相談概要 | [氏名] FM [相談内容] 建売住宅の瑕疵 [相談建物所在地] 東京都北区 [職業] 会社員 [年齢] 37 [構造] 木造(2X4工法) [引渡し年月日] 西暦2007年3月30日 [何階建て] 3 [延べ面積m2] 111 [延べ面積坪] [工事請負金額] 5000 [設計監理料] 0 [様態] 建売り住宅 [施工者] 中堅ハウスメーカー;○×○等 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けた。 [18確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。 [確認申請書お持ちですか?] 有る。 [検査済証は有りますか?] 有る。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 19 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 8 [施工者名] IH [販売会社名] CT [設計者名] AS [監理者名] |
相談内容 | [現象] 1階洗面所の洗濯機裏の壁面で発生した漏水トラブルをきっかけに、耐力壁で適切な部材が利用されていなかったことが発覚し、施工会社<I社>(売主である不動産会社含む)にどのように対応して頂くべきか思い悩んでおります。 経緯 [漏水当日] 妻が漏水発見(お昼頃) ↓ 夫である私が施工会社<I社>の窓口に電話連絡(お昼頃) ↓ 施工会社<I社>が現地にかけつけ状況確認(夕方) ↓ 水浸しになっている状態をふき取り、蛇口の緩んでいたボルトをさらに絞めて暫定対処(19時頃) ↓ [翌週の施工会社との打ち合わせ] 漏水の件で、施工会社<I社>より再度打ち合わせすることとなり、その打ち合わせにて下記内容について説明あり ※洗面所の洗濯機の裏の壁に取り付けられている部材が、本来ダイライトMKであるべきところが、石膏ボードが利用されており、構造計算において指定されていた5倍壁の強度がないとの説明を受ける ※対処方法としては、構造計算通りに、石膏ボードからダイライトボードMKに取り換えることが決定 ---------------------------------------- (原因) 構造計算 ↓ 割付図 ※特にミスもなく問題なし?(←私では判断できない状況です) ↓ 意匠図 ※ダイライト施工指示の転記ミス ---------------------------------------- ↓ 施工会社<I社>自らの申し出により、他の部屋でもダイライトボードMKが利用されているか、ダイライトの敷設状況について下地探しのようなもので壁紙の裏にあるボード種別について状況確認したいとの追加の申し出あり ※意匠図に記載漏れとなっていた部分については、やはりダイライトボードMKが利用されていないことが判明 ↓ ダイライトボードの利用の有無については、通常壁紙が貼っているので、どのように取り付けられているか分からないのだが、1階洗面所隣りのユニットバスの狭い天井裏から施工会社<I社>がデジカメで撮影し、現調結果の報告待ち ↓ 施工会社<I社>の検査結果として、ユニットバスの壁面において、ダイライトボードMKをうちつけるための専用釘を利用せずに、認定されていないビスを利用し施工していたことが判明 --------------------------------------- (原因) ダイライトボードMKの専用釘の発注漏れ --------------------------------------- ↓ 後日あらためて、意匠図でダイライトボードMKを取り付けるよう指示されていた他 の部屋も壁紙をはがして、現調をしたいとの施工会社<I社>からの提案あり ------------------------------------------------------------------------- (施工会社<I社>からの提案内容) 一旦仮住まいに引っ越して、約2週間程度の工事をしたい ただし、今まで私達が受けた慰謝料等の費用については、一切支払う予定なし ------------------------------------------------------------------------- 備考 ・ユニットバスの各部材の色も誤発注あり ・1階と3階のトイレの取り付けが全く逆になっていることも判明 [業者の見解] 販売会社<T社>の見解 ・書面にて、施工会社の方で対応させて頂くとの回答あり ※本トラブルには、極力関わらないという意向 ・もしかしたら、1度だけ登場したお抱えの設計士が、もしかしたら再度登場する場面があるかも 施工会社<I社>の見解 ・不具合が発見したところは、補修工事の実施+単なる謝罪のみというスタンス ・本トラブルにより、どの程度強度が落ちているのかについては、明確な説明がもらえていない 素人には分りやすい「震度○までは大丈夫」というような回答はできないと説明あり ・しかし、建築基準法や品格法に基づくような値で、危険性を定量的に把握したいとのこちら側の要望に対して回答してもらえる気配なし a)構造計算通りに施工していた場合の本来あるべき強度 b)漏水事故により、一時的に壁がなくなっていた状態の強度 c)現在のダイライトではなく石膏ボードを利用していることによる強度 ・なぜこのような発注ミスとなったのか原因に関する説明が曖昧なものとなっている(お詫びのみ) ※1階と3階のトイレが逆についている等の初歩的なミスもあり ・本トラブルによる生活面での保障や、構造耐力が不完全な物件に住まわされることの精神的苦痛に対しては、一切金銭面の支払いを行うつもりはない 検査機関<J社> ・施工会社の検査機関は、中間検査ではダイライトボードの施工はされておらず、完了検査時点では壁紙が貼られていたため検査できなかった。 ・したがって、この期間の工事は、施工会社による工事監理に依存する部分であるとの見解 [相談内容] 質問1) 本トラブルは、建て替えではなく、本当に耐震改修工事で安心を手に入れられると考えて良いのでしょうか? 質問2) もし構造耐力上問題がないことを検査等の確認結果により安心を求める場合には、具体的にどのような検査があり、またどのような会社様とどの程度の費用で確認することが可能なのでしょうか? 質問3) 不動産会社は、施工会社程詳しく知っているわけではないが、「住宅の基本構造部分であり、構造耐力上主要な部分に関する耐震改修工事」のような話しを施工会社に丸投げのような対応で良いのでしょうか? 質問4) ・あまりにも発注や作業のチェック機能が正しく働いていないことが心配です。施工会社のミスを減らして頂くために、何か良い策はありませんでしょうか? ※ユニットバスの色 ←再度発注中 ※トイレの誤設置 ・1階トイレは、埋込手洗器付きのため、1階便器は手洗い器がついていない しかし、埋込手洗器がない3階トイレに、本来1階トイレにつけるべき 手洗い器なしの1階便器が3階トイレに取り付けられていた 質問5) 含水率19%以下というのが施工会社の推奨値となっているが、ユニットバス+洗面所の基礎は独立しており、密閉されていることを考えた場合、本当に含水率19%以下とすることが可能なのでしょうか? 質問6) 質問5にある含水率19%以下とならなくても、特に問題ないと考えて良いのでしょうか? 湿気が多いと、白アリは発生しやすいという話しはあるようですが。 質問7) 洗濯機で利用する蛇口の取り付けにおいて、少し緩んでいたというのはやむを得ないと考えるべきなのでしょうか? 質問8) 他の水回りについても再検査を行うとしたら、漏水とならないための予防保全的なことを目的としてどのような検査を行って頂くべきなのでしょうか? 質問9) 今回のダイライトボード未施工というのは、「住宅の基本構造部分であり、構造耐力上主要な部分に関する耐震改修工事」という点において、非常に重大な過失があると考えるが、今後の予防保全的なことを目的として、その他の構造耐力上主要な部分についても確認して頂くべきではないかと考えておりますがいかがでしょうか? |
yorozuの感想 | 他のご相談内容も拝見させて頂きましたが、今後長く住んでいく上で、引き続き愛読させて頂ければと考えております。 |
アドバイザー | |
古賀 保彦 | 解説員の古賀です。 質問1) 枠組壁工法基準・建築基準法に基づく構造設計(計算書含む)に基づいた施工の姿に出来るのでしたら、建築基準法レベルの強度は確保できるという事になりますが、これは耐力壁の種別だけでなく、基礎・構造体の施工全般にわたる事ですので、実際の施工状況を見ていない立場からでは判 断が難しい質問です。 他の部分が正しく施工されていて、耐力壁の種別を間違っていただけであれば、その部分を是正すれば問題ないと思います。 質問2) 確認方法としては構造設計の検証と施工の検証という事になります。 設計面では、図面と計算書の整合性の確認、計算書そのものの確認となり、これは机上の作業です。 施工面では、耐力壁の種別(ダイライト、石膏ボードの種別)だけでなく、釘の種別やピッチの確認迄行うとなると、壁や一部の天井のクロス等を剥がさなければなりません。また、縦枠(柱)等の構造材が設計図通りに入っているかどうかセンサー等の調査では限界がある場合は、壁下地(ダイライト、石膏ボード)を剥がす必要もでてきます。 それらの事を部分的に調査して全体を類推するのか、はじめから全体を調査対象とするのかによっても費用(調査費用・復旧費用)は変わってきます。 調査内容によって安心度合いが変わるわけですが、それにはコストも伴いますので、どこまでやれば安心できるのか、そのためにどこまで調査・検証を行うか、という事を決めた上でなければ、その作業にかかるコストは算出できません。 調査機関として大丈夫と言い切れるためにはその根拠を示さねばなりませんが、そのために全体を調査・検証対象とするには費用負担がかさみ過ぎますので、質問9)の流れで進めるのが現実的だと思います。 質問3) 契約上の話で言いますと、 ・土地・建物の売買契約の場合は施工内容がどうであれ、買主に対する建物の責任は不動産会社にあります。 ・建売とはいえ、土地の売買+施工会社との工事請負契約形態になっている場合は、発注者(買主)に対する建物の責任は施工会社にあります。 後者の場合でも、通常は不動産会社が施工会社をセットしている訳ですから、建売事業一環として不動産会社にも当事者として対応いただけるよう要求されたら良いと思います。 質問4) 間違った工事は本来あるべき姿に戻すのが基本かと思います。施工ミスを防ぐ為には施工前の確認が有効ですが、それを行える工事管理者や設計監理者がしっかりしていないと難しいものです。 質問5) 基礎が独立している、というのは、該当場所の基礎が他の基礎より高くなっている状態なのでしょうか?床下換気がとれていない状態なのでしょうか? 形状が良く分かりませんが、湿気が外部に放散されない構成で常時湿気の供給がある場合は乾燥まで時間がかかるか、乾燥しきれないかもしれません。ユニットバスでしたら天井点検口から部材の状態は調べられると思いますので、湿気がひどい様でしたら出来れば2方向に壁換気口を設けて対処する等の方法はあると思います。 質問6) 木材の含水率が20%を超えるとカビの発生・白蟻に侵されやすくなるようですが、温度等の条件によっても左右されます。白蟻が懸念される地域では土壌の防蟻を定期的に行ったり、質問5)ような方法で対処する等、維持管理に気を付ける事である程度の対処はできると思います。 質問7) 施工ミスがゼロであれば良いのですが、家に限らずどんなものでもミスはなくせないのが現実です。ミスがあれば、それに伴う不具合を手直しするのが基本かと思いますが、今のところ施工会社は対応しているようですので、多少は我慢してあげましょう。 質問8) 末端の器具や配管を一部はずして圧力テストを行うという方法もありますが、ピンホールのような小さなものは確認しづらく万能ではありませんので、水回りに点検口を作って時々内部の様子を見る等、維持管理をお心がけになられたら良いかと思います。 質問9) 設計耐力が施工に於いて損なわれているのであれば施工上の過失になりますが、、重大なものかどうかの判断は、損なわれた耐力の程度によると思います。 当初設計が耐力に余裕を持たせてあれば、安全のバッファが残る場合もあります。そのあたりは設計内容と現状での安全レベルを算定しない事には何とも言えませんので、まずは設計者・施工者に説明・対応していただき、それで不安が残る様であれば第三者の建築士にも入ってもらうという形をお勧めします。 今後の話ですが、調査後に復旧費用等を伴う事や正しく施工されていた場合はその費用をどのように取り扱うかという問題も考えられますので、最初から全体を調査対象とするよりも、まずは、部分調査から始め、その結果と施工者の対応協議の中で、どこまで調査を進めるか、という方向性を立てて進めるのが賢明かと思います。 現段階では施工者に対応していただいているようですから、相手方との関係を良好に保ちながら進める方が良いと思いますよ。 最後になりますが、予防保全というのは、本来は設計と施工の過程で対処していくものです。設計・施工をどう進めていくのかという、家を手に入れる前の段階で考えていかなければならない事ですので、できあがったものに対してはどうしても手直しや維持管理という形にならざるを得ないと思います。が、せっかく手に入れた家ですから、家に愛着を持ってうまく進めていただければと思います。 |
コメンテーター | |
星 裕之 | 古賀解説委員が詳細かつ的確に解説されていますので熟読ください。検査機関が耐力壁の位置と素材を確認しなかったのはどうかと思います。今後も信頼できる第三者専門家を間にいれないと信頼できる補強工事ができないのではないかという気はします。 住宅はたくさんの職人・専門工事業者の手によってつくられますから多少のミスはでてしまうということ。 そのミスを直さない・認めない施工者であれば問題ですが、しっかり対応してくれているのであれば良好な関係を維持してください。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 1)設計図の作図不足による設計者の配慮不足。 2)現場監督の職人を管理できないという能力不足。 3)現場監督を監理できない工事監理者の不在。 4)職人そのものの能力不足。 が重なることによって起こったことだと思います。 今回は漏水から構造の問題が発覚しましたが、もし、漏水がなければ知らないで住んでいるということになったと思います。 実は、そのような知らないで住んでいる方は多いのだと思います。 同じ状況の施工は他でも起きていると考えるのが通常の感覚でしょう。 怖いものです。 建築はこのような状況を排除するには設計監理者はご自分で選択任命すべき重要事項であることが理解できたと思います。 今後の補修では、あなたが選択任命した建築士に補修監理をみてもらいましょう。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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