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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No. 1231 境界線から30センチ足らずしか離れていない建築物は?

 相談概要 [氏名] M.M
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 大阪府枚方市
[職業] 主婦
[年齢] 39
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦    年  月  日
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 97.74
[延べ面積坪]
[工事請負金額]
[設計監理料]
[様態] 注文建築
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] −
[監理者を選んだのは] −
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] -
[18確認申請の為の委任しましたか?] -
[確認申請書お持ちですか?] -
[検査済証は有りますか?] −
[設計図面は何枚もらいましたか?]
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?]
[施工者名] KK.Y
[販売会社名]
[設計者名]
[監理者名]
 相談内容 現  象:
隣家が新築工事をしています。

境界線から30センチ足らずしか離れていなかったので、役所で建築計画概要書を見せてもらうと、図面では境界線から55センチ離れていたので、図面通り民法234条を守って欲しいと建築会社に内容証明書を送付致しました。

同時に、役所にも民法を守っていない業者がいるので、検査して欲しい旨を申し入れました。

相手の意見:
担当の一級建築士が役所からの指示で調査報告をしに来ましたが「指摘のとおり境界線から30センチしか離れていませんし、他にも申請の時に出したものと異なる箇所があったので、書面は訂正しました。」
「設計士なので民法は知りませんが、建築基準法に違反していないので、工事は続行します。」というものでした。

また、図面と誤差が出た原因は、自分がもらった地積測量図が間違っていたからで、施主に一から設計を依頼された訳ではないので、こちらで測量し直す必要もなく、今回の件に関しては自分に責任は無いと言われました。

相談内容 :
建築確認申請書の工事監理者欄にその設計士の名前が書かれているので、境界線の確認を含め図面を作成する上で、管理責任する必要はないのかという問いに対して、あくまでも、自分は設計を依頼された訳ではなく、確認申請用の書類作成しか依頼されていないので、その責任はないとのことでしたが、この設計士の言うように一から設計を依頼されていなければ、工事監理者として名前が書かれていても、全くこの新築工事に関して責任はないのでしょうか。
建設会社の担当も建築基準法を守っていれば、問題はないの一点張りで、間取りを作成していく段階で、建設会社が施主に民法234条の規定があることを話す必要もないとの見解であり、施主の希望通りの間取りにしただけで、悪いのは施主と言わんばかりです。

現在、棟上が終わったところです。
庇は越境しております。
建設会社にこの件を伝えても、
「中間検査で、越境が判明すれば庇を削ればよいだけ」と回答されていますが、そんなに簡単に庇だけ削ることは出来るのでしょうか。

隣家の立場で、今、建設をストップすることは現実的に無理があるように思えますが、何か法的手段で訴えることは出来るのでしょうか。

よろしくお願い致します。
 yorozuの感想 検索後、次のページが探しにくい。
アドバイザー 
 久米 能子 久米と申します。

 たしかに工事業者も悪いとは思いますが、その工事を進めているのは建築主です。
一番の責任はお金をだして建てさせている建築主であると思います。
もしも、このような状態になっていることを工事業者が建築主に全く告げずにいるとしたら、工事業者の責任は重大ですが、ともかく、まずはじめに対応をせまるのは、建築主に対してであると思います。
ですから、工事概要書に書かれてある建築主宛に、問題を告げて対応を求めてください。

 工事をとめることは現実的に無理のよう、と書かれていますが、もしも話がこじれて必要だと感じられたならば、その際には話し合いが定まるまで、弁護士の方を通じて要求しても差し支えないと思います。

 それから、監理建築士として確認申請書に名前を出している以上、実情はどのようなものであれ、法的には監理建築士としての責任は問われます。
 また、役所の建築審査課は民法には関与しませんが、ひさしが越境していることも告げて、そちらにももう一度対応を要求してみたほうが良いでしょう。

 ただ、ひさしは木造であれば、大概の場合、簡単に修正できます。
また、今のような状態ならば、建物の位置を移動することも、計画を変更することも不可能ではありません。
 しかし、今後お隣として付き合いを続けていかねばならないことを考えると、やり方も考えねばなりませんね。
相手の状況にもよるかと思いますが、対応を求めると同時に、MMさんのほうで譲歩できる部分はないか、あるいはもし、建物が近接していることでMMさんんが実際に困ることが生じるとすれば、そちらに対しての対応を求めることで解決できないか等も考えてみておかれれば話し合いが進みやすいかと思います。

民法は確かに敷地境界から建物を50センチ以上離すように定めては居ますが、お互いがよしとすればそれですむ、というのが民法なのです。
清水 煬二 解説員の清水です。

もちろんご自身の家は50センチ以上離されていると思いますが、お住まいの地域では、他の隣家は50センチ以上離していますでしょうか?
他の家もすべて50センチ以上離している地域であれば、法的手段、すなわち調停や裁判で工事をストップさせることは可能ですし、調停や裁判の結果によって、今からでも変更させることは充分可能でしょう。
他の家も50センチ以上離している地域という前提と、30センチしか離れていない外壁がかなりの部分あることを前提に、以下の解説をいたします。

今回の件は、工事業者と工事監理者、建て主の責任であり、M.Mさんには何の責任もありません。
工事業者や工事監理者の無責任な対応や建て主が出てこない?というのも変です。

設計や確認申請で55センチ離れていることになっているのであれば、そのように工事業者は建てるべきで、それが異なってしまう場合は、工事監理者にも建て主にも相談すべき内容です。

庇が越境していて隣家から指摘を受けたにもかかわらず、中間検査で指摘を受けない限り対応しないという業者の態度も問題です。

建築にかかわる、この程度の「民法を知らない」と開き直る建築士にも当然責任はあります。

建て主は承知の上で、業者に責任を問わず自身のことだけを考えているのであれば、良好な隣家の関係は、引越し後も築けないかもしれません。

判断をする前に、建て主にこの件についてどう思っているのか、説明に来てもらう方法があると思います。
業者が勝手に判断して、または自分たちの間違いを隠して建て主に報告しないで工事を行っている可能性があります。

久米解説員の説明にもありますように隣家との関係がありますから、それらも充分考慮され、隣家の窓の目隠しや塀などの他の要求で我慢できるのであればそれらを要求して解決しても良いでしょう。

もし、業者の対応も含めて、どうしても我慢できないのであれば、調停であればご自身で申請も対応もできます。
裁判であれば弁護士さんに相談した上で、依頼した方が良いです。

確認申請は、確かに役所に出されているのでしょうか?
民間の検査機関ということは無いですね。

役所には、中間検査の前に庇が越境している点も合わせて要求しておいた方が良いでしょう。
事前に伝えておかないと、中間検査では、そういう点を確認しない可能性があります。
 コメンテーター 
関口 啓介 コメンテータの関口です

久米さん、清水さんの解説にもあるように、建築主の意思を無視して現場が進められているとは思えません。
建築主に対応を求められるのが良いと思われます。

民法の234条2では、
(境界線から50cm以上の距離を保たなければならない)の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。
・・・とあります。
但し「規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う」となっております。

監理建築士の問題は、解説の通りです。
確認申請手続きのみが自らの責任と言う建築士は、自らの言葉に恥ずかしさを覚えて頂きたいです。
専門家としての自覚と誇りをもって頂きたいものですね。
 事務局から 
 荻原 幸雄  建築士がこの民法を知らない建築士は皆無といっていいでしょう。

当然、「規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う」以外の地域では50cm 離すことが決められていますので、守らなければ違法となります。
即刻、弁護士名で内容証明を建築主、建築士、施工者に出してください。

いまどき、まだ、こんな建築士が存在するのですね。
そのことが驚きです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  建築よろず相談ネットワーク 御中

ご返信いただき有難うございました。

ご指摘の建築主ですが、建築会社と同時に建築主にも内容証明を送っておりましたが、仕事の都合で、しばらく不在であった為、受取が遅くなったそうです。

前回の相談内容に書きました建築会社からの調査報告の後、建築主と直接、話し合うことになりました。
以下はその時の内容です。

@建築会社からは、今回の件については全く知らされておらず、内容証明を受け取って初めて知った。

A建築主は多忙のため、
工事前の近隣への挨拶回りは、建築会社の営業担当にお任せし、棟上まで、殆ど現場に足を運ぶことは無かった。

B建築士とは直接、会ったことは無い。図面は、自身で希望の間取りを書き、それを営業担当に渡して、後日、訂正された図面を確認する方法で作成した。その時に、民法上の問題は指摘はされなかったので、このような法律があることさえも知らなかった。

C図面に記載されている土地の形が実際とは異なっていること、また、図面どおりに境界線から55センチ離れて建てられていない事に対して、自分たちも非常に憤りを感じている。

D建築会社を訴えないのか?との問いに対して。
知り合いから紹介を受けた会社であること。
訴えることで、家を最後まで完成させてもらえなかったり、完成が遅くなると住む場所が無くなるとの理由で、訴訟に持ち込む意思はない。
また、建築会社とは、あまり揉めたくない。

E本来なら、建て直して欲しいが、10月に完成引渡ししてもらわないと、住む場所がなくなるので、建て直し以外の方法で、境界線問題については和解させて欲しい。

F庇、トユの件に関しては、厳しくこちらから注意する。

G素人とはいえ、あまりにも何も知らずに隣家の方々に迷惑を掛けてしまったことを非常に反省し、申し訳なく思っていると謝罪。

というものでした。
近隣の家々はどちらも50センチ以上、境界線から離しており、我が家もそのように建てております。
我が家はこの問題の家と、西側に接しておりますが、東側に接している家とも32〜34センチ程しか離れていないので、この3軒だけが非常にくっ付いて建っている状態です。(正面は北側で道路に面しており、南側は空き地です。)
(※東側隣家も我が家と同様、内容証明を出されております。)

確認申請書は、役所で概要書を請求いたしましたが、提出先は財団法人大阪建築防災センターです。
 その後  その後の経過です。
庇の越境について。
 @建築主からとこちらからの抗議もあり、中間検査前に越境していた庇部分は  カットされました。
 A役所から財団法人大阪建築防災センターへ、中間検査の際には重点的に庇部分を見るよう連絡すると報告がありました。
 B一昨日、中間検査があり、立ち合せてもらうことが出来ました。建築士、財団法人大阪建築防災センターの検査係の方、東側隣家住人と一緒に、
境界線を確認し、庇が越境していないか見てもらった結果、問題はありませんでした。
   但し、図面に書かれている地形がまだ間違っていると指摘を受けておりました。
 Cトユは今の段階ではまた付いていないので、完了検査も一緒に立ち合うようにと財団法人大阪建築防災センターの検査係の方に言われております。

建築主との和解案。
 2段ブロックを建築主の敷地内に建築主負担で建てるが、
 我が家側のブロック面は我が家が自由に使えるようにする。
 という和解案です。
 細かい協定は弁護士とも相談し、まだ話し合い中ですが、今後、隣家との付き合いのことを考えると、これ以上、こじらせるのもどうかなと思い、上記和解案を受け入れようと思います。

 建築主に泣いて詫びられた時には、
「こちらがものすごくいじわるしているのでは?」、
「たかが20センチ足りないぐらいでうるさいこという隣家だと思われているのでは?」など色々と思い悩みましたが、思い切って投稿し、みなさんの貴重なご意見を聞かせて頂くことが出来てよかったです。どうもありがとうございました。

余談ですが、建築主はこの件以来、現場をよく見に来られるようになりました。
自分の家ですから、大事にして欲しいものです。
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