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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No.1196 地盤調査結果を教えてもらい、少し不安

 相談概要 [氏名] T.H
[相談建物予定地] 千葉県袖ヶ浦市
[職業] 会社員
[年齢] 40
[男性] on
[構造] 木造(その他)
[引渡し年月日] 西暦2007年12月20日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 127.52
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 3980
[設計監理料] 0
[様態] 建売り住宅
[施工者] 大手ハウスメーカー;S・M・D・P・ MI等
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 6
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 0
[施工者名] M
[販売会社名] M
[設計者名] M
[監理者名]
 相談内容 [家づくりの相談内容]
大手ハウスメーカーの建売住宅の購入を検討しています。
建物自身の堅ろう性は心配していないのですが、地盤調査結果を教えてもらい、少し不安になっています。
不安な点:下記土地で地盤改良無しで、布基礎仕様で木造2階の住宅が建っていますが、不同沈下など起こらないか?
当該物件は、高さ2〜3.7mの高さが有る間知ブロック造の擁壁に北西南3方向をかこまれた部分に建っています。

建物は、擁壁高さが一番高い北方より約1mの位置に建設されています。擁壁は1981年に宅地造成された際に作られた様で、当時の地面高さ+2〜3m程度盛土をしている様です。

今回の建売物件は、2007年6月にスウェーデン式サウンディング試験により、建物建築予定部分の四隅を測定しています。結果は以下の通り記載されています。

地形条件:調査地は洪積層の粘性土地盤層上に位置するものと思われ、 大規模な宅地造成が行われており人工地形化されております。
土質:粘性土地盤で構成される。

観察事項:1.GL〜GL−2.5m付近まで部分的な自沈(100KN)が見られました。
2.土の色はGL〜GL−5.0m付近までは茶色でGL−5.0m以降は薄黄土色でした。
3.GL−4.0mまでは水位が確認できませんでした。

試験結果(北擁壁近くの2頂点が測定番号01、02、擁壁から離れた部分が03,04)
測定点01:
貫入深さ 荷重(Wsw) 半回転数 音と感触貫入状況 換算N値 長期許容支持力
0.25m 0.50kN 0 無回転急速 1.5 19.9kN/m2
〜1.25m 1.00kN 0 回転急速 3.0 39.8
なお、02は01と同等の結果、03、04は自沈はほとんど無く、表層から換算N値が4を超えている結果でした。

なお、「換算N値」が高ければ、「自沈」が起こらないと考えて良いのでしょうか?また、100kg程度の荷重で「自沈」する土地の場合、 土壌改良無しで住宅を建てる事は問題無いのでしょうか?
恐れいりますが、アドバイスをお願いできないでしょうか。よろしくお願い致します。
 yorozuの感想 過去の質問とその答えを拝見させて頂きましたが、専門家の方々が大変丁寧にご回答頂いているのを見て、 良いサイトに巡りあったなと喜んでいます。
今回、住宅購入の前に、どうしても判らない事があったので、質問させて頂きました。すみませんが、よろしくお願い致します。
アドバイザー 
橋本 頼幸 大阪の橋本です。

「大手ハウスメーカーの建売」とのことですが、新築だと仮定して解説します。

現在既に木造2階建ての布基礎で建物が建っており、その土地の地盤調査に部分的な1kN自沈層が見られたと言うことですね。
ご相談は地盤改良をしていないとのことですが、その購入予定のハウスメーカーの担当者は基礎についてどのように説明しているかを確認してください。

一般的に地盤改良については、平成13年の国土交通省告示第1113号第2には、「基礎の底部から下方2m以内の距離にある地盤にスウェーデン式サウンデイングの荷重が1kN以下で自沈する層が存在する場合若しくは基礎の底部から下方 2mを超え5m以内の距離にある地盤にスウェーデン式サウンデイングの荷重が500N以下で自沈する層が存在する場合にあっては、建築物の自重による沈下その他の地盤の変形等を考慮して建築物又は建築物の部分に有害な損傷、変形及び沈下が生じないことを確かめなければならない。」と明記されており、該当すれば地盤改良が求められています。
ご相談の内容からこの告示に該当すると思われます。
ここまでは一般的な話です。

見えない地盤を予想して問題のない建物を建てるのは非常に気を遣います。わたしも地盤調査を実施する場合、調査会社に任せっきりにすることはありません。
必ず地盤調査に立ち会った上で調査内容を確認するようにしています。
その上で、地盤改良の有無や基礎形状を選定します。現地を確認せずに地盤調査結果だけで判断するのは非常に難しく限界があります。そのことを考慮した上で、 購入予定のハウスメーカーの担当者によく確認してください。
大内 彰 解説委員の大内です。

地盤調査の結果から推測すると、片側がもともとの良い地盤に載り、もう片方は埋め戻した軟弱な地盤の上に載る状態です。典型的な不同沈下を起こすパターンのようです。

基本的に建物は同じように沈下する(建物の規模や種類によって許容値が変わります)地盤に載せなければなりません。たとえ造成した部分が「良好」な場合でも建物の重さによる沈下の差異が大きくなる場合は不同沈下を生じることになります。

この調査結果からすると建物が均等な埋土に載る場合でも絶対量としての沈下が大きくなるために問題が生じるような地盤であると判断されます。
ましてや、建物が載る地盤の固さに偏りがあるようなのでよほど慎重に調査して安全を確認できない限りは地盤改良などの対処をすべきだと思います。
 コメンテーター 
木津田 秀雄 コメンテーターの木津田です。

 両解説委員の言うように、メールで拝見した内容からでは地盤改良が必要とされると思われます。
 質問からは既に地盤改良なし、布基礎で施工されているようです。
もし既に施工されているのであれば、地盤改良なしではちょっと心配ですね。

 ハウスメーカーと言っても技術者が対応するはずですので、このような技術的なことも質問してみてください。その上でT.H.さんが納得できない答えしか返ってこないようでしたら、購入は辞めた方がよいと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄 3方向に2〜3.7mの高さが有る間知ブロック造とのこと、地盤そのものも地震時での崩壊メカニズムを考慮する必要があります。

どんなに建物の杭、地盤改良をしても、これらが、崩壊したら、なんの意味もなしえません。
このような土地は盛土部分の地層そのものが、挙動する可能性も大きく、慎重な判断が必要です。
ハウスメーカーに地盤そのものの大地震時の崩壊のないことの構造的な検討を示してもらってください。
出ない場合は購入には慎重な判断が求められます。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 ご回答、どうもありがとうございます。
各解説委員の方からのアドバイス、大変参考になりました。
今回の件については、ハウスメーカーの方に「自沈していても、地耐力は問題無い」と説明を受け、購入を致しました。(明日、引渡しです)

解説員の皆さまのご見解は、正に私が心配していた事を裏付ける様な内容ですが、ハウスメーカーの説明を受け入れて購入を決めたので、「後悔はしまい」と自分に言い聞かせています。
今後は、不同沈下が起こらないかなど、注意深く経過を観察し、おかしな事が起こった時はすぐにハウスメーカーに対処を求めていこうと思っています。

解説委員
橋本様

国の告示内容に反しているのであれば、購入後では有りますが、ハウスメーカーに見解を求めたいと思っています。
地盤調査は、やはり「調査会社にまかせきり」にはしないものなのですね。
その辺の感覚が良く分からなかったので、調査に立ち会っていない事を聞かされても、「そういうものか・・・」と思っていました。
アドバイス、どうもありがとうございます。

解説委員
大内様

この土地は、「沈下が大きい」、「不同沈下の可能性が有る」などのリスクが有るとの事ですか・・・
ハウスメーカーは「地盤は、むしろ良い方です」との話振りでしたので、ちょっとショックを受けています。
とは言え、その説明を受け入れたのは自分なので、今後は上記不具合の兆候が起こらないか注意深く観察して、問題有りそうならハウスメーカーに対処を求めたいと考えています。
アドバイス、どうもありがとうございます。

コメンテーター
木津田様

ハウスメーカーは、地盤調査結果の提示、地盤調査方法の提示などについては協力的に出して下さったので、「この地盤で、この基礎であれば問題無い」との説明を受入れました。
究極は、聴取した数値を客観的に判断する知識が必要と思いますが、残念ながら自分にはそこまでの判断はできませんでした。
一つ疑問なのは、ハウスメーカーは「真剣に、この地盤にこの基礎で大丈夫」という事を検証して、進めていたのかという点です。
「大丈夫」と確信して進めていたのであれば、ひょっとしたら「技術力」が無いメーカーだったのかもしれないし、「ちょっと不安だが・・・」という思いが有りながら進めていたとしたら、ちょっと信頼におけない感じがします。

いずれにしても、お三方が揃って「地盤に不安が有る」見解に対して、ハウスメーカーとしてはどう捉えているのか、機会が有ったら聞いてみたいと思っています。
アドバイス、どうもありがとうございます。

T.H
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