相談概要 | [氏名] K.H. [相談内容] 売建住宅(建築条件付建売住宅)の瑕疵 [相談建物所在地] 東京都町田市 [職業] 会社員 [年齢] 42 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 2008年9月30日 [公庫は使わない] on [性能保証を使用] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 95.83 [延べ面積坪] 28.99 [工事請負金額] 43800000 [設計監理料] 0 [様態] 建築条件付建売住宅(売建住宅) [施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [18確認申請の為の委任しましたか?] してない。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 8 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 6 [施工者名] I建設株式会社 [販売会社名] A株式会社 [設計者名] S設計 [監理者名] S設計 |
相談内容 | 現 象: 建築条件付の物件のひな壇造成地の高台側で東南側二面が高さ3mから2mの落差のRC擁壁で囲われています。 疑問と不安に感じているのは、擁壁には、水抜きの穴があるのに、下部に排水溝等の設備がありません。 加えて擁壁下部には、境界線との距離もなく擁壁が直接立ち上がっている部分もあり、雨天時に水抜き穴からジャバジャバ水が出ているわけではないですが、少量の水でも排水は排水(垂れ流し状態)ですので、将来、隣の土地の方(長年居住されている方)とのトラブルの原因となると思い、施工会社に問い合わせたところ、 「役所にも指摘されず問題ないと考えているので排水溝の工事はしない。」 「よくある事で、今までの経験からも苦情はなかった。信頼されてないのか。」 仲介の不動産会社の担当者は、「ご近所付き合いで乗り切れるのでは。」との回答で 具体策はなく、前向きではありません。 このままで法律的に問題はないのでしょうか。 私がお隣なら、困りますので改善を要求するかと思います。 特に擁壁下部にスペースがない部分は、問題が起これば、こちらで対策できないので、どうしようもなくなります。どうすれば良いかわからなくなり、不安で工事請負契約ができません。 アドバイスをお願いします。 相手の意見: 施工会社 「役所にも指摘されず問題ないと考えているので排水溝の工事はしない。」 「よくある事で、今までの経験からも苦情はなかった。信頼されてないのか。」 仲介の不動産会社の担当者 「ご近所付き合いで乗り切れるのでは。」 相談内容 : 擁壁下部に排水設備をつけない物件は、違法ではないのか。 問題が発生した場合、対策はあるのか。 |
yorozuの感想 | 「家作りの問答集」の本でいろいろ勉強でき、今回の件も疑問を持ちました。感謝しております。 |
アドバイザー | |
武田 直行 | 擁壁の法的根拠としては 宅地造成規制法施行令5条〜10条 (5条の規定以外に設置する擁壁で高さが2mをこえるものについては建築基準法施行令第142条に規定)に規定されています。 同令10条に水抜き穴の規定がありますが、擁壁下部の排水施設については規定がありません。 そもそも水抜き穴は万が一擁壁の裏側に水が溜まりその水圧等で擁壁の倒壊事故を防ぐために規定されています。 そのため水抜き穴の裏面の周辺を砂利など透水性のある資材を用いて透水層を設けることが規定されています。 水抜き穴から排水される水は確かに擁壁所有者側からのものであることは間違いなく、それをお気遣いされるお気持ちは十分理解できます。 では排水施設を設けるとしてメンテ可能でしょうか。 排水溝などを設けてメンテ可能とするなら、60cm程度は必要になります。 そうでなければそのつど隣人の敷地内に入ってしかメンテはできないことになります。 またそこまでして敷地の有効利用を犠牲にする必要があるのでしょうか。 また、排水施設を設けることにより、擁壁の根入れ深さにも影響を与え、工事金額を高くし、分譲価格にも跳ね返る可能性もあります。 水抜き穴からの排水量が過大なものでない、社会常識から考えて適正な範囲に納まっているなら、とくに問題視するものでないと思います。 |
コメンテーター | |
津村 泰夫 | コメンテーターの津村です 武田解説員の解説どおりと思われます。 隣の敷地での排水を心配されているようですが、一般的にひな壇造成した場合には、その敷地で「がけ」と反対方向に排水のための勾配をとることになっており、(宅地造成規制法施行令4条)隣の敷地に降った雨はその敷地の、あなたの擁壁のすぐ下付近で処理しないといけません。 その量と比べると擁壁から出る雨水の量はわずかでしょうから問題ないと言えます。 ただ、ご近所のことでもありますし、挨拶の際に「擁壁から雨水がしみ出ることがありますが、ご迷惑をおかけいたします」くらいは言っても良いような気がします。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 民法には下記の条文があります。 第216条(水流に関する工作物の修繕等) 他の土地に貯水、排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により、自己の土地に損害が及び、又は及ぶおそれがある場合には、その土地の所有者は、当該他の土地の所有者に、工作物の修繕若しくは障害の除去をさせ、又は必要があるときは予防工事をさせることができる。 民法214条(自然排水の受認義務) 土地所有者は,隣地から自然に水が流れてくるのを妨げることができない。 とあります。 民法218条(雨水の注瀉(ちゅうしゃ)の禁止) 土地の所有者は,直接雨水を隣地に注ぐ屋根や工作物を設けてはならない。 本来ならばお考えの通り自分の敷地内の排水は自分の敷地内で処理が原則です。 今回の場合、相談者の考えは妥当なものです。 しかし、敷地の特性等を考慮したときに少し、視点が変わります。 高台の敷地の下の僅かな敷地に排水溝を設置する。ここまではいいのですが、その先が問題です。自分の敷地はほとんどが高いので、排水された水はどこかでプールして高台にポンプで吸い上げ排水する。 ということが考えられます。 現実、このようにしている敷地はほとんどないといえます。 低地の排水を人の敷地を通して低地に排水することしかできません。 排水溝を設置するということはその先までの処理方法を考え同意を得ることが大切です。 通常は理解してくれると思います。 費用負担は増えますが、隣地と排水処理の方法は協議すべきだと思います。 よく話し合いってください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | 『建築よろず相談』のコメンテーターの皆さん、 この度は、適切なアドバイスありがとうございました。 また、私の心情をもご配慮下さるご回答に感激いたしました。 今回の件をご相談する発端は、実は、工事請負契約時にありました。 契約時には、契約用紙しか用意されず、要求してやっと、建設会社から設計図書らしきもの、地盤調査書などが手に入る状態で郵送されてくるだけ、本見積(内訳明細書)や仕様書等は、注文住宅でなく建築条件付の物件で決められたパック料金だから細かく出さないとの回答でした。 これを境に、それまで順調に進んできたのとは、正反対の状態に陥り、大きな戸惑いと不安の日々が始まり、あらゆる事に疑念が湧いた中の一つが今回の相談内容でした。 結局、熟慮した結果、契約は結ばず、夢と希望を注いだ間取りと地元建設会社への期待感は報われない結果となりました。 神経質過ぎたのでしょうか?残念です。 |
その後 |
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