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一般社団法人建築よろず相談支援機構

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No. 1183 施工ミスで建物自体の割引は可能か?

 相談概要 [氏名] NJ
[相談内容] 分譲マンションの瑕疵
[相談建物所在地] 東京都江東区
[職業] 会社員
[年齢] 36
[女性] on
[構造] 鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)
[引渡し年月日] 西暦 2007年4月26日
[公庫は使わない] on
[性能保証を使用] on
[何階建て] 44
[お住まいの階] 9
[延べ面積m2] 98
[延べ面積坪]
[工事請負金額] 51700000
[様態] 分譲マンション
[施工者] 建設会社
[マンションの総戸数] 500戸以下
[施工者名] OB
[販売会社名] AP
[設計者名] OB
[監理者名] OB
 相談内容 [現象]
設計ミスについて、建物自体の値引きが可能かどうか知りたい。

設計ミスの箇所は3箇所あります。
1.コンセントの設置がないところにコンセントのプラグの設置のみがあった。(配線されていない)
2.床暖のパイプの継ぎ目のところの床の部分が施行していなくて床が15cm2くらい沈む
3.リビングのクーラー取り付け口の穴の高低が逆になっており、クーラーが取り付けられない。

1および2については、業者が来て修繕しました。しかし、3については新たに穴を2箇所開けることでクーラーを設置することが出来るということでしたので、新たに工事に入って頂いて、大きな穴を2箇所壁にあけましたが、内側にあるベニア板の長さが施行計画とは違うため、クーラーの設置は結局、電気屋がまた新たに穴を開け作業を行い、クーラーを設置した。

新築物件を購入したのに、不良物件を購入した気分で、精神的に苦痛です。

[業者の見解]
1.2.3についてOBおよびAPは設計ミスと認めているが、全てを元あるべき姿に直すことで対応する。

[相談内容]
このような場合、建物自体の割引にて対応していただくことは可能なのでしょうか?
 yorozuの感想 参考になります。
アドバイザー 
古賀 保彦 解説員の古賀です。

 設計図書と異なった施工をしてしまい、それが機能や性能の低下につながったり、誰が見てもこれでは見栄えが悪いという場合は、それらの不具合を本来あるべき姿に復旧する、というのが建築現場での一般・基本的な対応です。

 注意してやっているつもりでも、施工しているのは人間ですから時には勘違いや間違いもあります。しかし、それが大事に至るといけませんので、重要な施工部分では検査・確認を密にしてミスを防ごうとするのですが、仕上げに近い部分では多くの職種が重なる事もあって、現実的には全ての工程を確認できない面もでてきます。それで、出来てしまった不具合は適正に修正してもらう事が第一義の事だと思います。

 手直しの立ち会い等で色々とご不便な事もおありだったでしょうが、先方も今のところはミスを認めて対応しているようですので、今回はそれで良しとしてあげてはいかがでしょう。エアコンの取り付け費用位はご要望してみても良いかもしれませんが、受けてくれるかどうかは話の持って行き次第、のように思います。それが駄目でも、せっかく手に入れた家ですから、気分転換して気持ちよくこれからの暮らしを楽しんでくださいね。
橋本 頼幸 解説員の橋本です。

設計ミスが建物の値引きにつながるか、についてはかなり難しいと考えます。なぜなら、設計は購入者NJさんが発注したものではないからです。
一般的に分譲マンションの場合、設計及び施工の発注者はデベロッパーです。
NJさんは、モデルルームや完成時のパンフレットやイメージ図などを見て、購入されたと思います。つまり、設計ミスの有無はNJさんの購入目的とは直接に関係しません。ただ、それがあまりにも住むに耐えないミスであるとか、修復不可能な状態である、ということであれば、また違った形になるでしょうが、相談の範囲で言いますと、必ずしも修復不可能な状態とはみれませんでした。

つまり、NJさんと分譲主の間の売買目的を達成できない程度の内容ではないと考えられます。従って、この場合補修で可能な場合は補修を行い、問題が除去された時点で売り主としての責任を全うしたことになるでしょう。

一方で、クーラー取付に余分に費用を要した、や、何度も補修にこられてそのたびに仕事を休んだ、荷物の搬入ができなくて倉庫に預けた、などの経済的な負担が生じた場合は、相手にきちんと申し入れれば返してくれることもあるかと思います。

ご相談の1,2,3全ての項目において、例え設計ミスを相手が認めたとしても、補修が終わり、生活する上で全く支障が生じない状態であるならば、建物本体の減額を要求することはかなり困難であると考えます。
氏原 毅士  氏原解説委員の解説です。

こんな些細な事が精神的苦痛になりますか?お尋ねします。
事業者や施工者は対応すると言っているようですが、これで不足は有りますか。
購入価格の値引きを言っておられるようですが、有り得ません。
1〜3までをザックリと見積もっても4万円以内でしょう。
建物も償却資産、今後の経年劣化にはどのように対処される心算なのか、お聞きしたいモノです。 
 コメンテーター 
星 裕之 コメンテーターの星です。

言い回しの違いはありますが本体の減額については難しいというのが解説委員共通の認識です。
話の仕方によっては値引きを迫るためにミスを指摘しているように捕らえられてしまうかも
しれません。それはNJさんの本意ではないかと思います。
仕上をしっかり補修していただきそれで気持ちを整理してしまうのが得策かと思います。
 事務局から 
  荻原 幸雄  詳細確認に対応していただき」ありがとうございました。
状況がつかめました。

建築の不具合の原因には設計・工事監理・工事管理(施工者サイド)のミスがありますが、本文では設計ミスとありますが、これは工事監理・工事管理ミスであり、工事管理が特に大きな要因であります。
工事管理とは施工会社の責任に帰しますが、まずは現場にはこれくらいのマンションだと所長がいます。
その下に現場監督がおり、助手もおります。助手はもともと、技能未熟であり、監督以上の責務となりますが、床に関しては造作大工の手抜きであると思います。ドレイン勾配の間違いはありえないことですが、施工した後に違う業者が下げた可能性もあります。

異業種の中には自分の仕事を優先して、ほかの仕事をはずして放置する業者もおります。この場合でも現場監督がこれらを確認することが責務ですから、今回の現場は職人の施工意識の低下の問題と監督がそれを采配できていない、若しくは低下の意識向上をできていないところにも問題の本質があると思います。

建築は手作りなので、車のように要求するのは無理です。
そこで、職人のミスは直すことになるのですが、建物の購入の値引きは論点が違います。
要求できるのはこの不具合にもたらされた、労働賃金の対価で、これらは交通事故の流れと同じです。

いろいろ大変ですが、早く解決して、前向きに暮らせるようにお祈りいたします。
相談者お礼状 
 相談者お礼状
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