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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.1214 支払いが遅れていて、工事がストップされました。

 相談概要 [氏名] T.M
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[居住住所] 愛媛県今治市
[相談建物所在地] 愛媛県今治市
[職業] 主婦
[年齢] 39
[女性] on
[構造] わからない
[引渡し年月日] 西暦2008年5月28日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 48
[工事請負金額] 2300
[設計監理料]
[様態] 注文建築
[施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任をしましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。
[設計図面は何枚もらいましたか?] はっきりわからない
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?]7,8回
[施工者名] T.A
[販売会社名] (株)K
[設計者名] 分かりません
[監理者名] 分かりません
 相談内容 現  象:
お金の支払いが遅れていて、工事がストップされました。
というのも、支払いの方法や期日など、事前に説明もなかったのです。

2008年1月28日
棟上げをして工事を開始したのですが、契約書も交わしていませんでした。

2月20日頃
1回目のお金を入れてもらってない、そろそろ2回目の分も入れてもらいたいので、
合わせて2回分の1600万円を支払って欲しいと急に言われました。
その後、
3月末には残りがいるというので、銀行と借り入れの手続きを始めたのですが、契約書もなく、借り入れの手続きが遅々としていて、結局4月中頃でないと、お金が下りないことになりました。
契約書を交わしたのも、3月25日でした。
その契約書には、日付がさかのぼって書かれていて、棟上げを1月28日にしていたから仕方ないのかなあと思い、印を押しました。

 また、これまでの工事の間に、いろいろなうそを言われたり勝手な工事があり、こちらとしては、かなり腹が立っているのです。

たとえば、冷蔵庫を置く位置の幅を、設計図を作っているときは、冷蔵庫が大きくなっても大丈夫です、とはっきり言っていたのに、実際その空間ができて、冷蔵庫が入らないことになったとき、ぼくは入るかなあと心配したんだけど・・・と。

また、階段の付け方で、変更があったのに、理由を聞くと「大工がこれが一番いいと思ってしました」といわれたのですが、それはそれでいいとして、そのことをうちの主人に了解を得ていると私に説明したのですが、主人が昼間に電話したとき自分はまだ現場みていないから、確認して報告しますといっていたんです。
そのことは、主人から私も聞いていて、その後に合うと了解を得ているとかうそを言うので、頭にきました。

思い返してみると、棟上げの日を決めるときも、3月末まででよかったのに(愛媛県の県産材を使うことになっていて、年度末までに着工しないといけないことになっていたのです。)、私の実家の方に、12月までにしないといけないんだ、
と間違ったことを話しているし、実はそれも、自分の所の大工が今仕事がないので、早く工事がしたかっただけのようでした。
床材も35oの杉を使うと言っていたのに、言い間違っていたと30oのものを使っていました。
契約者はこちらなのに、私の実家の方に何でも話をしに行くし、そのため私たちが聞いていなくて分からないことがあったり、あっちこっちで言うことが違っていて、大変迷惑しています。

お金が下りた時点で、続きをお願いすることにしているのですが、実家の方がそれではいけない、こちらから頭を下げて、早くしてもらえと言うのですが、悪くないのに頭を下げるのもしゃくに障り、相手が謝る方が先じゃないかと思うのですが、そんな言葉一言もなく、態度が大きいばかりです。

どうしたらいいでしょうか。
泣き寝入りするしかないのでしょうか。
そんな会社を選んだ私たちがいけないのでしょうか。

相手の意見:
とにかく、お金を支払ったらしてくれると。
私の実家の方には断りの言葉もあったらしいのですが、筋が通らないと思うのですが。
 yorozuの感想
アドバイザー 
 氏原 毅士 解説員の氏原です。

 相談は2つの要点があるようです。まず1点は工事費の支払いの事。
2点目は要望とは異なる施工がなされている事。

 支払いに関してですが、上棟をもって工事着工の様な記述がありますが、小住宅での上棟は工事出来高の60%以上の履行が成された状況と言えます。
 当所監理案件では着手時に請負金額の30%、上棟時に同30%、竣工引渡し時に残金を支払うと言うのが通常の契約としています。

 相談では上棟を過ぎて急に支払いを求められたが、そんな話は聞いていない、との事ですが常識的には上棟後の支払いは上記の通り請負代金の60%程度が適正化と思います。
工事着工から上棟まで、全額自己資金ならともかく借入金が必要である事がわかっていながらその手続きすらしていなかったと言う事が理解できません。
 契約書が前後した事は言い訳になりませんし、業者が工事中断をしたのは当然と思います。

 2点目ですが、工事に対する要望が異なる点です。
設計図があって(当たり前です)それに記載されている内容は契約の有る無しに関わらず、「これでお願いします」という場面が有ったと思います。
 業者も、施主の承諾なしに着工する事は考えられません。
設計者も知らないとの事ですが、貴方は車を買うときにいきなりデーラーへ行って展示車もない車を発注しますか?

 手厳しいようですが、上棟を過ぎて2回目の支払いどころか着手金すら支払っていない。業者からまた言われて初めて借り入れの手続きを始めた・・は相談者側に大きな問題と責任が有りと言えます。 

 工事の要望に関しては、相談者が承認した設計図と現状が如何に異なるかを施工管理者・工事監理者(相談者は知らなくても必ず居ます)を交えて話し合いをしたら解決できると思います。
橋本 頼幸 解説員の橋本です。

 発注者であるT.Mさんと請負者である(株)Kとの間には「工事請負契約」が結ばれるはずです。
これは「契約書」というものが無くても、極論を言えば口約束でも契約は成り立ってしまいます。
 「契約」と言うことですから、発注者のT.Mさんも請負者の(株)Kにもそれぞれ対等に「(相手のために)するべき事」と「(相手が)してくれる事」が発生します。

 請負者の(株)Kから見てみましょう。
(株)KがT.Mさんのために「するべき事」は当然「契約通りの建物を造ること」です。
(株)KにとってT.Mさんが「してくれる事」は「契約通りのお金を払ってくれること」です。
当然逆も成り立ちます。
発注者のT.Mさんにとってするべき事は「代金を払うこと」であり、してくれる事は「建物を造ってくれる」ということです。

 ここで大事なことは、「契約通り」ということです。
 「契約通り」というのは、契約書が有れば契約書には、代金はいくらで、いつからいつまでで工事をする(工期)、引渡時期はいつか、どんな工事をするかは添付の図面に基づく、支払いの条件はどうなる(いつ頃にどれくらい、何回か)、トラブルになったときはどうする(約款)などが一式になっています。
小さな建築工事でも製本すると厚さが数cmになります。
こういったことをお互いに取り決めて忘れないようにすることが「契約書」の重要な役割です。

 では、「契約書」がなかったらどうなるでしょう。
契約書がなくても契約に至るまで何度か打合せはしているでしょう。
打合せのなかで、たとえ数枚でも図面はあるでしょうし、請負金額は一式ばっかりないい加減なものであっても○○万円程度はででているでしょううし、工期はだいたいいつ頃までというのも話し合っているのではないでしょうか? 
それを了解した上でお互いが進めているのではないでしょうか? 

だったら立派に契約は成立しています。
 ただし、その契約は非常に曖昧であるし、建築のプロでない人にとってとても不利な条件になっているのではないでしょうか? 
なぜならば、図面が数枚しかなければ決まっていないことは施工者が好き勝手できますし、請負金額に明細見積がなければどこまでが工事代金に入っているかわからずに一方的に請求できるでしょうし、工期も明記されていなければいつまででも理由をつけてのばせるでしょう。
契約書という書類を作らないと言うことは、こういったことがはっきりさせられないということです。

 T.Mさんの今回のご相談は、「契約書」があれば全て防げた話です。
2000万円以上の高額な商取引をするわけですから、いくら慎重にしても慎重すぎることはありません。
過去には戻れませんが、今からでもきちんと「契約書」を取り交わすことは手遅れではありません。
契約を交わす以上はお互い対等です。常に素人(施主)が弱者とは限りません。
むしろ、素人と建築のプロが行う取引だからこそ「素人を守るために」契約書が大切になってくるのです。
 コメンテーター 
久米 能子 コメンテーターの久米です。

 契約書も交わさず、図面も何枚なのかはっきりわからないといわれるような状態で、上棟まで進んでしまうなど、まったく信じられない話です。
そのような施主さんがおられたということに、実際のところ驚いています。

 工務店に対してお腹立ちのようですが、図面もあやふやで契約書も無く、支払い条件も決めず、その上お金の準備もせずに工事着工させて、T.Aさんは何も不安や問題を感じられなかったのでしょうか?

 ご実家のほうへ工務店がたびたび出向いているようですが、もしかすると、このお話はもともとご実家からご紹介されたか何かなのですか。
もし、そうであるとすれば、たとえ口頭であったとしても、ご実家のほうとその工務店さんとで何らかの取り決めのようなお話をされているのではないのでしょうか。
誰かと何かの取り決めがなければ、工務店が工事を進めるとはとても思えないのです。
あるいは大変長いお付き合いで幾度も工事を依頼されているので、またいつものように、などという感じでしょうか…(勿論そうであっても、図面と契約書は着工前に必要ですが。)

 いずれにしろ、工事がとまるのは当然です。
早くお金の準備をなさることです。
 また、打ち合わせした家の内容は、図面やメモにきちんと残すことです。
相手に頼らず、ご自身でメモを残し、相手にもきちんとそれを確認させて進めることです。

 もう少し、家作りについて勉強してください。
家作り本は沢山あります。
1000問答の建築よろず相談の解説委員が書いたものもあります。
 事務局から 
  荻原 幸雄 いい加減な業者だと思います。

仕様、設計図、明細見積、工事請負契約、予定工期、支払い方法など、当然、全ては工事前に終わらせて、当然、借り入れの為に建築主さんは銀行と打合せが必要で、内諾を得ておくことも大切なことです。
通常は業者さんがリードしてあげるべきことですが、この業者はこんな仕事しかしていないようです。
そんなので、通用する社会が存在することに驚きます。

今からでも、第三者の建築士に工事監理を依頼したほうがよいと思います。
このような業者は仕事も杜撰とうのが相場です。引渡しされるまでは気が抜けませんね。

後悔は先には立ちませんから、慎重に判断してください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  お返事ありがとうございました。
人や立場によりいろいろな見解があるんだなあと思いました。

私たち甘かったのかなあと厳しい意見が多かったですが、最後の荻原さんの意見に救われました。

契約の仕方支払いの仕方云々については、業者によって多少違うところもあり、説明を受けなければ分からないことだと思います。
業者にも説明責任を果たして欲しいし、私たちももっと勉強が必要なのかもしれません。

ただ、私たちが一番腹が立っているのは、うそをつかれることです。
設計の段階で説明されていたことが、実際にそうなっていないとか、業者からできると言われていたからお願いしたのに、こちらが言い出したような言い方をされたり。
とにかく、大工さんにもこちらにもいうことがちがうんです。
そういう業者の対応には、何も言えないのでしょうか。

 久米さんの意見の中に実家と業者の間に何か関係でもあったのではないかというお話がありましたが、そんなことは、全くなく、私たちが、見学会で見て決めたと言うだけのことです。
 その後  
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