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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

よろずWEB相談HEADLINE

No. 1192 漏水はどこからか?

 相談概要 [氏名] O,Y
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 神奈川県中郡
[職業] 公務員
[年齢] 41
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦2004年10月22日
[公庫は使わない] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 3
[延べ面積m2] 97.71
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 2175
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] 自分で選んだ。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] した。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 無い。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 多数
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 10
[施工者名] W
[販売会社名] W
[設計者名] Y,Y
[監理者名]
 相談内容 [現象]
間もなく築3年となる木造3階建ての所謂デザイナー物件に住んでいます。

まず、今年の春、3月5日夜に、関東地方を発達した低気圧が通過し、大雨となりましたが、その時に2階にあるリビングのサッシ(小窓)に雨漏りを発見しました(写真ページ1)。サッシと床が完全に水浸しになる程の雨漏りとなりました。
その後、激しい雨の日が2日程あり、その時も同様に雨漏りしました。工務店(株式会社W)に連絡したところ、2階リビングの直上にある、3階寝室のサッシからの雨漏りではないか、ということになりました。

そのサッシとは、Sの2004年製のNですが、写真ページ3と4に示すように、サッシ下部に2ヶ所、穴があいています(写真ページ3と4は、3階寝室のものではありませんが、基本的に同一のものです)。工務店の見解では、このSの2004年製Nというモデルは、設計思想のミスでこのような穴が開いており、サッシ内部には防水パッキンがあるが、そのパッキンも2ー3年のうちに劣化して、横殴りの雨ではこの穴から雨漏りが発生する、というものでした。
既に私の家と同様な苦情が7ー8件程度、発生している、とのことでした。

処置としては、その穴をコーキング材で埋める、という方法で対処しました。先月の台風9号は、関東地方を直撃し、大雨となりましたが、上記部分からの雨漏りはなく、処置は成功しているようでした。

しかし、その台風9号で、別な箇所から雨漏りが発生しました。やはり2階リビングですが、埋め込み式のエアコンから雨漏りが発生しました(写真ページ2)。
最終的には一晩でバケツ半分位の雨漏りとなりました。工務店立ち会いのもと、エアコン業者に診てもらいましたが、エアコンには雨漏りの原因は求められませんでした。

しかし、エアコンの真上の3階部分には、バルコニーに通じる壁となっており、その壁にはNのサッシが埋め込まれており、工務店の見解では、3月の時と同様に、サッシの穴からの雨漏りが直下にあるエアコンに流入したのではないか、ということになりました。
サッシ業者(S)の人も数名に来てもらい、工務店立ち会いのもと、同様の結論に達しました。

[業者の見解]
上記に述べたように、工務店はサッシの穴に原因を求めており、その対処として、家中のサッシの穴をコーキングによって塞ぐ、としています。

工務店曰く、Sの新しいモデルでは、穴のデザイン等に工夫がみられ、今回のような問題は起こらないとしているが、2004年モデルに限っては、メーカー(S)の設計思想のミスであった、としています。そして、メーカーは、リコール問題にも発展しかねないので、設計思想のミスであった、ということは決して公言していないのである、とも工務店は述べています。

[相談内容]

4つあります。
(1)工務店の見解は、説得力があるようにも思えます(メーカーの本製品について、同様な問題をお聞き及びでしょうか?)。しかし、一方、次のような問題も考えられないでしょうか?すなわち、施工時のサッシ周りの防水シートの施工不良についてはどうでしょうか?たとえサッシに穴があろうが、防水シートがしっかりしていれば、大丈夫なようにも思えるのですが...。

(2)また、もし、工務店の言うようにサッシの設計思想のミスで、この穴が原因であるとすれば、コーキング処置のみで大丈夫でしょうか?いずれコーキングも劣化して、数年のうちに、同じ問題が再発するようにも思えます。一番良いのはサッシを交換してもらうこと、あるいは、サッシのパッキンを交換してもらうことですが、これは壁を壊す大工事になってしまうのでしょうか?

(3)写真ページ5に示したように、3階バルコニーサッシの上には、通気口の孔があります。
この孔は室内の壁には通じておらず、壁の内部の通気を目的としたもののようです。この通気口からの雨漏りの可能性は大丈夫であると思われますか?また、再度の確認になりますが、防水シートがしっかりしていれば、これについても大丈夫なように思えるのですが...。

(4)最後に、これまでの雨で、結構な量の水が構造体の木材や、壁材などに染み込んでいるのでは、と思います。木材が腐ったり、白アリの問題は大丈夫でしょうか?

以上です。









 yorozuの感想 インターネットで、本サイトを知りましたが、非常に丁寧に相談に答えて頂いており、非常に信頼の出来るサイトであると確信しました。
無料で対応して頂けるということで、大変に貴重であると思います。
アドバイザー 
清水 煬二 解説員の清水です。

3年の間に、雨漏れは今年の2回ということですね。
サッシメーカーの設計ミスで構造的に問題があり、サッシから雨漏れすることはあります。設計ミスでなくても、想定している以上の風圧や水圧で雨が入り込むこともあります。

コの字の建物やL型の建物の凹んだ部分は、風向きにより風圧が通常より強くなります。写真を拝見すると、サッシや換気口の付いている場所は、そうなっている建物のように見えます。

通常は換気フードからの雨漏れは無いのですが、「横殴りの雨ではこの穴から雨漏りが発生する」という表現が正しければ、サッシの穴だけでなく、この換気フード、それ以外の工事不良による雨漏れの可能性は有り得ます。

現場に立ち会ったサッシメーカーの見解と対策も、直接お聞きする方が良いでしょう。

サッシが原因であれば、その内容によっては取替えの検討もしなければなりません。
このサッシ穴は本来は水抜き穴として造られたものだと思います。本当にそれを塞いでしまって良いのかという疑問もあります。そこに直接入った水がどのような経路で家の中に入ってしまうかもわかっていなければなりません。

それだけ多くの雨漏れがしたのなら、まず、雨漏れ箇所の特定が必要です。単なる類推だけでは解決しません。放水テストはされたのでしょうか?サッシ穴が原因なのか、サッシの取り付け方が原因なのかは、一般的には放水テストでわかると思います。サッシが問題であったにしろ、工務店は雨漏れに対して責任があります。

相談(1)に対してですが、サッシの穴からどのように入るのか、メーカーに詳細図で説明してもらえば、取り付け工事不良が無くても漏水するかどうかが、わかります。

(2)は、上記で述べたようにコーキング処理が正しい処理かどうかはわかりませんし、おっしゃるとおり将来の劣化の問題を考えておかないといけません。構造体の劣化も不安視しているのであれば、内容によっては交換も視野に入れて考えた方が良いでしょう。

(3)は、上記のコメントをご覧下さい。

(4)については、誰にもわかりませんので、壁を剥がして確認するしかありません。
放水テストをするときに、天井や壁を剥がさないといけませんから、そのときにご心配な点が無いかどうかを同時に確認すると良いでしょう。
 コメンテーター 
山口 雅克 コメンテーターの山口です。

 清水さんの解説にもありますが、サッシの下枠の穴は水抜きの穴と思われます。
どこのメーカーにもあるものではありませんが、これからの漏水は考え難いと思われます。設計思想の違いで欠陥だとすると、もう少し大きな反響がありリコール対象として発表されているような気がいたします。

 サッシには水密性に関して設計基準(幾つかのグレード)がありますが、その基準を超えるような風雨に曝された時には漏水があることは理解した方がいいでしょう。
常時でない雨漏りでは家が腐ることはないとの考えからです。
 サッシ自体に欠陥があるのか、サッシ廻りの施工に原因があるのかを確認してみましょう。前者はメーカーに相談すれば分かりますし、後者は散水などで漏り具合を確認することで可能です。

 5番目の通気孔は小屋裏換気用と思われますが、ここからの雨水の進入は十分考えられます。
このように軒の出が少なくて外壁の入隅は風が舞いますのでウエザーカバー(換気口のカバー)の選定に注意が必要です。
 内部の腐れに関しては、侵入した水が残っているのか乾燥しているのかを確認する手立てを考えて下さい。乾燥していれば問題ないでしょう。
 事務局から 
  荻原 幸雄  サッシメーカーのこのモデルの図面には現在、水抜き穴が同じ位置に存在しています。
送られた写真を拡大してみると、工場で穴あけされたものではなく、現場で空けられた感じにも見えます。サッシ取り付けをした業者に確認すれば事実は分かるでしょう。

もともと存在していた水抜き穴とすると、その穴から逆流することは使用規定を逸脱した場合はありえますが、写真からだと通常の使用方法に思われます。

現場で明けた場合は通常はサッシメーカーと取り付け業者が確認してから明けるものと思われますが、
明けるにしても内部の水処理がされていない可能性はあるのではないか?と推測できます。

1)サッシメーカーが来て、問題を認めていること。
2)現場で明けた水抜き穴のように見えること。
3)水抜き穴をパテで埋めたこと。
から、サッシの問題がすべて解決したのか?疑問です。

換気用フードに関してはメーカーに取り付け位置、高さの許容範囲を確認する必要が」あります。
ここも確認する必要があります。

デリケートな問題なので、建築士の第三者調査が必要に思われます。
相談者お礼状 
 相談者お礼状  お礼が大変に遅れてしまい、申し訳ありません。長期の出張でメールが読めませんでした。頂いたコメントを参考にさせて頂き、今後の対応を考えたいと思います。どうもありがとうございました。
 その後  
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