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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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よろずWEB相談HEADLINE

No. 1186 地盤調査と仲介業者の心配

 相談概要 [氏名] H・I
[相談建物予定地] 福岡県宗像市
[職業] 自由業
[年齢] 50
[男性] on
[構造] 木造(在来工法)
[引渡し年月日] 西暦    年  月  日
[公庫使用] on
[何階建て] 2-3
[延べ面積m2]
[延べ面積坪] 70
[工事請負金額] 3000-3500
[設計監理料] 0
[様態] 注文建築
[施工者] 大工(工務店)
[設計者を選んだのは] 自分で選んだ。
[監理者を選んだのは] −
[確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。
[18確認申請の為の委任しましたか?] してない。
[確認申請書お持ちですか?] 無い。
[検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。
[設計図面は何枚もらいましたか?] 1
[工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 未着工
[施工者名] K住建
[販売会社名]
[設計者名]
[監理者名]
 相談内容 [家づくりの相談内容]
購入を検討している土地と不動産屋について、伺いま
す。
土地は不動産屋の情報で見つけ、上記の工務店は友人からの紹介です。
土地は高台にある南北に長く南側が道路に面して12mほどのいわゆる三角地で、JRの最寄りの駅から歩いて数分程度で、北側の見晴らしがとても良いです。広さは、後述の北側斜面の擁壁の部分を加えて 約140坪、それを除くと110坪あまり。

不動産屋によれば数年以上(10年?)前から売りに出ているが売れず、地方の土地の値下がりを受けて約二年近く前に地主側の希望販売価格を四割程度下げたが、見に来る人はよくあるが土地の形状から売れていない由。しかし、三角地でも広いので工夫すれば家を建てるのに問題なく良い物件だということでした。
ちなみに、工務店を紹介してくれた友人やその知人など、Mに長年住んでいる人たちもその土地を見聞きして、おおむね同様の意見を述べています。

そこで私は地盤調査を行ない、並行して不動産屋を通して地主(兄弟五人の共有)と購入の交渉をし、地主の希望価格より二百万円ほど減額するということで具体的な価格でもほぼ妥協点に到達したかと思っていました。 本契約の申し入れをしようかと思ったところで、1)の後半に述べる問題と2)の問題を意識した次第です。

1) 地盤調査について

この土地の幅の広い北側の下は数メートルの擁壁となっています。 この高低差とまた東側の家(10年ほど前に建築。話してみたところ、不具合は起きてない様子)でその家の土地が低かったので建築以前に盛土をしたものと聞いたので、工務店に依頼して工務店の紹介したAEという会社に地盤調査をしてもらいました。

方法はスウェーデン式サウンディング調査(JIS1221)で5点を調査(1200mm〜1460mm)。結果は、報告書の「不同沈下の危険予知チェックリスト」という項目で、敷地内に危険要素なし、水に関わる危険要素もその他の危険要素もなし、が、近隣にみられる危険要素として「家の壁に亀裂がみられた」、高低差関係で「周辺との高低差がある為、盛土または擁壁施行時に土を埋め戻した可能性あり。盛土及び埋め戻した土地は軟弱なので充分に注意が必要」。
さらに、地盤状況は「当地は、山の頂上付近に位置する古くからの造成宅地です」、基礎補強の判定は、第一の項目の「5t標準布基礎」のみにマークされ、他のたとえば「支持杭」「擁壁側は補強の必要あり」などの項目にはマークなし、でした。

上記工務店も「要注意項目とされたものは念のために示されただけであり、該地はかつての日の里団地の造成の際に山の一部で崩せないまま高台にした、しっかりした地盤で問題ない」と説明しましたので、安心していました。 ところが、図書館で『建てる前に読む本』という本をたまたま目にしたところ、スウェーデン式サウンディング調査で大丈夫と判定されても不同沈下が起ることがあるので要注意、という趣旨が書かれていました。

この記述との関係では、先の土地の北側の擁壁もそうですが東側の地盤が弱いためにわが家(を建てればそれ)が不同沈下しかねないと心配になりました。 また、地盤の評価により、基礎の強度をどうしたら良いか(貧弱でも過剰に強くても困りそうです。なお、工務店は布基礎で大丈夫だが、ベタ基礎にしたいと言っています)が問題になりそうでもあります。

そこで、より入念な調査を行なうことも考えて同書の編著者であるNPO法人に適当な業者の推薦を10日前に依頼しましたが、電話・ファクスの督促を含めて四回連絡しても返答がありません。(電話では、現在適当な業者を捜しているところで返事が遅れているのだろうと言われましたが、それからでも数日経過しています)。

このままでは、紹介してくれるのかあてになりませんし、してくれるとしてもそれまでに土地が別の人に買われてしまうかもしれないと感じます。

この件について、どう判断したら良いでしょうか。
不動産は一生に一回の買い物なので、慎重を期すために数万円を投じて地盤調査をやり直すのも仕方がないと今は考えています。
この考えが正しければ、信頼できる調査会社を推薦頂きたくお願いします。

しかし、前記のデータから見て、私の心配が杞憂であればその他の条件は良さそうなので土地の購入に進みたいと思っています。
また、調査を担当したAEにさらに詳しく質問すれば問題をクリアできるのかもしれず、そうであれば確認すべき事項をご教示いただければ幸いです。

2) 不動産屋の倒産について

この土地を知るきっかけになった不動産屋は地元M市のM建設というところです。
有名な古刹(M市のY寺)の改修を担当するなど実績のあった会社のようですが、前記の工務店の社長などから倒産の噂があると最近聞かされ、昨日、それが事実だとわかりました。

この土地に関する私たちの担当者によれば、その人が新たに「G商事(?)」とかいう会社を設立したそうで社長として従来の顧客にも迷惑をかけないようにする由です。

すると、もし購入ということに決めた場合、地主との交渉は免許証・印鑑証明などを持参してもらって本人確認さえすれば、この新会社に引き続き担当させて良いのでしょうか?

それとも、これはある友人の考えですが、M建設は仲介にすぎなかったしその残務(?)を処理するという会社も信用がおぼつかない(私もそんな気もします)ので、友人を通して、その土地を扱っている別の仲介会社(があるはずなのでそこ)を紹介してもらい、そこから地主に連絡を取って、前記のような価格で購入する方法をとっても良いのでしょうか?

ただし、この方法はこれまでの経緯からしてM建設の残務を受け持つ新会社が受けるべき利益を受けさせないという法律的な問題がもしかしたら生ずるのかもしれません。

以上、ご回答を宜しくお願いします。
 yorozuの感想 「土壁の家」のキーワード検索をしていてたまたま出会いました。僥倖というべきかと思います。NPO法人の関係ではがっかりしたので、本当に期待しています。 なお、もし掲載にいたる場合は会社名などは特定しにくいようにして下さい。
アドバイザー 
清水 煬二 解説委員の清水です。

地盤調査の件ですが、お話だけでは無責任にコメントできない内容のようです。お近くの建築士に現場とデーターを見てもらい、その地盤調査会社とも連絡を取ってもらって、アドバイス等を受けたほうが良いでしょう。

その土地を購入することになれば、地盤改良を行っても行わなくても、必ず第三者の地盤保証を付けるようにして下さい。

また、倒産しそうな噂のある不動産屋さんの件ですが、倒産するかもしれない会社に多額の現金や印鑑証明などを預けることは、安全であるという確信がない限り、止めた方が良いでしょう。実社会を知っている人なら誰に相談しても大丈夫という人はいません。

別会社の役員には、倒産する予定の会社の役員はいないはずです。
新しい会社には責任や負担は及びません。倒産する予定の会社は、いくら負債を抱えていても関係ありませんから、最後にできるだけ現金をかき集めて消えるのが一般的です。

誠実な経営者なら、多くの人々に迷惑を掛けることになり、連鎖倒産の可能性もある倒産ではなく清算を選ぶでしょう。清算して引退ということなら信用できるかもしれませんが、もし、清算できないほど追い詰められて倒産なら、リスクも非常に大きくなります。

これまでの経緯や約束がどのようになされたのかもわかりませんし、弁護士ではありませんから、契約上の法的な責任についは、述べないでおきます。
橋本 頼幸 大阪の橋本です。

土地・建物を購入する前に不安になるのはとても理解できます。一方で、専門的すぎて専門知識や技術を持っていない人は誰かを信用して進めるしかない分野でもあります。

ご相談の内容ですが、
(1)のサウンディング調査の結果の妥当性については、現物を見ないことには何ともいえません。スエーデン式サウンディング調査というのは調査者の判断によるところが大きく、後で検証できないので、当事務所でも調査時は必ず立ち会います。調査業者に任せておくことはしません。
サウンディング調査自体は数万円なので、もしH・Iさんが不安に思われるようであれば、専門知識を有する人に立会をお願いして調査されてもよいと思います。
また、設計で大まかなプランが確定したらそのプランにあわせて再度調査されてもよいとも思います。私たちがサウンディング調査するのもおおむねそのタイミングで、建物の配置にあわせて4〜5点調査することが多いです。

(2)はご相談の内容だけでは少し見えないのですが、倒産する業者というのは売り主とは異なる「不動産の仲介業者」と言うことですね。不動産取引をする際には「宅地建物取引業の免許」が必要ですので、倒産後に設立する会社が「宅地建物取引業の免許」を受けていれば取引はできると思います。
ご相談のように「別の仲介会社」があるかどうかはわかりません。
売り主さんが現在の仲介業者と売買に関する専任契約(いわゆる委任)をしていると他の業者では手が出せなくなります。それも会社倒産によって契約が解消されるならば別の業者が出てくる余地が生まれます。想定されるケースが多くて現在の情報では確定的なことがいえません。

法的には問題なくても、業者や担当者が信用できそうに無ければ、「縁がなかった」と思ってあきらめるのも一つの勇気です。金額が大きいだけに、失敗したときのダメージも大きくなります。

(1)も(2)もそうですが、ご自身の目で信用できるかどうかを見極めることが大切です。
 コメンテーター 
今井 優子 コメンテーターの今井です。

地盤については、二人の解説員の言うとおり、データ等を見ないと判断は出来ません。

H・Iさんが気にされている、『盛土及び埋め戻した土地は軟弱なので充分に注意が必要』『スウェーデン式サウンディング調査で大丈夫と判定されても不同沈下が起ることがあるので要注意』と言う部分に関しては、あくまでも『一般的に』と言うもので、紋切り型のコメントでしかありません。
例えて言えば、お天気キャスターが『寒い日が続きますので、風邪に注意してください』と言っているようなもので、そこには個々人の生活リズムや睡眠時間、食事内容、体力や疲労度などを考慮して言っているコメントではありませんね。

地盤と建物の関係も同じようなことがいえます。
地盤調査と言うものは、そのデータと、その土地の履歴や周辺状況、計画建物の形体や荷重及び配置など色々な諸条件から総合的に判断して、基礎(又は杭)を計画するための資料の一つです。
ただ漫然と地盤調査をして、その土地の地盤がいい悪いを論じることは、あまり意味がありません。
(ズブズブで何をやっても建物が建てられないような場合を除いては)あらかじめ、基礎(杭)にどの程度コストが必要になるかの、目安と考えればよいのではないでしょうか。

それでも、実際に全体を根掘りしてみて、調査結果と違う事実が判明することもありますが、そのときに、きちんと対処できることが大切なのであって、SS調査にしろボーリング調査にしろ、完璧な地盤予測が重要なわけではないと考えます。


仲介業者の件は、法律的なことは専門外ですのでなんとも言えませんが、倒産した会社やその残務整理の会社に、気を使う必要は無いのでは、と思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄  地盤調査はひとつの目安です。建築士はそれだけでなく、現地の周りに建物、地盤、近隣データーを入手、建物形状と配置の検討などして総合的に判断します。

ですので、建物の形状が決まらないで、地盤を論じてもおかしな話になりますので、現状での調査は目安にしか、過ぎません。
契約後に設計する建築士に地盤調査のするべきポイントや本数を指示してもらって再調査することになります。
形状の隅は必ず調査することも大切です。

仲介業者は成功報酬ということになりますので、実質は倒産による心配はあまり必要はありませんが、一番注意すべき時点はお金を渡す場合や登記を依頼する瞬間的な時期に倒産ということになれば大変な自体になることが予想されます。

わたしの経験では危険な噂のある会社は取引はしないことです。
相談者お礼状 
 相談者お礼状 こんにちは。ご回答いただいたH.I.です。
丁寧なご教示をいただき、本当に有難うございました。

不動産の購入しようとする素人の不安をご理解下さり、適切で行き届いた対応策をお示し下さり、深く感謝いたします。

相談の中で言及したNPO法人からはその後も何の連絡もないのと比べても、「よろず相談」のボランティアの方々の(専門知識に裏づけられた)ご親切には頭が下がります。

ご回答は本当に頼りになりますので、それを導きにしていきたいと思います。
具体的な帰結は、改めてご報告するつもりです。

回答下さった方々に心よりの御礼をお伝え下さい。

とり急ぎ一言ご挨拶申し述べさせて頂きました。
 その後  
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