について: @ そもそもこの様な施工が普通(いいものなの)でしょうか? かなり寒いのや暑いのもこの様な施工が大きく影響しているのでしょうか? A グラスウールは袋にまともに入っていなくていいのでしょうか? (室内からの防湿効果も無く湿気そうで。室内側に防湿紙は貼って有りません。) B グラスウールはタッカー留めもしていないから垂れ下がり放題のようですが、タッカー留めは標準工事ではないのでしょうか? C 手直しをしてもらうには、どこをどのように注文をつければいいのでしょうか?(調査していないところも不安です)。 なお、きちんと「注文しさえ」すれば、かなり誠実に対応していただける業者さんです。 2.換気について 湿気が下に下がるものでしょか? 設計自体に問題は無いのでしょうか? 夏暑いのもこれが原因の一つと思い、 換気口を付けてもらおうか(業者負担で)と思いますが、非常識でしょうか? |
yorozuの感想 | 回答されている先生方の熱意と誠意に感銘しております。 読ませて頂くと時間の経つのを忘れ没頭してしまいます。 検索が最後まで行き着かないようなので簡単に行き着けるよう簡易化すると良いかと思います。 |
アドバイザー | |
今井 優子 | 解説員の今井です。 断熱材の施工は、隙間なく、また無理に押し込めることもなく、丁寧に施工しなければその性能を100%発揮することはできません。 しかし、そのことを認識し、手間を惜しまず丁寧な施工をする業者は、残念ながらそう多くありません。 ましてや、建売住宅の施工を主にやっている業者には、丁寧に施工することの大切さを認識していることはほとんどないでしょう。 認識はしていたとしても、コストと工期がそれを許さないという現実も少なからずあります。 写真を見る限り、そのような典型的な例のように思えます。 ですので、これを是正してもらうには、今回たまたま見えたところだけでなく全てを確認する必要はあるでしょうが、それもなかなか難しいと思います。 赤外線を使った表面温度計が1万円程度で入手できますので、それを使って、壁や床の表面温度を計測することで、断熱欠損の場所を探ることは可能です。 暑い寒いという感覚はたぶんに主観的なもので個人差があります。 断熱材の施工不良が影響を及ぼしていることは考えられますが、部分的に手直しをして、劇的に改善されることは少ないようです。 サッシなどはどうなってますか? シングルガラスとペアガラスでは断熱性能が各段に違います。 いずれにしても、素人判断では思うような効果が得られない場合も多いので、温熱環境を理解している専門家にトータルに見てもらったほうが良いと思います。 また、引渡しが昨年の7月とあります。新築1年目の冬は、コンクリートや木材などに含まれる水分が 完全に抜けきっていないので、その冷輻射で寒く感じることがあります。 とくに1階の床下に土間コンクリートが施工されている場合は、その影響は多くでるようです。 とくに何もしなくても、2年目以降改善されるというケースも実際にあります。 換気については、業者の言っていることの意味が分かりませんが、おそらく笠木に樹脂のパッキンのような物を挟んで、全周で小屋裏換気を取っているのだと思いますが、これも注意して慎重に施工しないと 上手く機能していないこともあります。 最上階の天井裏に入って、空気が動いているか、換気量が確保されているか確認してみると良いと思います。 |
古賀 保彦 | 解説員の古賀です。 ご相談の番号順に解説致します。 1.断熱について @写真では断熱材が天井迄ですが、断熱材は外壁面・屋根面・1階床下面・その他外部に面する部分に隙間無く取り付ける必要があります。また、未施工部分だけでなく、床〜壁等の取り合い部に隙間があると外気が断熱材の室内側を流れますので全体の断熱性能が低下します。 内張り断熱(充填断熱工法)は外張り断熱工法に比べると構造材や電気配線等の取り合い部が施工しにくいですから、現実的には隙間無しの施工というのは難しいのですが、それで問題がありそうかどうかは程度によりけりですが、目視可能な部分でしたら補修は可能です。 熱い寒いは日射の取得や吹抜けがある間取り等、断熱材以外の要素も絡んできます。 ご相談の内容からでは単に断熱材のせいとは言い切ませんので建物トータルで原因を考える必要があります。 Aグラスウールは保水すると断熱性能が下がり、壁内では水分の重みで下がったりカビが生えたりします。 袋入りでは無い場合は室内側に防湿シートを張るのが正しい施工方法です。 Bずり落ちるような断熱材の場合は留め付けが必要です。 C今回の件に問題がある場合、その原因は正しい施工方法を分かっていなかったからという事も考えられますので、どこが悪くてどのように手直ししたら良いのか、という事を先方と摺り合わせる事が肝要かと思います。 また、壁・天井が仕上がっている状況で手直しが可能な範囲なのか、それとも一旦は仕上げを撤去しないとできない程度のものか、という事の検討も必要かと思います。 現状調査を含めて専門家にご相談される事をお勧めします。 2.換気について 外壁内通気・小屋裏換気の空気出口が無いという事でしたら、夏の暑さの原因はそこにも関係していそうです。外壁最上部・最上階天井の形状・構造によって対処方法も変わってきますので、この事も含めて専門家に見ていただいた方が良いでしょう。 建築基準法にはご相談1・2についての規定がありませんから、今回の件が瑕疵(欠陥)に該当するかどうかも合わせてご相談なさって下さい。 (参考) ・品確法の性能表示の有無。 ・住宅金融支援機構の融資が有る場合、建物仕様として規定あり。 ・契約書類に建物仕様として断熱材の記載の有無。 等 |
武田 直行 | 解説委員の武田です。 冬季に1,2階とくに1階が震えるように寒いというお話ですね。 空気の性質として暖かい空気は軽いので上に上がり、冷たい空気は重いので下に下がります。 屋上があるということですので出入り口には扉などの開口部があると想像できます。 通常扉や、窓等の開口部は壁に比べて格段に断熱性が劣ります。 冬季は特に扉廻りは他の部分に比べて室温もかなり下がっているものと思われます。 そこで冷やされた重い空気は階段などで一気に下降します。 とくに1階の階段廻りはこの冷たい空気で充満するかもしれません。 また階段と居室とに間仕切りがなければ重い空気は当然居室にまで広がっていきます。 この対策として、以下の項目が考えられます。 @屋上の出入り口建具の断熱性を高める。 同時に内部にもう一枚(断熱性を高めた)扉をつけるとよいでしょう。 ガラスがあればさらに断熱性のよいものに取り替えるとよいでしょう。 A下降する重い空気対策として他の階段と居室を断熱性の高い間仕切り等で区画する。 B1階階段下に暖房機を設置して冷たい下降気流(コールドドラフト) を暖めながら押し上げる。 屋根裏換気口のお話もでていますが、屋上があるので屋根断熱していることも考えられます。 この場合は通常換気口は設けないことになっています。 ユニットバスから見える(?)天井に断熱材がないとのお話ですが建物と外部の境界部分に断熱材を設けますのでユニットバスが1階にあれば2階の床下には断熱材がないのが普通です。 冬季は凍えるように寒い1階も逆に夏にはヒンヤリしていることも考えられます。 階段の最上部天井にクーラーを設置すると夏には冷気が下の居室に自然に降りて広がってゆくことも考えられます。 事情を率直に説明して工務店さんの誠実さと技術力を引き出すよう交渉してみてはいかがでしょうか。 |
コメンテーター | |
藤井 修 | コメンテーターの藤井です。 断熱材は建物がフトンを着てる状態と考えて下さい。 隙間があると寒いですよね、ですから断熱材は建物の外周りに隙間無く施工されるものです。 各解説員が言われるように断熱の方法や換気の方法はその選択で仕様が変わりますから、販売者を交えて施工者及び設計者と今一度ご相談をされるのが良いと思います。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 残念ながら、建売住宅はこのような見えないところで、手を抜かれている工事が多いのが実態です。 「値段からしてしょせんこんなもの」と考えているのではないか?と疑問に思いますね。 建売住宅の生産システムぬ本質的な問題があります。 不動産業界のある業者はTVで安売りだけの坪単価を強調した販売をしております。 結果としてオプション形式なので、結構な坪単価になりますが、その基準が他の不動屋さんに影響し、単純な坪単価競争になっているようです。 施工会社は不動屋さんから1棟いくらで請け負います。 ですので、その安い請負額では効率以外の何者もありません。 それが下請けや大工手間にも及び、じっくり、いいものをなどと考えるシステムではなにのです。 いつまでにやすくつくるという思考回路しか働かないようです。 本人たちは手を抜いているつもりはないのですから、「値段からしてしょせんこんなもの」と考えてしまう生産環境が存在しています。 この施工会社が手がけた仕事でも注文住宅の直接の建築主だったら、同じ工事はしないかもしれません。 ということは金額に応じた施工をしているということになります。 問題は購入者にとっては建売住宅でも土地と込みなので、高い金額になるのです。 土地の値段はある程度、路線価格があるので、土地代金は決まってきます。 そうなると、利益を出すのは建物となりますが、総額から土地代金、土地の不動屋さんの利益、建設の不動産さんの利益、を引いた残りが、建売住宅の建設費となります。 土地には消費税がかかりませんので、消費税を逆算すれば建物の総費用がでますので、ご確認ください。 断熱材がないのは手抜きです。 要求して当然です。 断熱材は垂れ下がったのではなく、もともと入れてない。 耳をとめてもいない。 床の断熱材の隙間はこの程度は空気は動かないので、それほど心配はいりませんが、多分、このような仕事だと階段下は全く断熱材がないと思われます。(実は、おおいのですが・・・) この建物は揺れませんか? |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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