本文へスキップ

一般社団法人建築よろず相談支援機構

TEL. 0422-24-8768

〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 1193 正式な見積もりがこない状態で進行

 相談概要 [氏名] Y,T
[相談内容:] その他
[相談建物所在地] 埼玉県越谷市
[職業] 会社員
[年齢] 36
[男性] on
[構造] 木造(2X4工法)
[引渡し年月日] 西暦  2007年11月21日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 2
[延べ面積m2] 98
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 2100
[設計監理料] 250
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 40
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 8
[施工者名] Y
[販売会社名] S,H
[設計者名] O,M
[監理者名] A,T
 相談内容 [現象]
非常に気に入った土地があり、相場よりも割高だと思ったが購入を決定。
住宅展示場などでよいハウスメーカを決めていたため、土地の値段が上がってもよいので、建築条件をはずしてもらいたいと申し出たがダメとのこと。
ただ、不動産会社(S,H)の提携の工務店で建築するか、紹介する設計士を使うかの選択は可能との話で設計士を選択して土地を購入。

その後設計士と建てることになり、不動産会社はもう関係ないとのことで住宅ローンの手配以外は面倒をみないことになる。

問題はあまりなく建築中であったが、仕様の変更の見積もり明細を欲しいと頼んでも口頭や設計士がメモ程度で回答し、正式な見積もりがこない状態で進んでしまっている。
例えば、住宅性能保証を追加で竣工直前に依頼し設計士は10万円程度と口頭で言っていたので、正式にくださいという「建築業者に確認したところ135,000円だそうです。」といわれたのでその気でお願いしたのですが最近見積もりに不安を覚え、正式な書面で欲しいといったところ168,000円の請求書が見積もり無しでいきなりきました。

また、今までの変更内容の明細が欲しいと何度もお願いしているのですが、建築会社には言ってるんですが、、、と言われ放置されていたので、仕方なく建築会社に依頼したところ「あっそうですか。では出します。ただ、詳細の変更部分は把握してないので設計士と話ます。」と言われその後設計士からメモや部分的な見積もりだけがきている状態です。

変更の依頼をするたびに費用がかかるのであればすぐに言って欲しいし見積もりを欲しいといっているのですが、きちんとした全体の見積もりを頂いたのは最初の建築請負契約の時だけでその後は誠意のある対応をしてもらえない状態です。

[業者の見解]
設計士は見積もりは建築会社にお願いしているといい、建築会社は詳細はわからないので設計士にと言っています。

[相談内容]
現在住んでいるマンションを11/30にて出ないとならないので、11/21には引っ越さないとならないのであまりことを荒立てたくはないのですが、ただ、土地を建築条件付きで販売した業者、設計士、建築請負会社ともに誠実な対応をしてくれません。

設計士や建築の工務店も会社組織ではなく、個人経営なので私のクレームはぜんぜん効果なく、正式な最終見積もりの明細をいただける気配がないし、誠意のある普通の対応がされません。

このままでは改善されないので、どうしたら改善していただけるのかをアドバイスを頂きたいと思います。

お忙しいところ恐縮ですが、私としては大変困っておりますので何卒宜しくお願いします。
 yorozuの感想 注意事項が多いのは誤解や過度の期待を無くすために必要かと思いますが、文字が多いためちょっとわかりづらいと思います。
アドバイザー 
笠原 歩 解説員の笠原です。

結論から言うと、他人の誠意をコントロールは出来ません。辛抱強く、交渉を重ねるより方法はないと思います。

問題を少し整理します。
土地を販売した業者、設計士、建築請負会社の関係が文面からは正確に読み取れないのですが、YTさんが設計と施工を分けて発注したものとして説明します。

まず住宅性能保証の件ですが「依頼した建築士(設計士という公的資格はありません)」がその手続きにかかる費用を算出し、見積り請求という事になります。「建築業者に確認したところ135,000円だそうです。」という事は施工者がこの手続きを行ったのでしょうか?請求に不満があれば値段を下げるよう交渉するしかありません。
「また、今までの変更内容の明細〜」は本来施工者から出される物です。施工者の「詳細の変更部分は把握してない」という発言は、工事を進める上でちょっと考えにくいことです。

契約時の図面から変更があれば、見積り→金額の確認→発注という流れが普通なのですが、見積書など書類の出てくるのが遅い会社は存在します。
但し、YTさんが設計施工一括で発注したとすれば、上記の説明は当てはまりません。
業務の範囲があやふやになり建築士、施工者どちらと話をすれば良いかは、経緯を詳しく伺わないと説明できません。
古賀 保彦 解説員の古賀です。

 設計や仕様を変更なさった経緯やその内容が分かりませんので、当方での追加変更の対処方法を説明します。

 当方では、建て主さんのご要望により追加変更を行う場合は、工務店にその内容を伝え(新規図面や文書で)、工務店から工事請負契約書の明細を基にした追加変更の差額を提出してもらいます。
そして、建て主さんがその金額に合意された後、工務店がその部分の工事に着手するようにしています。

 けれど、工務店によっては追加変更差額見積もりを作成するのに日にちがかかる場合がありますので、追加変更する工事がすぐに取りかからないと工事が間に合いそうにない時は、当方か工務店で算出した概算金額で建て主さんの同意をいただく場合もあります。
その時は概算ですから後で精算したら予想より高くなったり安くなったりする事もありますので、予め建て主さんにはそれをご承知いただく事が前提になります。

 また、変更が多いと小さな工務店では見積もり作成に対応できなかったり、現場の大工さんにうまく伝わらずに施工を間違えてしまう場合もありますし、現場での工事対応が第一で、見積もりは後回しになってしまうという事も多いですから、建て主さん・設計者・監理者がその当たりの工務店の対応力を見極める事も大事です。それによっては着工後の変更はなるべく控えるという事もトラブルを回避する上では有効です。

 さて、今回のご相談は竣工も間近な様ですから、上記は今更参考にはならないと思いますが、早急に建て主さんと設計者・監理者・施工者が一同に集まって追加変更した内容を確認する機会を設けられてはいかがですか?それから追加変更金額をはっきりさせて、竣工検査や引き渡し時にもめる事がないように事前にキチンとしておかれた方が良いでしょう。
確認の機会はY.Tさんが音頭をとってセットしないと実現が難しいかもしれませんが、ご自分の家ですから落ち着いて交渉なさってください。
 コメンテーター 
山口 雅克 コメンテーターの山口です。

 契約の経緯や内容が旨く把握できておりませんので、このような解説にならざるをえませんでしたが、その点は御了解をお願いいたします。

 施主(相談者)と設計者、監理者(設計者と監理者が別人)、施工者と4人が関係していますので契約の流れと内容をもう一度確認してみましょう。本来は監理者が施主の代理人ですから、あなたの要望に対して動いてくれないのなら業務を怠っていることになります。

 安価でない報酬金額で設計監理契約を結んでいるのですから、強く指示をしてみてはいかがでしょうか。期限を定めて提示がなければ追加の支払いを拒むくらいのことは臭わせても良いのかもしれません。
 事務局から 
  荻原 幸雄 設計者の立場が想像するには工務店か不動産業者の下請けでしょう。
この場合は設計者は自立していないので、特に金銭に関わることは判断力はもちえません。

私どものように自立した設計者ならば、施工者の下請けになることはありませんので、建築主の意思を施工者に伝え、明細のある見積書を出させることができます。
下請けの設計者は施工費には施工者主導の見積提示になるので(妥当性に問題が出る場合が多い)設計者は曖昧な返事しかできなくなります。

今回はそのように感じます。ただ、施工者が「詳細はわからないので設計士に」ということから、設計者が変更についての設計図面を修正、新規作成などしていないのではないでしょうか?
口頭だけだと、施工者は見積の提示ができない場合もあります。

もし、この可能性ならば、直接、施工者に変更内容を伝え、見積提示をお願いしてみてはいかがでしょうか?これでも提示しない場合は・・・・だれも信頼できるシステムにないということになり、この場合はなかなか、満足のいく解決方法が見出せなくなり可能性が高くなります。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 建築よろず相談事務局
荻原様、笠原様、古賀様、山口様

お世話になります。Y・Tです。

この度はまとまっていない相談ながら、お忙しい中、参考になるご意見を頂きましてありがとうございます。

今回の自宅建築にあたっては、子供の通学する学区内限定で土地から探す必要があり、建築条件付きという不本意な形での始まりだったため私自身が不満を抱えたまま進行してしまったところも問題だったと思います。

お互いに誠意を見せて話し合う必要は十分あるのですが、私が何度お願いしても工務店は対応してもらえなかったので、難しいと思い半ばあきらめています。

また、ご指摘にあった管理者は今回の関係者の中ではあまり発言力がないため、有効だと思われる建築士の方に不満を伝えております。
現在は、建築士が工務店と交渉をしてくれると言ってますのでその結果を待とうと思います。

家探しを始めてから1年程度ですが、力の無い個人が建築士とともに自宅を建てるということは、業界の特性などから言っても非常に難しいものだと感じました。

また、建築士の方と家を作ることに決まってからさまざまな書籍で自分なりに勉強してよりよい家を建てようと努力してきたつもりでしたが、一個人ではどうすることもできないことばかりで、ちょっと残念な部分も多かったです。

建築よろず相談にかかわる建築士の方々には、われわれ一般人が自分の理想の住まいを楽しく作っていけるように、もっともっと業界を変える活動をして欲しいと切に願っております。

最後に、解説委員の皆様ならびに事務局の荻原様、お忙しい中相談にのって頂きありがとうございました。
 その後  
目次に戻る

バナースペース

一般社団法人 建築よろず相談支援機構

〒181-0001
東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

TEL 0422-24-8768
FAX 0422-40-0107