相談概要 | [氏名] M.N [相談建物予定地] 岡山県倉敷市 [職業] 会社員 [年齢] 46 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦 年 月 日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] 134 [延べ面積坪] 40.53 [工事請負金額] 約3000 [設計監理料] 0 [様態] 注文建築 [施工者] 大手ハウスメーカー;S・M・D・P・MI等 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] - [18確認申請の為の委任しましたか?] - [確認申請書お持ちですか?] - [検査済証は有りますか?] − [設計図面は何枚もらいましたか?] [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] [施工者名] I工務店 [販売会社名] I工務店 [設計者名] [監理者名] |
相談内容 | [家づくりの相談内容] 新築のことで悩んでおり、なにかアドバイスいただけたらと思いメールしました。 倉敷市中心部在住の義母(一人住まい)が同市の外れにあるTに新築転居を考えており、家内と義母で展示場のモデルハウスを見に行ってI工務店にて土地探しからお願いしました。 土地探しの条件は幾つかあったのですが、最も重要な条件の一つに「日当たりのよいこと」を挙げてお願いしておりましたところ、古い(10数年程度?)分譲地の北側道路で、南側も東西も2階建てが敷地境界にかなり近い状態で建てられている場所(53坪正方形)でしたが、他の条件に合っていたこともあって「一番のお薦め」と言って薦められました。 家内も義母も「日当たりはいいの?」と尋ねたところ「設計で十分対応できます。心配いりません」とのことでしたので営業の方を信用してその土地の購入を決めました。 購入後私が土地を見に行きましたが「日当たりがいい」とは到底思えず、広さも義母の希望からすると少し狭いようでしたので土地の変更を申し入れましたが、とにかく設計を見てくれとのことでしたので、その後設計を練りに練って採光のため中庭+吹抜けプランで進めています。 日影規制なども参照しながら、設計士の方はとても誠実かつ真摯に対応して頂いておりその努力には同じ技術者(私は機械屋ですが)としてもとても感謝していますが、そもそも営業の方の土地選びに問題があったのでないかと疑問に思っております。 したがって、日当たり確保のための建築仕様に該当する部分は全てメーカー側で負担してほしいと要望していますが、どの程度対応してくれるかはまだはっきりしていません。 日当たりの概念に個人差や認識のずれはあるものだとは思いますが、メーカーは専門業者なのですから最初にどの程度の日当たり状況なのか、またどのような設計上の対応が必要でそのためどの程度の費用が別途にかかるのかの説明を義母たちが土地を決める前にすべきではないのかと思っています。 このような状況の中で、私たちが日当たり確保のために必要な費用負担をメーカー側に求めるのは間違っているのでしょうか? 仮に建築基準法の第1種住居地域の日影規制に照らせば2階床レベルで規制に定める程度の日照は得られているかもしれませんが、規制はあくまで用途地域ごとの必要最低限の日照確保を目的としているのであれば、義母が望んでいる「日当たりのよい」とはかけ離れていると私は感じており、玉島という土地柄(田舎)を考えても勧められた土地が常識的なものかどうか疑問に思っています。 |
yorozuの感想 | HPに掲載されている数多くの相談・回答は読んでいてもとても心強く感じます。 最終的には個人がより多くのことを勉強して問題に立ち向かわなければならないわけですが、その情報源として、また励みとしてより多くの方が活用されることを望みます。 |
アドバイザー | |
久米 能子 | 解説員の久米です。 工務店が提案したプラン、つまり中庭を取って、吹き抜けを作ることは、北側道路であっても日射を1階まで届かせる工夫としてはとても良い工夫だと思います。おそらく、私が設計を引き受けても同じような手法を一度は考えてみたことでしょう。 ご相談の問題点がはっきりわかりにくいのですが、以下のどれかに該当するでしょうか。 1.提案のプランが本当に日射が十分入るのかどうか、理解できない。 2.提案のプランでも尚、自分たちが考えているほど十分な日射が室内に得られないという結果が判明し、プランを受け入れることができない。 3.プランそのものは気に入ったが、コストがかかりそうなので、コスト高になる分を工務店に負担してほしいと思っている。 1.ならば、模型でも作ってもらって、照明を当ててもらったりして検討してみてください。 2.の場合ですが、直射日光をどれほど取り入れたいかは個人差があり、プランが気に入らないのであれば、その工務店を断るしかないでしょう。 あらゆる工夫をしても、周囲になにもなくぽつんと建つ一軒家と比べれば、日射が幾分か劣るのは敷地の条件が厳しければ当然といえます。敷地の限界ということでしょう。 最初にどの程度の日当たり状況なのかを説明するべきといわれていますが、それはプランを作ってみないとなんともいえないのは自然なことです。 それを事前にきちんと説明することは一生懸命できるだけ設計で解決してみようと前向きに考えている設計者であればあるほど、できないことでしょう。 事前に説明できるということは、通りいっぺんのことしかやる気の無い証拠でもあります。 しかし、その工務店を断っても、ほかでそれ以上のプランを提案してもらうことができるかどうかはわかりません。 土地を購入してしまった以上、ある程度の限界を受け入れざるを得ないのではないでしょうか。 もしくは、少し大変ですが、思い切って土地を買いなおすか、でしょう。 3.の場合であれば、それはまず無理でしょう。 たしかに、設計で対応すると工務店が説明したときに、彼らはある程度の限界はあり、かつ、日射を得る工夫のために多少コストがアップするかもしれない等と、とコメントべきであったかもしれません。しかしある意味、そういう限界は素人の方にも当然敷地をご覧になればわかることであると思います。現に、MNさんが現地をご覧になって「到底、日当たりが良いとは思えない」と感じられたのですから、このことはご理解いただけるでしょう。 ですから、そういう土地を購入された責任は、基本的にMNさん達にあることをまずお考えください。 また、日射をできるだけ得るためにかかるコストというのは、おそらく明確にでないでしょう。 何故ならば、プラン全体で日射を得る工夫を構成しているであろうことと、そのプランから得られるものは単純に日射を良好にすることだけではないことを思うと、はっきりと日射だけのためと限定してコストを出すことなど無理であるだろうと思います。 必要なのは、日射だけですか? 中庭を取ってそこから日射をとるということは、通りを通る人や隣家の窓の視線を気にしないで、屋外を十分に眺めることができるということであり、直接隣の家に接しない、静かな環境を得ることでもあります。 吹き抜けはとても開放的な気分を育ててくれますし、通風の点でも上昇気流を利用して換気もしやすくなるため、良いことは沢山あります。 日当たりが南側から直接得られても、視線を気にして一日カーテンを閉めているのでは何の意味もありません。 それならば、むしろ、カーテンさえ不要の今のプランのほうがよほど、日射を楽しむことができるでしょう。 コストがかかってもわざわざ中庭をほしがる建築主も居るほどです。 建築だけに限りませんが、問題があるからなおのこと、良い結果になることは多くあります。 問題はある意味、チャンスでもあります。 もし、日照以外の条件には合っているという今の土地を手放したくなくて、また基本的にプランを気に入っているのならば、前向きに考えて、より良い建物となるよう、打ち合わせを続けてください。 「常識」は残念ながら人の数だけあるようです。 ただ、いきさつを伺うと心情的にはお気の毒な気もします。 もしこのまま進まれるならば、日射のためにかかるコストというのではなく、一般的な多少の値引きには、工務店も応じてくれるのではないかと思いますので、要求というよりもお願いしてみては如何ですか。 尚、建築基準法で述べている「採光」という考えは、直射日光ではありません。 室内にもたらされる明るさのことであり、直射日光が入る必要はありません。 |
今井 優子 | 解説員の今井です。 「モデルハウスを見にいって、土地探しからお願いした。」とありますが、I工務店は、不動産仲介業を営んでいるわけではなく、あくまでも、土地探しのお手伝いをしているに過ぎないはずです。 もしくは、幾つかの土地を確保していて、「売主」になっているかもしれませんが、その場合は、建築条件つきにするでしょう。 それならば、プランとコストが折り合いつかなければ、土地売買も白紙に戻せるはずです。 土地を手当てすることについての主体はあくまでも建築主自身にあります。 土地を探すにあたっての要件は多くは似たり寄ったりですが、その重要度は人によって千差万別です。 全ての要件を100%満たす宅地など、日本の国土にはもう残っていないと言っても過言ではないでしょう。 そんな中、提供された情報からそれを取捨選択するのはご自身でしか出来ないことです。 その結果を他人の責任(情報を与えた側の人間の責任)にすることは無理があります。 日当たり以外の要件の満足度と、日当たりに関しては設計の工夫でという条件を、義母さまは秤にかけて考えられたのではないですか? これが悪意に満ちた間違った情報であったり、始めから騙そうとする偽りの情報であった場合は別ですが、今回のケースでは、営業の方も決して間違ったことは言っていませんし、営業の方が言ったことを、設計の人間も精一杯実現しようと知恵を絞っているようです。 敷地から与えられた条件の中で、快適で豊かな暮らしを営むためのコストは、自分で負担する物です。 そして、何を快適と思うか、何処までの快適を追及するかの決断も、自身でするものですよ。 「災い転じて福と成す。」 悪条件をクリアすべくアイディアを出した結果、素晴らしいものを得られるということもあるのではないでしょうか。 利益は自分のもの、不利益は人のせいでは都合が良すぎます。 |
コメンテーター | |
長谷川 明弘 | コメンテーターの長谷川です。 残念ながら、いくらハウスメーカーに薦められたとは言え、土地購入を決定したのは義母さまですよね。もし不安であれば購入前からMNさんもご同行して、土地を見られた後に、購入すべきだったのではないでしょうか? 買い主側にも責任はある訳ですから、日当り確保のための費用をハウスメーカーに負担してもらうと言うのは不可能だと思います。 それよりも、ハウスメーカーと協力して、少しでも質の良い建築をつくるようにすべきではないでしょうか? それでも我慢出来ないと言うのならハウスメーカーを変えるなり、土地を買い換える(難しいとは思いますが)しかないでしょう。 日当りの感覚は本当に個人によって受け取り方が違いますので、MNさんが日当りが悪いと言っても、他の人は日当りは充分確保出来ていると感じる人もいると思います。 その辺りを考えながら、出来るだけ義母さまにとって、良い建築が出来るようにしてあげてください。検討をお祈りします。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | ハウスメーカーは専門家という思い込みがあったのだろうと思います。 設計の専門家は設計を専門に業務に従事している建築士をいいます。 営業マンは専門家ではありません。 また、建築士を持っていても、実務の設計が出来る人はほとんどいないでしょう。営業マンは口は達者ですが、専門家気取りの営業は多くいます。 本来は営業マンは設計の専門家の建築士に依頼者の要望を伝え建築士に同行依頼するなど、アドバイスはもらえたと思います。 日当たりの悪い土地を何とかして日が当たるようにはできません。 太陽は動かすことが出来ないからです。 日当たりの悪い敷地で建てかえる。 コストが安いので、悪いのを承知で購入する。 などの場合の設計は建築士としては「最大限採光は考慮した設計を目指す」のであって、与えられた条件での最大の効果を反映させる行為が設計です。 ハウスメーカーの営業は畳み掛けてくるので、「本当に安心」と勘違いを起こすように営業します。 ですので、思考を停止させるような営業には問題がありますが、しかし、そのような状況でも契約社会は自己責任でサインをしなければなりません。 とはいっても、このような手法では「なんとかなる」と勘違いさせられたようですので、何故、建築士に確認しなかったのか? 聞いてみてください。確認していない場合は営業マンは設計のプロなのか?確認してください。 設計のプロのように発言した場合は誤解を与えた行為があったという点から、話し合ってみてください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | 「建築よろず相談」運営事務局 様 各解説委員 様 先日相談をさせて頂きました内藤でございます。 皆様に適切なアドバイスを頂き、大変感謝しております。 確かに各委員様がご指摘いただいているとおり、土地決定は施主の自己責任と思います。 義母、家内はハウスメーカー営業の方を建築の専門家として過度に信頼してしまった(思い違いをした)ことが主たる原因だったのだと思います。 営業の方が決して悪意があったとは思いませんが、十分な説明がなかったとも思いますし、義母や家内も大まかな説明で満足してしまい、詳細な内容にまで踏み込んで確認するような事には気が付かなかったのかもしれません。 家を購入される方の多くは数年かけていろいろな本や資料で勉強し、展示場を何十回となく訪れて研究されるのだろうと思いますが、そういったことも足らなかったのだと思います。 ただ、高齢の義母に勉強はしんどいことでもあり、だから建築の専門の方(この場合営業の方)を信頼して依頼したという気持ちも親族としては理解できるように感じます。 現在はこちらが抱いている気持ちをハウスメーカー側に率直に伝え、結局ハウスメーカー側に負担はほとんどしてもらえませんでしたが、気持ちを取り直して前向きに建築を進めていくこととしました。 折角建てる夢の家ですから楽しみながら進めていきたいと思っております。 今後も、施工等でご相談させていただくことがあるかもしれませんが、宜しくお願い致します。 お礼を申し上げるのが大変遅くなりましたが、皆様のアドバイス本当にありがとうございました。 |
その後 |
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