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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 1207 業者は工期の変更を求めることが出来るのでしょうか?

 相談概要 [氏名] YT
[相談内容] リフォームの瑕疵
[相談建物所在地] 愛媛県松山市
[職業] 法人職員
[年齢] 47
[女性] on
[構造] 木造(その他)
[引渡し年月日] 西暦2008年3月10日
[何階建て] 1
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 4
[工事請負金額] 350
[設計監理料] 0
[様態] −
[施工者] 大手ハウスメーカー;S・M・D・P・MI等
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] −
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] -
[18確認申請の為の委任しましたか?] -
[確認申請書お持ちですか?] -
[検査済証は有りますか?] −
[設計図面は何枚もらいましたか?] 2
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 3〜4
[施工者名] S
[販売会社名] S
[設計者名] S
[監理者名]
 相談内容 [現象]
増築部分と既存建物の基礎に高低差がある。

[業者の見解]
全面的に業者側に非がある。値段は税抜き300万円(40万円弱の値引き)で、増築部分の床を重ねるなど、修正しながら完成させたい。

[相談内容]
2年半前にSで家を新築しましたが、1部屋増やしたいと思い立ちました。
知人に信用できる大工さんが「坪30万円台で」と言ってくれましたが、元の家がユニット工法であるため、増築にもいろいろ制限があるようでしたので、Sのリフォーム部門のSFにお願いすることにしました。契約後に坪単価が80万もすることに気付き驚きましたが、契約前にちゃんと計算しなかった当方のミスだと思い、諦めざるを得ないと覚悟し、大手業者のことですから、それなりの物を造ってくれるのだろうと期待する方に気持ちを切り替えることにしました。

家から1メートルほどの間隔を取って増築し、元の窓の部分で、廊下で繋ぐというものです。扉は増築した側に付け、つなぎ部分は、廊下ではなく、あくまでも繋ぐ部屋(元々あった部屋)の一部として考えて欲しいということでした。工程的にも、日常生活への負担が少ないということでした。

ところが、つなぎも出来て仕上げの段階になり、様子を見に中に入ろうとしたところ、つなぎ部分に傾斜があるような気がして、責任者に確認してもらいましたら、約半間ほどの間に2センチ弱の高低差があることが判明しました。計算ミスによるもので、非は全面的に業者にあることは向こうも認めております。

今後の解決策の案を持ってきてもらいましたが、納得できるものではありませんでした。修正しながら完成させて、税別300万円ということです。修正といっても、基礎から直すのではなく、床を重ねるなどの方法ですので、体裁を取り繕うようなものだと思うのですが(掃き出しは床より低くなる)、それで40万円弱の値引きで、坪単価70万強です。

金額の提示の仕方も「税込み350万円ほどのものを、税別300万円で」という言い方をしましたので、「実質315万円で、40万円弱の値引きですね」と私が確認したら、渋い顔で頷きました。少しでも多く値引きしたような表現をしたかったようで、不信感が募りました。また、解約の事も考えているので、解約の際の費用や手順を示して欲しいと、事前にお願いしていたのに、その資料は出してくれず、あくまでも修正で押し切るつもりのようでしたが、なんとか聞き出したところ、建物はほぼ完成しているので、解約の場合も約300万請求することになる、更に建物を撤去する場合は解体料も当方の負担になる、というのです。ほぼ完成といっても、基礎から失敗しており、向こうが、それに気付かず工事を進めておきながら、ほぼ全額をこちらが負担するとは驚きました。

元々の金額のことや、工事内容についても不満がありましたので、良い機会だと思い、伝えました。新築した家が全ての設備込みで坪60数万だったが、外壁、屋根材、建具など、すべてが格段に劣っており、坪80万の家には見えない。(上棚のみのクローゼットが1つ付いているだけの部屋です。)廊下部分は部屋の一部だと言いながら、フローリングの向きが90度違い、その境目部分の板に躓きそうな程の段差がある。匂い(おそらく壁紙用ののり)がきつくて、隣の和室にまで漏れてくるので、2部屋が使用不能になっている。
床下を見ても不安材料がたくさんあったり、現場付近で廃材を見つけたこともあり、作業のすべてが信用できず、あの部屋で安心して眠ることは出来ない。あれだけの高低差に、こちらが指摘するまで気付かなかったのなら、作業をしている大工もプロとは思えないし、隠そうとしたのなら、なおさら許せない。早い時期に発覚していたら、数十万円で解約できたものを、向こうが気付かなかったことにより、こちらがほぼ全額支払うのは納得できない。我々からすれば、あの部屋は基礎から失敗しているのだから価値は0である。むしろ、3000万円かけた家本体さえも欠陥住宅にされたようなものである。

おそらく、この家に住む間、そのことは心から消えることはなく、悔やみ続けることになる。口では非を認めながら、対応(提示内容)に誠実さのかけらも感じられない。などなど・・・神妙な面持ちで聞いてはいましたが、改めて検討するような言葉はなく、今回提示した3つ(300万で完成させる・解約して建物はそのまま・解約して建物解体)から選べ、ということのようです。納得できる選択肢は1つもありません。

この3つの案は、正当なものなのでしょうか。もしかしたら、部屋自体は水平に造られており、つなぎ部分が傾斜しているだけだという考えなのかも知れませんが、当方は、離れ家を造って母屋と繋ぐことをお願いしたわけではなく、家に1部屋増築することを希望したわけで、計画段階では、むしろ業者側から、つなぎ部分は廊下ではなく部屋の一部と考えて欲しいと何度も強調しており、一部分が傾斜しただけでも、全体が欠陥住宅であると思います。こちらとしては、工事期間中の不便さ、失敗が発覚してからの精神的な苦痛、元の家までも欠陥住宅の一部にされたことに対して、逆に慰謝料が欲しいくらいなのですが(ちょっとオーバーですが)、請負契約について、分からないことも多く、悩んでおります。

当方は40万の値引きで欠陥品を引き取るくらいなら、一(基礎)から造り直して、契約どおりの建物を契約どおりの工期で建てて欲しいと思っておりますが、施主として要求することは可能でしょうか?
ちなみに契約書では、工期は3月10日ですが、現在工事は中止しております。業者側にミスがあったため中止しているのですが、それでも、業者は工期の変更を求めることが出来るのでしょうか?その場合、どれくらい変更するのが妥当なのでしょうか?

契約書を再確認しましたところ、「甲の解除権 第19条 3 乙が次の各号の一に該当し、相当の期間を定めて履行を催告しその履行がなされないときは、甲は、契約を解除できるものとし、これによって生じた甲の損害は乙が賠償するものとします。 (2)乙の責に帰すべき事由により工期が著しく遅れ、工期経過後、相当の期間内に完成する見込みのないことが明らかになったとき。」とありますが、当方が一からのやり直しを要求した場合、工期内に完成させるのは不可能だと思いますが、適用されませんでしょうか?

更に「契約解除に伴う措置 第21条 3 第19条第3項に基づきこの契約が解除された場合は、第1項の規定にかかわらず、乙はこの契約解除時の現状有姿のまま工事の既成部分を甲に引渡し、・・・」とあります。第1項に、既成部分の代金を支払わなければならない旨が記載されています。

話し合いの時に、向こうは「一般論としては・・・」を繰り返し、契約書のことは一切口に出しませんでした。契約書を見ると、向こうに不利になるので、触れないようにしていたのではないかと、更に不信感は募るばかりです。
よろしくお願いします。
 yorozuの感想 出向かずに相談できるのは助かります。
是非解説を頂きたいです。よろしくお願いします。
アドバイザー 
木津田 秀雄 相談員の木津田です。

 まず工事金額ですが、坪単価で新築時と比較されていますが、建物は小さくなる程単価は高くなります。また2階建てより平屋の方が単価は高くなりますので、一概に比較することはできません。文面から見る限り4坪の増築で350万円は特段高いようには思えません。

 建物の床高さが違っていたとの事ですが、初歩的なミスであるということは間違いありません。しかしながら、その差が数cmである場合に、基礎からのやり直しや建て替えを要求することは難しいかと思います。
なぜならば、床の高さは基礎で決まるのではなく、土台や根太などで調整することが可能だからです。したがって、業者の言う床の上に増し床をするのではなく、床を撤去して造り直す方が適切な補修方法だと思います。

 その他の施工不良についての程度は文面だけでは分かりませんが、増築部分の床高さを間違えたから元の建物まで欠陥住宅になる訳ではありません。また工事の中断は、どちらが中断させたかによって内容が変わります。業者は建て主に補修内容を提示しているのに選択しないので、完成引渡ができないと言うでしょう。とことん詰めて行けば、裁判で判断してもらうしかないかもしれません。

 ご相談を読む限り、費用を減額させるより、床をきちんとした大工にやり直しさせる、床を剥がした際に、建築士に立合いを求めて、土台や基礎に施工不良がないかを確認させて、報告書を作成させる、などの処置を取ることを条件として工事を再開してはどうでしょうか。

 慰謝料やお気持ちについての金銭的評価は、文章だけでは困難ですので、弁護士会などの無料相談などでお聞きしてみてはどうでしょうか。
 コメンテーター 
氏原 毅士 コメンテーターの氏原です。

 床の高低差はフローリングを張り替えてもらえば解決します。(方向も)4坪程度との事、業者もそう嫌がらないと思います。
 費用は木津田解説員が記載している通り、高額すぎるということは無いと思います。早く工事再開されるほうがお互いに得策です。
 事務局から 
  荻原 幸雄 業者は非を認めているのですから、先ずは、施工を進めることになりますが、不信感があるのですから、ここは第三者の建築士に介入してもらう方法がよいかと思います。
その費用は話し合ってください。
両者にとって第三者の建築士が入ることは妥協点も見つけやすいので、よいと思います。
慰謝料については弁護士にご相談ください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  丁寧な回答ありがとうございます。
相談したときは、かなり感情的になっておりました。お恥ずかしいです。
やはり、話し合いで、歩み寄るのが最良の方法のようですね。
金額も、高額すぎるわけでは無いのですね。

さて、その後、当方としては契約どおりの建物を完成させて欲しいという要望を提出しましたところ、業者側から更に20万円の値引きで、床上げして、廊下部分を造り直す、修復の費用は業者持ち、という案が出されました。床下のジャッキも取り替えるそうです。
姉が仕事上、一級建築士に知り合いがおりましたので、相談したところ、完成した部分に手を加えるより、廊下部分のみを直して、段差をつける方が良いのではないかとのアドバイスがありました。
バリアフリーにはなりませんが、幸い、両親も私も、現在のところ足腰も丈夫ですので、それも有りかな、と思いました。
別の一級建築士にも相談しましたら、その方には、床上げするなら、コンパネ等を敷き詰める方法で修復するように念を押すようにアドバイスされました。(柱部分のみ高さを上げる方法もあるそうですね)
また、先の建築士の意見を伝えたところ、その方法で、更に値引きしてもらえるかもしれないと言われ、業者に打診したところ、13万円ほどの実費分を提示されました。
廊下部分も修復せず、現状のままなら、更に3万円の値引きだそうで、家族で、どの方法にしようか話し合っていたときに、ある疑問が浮かびました。
何の修復もせず、現状のまま仕上げると16万円安くなる、ということは、修復費を当方が負担している事になるのではないか・・・。
今週末に、この疑問を業者に伝えようと思っています。

その後、どうなるか、また報告させていただきます。
本当にありがとうございました。
 その後  
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