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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.1232 工事請負契約書に記載の内容で建築する事が不可能になったとのことだが・・・

 相談概要 [氏名] N.H
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 東京都葛飾区
[職業] 会社員
[年齢] 30
[男性] on
[構造] 鉄骨鉄筋コンクリート造
[引渡し年月日] 西暦2008年2月24日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 1750
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 0
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 3
[施工者名] KK.S
[販売会社名] KK.S
[設計者名] KK.S
[監理者名] KK.S
 相談内容 現  象:
こんばんは。
建築会社とのトラブルのご相談です。

端的に申し上げますと、建築会社から、下記の報告を受けました。
コストが上昇したので、工事請負契約書の内容で建築する事はできない、というものです。
・工事請負契約書に記載の内容で建築する事が不可能になった。
・分離発注に切り替えて発注するか、発注しないのであれば、設計料のみ支払ってくれ。

私の言い分としては、下記になります。
・分散発注は、当初の工事請負契約書締結時点で話がなかった為、受けることはできない。
・建築会社の都合で、工事を進める事ができないのに、設計料のみを支払うことはできない。
・工事を進める事ができない様であれば、承諾頂いていた内容に沿って、土地を購入価格で買い取ると共に、それに付随する諸費用(各種手続費用・税金・ローン金利など)を、今までかかった分支払って頂きたい。
※他の業者に当初から発注していた場合を想定すると、
・コスト上昇がなかった
・金利が低かった
・余分な家賃を支払う必要がなかった
など、目に見えないものが多くあるが、それは請求しようと思わないので、得はしようと思っていないが、損はさせないで欲しい。

上記に至った経緯としては、下記の様になります。
・2007年の5月に工事請負契約を締結したが、建築確認申請が、2008年の3月まででていなかった。
・私は、2週間に一度状況をTELにて確認していたが、「法律が変わり、審査にとても時間がかかっている」との一点張り。
しかしながら、委託していた会社が申請し忘れていたと、2008年3月に、建築会社から連絡が入った。
・2008年4月に申請が通過したのだが、その時点では、10%近く建築コストが上昇してしまい、どうにもならない状況となってしまった。

因みに、進行に時間を擁し始めた時期から、下記内容に承諾を頂いていたのですが、再三三度の書面で締結する事を拒否された為、書面はありません(ボイスレコーダーに承諾した旨は、記録されております)。
・工事請負契約書に記載の引渡期日を過ぎた月から、現在住んでいる賃貸住宅の家賃・更新料・ローン金利は、建築会社が相殺で負担する。
・工事請負契約書の内容で進める事はできなかった場合、私が購入した土地を、購入した金額で買い取る。

先日、先方と話し合いを直接会って行い、下記にその場では理解を頂きました。
・今回は、建築会社の都合で、工事請負契約書の内容で進行することができない。
・Nは、損をしてはいけない。
・当初お約束頂いていた内容で検討して頂く。

話し合いの場では、「検討するから、金額の詳細を送って欲しい」(概算は、その時点で確認してもらっている)とコメントを頂いたのですが、メールをお送りすると、法的根拠がないので、支払う義務はない。
反対に、設計料を払ってくれとの返信がきました。

話し合いは続けていきますが、銀行からも結論を迫られている為、弁護士に相談しようと思っております
(建築工事紛争審査会に相談しようと思いましたが、法的効力がないと聞き、直接弁護士にと思っております)。

今まで苦労して少しずつ努力をしてきたものが、なぜ失われていかなければならないのか、すごく理解に苦しむところです。

現在、購入している土地にも、今回の件で全く良いイメージを持てておらず、このまま前に進める事も非常に難しい状況です。

どうか、アドバイスの程、宜しくお願い致します

相手の意見:
話し合いの場では、
「検討するから、金額の詳細を送って欲しい」
(概算は、その時点で確認してもらっている)とコメントを頂いたのですが、
メールをお送りすると、法的根拠がないので、支払う義務はない。
反対に、設計料を払ってくれとの返信がきました。

相談内容
どのように解決いていくのがベストですが?
やはり、我々は損をしなくてなならないのでしょうか?

ベストな解決方法を教えて頂けますと、ありがたい状況です。
 yorozuの感想 内容は、とても参考になりました。
これからも、継続して拝見し、自分に役立てていきたいと思います。
アドバイザー 
久米 能子  久米と申します。

 まず、請負者がその都合により工事請負契約を解除したいという一方的申し出ならば、NHさんの言われるように、これまでNHさんが建築の準備のために要した費用を負担してもらうことは、当然と思います。
 また、設計料は本来工事請負契約とは全く別のものですが、図面を受け取っておられないところを見ると、きちんとした設計は行われておらず、おそらく確認申請手数料に少し足されたような金額であろうと思いますので、それならば、工事のために要した費用として、請負者が負担するべきものであるように思います。

 しかし、1割弱の工事費上昇ならば、工事金額を減額できるように設計を変更したりして調整できないのでしょうか。
また、同時にNHさんの予算は全く増やすことはできないのでしょうか。

 普通ならば、このような問題だけの場合、
話し合いで解決して前に進めるはずと感じます。
ですから、何か契約解除の理由がほかにまだあるのではないかと思います。

 そのあたりをよく、整理してお考えになり、契約を解除しない道はないのかをまず探られ、それでも無理で、やはり契約解除の責を負う側が請負者であれば、これまでかかった費用の請求を行うなりされて良いでしょう。
その際は、当事者同士で話し合いが難しければ、弁護士の方に間に立ってもらえばよろしいでしょう。

 ただ、そもそもこの契約に至った経緯がわからないのですが、土地の買取もその業者からなさったのでしょうか?
土地を買い戻してほしいという要求は、そうした理由からでしょうか。

 本来は、工事請負契約と土地の買取は別なので、ほかの不動産会社から通常の土地取引形態で土地を購入されたのならば、その要求は無理であると思います。
その業者と工事請負契約を解除しても、他で工事をしてもらえばよいことだからです。
 しかし、打ち合わせ回数が3回というところを拝見すると、建築条件付か、所謂、売建住宅、ということで、その工事の請負者から土地を手に入れられたのでしょうか。
建築条件付ならば、工事ができない場合は土地の売買契約も自然に解除となりますから、業者は当然、土地のためにNHさんが支払ったお金を戻さねばならないでしょう。
 また、売建といわれるような形態で、土地の売買契約と請負契約を同時に結ぶようなことをもしされていたとしたら、それは法律違反です。
その際はそのことをはっきりと相手に告げて、土地の代金を返還してもらうよう、
交渉せねばならないでしょう。

 尚、設計図書も何も手元にお持ちでないというのは、不思議な気がします。
どのような契約であっても、これから家を建てようとされるのならば、打ち合わせした結果の仕様書と図面は必ず手元に残されなければなりません。
その時点で、今回の業者の対応は少し予測できたような気もします。

 大変なことと思いますが、契約書の内容を今一度よく読みなおし、話し合いに臨んでください。
 津村 泰夫 大阪の津村です

 大変お困りのことと思います。
ただ、メールでお返事できる範囲を超えていると考えます。
本来は事務所に来ていただき、契約書や設計図書などを詳しく拝見させていただかねばなりません。
また契約後どのように設計打ち合わせや見積がおこなわれたか知りたいと思います。

確かに昨年の6月以降は建築確認申請に多大な時間と手間がかかるようになったのは事実です。
また今年に入って諸物価が高騰し、建設工事費も上昇してきています。
ただ、建築確認申請は3ヶ月程度もあれば降りると思われますので、その辺の責任の有無などについては契約書などを確認しなければわかりません。
早急に弁護士にこれらの書類を持って相談に行かれることが望ましいでしょう。
設計ができあがっているのであれば、予算の範囲で設計仕様を変更し建てられるものを建てていくしかないでしょう。

あなたが買われた土地を工事が出来ないからといって工事業者に買い取らせることには無理があると思います。
 コメンテーター 
関口 啓介 コメンテータの関口です

 久米さんが解説されるように、先方からの契約解除の申し入れと判断できますので、応分の費用負担と、こうむった損害の請求ができるものと思われますが、契約内容をよくご確認下さい。

土地については久米さん、津村さんも解説されるように、買取を求めることは困難と思われますが、土地売買にまつわる状況と関係性がここでは不明ですので、正確にはわかりません。

いくつか疑問に思うこともあります。
面積規模がわかりませんが、当初から鉄骨鉄筋コンクリート造の計画で予算の範囲で可能であったのでしょうか。
建築確認申請はほんとうに出し忘れていたのか、それとも構造的に整合せずに通らなかったのか。
出し忘れていた場合、契約不履行に該当しないか。
分離発注に切り替えれば当初の予算内で施工が可能なのかどうか。
その場合のコーディネイトは誰がするのか。

 かなり不可解なことが多いような気もします。
解説を参考にして早急に弁護士に相談されることが望ましいと思われます。
 事務局から 
  荻原 幸雄 鉄骨鉄筋コンクリート造は間違いではないですか?
ちょっと疑問です。

工事請負契約書を精査して、今後の行動を決めることがよろしいでしょう。
具体的な内容ややり取りのシビアな内容により見解が異なりますが、通常は契約ですから、よほどのことが無い限り、その通り実行されますが、予想を超えた(戦争とか資材の世界的高騰とか)場合は例外もあるでしょう。
今回は確かに鉄骨の価格が暴騰し全体的に価格がUPしました。
その点を精査する必要があります。

設計料についてもどのような契約、話し合いがあったのかによります。
大変ですが、弁護士、第三者の建築士を交えて解決の道を探してください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  
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