相談概要 | [氏名] T.H [相談内容:] 注文住宅の瑕疵 [相談建物所在地] 同上 [職業] 準公務員 [年齢] 44 [男性] on [構造] 木造(在来工法) [引渡し年月日] 西暦2005年 9月 1日 [公庫は使わない] on [性能保証は使っていない] on [何階建て] 地下1階 地上2 [延べ面積m2] 185.05 [延べ面積坪] 55.98 [工事請負金額] 3300 [設計監理料] 409.5 [様態] 注文建築 [施工者] 大工(工務店) [設計者を選んだのは] 自分で選んだ。 [監理者を選んだのは] 自分で選んだ。 [確認申請書は本来建築主が出すと説明を?] 受けていない。 [確認申請の為の委任しましたか?] 覚えていない。 [確認申請書お持ちですか?] 解らない。 [検査済証は有りますか?] どういうものか知らない。 [設計図面は何枚もらいましたか?] ほぼ完成後43 [工事着工まで設計の打ち合わせは何回しましたか?] 9以上 [施工者名] M他 分離発注 [販売会社名] [設計者名] O建築事務所 [監理者名] O建築事務所 |
相談内容 | [現象] ご指導よろしくお願い致します。 分離発注による被害です。 NO923:分離発注について これらのご回答にある事とあまりにも符合し驚いている状況です。 ほぼ記載されているとおりの被害にあっております。 我家は瑕疵が多い、コスト、工程、納品管理がずさん、図面と異なる、勝手に天井等、重要部分が確定し施工されてしまうなどの、契約不履行です。 完成予定から2年以上たった今でも欠品すらあるしまつです。 1■コストが1000万円ほど、建築中に上昇。(地下地盤の未調査が主因) 2■地下室が40畳⇒32畳に減少かつ価格が1000万円⇒1200万円上昇 3■地下上の土台木材に失敗穴3つ アンカーボルトのほとんどが中心より著しくずれる。ゆがむ。 4■基礎ゴムパッキン隙間をモルタルで塗りたくる、鏡餅状モルタルをパッキンの代用にする。 5■スレート瓦に割れ多数。(下地くぎが2ミリ浮きの為) 6■垂木の寸法まちがえて接ぎ木。 7■玄関屋根5センチほど傾き。 8■天井がフラットでなく、モールのようなもので継ぎ目を連結 9■ポルト緩み8割ほど視認。 10■カーテンダブルレール付かない部分有り。 11■吹き抜け用ポリカと地下ポンプ保証書、説明書欠品。 12■手すりが完成予定日の約1年後に装着。 13■屋根の仕事が雑。割れ、隙間、寸法違い、釘浮き、板金未処理凹み等。 外構 1■20センチの縁石に乗り上げるほどの傾き 2■直径1m深さ7cmの凹み。 3■庭は瓦礫、残土で仕上げ、『畑に使える土』と説明。 4■インターホン雑音放置 ⇒電気工事屋より不払いで提訴⇒和解 現在、設計士と調停4回終了。 分離発注せず、工務店的に動いた、Mの調停申立、来月第1回目。 5■O建築士より玄関からはじき出され全治3日。 助手席側ドアにひっかかったまま 引きずられる、二回の暴行⇒警察へ相談中。 6■Mから脅迫のような電話。 7■その他 [業者の見解] 外構⇒一年後、ほぼ解体撤去のみはしたが、補修は拒否。 同時に深部よりゴミの不法投棄発見。 回答無し。 事実関係や責任の所在を何度問い合わせても、責任のたらいまわし、未回答なので、調停申し立て。 問題の設計士は、現在調停で『すべて施主の了承を得ている。問題点も対応し了解済み。』 と全く根拠や証拠のない言い訳しかしません。 管理記録の書類も印鑑も欄が3つあるのですが自分の印鑑しか押してありません。 多くの図面もほぼ施工完了した後に提出されています。 『分離発注の本に書いてある事は著者の理想論。』 としていて、初めから、契約を履行するつもりはなかったようです。 又、この人独りの力では元々、無理であったと思います。 この建築士は商売に困って自分の能力以上の仕事をうたってしまったのではないかと推測します。 現在、別業者での補修見積もりを提案されています。 [相談内容] 黒幕的な上部組織分離発注の責任は、法的に追及できないのでしょうか? 調停員も問題があるとしています。 又、誰に対しどこまで、どのように責任を取ってもらうのが正当なのでしょうか。 分離発注は逃げられる体制をしっかり整えているようであるだけに、かなり問題があると思います。 我家のような現象は充分想定できると思いますが、何の保証も無いようです。 遠方から何度も視察に来ていただき、現在もメールでしっかり回答はされるので悪意は無いようにも感じますが、よろず相談さんの見解に対してはきちんと反論できていると思いません。 当該分離発注の取締役によると、『かれら(よろず相談)は、このシステムを理解していない』『色眼鏡をかけて見ている』 『今回のトラブルは分離発注だから起こったものというより、レベルの低い施工者が最大の要因。』 『施工者のレベルを正確に認識できず、お任せ的になってしまった監理者の監理能力が問題。』 『打ち合わせ記録や監理報告書による記録・報告業務を怠り、施主であるT様との意思の疎通が欠如した。』 『調整や話し合いがループしてしまうのは、施工責任と監理責任を混同しているためで、施工責任は施工者、監理責任はOさんのように整理しないと、解決の方向が見えてこないのではと思います。』 との事です。(最後がよく判りません。) 分離発注なだけに、それぞれの業者等と裁判や調停に(現在計三ヶ所)なっております。 今後さらに増える可能性も有りです。 これは明らかな欠点です。 分離発注に対する(最近内部紛争があった様子です。) 有効な解決策等、ご指導お願いいたします。 |
yorozuの感想 | 分離発注が名指しで鋭く批判されていたのを見て驚きました。 なぜ分離発注と別に解説されたかわかりませんでしたが苦情は多そうだと感じました。 大変参考になりました。 今後ともよろしくお願い致します。 |
アドバイザー | |
橋本 頼幸 | 大阪の解説員の橋本です。 ご相談の内容はかなりいろいろな問題を含んでおられるようですし、すでに調停や訴訟なども複数件おこっているようですので、そのあたりも考慮して解説していきます。 私は、引用されている、No.923の質問 http://www.shou.co.jp/yorozu/naibu/newcon-93.htm#03 でも、解説しており、その時と現在も考え方は変わっていません。 まず、THさんの相談に「契約不履行だ」という表現がありましたが、もう一度契約書の内容(各専門業者との工事請負契約になっていると思います)を確認してください。 契約書の形態によっては、どの業者がどの範囲を工事する契約になっているのかというのが明確になっていない可能性もありますが、一般的には工事請負契約というのは、請負金額と工期・工事範囲が明記されるべきはずの書類です。 工事業者それぞれとの工事請負契約の内容が明確になり、どの部分が契約不履行であるかがはっきりすれば、各業者と発注者であるTHさんとの間の債務は明確になりますので、それに基づいて請求していけばいいでしょう。 次に、設計監理者との関係ですが、先の引用元の解説にもあるとおり、この場合の設計監理者(O建築事務所)はいわゆる設計監理以上に工事中の采配をふるう「工事管理」の部分の業務も受けていると思われます。つまり、その点に関する契約書等があると思います。その契約書に基づいて、O建築事務所が本来しなければいけない業務と、しなかった業務などを明確に分離をすれば、THさんとの間の問題が明らかになると考えます。 と、まとめると「契約書を確認して、守られていないことについて責任追及する」ということになりますが、契約書が必ずしもきちんと取り交わされていない場合や契約書があっても内容が明確になっていない場合があります。そういった場合にどう対応するかは、実物を見せていただかないと何ともいえません。 また、それはしかるべき専門家(すでに弁護士さんがついているかもしれませんが建築に詳しい弁護士や建築士など)と相談されることが必要になります。 最後に、フランチャイザーの責任は問えるか、というご質問ですが、THさんが分離発注のフランチャイザーにどんな責任を問いたいかによると思います。 実際に損害賠償を請求すると言うことが大きな目的なのか、社会的な使命として訴えたいのか。 いずれにしても、分離発注には専用の保険もあったと思いますし(どこまで有効なものか分かりませんが)、こういった個別のトラブルが発生した場合にフランチャイザーは逃げやすいようになっているのは一般的です。 問い詰めたいというのであればそれなりに覚悟が必要だと思いますし、相応の法律専門家に相談が必要でしょう。 以上、非常に一般的な回答でありますが、原則に則って解決を試みるとこうなると考えます。ただ、個別性の高そうな事件なので、THさんの相談に乗ってもらえる建築士と弁護士が組んで対応した方がいいように考えます。 |
コメンテーター | |
笠原 歩 | コメンテーターは笠原です。 竣工からずいぶん時間が経っていますがまだまだ問題があるとのこと、心中お察しいたします。 この問題は原因が様々な要素が絡み合い 、解決の糸口が見えにくくなっているのだと思います。 分離発注という方法は、言うまでもなく建築主が主体となって工事を進めていくものですから、工事に関する責任は基本的に建築主であるT.Hさんであるということです。 工事や設計監理の問題と、分離発注に対する不信感は分けて考えないといけません。 その上で個々の工事業者に対する工事の瑕疵、不具合による問題。監理者の監理不足によるもの。 それを指導した分離発注の責任。それぞれのレベルでの対応が必要と思われます。 数々の提訴、調停を抱えておられるようですが早急に弁護士、建築士に相談をして解決策を探った方がよいと思います。 |
事務局から | |
荻原 幸雄 | 建築よろず相談では建築主、施工会社の施工管理する監督、建築主の立場で現場を設計図と照合確認する立場の建築主の委任した工事監理者の3者が対等の立場で現場を真摯な目で協調し合って施工することが民主主義的家づくりであると解いています。 要するに、設計施工一貫システムは工事監理者が建築主が選択委任できないところに問題があります。そして、今回のように分離発注のような分離発注は建築主が選任した工事監理者はいるのですが、施工を統括する施工管理する監督がいないことに問題があると考えております。 建築は手づくりです。単品生産なので、2つの目よりも3つの目で慎重に建設することが肝要であることは言うまでもないことです。 今回の案件は施工会社の施工管理する監督が不在であるがゆえに、それを工事監理者が補うしか方法がありません。当然、工事監理者の負担が増します。 通常の私達が工事監理する場合でもその立場の業務だけでも膨大であり、とても、施工管理をする余裕など生まれるとは思えません。 ですので、何かが欠けることが必然として内在していると思うのが、建築に携わるものとして理解です。 この度の件ではシステムとしては内包している不備が出てしまったのだと察します。 このシステムでも工事監理者の能力が大きく影響します。なおかつ、施工管理までするのですから、施工管理の経験もなければならないでしょう。 施工管理者がいないのですから、工事監理者の能力次第でこのシステムが成功するか否かの鍵になるところです。 分離発注は手法ですから、その手法を理解して、メリット、デメリットを理解して申し込んだということが前提となりますので、システムを選択するのは依頼者の選択の自由であり、そのものが法的に問題があるというものではありません。 特定の分離発注システムには契約書があるでしょうから、その条項の責任範囲が明記されていると思いますので、それと照らし合わせて、現場は問題なかったかは、弁護士と相談するしかありません。 あくまでも、個別の問題として現場の工事監理者責任と個別に契約した責任の所在を弁護士と打ち合わせてください。 最後に、現場の瑕疵が必ずしもシステムの問題とイコールではないので、その点は整理して解決を図ってください。 |
相談者お礼状 | |
相談者お礼状 | 長文のご回答誠にありがとうございました。 再度あらためてお返事させていただきます。 |
その後 |
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