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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No. 1197 工事請負契約に注意すべきことは?

 相談概要 [氏名] M.T.
[相談建物予定地] 東京都板橋区
[職業] 主婦
[年齢] 40
[女性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦    年  月  日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 2階建て小屋裏付
[延べ面積m2] 149.87
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 3800
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 建設会社
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 4
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?]
[施工者名]
[販売会社名]
[設計者名]
[監理者名]
 相談内容 [家づくりの相談内容]
築34年の木造モルタルの家 を建て直したいと考えております。
10月末に、ある建築会社さんとお会いし、当方の希望をお伝えして建築をお願いする方向です。
ご担当の設計士さんには今まで3回お目にかかり、 平面図(4枚)を作成して頂きました。(家具の配置があるのでコンセント位置を確認してとの宿題も頂いています)

正確な見積もりはまだなのですが、こちらの予算内(3800万円)に必ず納めるとのことです。
銀行の住宅ローン事前審査も済ませ、今週末には、 銀行のローン申請&建築会社との建築工事請負契約に行く予定ですが、契約時に総予算の1割(380万円) を現金でお渡しすることになっています。
そこで、ご相談ですが、 契約時のお支払いは予算の1割というのは妥当でしょうか?
また現金でお渡しするものなのでしょうか?
契約時に必ず受け取る資料等、また聞いておくべきことなどを教えて下さい。
当方、全くの素人です。どうぞ宜しくお願いいたします。
 yorozuの感想 どこを見渡しても「家」について 無知な者ばかりで誰にも相談できず困っていました。アドバイスをいただけるHPが存在するなんて!!本当にうれしいです。どうぞ宜しくお願いいたします。
アドバイザー 
清水 煬二 解説委員の清水です。

相談内容の文面を読んで感じることは、なぜその状態で急いで契約をし、380万円もの金額を先渡ししてしまうのか不思議で仕方がありません。
本当に信頼できる業者なら、ここに相談はされないでしょうし、工事業者も慌てて契約を迫り380万円を受けとらないでしょう。
3回の打合わせはともかく、たった4枚の図面では正確な見積もりは無くて当然です。これから、どこまで打ち合わせをして決めていくかは知りませんが、「必ず3800万円に納める」という約束は、 どんな希望を言っても叶えられるのでしょうか?
工事業者との間に3回の設計打ち合わせで本当に考え方のギャップが、無い自信はありますか?もし私が業者なら、もっと打ち合わせをして図面を描き、 内容を細かく決め、正確な見積もりを添付してからでないと恐くて契約できません。契約後にどんな希望が出てくるかわからないのですから。

この状態で契約を迫ることができるということは、 これ以降はすべて任せてもらえるという約束があるか、どういう希望が出てきても予定以上は却下したり無視できる自信があるか、費用が嵩んだらどこかで落とす自信があるのか、余程の余裕をみた見積もりなのか、急いで現金が欲しいのか…。

少なくとも注文住宅を施主の希望したものをしっかり造ってあげたいという、誠実な工事業者には思えないのです。
完成期日が迫っていて、急いで工事に取り掛からないと間に合わないのであれば、契約の前に正確な見積もりを少しでも早く出して説明してくれるのが、信頼できる業者ではないでしょうか。
これから再度設計の打ち合わせを行い、正確な見積もりをし直して、希望の内容と予算でできたとします。
建築確認申請を出して、着工するのは、どのくらい先の話でしょう。もし希望の内容や予算にならなかったならば、どうされますか?既に380万円を無条件で預けているのです。
業者からすれば、早く契約しないと逃げられると困るという心理があると思います。自信がないからではないでしょうか?もし、契約してくれないと先に進めないという場合でも、380万円は不要でしょう。

私が設計監理する物件では、施主の業者への支払いは契約時は100万円と決めています。その次は着工時に支払いです。そのあとも細かく決めています。
これは万一、契約前、あるいは工事中に倒産やトラブルがあっても、100万円程度の損で済むように考えて契約してもらっています。
全面的に信頼し、後はすべて任せますという気持ちになっていないので無ければ、工事業者の契約はこういった注意も必要です。
その他、いろいろな面でアドバイス差し上げたいことはありますが、他の解説委員のコメントを参考にして下さい。
関口 啓介 関口と申します。

 契約時の支払条件が、契約額の1割と云うのは決して特別高い額とは思いませんが、現金と云う条件が必須なのか、それが工事請負契約の通例かと云われれば、そうとは云えません(その工務店にとってどうかはわかりません)。

 ここで額や支払い方法よりも、工事請負契約ができる状態なのかどうかが問題だと思われます。
請負契約とは、最終成果物が明確になっており、それが完成する事に対して対価を支払うという契約です。
 まず、最終成果物が明確に規定できるような図面や仕様書はありますか。続いてその図面や仕様書に基づいた明細の内訳書はありますか。予算内に納めるというだけでは、あまりに巾が広すぎて請負契約は不可能だと思われます。
もしこれらが手元にないようであれば、契約時までに必ず確認し、契約書に添付する必要があると考えます。また、最近では建築確認申請手続きが厳しく、現在想定している建物が、必ず建築確認済を得られるかどうかは確証がもてません。
建築確認済証がまだないようであれば、工事請負契約に際して、建築確認済が得られる事を条件にされると良いかと思われます(勿論取れなければ一般的な地域では建物が建てれませんので、債務不履行になります)。通常ですと住宅ローンの本審査には建築確認済証の写しなどが必要ですから、現在のタイミングがどのような状況なのかがわかりませんが。

 いずれにしても焦って進めなければならない状況がなければ、今週末に契約をされるのは、客観的に時期尚早と映りますが、いらぬ心配であれば良いのですが。
 コメンテーター 
木津田 秀雄 コメンテーターの木津田です。

 少し冷静に考えてみましょう。
 3,800万円の中身はきちんと決まっているのでしょうか?

 今ここに建っていないものを造ってもらう契約をするのですから、どのようなものが完成するのかがきちんと分かっていなければいけません。例えば何か仕様を替えたいと思った時に(例えばシステムキッチンの機器など)、それを替えると3,800万円に納まりませんと言われるとしたら、それは、3,800万円で納めますという約束になるのでしょうか?

地盤調査をしてみたら、地盤改良が80万円必要になったら、その分他を減らせば3,800万円に納まりますが、 そのような方法で3,800万円に納まれば良いのでしょうか。
 地盤調査を行い、各種の仕様を決めて、設備機器も決めて(照明器具や空調機も)始めて図面が完成して、見積ができるのです。

 不確定要素が多くある段階での契約はお薦めしません。これから何十年も付き合って行く業者ですから、図面がきちんと完成してから契約をしましょう。
その数ヶ月が待てないのであれば、他を探すなり、設計事務所に図面を作成してもらって(別途設計契約が必要ですが)から工務店に見積もりしてもらう方法をお薦めします。

 きちんと図面がそろっており、見積も正確なものがある場合に、着手金として工事費の1割程度が必要であること自体は、特に問題があるとは思いません。
しかしながら、M.T.さんが相談されたのは、4枚の図面で契約をして1割も払ってしまって大丈夫だろうかと心配になったからだと思います。
 工務店に今週末の契約を延期、もしくは中止することを連絡するのは楽しいことではありませんが、 転ばぬ先の杖です。

きちんとした図面と見積書が出るまで契約は延期された方がよいと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 ご希望の工事だと設計図面は最低でも20枚は必要でしょう。
これくらいないと正確な見積はできません。
4枚ということはほとんどが決まっていないということです。
1/5の程度しか決定していない。だとしたら、1割の1/5でも70万円くらいで十分でしょう!そんな不安定な図面で契約することはトラブルの可能性を秘めているということになります。(そうなるとは限りませんが、可能性が高いという意味です。)

支払いは通常は当日か翌日に振込みです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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