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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No.1211 契約前の大工とのトラブル相談

 相談概要 [氏名] M.M.
[居住住所] 三重県伊勢市
[相談建物予定地] 三重県伊勢市
[職業] 無
[年齢] 34
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦    年  月  日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 47
[工事請負金額] 2450
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] −
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 15
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?]5
[施工者名] K.N
[販売会社名]
[設計者名] M設計
[監理者名]
 相談内容 現  象:

相手の意見:

相談内容:
19年2月
完成内覧会を見に行き、主人共々気に入ったので、他のハウスメーカーで作ってもらった間取りを見せたが、これではちょっとと言われ、7月始めに大工が手書きの間取りを3プラン持ってきた。
この時建設予定地に案内し、「こんなところで仕事ができたらいいなぁ。7月中にプランを決めて、8月に確認申請し、9月着工はどうでしょう」と言われ、主人がはいと答えた。

19年8月16日
音沙汰のなかった大工から電話があり、「入院してましたので、連絡できませんでした。」と言われ、間取りが決まったら教えてくださいと言われた。

19年10月20日
私がマイホームデザイナーで作成した間取り及び家に対する要望事項を、主人と共に建設現場へ持って行き、見積もり依頼した。この時「図面にしてからでないと、見積もりができないので、
見積もりができるまで1ヶ月位かかる」と言われた。
この際自分たちの予定も考える上で、工期や着工状況を聞いた。

19年12月2日
私が作成したプランの図面(配置図・平面図・立面図の3枚)及び見積書を持ってきた。
しかし、説明されながら図面を見ていると、2階の和室のクローゼットの位置が違ったり、子供部屋が小さいうちは広く使えるよう引き戸の間取りにし、引き戸と引き戸の間を納戸にする配置だったが、子供部屋は壁有りのクローゼットになっていた。
一言もなかったので、指摘したら、「あっ、そうですか。言いますわ」と言われた。
ちゃんと見てくれてなかったのかなと思いました。

19年12月3日
1階の廊下及びクローゼットをなくし、リビングを広げた間取りを依頼。

19年12月6日
変更した図面の平面及び立面図で、2階がバルコニーのプランと2階が屋根のプラン計6枚を持ってきた。

19年12月15日
私が電話にて「やっぱりちょっと高い気がするので、保留にして下さい」と言ったら、「設計料もかかってるんですよ」と言われたが、翌日見積もりの材料や建設方法を示した紙を持ってきて、「うちは何もかけてませんし、価格に自信を持ってますから。他のハウスメーカーと比べてきてください。だめならだめでいいんで、気にしないで下さい」と言われた。
他のハウスメーカーに同様に要望を伝えたら、階段幅21cmになってますよ(27cmで要望していた)と言われた。

20年1月中頃
主人とやっぱり大工にお願いしたいと思い、「間取りを変えたいんですけど」と電話し、週末に再度私の作ったマイホームデザイナーの書類(玄関を南から東に移動し、リビングと位置を配置換えした。)と細かい要望を渡すため、自宅に来てもらった。
週末会った際、「もうどこかのハウスメーカーにいったと思ってました。見積もりしてから、だめになるとガクッとくるんですよね」と言われ、私が「他の工務店の方が安かったんですけど、主人が熊野さんの家が気に入ってたんで」
と話した。
12月6日に渡されたバルコニーのプランが良かったので、そう伝えると、雨漏りや台風が心配なので、屋根でないとと言われた。
その後「やはり設計士と話しましたが、屋根でないと漏るという話になりました」と言われたが、ならなぜバルコニープランを持ってきたのだろうか。
設計図面2枚余分だった。
階段幅の件も聞いてみたら、階段については「以前から話聞いていたので分かってますけど、設計士にはそんな細かい事伝えてないんです」と言われた。

20年2月6日
設計図(平面図のみ)2枚をもってきた。

20年2月10日頃
主人が電話し、「少し直してもらいたいところがあるんですけど、それを直してもらったら、最終見積もりお願いします」と言った。

20年2月13日
自宅で会い、棚の設置や窓の追加などの変更をお願いし、「ちょっとの変更やなぁ。でも図面直すか」と独り言のように大工がつぶやいた。
建設予定地が軟弱地盤なので、以前地盤補強について聞いたとき、「100万もかかりません。50万くらいです」と金額の話しかされてなかったので、地盤の補強について「杭とかはしてもえますか?」と聞いた。
「杭はしません。杭なんか打ったら、近所から苦情きますよ。けっこう多いんですよ、苦情が。
補強言うてもコンクリ40cm入れるだけですよ。地盤の保証はできません。
去年建った近所の家も傾いてないし、どうせコンクリしか入れてないでしょ。
前から建っている近所の建設屋知り合いですけど、瓦で何も傾いてないから、瓦にしないですし、大丈夫ですに」と言われ、「でも他に何かないんですか?」と聞いたら、「多気町の方でローラーはしたことあります。まっ表面だけ固まりますけど」と言われた。
その後「ご主人から最終見積もりって言われてるので、設計に1週間、見積もりに1週間位かかります」と言って帰った。

20年2月15日
私が「2階トイレの汚水管を家の中を通らせないようにしてほしいんです」と伝えたら、「外にすっぱ抜きましょう。そのほうがラクでいいです。まだそれは後からでも大丈夫です」と言われた後、「昨日設計士と話したですけど、ほかにも設計があるみたいで、2週間かかるって言われました。」
「見積もりができるのは?」と聞いたら、「見積もりにも2週間は欲しいですね」と言われた。
予定が変わってた。

20年2月29日
最終図面(平面図・立面図)計3枚を自宅に持ってきた。
その際、「4月になると、確認申請がややこしくなって、いろんな構図もつけないといけなくなるんで、申請料も高くなります。今からなら3月申請として取り扱ってくれるんで、この図面でよければ確認申請出しますけど」と言われた。

20年3月7日
主人が大工に電話し、「2階のトイレの位置を1階と同じ位置にして、納戸をその分一階の外周に合わせてもらえませんか?(2階が1階より半間小さくなっていたので)」とお願いしたが、
「何度も見てもらってると思ってたんで」という返事。
主人から私に、これ以上変更したら、大工のやる気がなくなるぞ。今からお願いしても、3月申請に間に合うか厳しいくらい。
再度変更なら3月に間に合わんって言われたで、このままいくかと言われ、はいと返答し、主人が夕方5時「このままで、確認申請お願いします」と言った。

翌朝
主人と話し合い、やはり自分たちにとって一生に一回の家なのに、自分たちの思うように建てれないなんてとかなり落ち込んでたら、それを見た主人が、「このままいっても、地盤のことでまたゴタゴタするし、俺たちがなんで大工に気を遣って、自分たちの家を建ててもらわなあかんのか分からんで、もう断ろう」と言って、大工に電話してくれた。

20年3月8日
主人が「白紙に戻しませんか」と言ったら、「そうですね。こっちも何度も何度も変更で・・・」とかなり嫌気がさしていた様子だったようです。
設計代くらいは払わないと悪いかなと思った主人は、「かかった設計代は請求して下さい」と言ったようで、「そうですね。郵送するか、もって行きます」との返答だったようです。

20年3月14日
請求書が新聞受けに入ってました。
__________________________________________________________________________
 請求内容:大工分   31500円
      設計士分 111300円  合計142800円
__________________________________________________________________________

設計士分については、大工あての請求書がそのままコピーされたものがメモ書きと共に入ってました。
[メモ]:
請求まとめさせて頂きました。
本来ならもっと現地調査費など請求させて頂きたいのですが、いろいろ事情を考えまして、
私どもも日当になるかならないか程度の正味実費のみの請求にさせて頂きました。
よろしくお願いします。
と書いてありました。
請求書は、
___________________________________________________
11月26日 A3*4枚 40000円
12月6日  A2*6枚 30000円
2月6日   A2*2枚 30000円
2月29日  A2*3枚  6000円 
合計 106000円+消費税5300円

大工分の請求内容は、
自宅図面打ち合わせ一式 15000円
見積もり作業一式     15000円
合計30000円+消費税1500円
___________________________________________________

打ち合わせや見積もりが有料とは聞いてませんでした。

20年3月22日
主人が大工に電話し、「こんな請求払いません」と言ったら、大工は下記のような言い分を言ったそうです。
「図面及び見積もりは、あくまでMさん側からの依頼を基にした作業です。こちらは、営業活動として作業をしたわけではありません。見積もりをするのも、仕事を休んで行ったものであり、
本来であれば10万円くらい請求したいところです。ハウスメーカーと一緒にしないで下さい」
と最後はかなりエキサイトしていたようです。

設計士分は予測していましたが、契約するにあたり、見積もりして建設会社を決めるのは誰しも行う事かと思いますが、客観的に見て頂き、この場合いくら払う義務があるのか、どう対処すべきかお教えください。

追加メールにて・・・
昨日のメールに関、主人にメール内容も見てもらったところ、不備がございましたので連絡させて頂きます。

19年7月
土地を見に行った際、最後に私が「ちょっと厳しいかもしれません」とお伝えしたかもしれません。

20年3月8日
主人が請求してくださいと言ったのは、後腐れなく終わりたかったようです。

以上、補足になってしまいすみませんが、よろしくお願い致します。
 yorozuの感想 私たち素人にとって、専門家の方の意見が伺えるなんて、とても有り難い事です。
他の方に比べると少ない金額かもしれませんが、今回の過程で、夫婦仲までゴタゴタし始め、一生に一度の夢のマイホームのはずが、かなり参ってました。

本当に救われました。よろしくお願い致します。
アドバイザー 
 津村 泰夫 大阪の津村と申します

請求の内容ですが、詳しく図面の中身を見ないとわかりませんが、おおむね妥当な金額かむしろ控えめな額であると感じます。

なお、「設計士」という資格はございません「建築士」が相当するかと思います。
また、本年4月から建築確認申請がややこしくなるというようなことはございません。
大工さんのお話の内容は何ら技術的な裏付けがないように思われます。
しかしながら設計図面の量や大工さんの手間を考えます
と請求額は理解できる範囲であると感じます。

少し古くなりましたが私たちが発行している「我が家を手に入れる前に読むQ&A80」には家造りの基本的なことを書いておりますので参考にして新たな家造りに取り組んでみてください。
山口 雅克 説員の山口です。

この大工さんは、わりとあっけらかんな性格の方なのかもしれません。
口の聞き方など揉み手の営業マンみたいには行かないでしょうけど、そこそこポイントをおさえた話をされているにではないでしょうか。
ただ、理論だてた話はされてないようなので、少し不安になられていることは分かるような気がいたします。

建築士やこの大工さんに支払う金額に関しては、その仕事の中身にもよりますが、話の内容からすると高いものではないと思われます。
ハウスメーカーではないから(ただでやった作業量は他の人が負担してる)、、、もごく当たり前と思われたらいかがでしょうか。
4月から確認申請がややこしくなるとの話は、事前審査がなくなることの話ではないでしょうか。
自治体などによっては事前審査運用期間が3か月程延びたところもあります。

大工さんは工事をする人、建築士は設計をする人と分けて考えることをお薦めします。
間取りにしても素人以上の知恵をもって作ってくれる人は沢山います。

一生に一回の家だと言われているのですから、専門家の知恵や知識をかりて建ててみてはいかがでしょう。
 コメンテーター 
久米 能子 コメンテーターの久米です。

二人の解説委員が述べているように、請求金額はむしろ安いと思われる金額です。

昨年3ヶ月打ち合わせやら見積もり依頼やらをされて、結局年末に保留(実際には大工さんにとっては断りに受け取られたと思いますが。)をされて、その後、年が明けて改めて依頼の電話をかけて再スタートした、といういきさつを拝見すれば、大工さんの請求はもっともだと思います。
 大工さんは昨年末まではMMさんが断っても何も請求せずに我慢していたのでしょうが、年明けに再度スタートしたときは、彼にとってはこれで仕事が決まったと受け止めて当然の成り行きであると思いますから、結局、また断るとなれば、これまでの費用を幾分かでもMMさんが支払われるのは当然といえるでしょう。

大工さん本人が言っている様に高い営業費用を商品としての家の販売価格に乗せているハウスメーカーとは違いますし、また、相手がメーカーや工務店・大工、の違いにかかわらず、半年以上のつきあいをして、無償で断るというのは、相手に対する思いやりのない、いささか身勝手なやり方ともいえます。
お客だから何をしてもいいというわけでもありません。
MMさんは、途中で何度もご自分たちの意向にうまく沿わない図面に納得の行かない思いをされておきながら、それでもやはりその大工さんを選んで打ち合わせをされてきました。
そのことを思い出していただきたいと思います。

もともと大工さんたちはきめの細かい打ち合わせには慣れていません。
うまく意思が伝わらないと思った時点で、やり方の改善(打ち合わせに設計の人も一緒に入ってもらえるように依頼する等)を提案するべきであったと思います。
問題点を感じているほうが改善方法を提案するしかありません。

今回の場合、残念ながら大工さんご本人は、細部の打ち合わせが通っていない図面をさほど問題と思われていない様子でしたね。
大工さんは設計の専門ではないので、そういうものだと思っておかれたほうが良いと思います。
彼らに悪気はありません。

 尚、4月から確認申請がややこしくなる(2階建ての木造住宅について)、という予定は大工さんのお話されていた時点では本当でした。
しかしながら、少し前にその措置は延期されました。

 請求された金額は気持ちよくお支払いになり、今度は、設計の人とゆっくり時間をかけて話し合える相手を探して、新たな気持ちで家つくりを頑張ってください。
ただ、マイホームデザイナーで素人の方でも図面はかけますが、そのプランが本当にベストなのかどうか、何でもご自分たちの思うとおりにしようと思われる前に、せっかく専門家に頼まれるのですから、プロの意見もまず初めに聞いてからすすめるほうがもっと良い家になるはずです。

 私も設計事務所の仕事をしていますが、何でも自分たちで決めてしまってその通りにしてほしいといわれる施主さんには、もっと良いやり方や提案等があったとしても、何もこちらから申し上げる気にならず、そのままほおっておくことが多いものです。
 事務局から 
 荻原 幸雄  昔ながらの大工さん、工務店という感じですね。

設計料はサービスのように振舞いつつ、駄目となると、設計外注費はもらいましょう。というところ。
ハウスメーカーもサービスか?請求しても安い金額です。

実情を申しますと、ご理解できると思いますが、設計者は霞を食べて生きていけるものではないので、サービスという名の費用はどこに隠れているのか?
当然、施工費です。
その中に隠されています。

施工を依頼しなければ含まれていても無料なのでは?と思いませんか?
実は、そういう理屈になりますが、ここにトリックがあります。

そうなんです。
依頼しないで、断った人の経費を、全くの他人が支払ってくれているのです。
ハウスメーカー、工務店の設計、企画業務が無料なのは、依頼した建築主が断った人の分を支払っているということなのです。
理不尽でしょう?
そうです、「人が動くと労働であり、労働することに対価が発生する。」
これは資本主義社会の常識ですし、基本的人権からも当然の権利です。
この当然の権利がサービスなどということはないのです。
トリックを駆使して、建築主を惑わす。
これこそ、モラルハザードの悲しき現象なのです。

相談者はそのトリックに惑わされて、結局は夫婦での認識の錯誤が生じているのでしょう。
ここはリセットして、設計料は直接設計者に支払って、その能力を依頼するという認識に一から立ち返って家づくり目指してください。

そう、一生に1回の大きな買い物ならば、信頼できる建築士を選定することこそ、全てです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  津村様、山口様、久米様、萩原様

 お忙しい中、たくさんのお気持ちのこもったコメントを頂き、本当に有り難うございました。
有り難いお気持ちに大変恐縮致しております。
 皆様のご意見を主人と共に見させて頂き、毎日考えこむ事が多かったのですが、相手方とちゃんと話し合う気持ちになれましたし、家造りに取り組む気になれませんでしたが、とても前向きな気持ちになれました。

本当に本当に有り難うございました。
 その後  
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