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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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〒181-0001 東京都三鷹市井の頭3丁目12番11号

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No. 1191 コンクリート壁式構造特殊工法を採用したが・・。

 相談概要 [氏名] O,K
[相談内容] 注文住宅の瑕疵
[相談建物所在地] 岩手県
[職業] 自営業
[年齢] 44
[男性] on
[構造] 鉄筋コンクリート造(壁式構造)
[引渡し年月日] 西暦  2005  年 2 月 1 日
[公庫使用] on
[性能保証は使っていない] on
[何階建て] 3
[延べ面積m2]
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 約5,000
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。
[監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] -
[18確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。
[確認申請書お持ちですか?] 有る。
[検査済証は有りますか?] 有る。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 10部以上
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 10回以上
[施工者名] T工業
[販売会社名] T工業
[設計者名] T工業
[監理者名] T工業
 相談内容 [現象]
RC−○という鉄筋コンクリート工法にて2005年2月に自宅兼診療所を建設いたしました。

 半年程前から窓枠下のクロスにカビが発生していることに気づき、地元の施工会社に問い合わせたところ一部、コンクリートのクラックが生じているとの事で内壁の○ボードをはがして補修工事をして頂きました。
ところが、外壁補修したはずのクラック及び窓枠からまた雨漏りが激しく、雑巾を置いているとびしょ濡れの状態です。
クラックは窓枠の角の所の他に、窓枠下に横にも生じておりコンクリートがすう粗なイメージです。
 雨漏りはクラックのみならず枠のコーキングされてあるところからも生じているようです。先日、外壁のクラック補修および枠のコーキングをして頂き、あとは内壁にウレタンを吹き付ける予定だったみたいですが、雨が降らなければこのままクロスを張られてわからなくなるところでした。
クラックは他にも窓枠を中心に7,8箇所発生しており、内壁の○ボードをはがしていないのでわからないのですがとても心配です。

たとえクラックが無い窓枠でも写真のように雨漏りがしているかもしれません。
 今まで2年間もこのような雨漏りが見えない○ボードの下で発生していたのかと思うと愕然としてしまいます。
北国のため、冬は雪も絶えず窓枠のクラック部に積もっていましたし、この内部の水は2年間の間、一体どこへ流れたのかもわかりません。

 施工会社が言うにはヘアークラックは問題ないとのことですがこの場所を見る限り明らかに構造クラックであり他の場所もその可能性は否定できないと思います。
今後、このクラックは増え続けるのでしょうか? 2年しか経っていないのにこの有様です。
 RC−○工法とはコンクリートを流し込む型枠が直接○ボードという発砲スチロール製の内壁になる工法で、コンクリートと内壁との間に空気層がなく、結露が発生しないことが特徴です。

 今回のカビはその○ボードを超えて表面のクロスに表れたものです。
コンクリートクラックはこの工法自体の問題なのか(内外のコンクリート温度差によってクラックが生じやすいのではありませんか?)、または同じ工法でも施工会社によって完成度にばらつきがあるのでしょうか?補修工事も外壁のクラック部位に吸盤みたいなものを接着して接着剤?を流し込むようなやり方でしたが、結局、封鎖されておらず、こんな補修では正直言って信用できません。
 5〜6千万もの高い投資をして建てた夢のマイホームがこんな状態でショックです。

他にも、気密性が良いためか窓を閉めているとすぐにカビが発生します。
24時間換気というのは窓を閉めた状態でも行われるものではありませんか?空気層が無く目に見えない○ボード下でカビだらけの住宅になっているとしたら始末が悪いです。
これは欠陥住宅とは言えませんか?

 補修工事は完璧にして頂けるものか?
また、今後起こりうる問題点や施工会社に要求できる権利について教えて下さい。

[業者の見解]
RC−○工法は親会社である北海道の業者(L)が開発したものをフランチャイズ的に全国の工務店が行っている。
 この工法の親会社が言うにはコンクリート壁式構造の場合、コンクリートが固まる際にクラックは必ず生じるが引き渡し前に完全に補修して引き渡す事になっているとのこと。

 それ以降は時間の経過等によってクラックが生じる事はないとの事で、今回のクラックはその初期クラックを地元施工業者が見落としたのではないかとの答え。
 地元施工業者の答えは、このクラックは初期にはなかったが天候、および地震等で生じる事がある。
クラックは今後も増える可能性はないとはいえないため補修工事が必要との事。
ただし、細かいヘアークラックは雨漏りの原因になる事はなく問題ないとの事。

 ちなみに、引き渡し後の1年チェックが行われる予定であったが延びて現在ようやく行われており、その際に発見したものである。

[相談内容]
1.で書きました。写真添付します



 yorozuの感想 HPに掲載する場合、自分および施工会社や工法を実名で掲載しないようお願いします。
アドバイザー 
藤井 修 解説員の藤井です。

断熱材付のボードを型枠材代わりにする工法のようですが
コンクリートはよほど注意して施工しても窓の下や鉄筋が込み入っている箇所は十分に回りきらない場合が多々あります。型枠兼用の仕上げ材を使用した場合コンクリートの状態を確認できません。このような工法は理論的には良いのですが現実としては欠陥が確認できない点があるのでどうかとは思います。

2枚の写真では判断がつきかねますが、クラックもさることながらサッシュのモルタル詰めやコーキングの施工に問題があるようにも見えます。
また補強の鉄筋が不足してる場合などには将来クラックがはいる可能性があります。
(ヘヤークラックのように幅が狭く表面に出来るものは心配ありません)
壁からの漏水は瑕疵にあたり施工業者の責任は逃れられません。
室内の換気ですが建築基準法での24時間換気の換気量は非常に少ないものですから高気密工断熱の室内換気としては不足しますので注意しなければなりません。
清水 煬二 解説員の清水です。

 サッシの下から水が垂れています。クラックだけでなく、サッシ廻りの防水処理にも問題がありそうです。
そうだとすれば、工法だけの問題ではありません。
窓廻りの基本的な防水処理も甘かったのだと思います。
 外壁は、コンクリート打放し仕上げでしょうか?一度雨漏れした箇所は、コーキングだけで止まることは非常に少ないです。
 工法的には、型枠を外さないためコンクリートが空洞になっていても発覚しません。
そのため、コンクリートの流動性を良くする添加剤を入れたり、バイブレーターを使用するなどは当然です。
窓下などはコンクリートが廻り難いので、型枠を一部外しておいてコンクリートを完全に流し込むなど特に注意をします。
 これらは、一般的な鉄筋コンクリートの工法でも同じことですが、工法上さらに注意が必要でした。

 雨漏れは、工事業者の責任ですから雨漏りが完全に止まるまで手直しをしてもらうことになります。防水方法は、いくつか考えられます。本体の内部業者ではなく、防水の専門業者を呼んでもらいましょう。
工事の処理方法を検討してもらい、工事をしてもらえば、大丈夫でしょう。
確認できるまでは、内部の壁は塞がない方が良いでしょう。
 コメンテーター 
山口 雅克 コメンテーターの山口です。

 室内側にコンクリート型枠を兼ねた断熱材と仕上ボードを貼り合わせたパネルを使う工法ですね。外部側はコンクリート打設後に撤去しますので、コンクリートの打設状況が分かりますが、室内側は撤去しませんのでコンクリートの充填具合が分からないのがこのタイプの工法の特徴です。

 鉄筋が多く入っていることを売りにしている部分もありますが、漏れなく充填されるようにコンクリートを打設するのはそれなりの技を要します。同じFCでも技量に差があることは否めません。

 今回の疑問点は、クラックが単なる収縮クラックなのか構造クラックなのか、漏水の原因はクラックなのか窓廻りのコンクリート充填やシーリングに不良があるのか、カビの発生は室内環境なのか漏水によるものなのか、断熱材とコンクリートの間のカビなのか、室内表面のカビなのかなどを見極めていく必要があります。
 両解説員のアドバイスを参考にして、専門家に現地を見てもらい、一つづつ丁寧に原因を探っていくことが必要と思われます。

 いただいた写真では全体像が掴み難く、アドバイスも限られてしまいました。参考迄にですが、写真で構造クラックを判断するのは壁のどの辺りに位置するかが重要になってきます。
壁全体を撮影するとクラックが写りませんし、なかなか難しいです。
 窓などの四隅からハの字(斜め)にあるクラックは、コンクリートの硬化時にその高さの違いから沈下量が違ってきて生じるもので、これを無くすには相当のコンクリート打設管理能力と技を必要とします。ある意味、避けられない部分でもあります。
だからと言って、全てにクラックが発生するわけではありません。
 事務局から 
  荻原 幸雄 この工法の問題ということではなく、一般的に壁に断熱材を打ち込む場合も、床に打つ込む場合も良くあります。
この工法はこの断熱材が型枠も兼ねているというだけで、施工性の向上でコストダウンを狙った工法です。要するに、どちらにしても断熱材がある場合はコンクリートの打ち込み状況がまったく見えないということになります。
外部から見えるので、この場合は特に外部は入念にクラックや防水の納まりを慎重に施工する必要があります。

工法の問題というよりは断熱材を打ち込み場合はコンクリート打設状況が目視できないということになります。これらの弱点を認識しつつ、施工者は入念に打設しなければ、今回のような問題になってしまいます。少なくとも外部の仕上げがジャンカ等が無ければ問題はありませんが、通常は大きい開口に場合の下部にはできやすいので、できた場合は処理を入念にする必要があります。

今回の問題はこの処理が甘かったのだと思います。
外部より再度入念に施工することを依頼してください。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 の度は大変お世話になりました。複数の専門家の方々から丁寧なご回答を頂きまして誠にありがとうございました。
現在、地元施工業者に点検を行って頂いておりますが、現在のところクラックのみならずサッシにも原因があるのではないかとのことです。
サッシが悪いのかサッシ周りのコーキングが悪いのか、いずれにしても全ての窓枠でこのような事が今後も起こるとしたら大変心配になります。
長期的に見た場合、今回の件はよくあることであまり心配要らないことなのか?それとも通常は起こらない事で、気をつけてその都度完全に補修していかなければ大変な事になるのかがわかりません。
また、ご相談させて頂く機会もあろうかと思います。
今後ともよろしくお願い申し上げます。

お手数をおかけしますがよろしくお願い申しあげます。
 その後  
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