相談概要 | [氏名] ST [相談内容] 注文住宅の瑕疵 [相談建物所在地] 福島県須賀川市 [職業] 会社員 [年齢] 32 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦2007年9月15日 [公庫は使わない] on [性能保証を使用] on [何階建て] 2 [延べ面積m2] [延べ面積坪] 35 [工事請負金額] 1950 [設計監理料] 18 [様態] 注文建築 [施工者] 地場中小ハウスメーカー;地域的な中小産業 [設計者を選んだのは] 自分では選んでいない。 [監理者を選んだのは] 自分で選んでいない。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [18確認申請の為の委任しましたか?] した。 [確認申請書お持ちですか?] 無い。 [検査済証は有りますか?] 無い。 [設計図面は何枚もらいましたか?] 14 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 12 [施工者名] AH [販売会社名] AH [設計者名] AH [監理者名] AH |
相談内容 | [現象] 4月に契約を締結し、建物費用および外構費用の半額約1千万円(諸費用込)を工事請負業者へ支払しました。 地場の小さな会社の為、部材の調達で以前よりそうした契約内容で進めているとの事でした。 土地は、同時期に別会社より直接購入にしています。(土地・建物共にほぼ全額銀行借入)実際に、正社員6名の会社ではありましたが、実績はありました。(予想で6〜8棟/年) 基礎工事の前に外構工事も必要な為、合わせて支払をしてしまいました。 工事が、始まり一部の外構工事も終わり順調に基礎工事に入りました。 が突然、工事請負業者と連絡が取れなくなってしまいました。 社長の自宅兼展示場は、5日前より不在(新聞がたまっています) 会社も誰もいない状況です。 社員の個人の携帯電話へ電話しても誰も出てくれません。 まだ推測ですが、社長が逃げ、社員も業者からも攻められてどうしようもないので同じく逃げた感じです。 よって、社員は不在ですが、会社は存続中・・つまり、契約も存続中のまま?! 警察へ事情を説明してみると、刑事事件(詐欺)として立件するのは難しく、動くことはできないと言われました。 (契約時当初から騙すつもりがあったかを立証できなければ詐欺にはならないとの事です) 民事裁判を起こせば勝訴できても、相手が見つからない又は支払能力がないとなれば、どうしようもない?状況です。 また、基礎工事を請け負った下請業者は、まだ工事請負業者に基礎工事を渡していないので、下請業者の持ち物だと言うことで、看板「何人たりとも、現場に入ることはできない」という様な内容の看板を掲げていました。 しかし、私と下請業者との間には一切契約はありません。 住宅完成保証制度は、付けていませんでした。 まさか、逃げられる寸前とはしらずに・・・(分かっていれば契約は誰だってしませんよね) はっきりいって、路頭に迷っています。 現在分かっている状況で、大なり小なり同じ境遇の方が何人かいらっしゃるようです。 [業者の見解] 不通のため、無し。 [相談内容] 1、取り戻せる方法はあるのでしょうか? 2、民事裁判は行ってもしょうがないのでしょうか? 3、基礎工事は、下請業者の言うとおり工事請負業者の持ち物ではなく、下請業者の物?もし、間取りを変更せずに、そのまま引き続き別の業者と工事を進めようとすると、いまある基礎工事代金はどうなるのでしょうか? 4、現在中断している「建築物申請」の認可が通っているものを、建築事務所が引き継ぎし、監督してくれることは出来るのでしょうか?(設計料なしで) 5、住宅完成保証制度を付ければ、こういった場合でも「一切追加費用は掛からない」で済むのでしょうか?さらにその費用はどれ位でしょうか?(建築物のみ1,800万円相当時) 6、請負業者が、存続中であれば、契約も存続となり、別会社との契約へは移れないのでしょうか? (契約書竣工予定は、9月となっています) |
yorozuの感想 | このような場が有るのは、私たち素人にとっては非常に助かると思います。 |
アドバイザー | |
清水 煬二 | 解説委員の清水です。 業者は、倒産する前はできるだけたくさんのお金を要求します。 工事前に、工事費の半分もの金額を何の保証も無いのに支払うのは、当然止めるべきですが、STさんのように引っ掛かってしまう人はいます。 これからのSTさんが取る動きとしては、いくつかあると思います。 法律の専門家ではありませんから、あくまで参考程度にして弁護士さんとしっかり相談してください。 もう少し待っていれば、本人が隠れたままでも他の債権者が破産の申し立てをする可能性があります。それが受け入れられれば、管財人からSTさんにも債権、債務の確認の連絡が来るでしょう。 工事出来高の算定額に食い違いが起こりますから、基礎工事の出来高をSTさん側でも算定しておく方が良いでしょう。 しかし、工事はストップしたままで、内容がハッキリして管財人の許可が出るまで、手を出せません。 かなりの期間放置されることになると思います。 基礎工事に関しては、下請け業者も債権者ですから、それに対して管財人と話が付けば、最終的にSTさんのものになると思います。 支払った金額と工事出来高の算定額の差が、STさんの債権となります。財産を処分し終わっても、残っている財産を処分しての配当になるので、10%前後の戻しとかそれ以下になることも珍しくありません。 このパターンでは、今まで払ったものは、戻らない、かなりの期間そのままということになると覚悟してください。 請負契約書の約款に契約解除の事項があるか、完成期日が書いてあれば、それが達成できないことが明らかになれば契約解除は当然できます。 相手が行方不明でも契約を解除して、残金の返還を求めておいて、基礎工事業者へ基礎のお金を支払い、自分のものとして工事を先に進める方法は残されているとは思いますが、実際の方法と可能性や期間など弁護士さんによく相談され、決めた方が良いでしょう。 建築確認申請は、そのまま使えますが、業者の変更や設計監理者の変更は、確定次第必要になります。 設計監理者である建築事務所が実際の工事監理を無料でしてくれるかどうかですが、STさんが費用を直接支払っていないのであれば、交渉次第ですが、現実的には多分断られるでしょう。 その建築事務所は、最初から書類の提出だけで、工事監理をするつもりがなかった可能性がありますし、まだ代金ももらっていない場合があります。書類上、建前のうえでやってくれても、現場を観てくれることはほとんどないでしょう。 住宅完成保証制度を利用するには、この時点ではその業者が加入していなければなりません。加入してい場合、完成保証と完成後の保証で20万円程度だったでしょう。 |
関口 啓介 | 関口と申します。この度の残念な事態に、行き場のない願いと、やり場のない憤りを、少なからず理解できればと思います。ただ残念ながら、建築士の相談解説のできる範囲から法律の範疇に入っておりますので、速やかに弁護士さんにご相談頂くのが宜しいかと思われます。 6)住宅完成保証制度をつければ一切費用がかからないかとのご相談ですが、まずこの制度を利用するためには、施工業者が財団法人住宅保証機構の登録業者でなければできず、また工事請負契約時に完成保証制度利用の合意ができていなければなりません。 完成保証の場合は財務状況などを詳しく調べた上で登録許可を行いますので、どの施工業者でも登録できるわけではありません。工事出来高と未工事部分の金額査定は住宅保証機構が行います。機構が認めた金額の範囲で残りの工事を進める事になります。ですから一切費用がかからないという保証ではございません。より良い方向に解決が進む事を願っております。 > [相談内容] 1、取り戻せる方法はあるのでしょうか? > 2、民事裁判は行ってもしょうがないのでしょうか? 支払済みの代金を取り戻すことは、かなり難しいと思われます。ご指摘の通り、民事裁判を行って判決を取っても、強制執行を行って換価すべき財産がなければ実効性はありません。こういった業者の場合、その所有不動産などめぼしい資産はすべて取引銀行が押さえていますから、強制執行は不可能な場合がほとんどです。 なお、破産手続が行われたとしてもほぼ同様です。担保を取っている銀行がめぼしい資産をとっていってそれでもなお資産が残っていた場合にのみ、裁判所と破産管財人が配当を行ってくれます。仮にわずかながら配当対象となる資産(破産財団といいます)があったとしても、@管財人報酬、税金、A従業員、B施主さん、下請業者などの一般債権者の順番で配当が為されますから、その業者にそれなりの資産がない限り@のみで配当が完了してしまうことが多いのです。 > 3、基礎工事は、下請業者の言うとおり工事請負業者の持ち物ではなく、下請業者の物? > もし、間取りを変更せずに、そのまま引き続き別の業者と工事を進めようとすると、いまある > 基礎工事代金はどうなるのでしょうか? 複数の考え方がありうるとは思いますが、この場合、現状の基礎は土地と一体のものとしてSTさんの所有物であるとの考えがより一般的でしょう(民法242条本文)STさんはすでに基礎工事額を超える1千万円を業者の支払っているのでこれ以上の支払義務がありません。 他方、下請業者は工事代金をその業者に請求するしかありません。 下請業者にすれば、基礎は施主のものになるは、代金は支払ってもらえないはで踏んだり蹴ったりで気の毒ですが、あきらめてもらうしかありません。 ですから理論上は、外構工事と基礎工事が終了している現状の土地がSTさんのものであることを前提に、別業者に新たな工事を発注することが可能です。とはいえ、当然その下請業者は抵抗するでしょうから、地元の弁護士に相談された方がよいでしょう。 > 6、請負業者が、存続?!中であれば、契約も存続となり、別会社との契約へは移れないのでしょうか? > (契約書竣工予定は、9月となっています) おそらく契約書の中に、当事者のいずれかが倒産ないし支払い不能になれば当然に契約が解除されるとの条項があるのではないかと思います。その場合、契約はすでに解除されてなくなっているので、そのままSTさんは別会社との契約に移行されたらよいと思います。 当然解除にならない場合は、STさんからその業者に「解除の意思表示」を出して、相手に受け取らせなければなりません。 本件の場合、受け取らせようにも相手がどこにいるか分からないので、特殊な「意思表示」方法が必要になります。 この点でもやはり弁護士に相談されることをお勧めします。 |
コメンテーター | |
星 裕之 | コメンテーターの星です。 完成保証・費用返還ついては両解説委員の解説どおりです。 景気が好転しているため一時期のような警戒心が薄れているようですね。施工契約の基本は出来高払いです。一部のローコスト系メーカーでは極めて高い前受金を要求されます。 急成長した会社は急に消滅してしまうこともあります。完成保証を受けても倒産してしまえば、追加費用もかかりますし、施工期間も延びます。また、支払いが悪かったり、滞りがちな施工者には良い専門工事業者や職人はつきません。 今回の件で資金計画が狂ってしまうかもしれませんが、家は長く住むものですから、次回はきちんとした施工者を選んでください。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 費用はできるだけ、過払いのないような範囲で支払うことが大切です。 着手金半分は払いすぎです。通常は1/3が多いようですが、わたしの事務所ではこれでも多いので、着手は10%と決めています。これは倒産後の清算の場合にこちら側が出来高工事分を支払えば清算できますので、次のステップが早くなります。 50%のように過払いの場合は全てが解決つかないと現場は放置される可能性は濃厚になります。 どちらにしても管財人が入る筈ですので、債権の請求をすることになりますが、それと同時に所有権移転の手続きをしてもらうことです。これには清算が必要ですが、これは建築士に出来高を確認してもらう必要があります。 その清算書を管財人に提示し、所有権移転を依頼することですが、問題は出来高と支払いがとんとんならば、直ぐにでも、所有権移転の書類を作成してもらえますが、問題は残金が多いので、それを貴方が放棄しないと直ぐには所有権移転にはならないでしょう。そうすると時間がかかります。 直ぐにでも清算して工事着工するか、少しでも債権を確保するために、工事停止として時期をみるかの判断が必要になります。 極端な話ですが、設計事務所を貴方が選定して、着手金を少なく支払っていれば、清算書を作成し、管財人に提示すればほとんど、実害なく、1ヶ月程度の停止で現場が別の施工会社で再開は可能でした。 現状では管財人が決まるまでは何も出来ない状況ですが、再開の方法を弁護士とご相談ください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | |
その後 |
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